〜一年前、2月14日〜
「おはよう殿町・・・何でソワソワしてるの?」
「何言ってんだ。今日は男にとって一大事な日だぞ!?」
「あ・・・今日バレンタインだっけ?」
「ああ、今年はなるべく女子の好感度を上げる為に頑張って来たからなそろそr「すいませ〜ん」お、噂をすればこの前落としたハンカチを拾って上げた隣のクラスの子じゃないか」
「あ、五河君。コレ、受け取ってください!」
「え、僕?殿町じゃなくて?」
「何でこの人にあげなくちゃいけないの?五河君はこの前私がナンパされてるのを助けてくれたじゃない」
「そう言えば・・・うん、ありがとう。ありがたくいただくよ」
「うん!それじゃあ失礼します!」
「えっと・・・殿町?大丈夫?」
「・・・」
「い、息してない・・・」
※刹那はこの後滅茶苦茶チョコを貰った。
それでは本編どうぞ!
刹那サイド
あれから家に帰って寝た筈の僕は何故か真っ白な空間に居た。隣を見ると何故か纏さんと仙堂さんも居る。二人は何だと辺りを見回しているが僕にとってはもうお馴染みの空間だ。暫くすると僕達の目の前に一人の女性が現れる。その女性は綺麗な銀髪をした女性だった。その女性は僕を見た途端に抱きついて来る。僕もギュッと抱き返し、頭を撫でる。
「刹那さん!お久しぶりです!」
「うん、久しぶり《アテナ》」
そう言って僕を抱きしめる力を強めた彼女は僕を転生させた神にして僕の妻でもある女神《アテナ》その人である。僕達を見てポカンとしている二人に気付き、アテナさんはコホンと咳払いをしながら僕から離れる。そして話を始めた。
「其方の二人は初めましてですね。私の名前は《アテナ》と言います。以後、お見知りおきを」
「あ、どうも《仙堂ナナ》です」
「《纏流子》だ」
「突然お呼び立てして申し訳ありません。エn、刹那さんのデバイスから少し揉め事があったと言う報告と共によく分からないビデオ映像が送られて来たので・・・」
「「「アレを見たの!?」」」
「はい・・・何と言うか・・・意味不明でした」
アテナは苦笑する。まあ、僕もエネに渡された台本通りにやっただけだからどうとも言えないんだけど・・・。すると「それと」とアテナは言い加えた。
「刹那さん。皆さんからの伝言でいい加減《超次元召喚》を使ってくれと・・・」
「ああ・・・うん、分かった。今度使ってみるって皆に言っておいてくれるかな?」
「はい。それと・・・もう一つ貴方には謝る事が・・・」
「どうしたの?」
僕が言うとアテナさんは凄く申し訳なさそうな顔をして、意を決して口を開いた。
「近々、貴方の家系に関する事が起きます。その・・・神の所為で・・・」
「ああ、どうせあの神社に祀られている神が暴走でもするんだと思うけど・・・」
「はい。このままだと例の姫君が・・・」
「悪いけどその件はパスで。僕はもう彼処には行かないって決めたから。お父さんを奪った奴らの傀儡を守る必要は無い」
そう言って僕は話を突っぱねる。何で僕がアイツ等何かを・・・。気が付くと僕を見て仙堂さん達が震えていた。それを見て僕は初めて自分が想像以上に殺気をダダ漏れさせていた事に気付く。するとアテナが僕の手を両手で包み言った。
「刹那さん、あの姫君はあれから自分の家と貴方の家系の真実を知り、後悔しています。それは他の巫女達も同じです。確かに彼女達の一族は許されない事をしました。でも彼女達は何も知らなかった筈です!だからy「知らなかったのはアイツだけだよ」・・・え?」
「だから、結局知らなかったのはあの寝坊助姫だけなんだよ。その他のメンバーは全員知ってる。裏の事情なんて殆どだ。だからアイツ等が後悔してるのは僕に対してじゃなくてあの姫に裏の事を知られてしまった事なんだよ」
そう言うとアテナさんは驚愕の事実に泣き崩れた。そもそも如月家であると同時に忌子だった僕にそんな事を思う筈が無い。精々勝手に滅びればいいさ。そう思っていると仙堂さん達が声を掛ける。
「五河君・・・貴方の過去に何があったの?よかったら教えてくれないかしら?」
「ああ、それなりの理由があるんだろう?」
「・・・ごめん。今度話すよ」
正直今の精神状態じゃ何もする気が起きない。取り敢えず僕はアテナの涙を拭いて立たせる。するとアテナは懐から何かを取り出した。それは銃弾とカートリッジの様な物だった。
「えっと・・・コレは?」
「コレはセシアとエネの強化パーツで《カートリッジシステム》と言います。この銃弾に魔力を込めておき、デバイスにリロードさせると一時的に魔力が上がります。これから先、貴方は沢山の争いに巻き込まれると思います。だからコレを受け取ってください」
「・・・分かった。ありがとう、頑張るよ」
そう言って僕がカートリッジを受け取ると目の前がくらみ始める。コレは目が覚める前兆だ。黒に染まっていく視界で最後に見えたのは僕に祈りを捧げるアテナだった。
「・・・朝か」
目が覚めると時計の針は午前5時半を指していた。右手を見ると其処にはさっきの空間でアテナに貰ったカートリッジ一式が握られていた。僕は取り敢えず其れをポーチに仕舞い、もう一度眠り始めた。
〜学校《昼休み》〜
昼になり何時もの様に皆の机をくっ付ける。最近は鳶一さんも来る様になったがそれ以外あまり変わらない何時もの風景だった。だがその時、大音量で警報が鳴る。空間震だ。僕達は急いでシェルターへと向かうが十香を仙堂さん達に任せて僕は街の方へ向かった。琴里の呼び出しだ。外へ出て人気のない所へ行った僕はフラクシナスへ転移した。
「来たわね。もうすぐ精霊が出現するわ」
「分かった。準備は何時でも良いよ」
琴里の指示に従い僕は待機する。今日は全員出揃っているのでどんな戦闘も乗り切る自信がある。まあ、実を言うと別行動をしている式神が居るけど・・・。暫くすると何も無い空間に波紋の様な物が発生したのをモニターで確認した。あれが空間震なのだろう。その空間震は地面を一部をごっそりと削り取った。今までにしては小規模だろう。するとモニターの向こうの土煙が消え、先程からオペレーター達が言っている《ハーミット》と言う識別コードの精霊が姿を現した。その精霊を見て僕は驚かずにはいられなかった。何故なら彼女は僕が数日前に遭遇したパペットの子だったのだから・・・。暫くするとASTが来て少女に射撃を開始する。それに対して少女は逃げるだけだった。琴里が言うには何時もの事らしい。
「それじゃあ刹那。貴方を周辺の建物に転移させるわ」
「了解。それじゃあ」
「ええ、私達の戦争(デート)を始めましょう」
その言葉を聞いた後、僕は転移した。
刹那サイド終了
三人称サイド終了
生徒達が避難したシェルターで十香は珠恵に声を掛けていた。空間震についてある程度孤児院の精霊達に聞いていたがいまいち分かっていなかった十香は自身の担任である彼女に聞いた。
「空間震とはどの様な威力なのだ?」
「そうですね・・・最大の物は三十年前のユーラシア大陸で起こった空間震ですね。一億五千万人の死傷者を出した大規模な空間震です」
「な、なんだそれは、危ないではないか!そんな中でセツナは何処に行ったと言うのだ・・・」
「夜刀神さん・・・」
珠恵の言葉を聞いて十香の中の嫌な予感が強くなって行く。そして十香は意を決して立ち上がり、ナナと流子に声を掛けた。シェルターを見回していた珠恵が気づくと其処には先程まで自分の近くに居た三人の女子生徒が姿を消していた・・・。
三人称サイド終了
刹那サイド
あれから建物に転移した僕は同時に精霊が同じ建物に入った事を霊力で感じた。霊力を辿りながら進んで行き、天井を見上げた。其処には重力に逆らった様に浮遊している少女が居た。少女のパペットが口を動かす。
『君もよしのんをいじめにきたのかなぁ・・・?』
「いや違うよ。それと久しぶりだね」
僕がそう言うとパペットは手を叩く仕草をして言った。
『おお、あの時のお姉さんじゃないの。いや〜、あの時は助かったよ。ありがとね〜』
「気にしないで。あと僕はお姉さんじゃないから。お兄さんだから」
『何と!』
「!?」
僕の言葉にパペットとパペットを付けた少女が驚愕する。慣れて来た反応に僕は苦笑して話を続けた。
「えっと・・・僕は敵じゃないよ。名前は五河刹那。君、いや、,君達,の名前は?」
僕がそう言うとパペットは陽気に自己紹介を始めた。
『わすれてたっ。なんてみすていくっ!よしのんは《よしのん》だよ!そんでこの子は友達の《四糸乃》さ!』
「!・・・そ・・その・・・よ、四糸乃・・・です」
「うん。宜しくね、よしのん、四糸乃」
『おお、おねーs、いや、おにーさん綺麗な笑顔するね〜』
「!・・・////」
「えっと・・・ありがとう。君達も可愛いよ。あと僕の事は刹那でいいよ」
『ありがとね〜。そうだった!今日は刹那君に用があって来たんだよ〜』
「僕に用?」
『ほら四糸乃、ちゃんと渡すんだよ〜?』
「う・・・うん・・・」
よしのんの言葉に四糸乃は自分の服の中から一つの傘を取り出した。僕がこの前置いていった傘だった。四糸乃はそれを僕の前にビクビクとしながら渡す。僕はそれを受け取ってお礼を言った。
「わざわざ届けに来てくれたの?ありがとう、凄く嬉しいよ」
「へぅ!?・・・こ・・・こっち・・・こそ・・・ありがとうございます・・・」
『四糸乃!よく言った!えらいぞ〜!』
「う・・・うん・・・」
言うなら今かな?そう思い僕は四糸乃達に声を掛けた。
「ねえ、もし良かったら傘のお礼も兼ねて僕とデートしない?」
『ほっほ〜!見かけによらず刹那君はすごいね〜!よしのん達二人を誘っちゃうなんてさ〜。んで四糸乃、どうする?刹那君とデートだよ〜。もしかしたら告白とかあるかも・・・きゃっって感じだよ〜』
「そ・・・それ・・・は・・・////」
どうやら行くかどうか決めている様で二人で小声で話している。何で四糸乃は顔を赤くしてるんだろう?暫くすると四糸乃が僕を見て言った。
「その・・・迷惑・・・じゃなければ・・・・お願いします・・・」
「ううん。迷惑な訳ないよ。此方こそお願いします」
『うんうん、いいね〜♪今から楽しみだよ〜』
そう言いながら歩いて行くよしのん達に僕も付いて歩いて行った。歩いて行く中でいろんな話で盛り上がった。歩いているとよしのんが玩具コーナーの子供用ジャングルジムに興味を示した様で、四糸乃はジャングルジムを登って行く。
「二人共気を付けるんだよ〜」
『は〜い!』
「はい・・・」
何かデートと言うより休日のお父さんな気がした・・・。そんな事を考えながら僕は楽しそうに登って行く二人を見つめる。楽しそうでなによりだ。すると登りきった四糸乃が頂上に立ちながら僕に手を振っている。よしのんもだ。
「二人共〜、危ないから立つのはやめなさい」
僕の注意によしのんは不満を覚えたようで文句を言っている。僕の中で未だに四糸乃の思いっきり転んだシーンが消えないのだ。その不安は本物となり、バランスを崩した四糸乃は僕の上に落下して来た。僕はそれを急いで抱える。所謂お姫様抱っこの状態になってしまった。取り敢えず見た所怪我は無い様なので安心だ。
「二人共大丈夫?」
『ああ〜ごめんね刹那君。この通りよしのん達は大丈夫さ!かっこよかったよ〜』
「その・・・ありがとう・・・ございます」
「次からは気を付けてね」
僕がそう言って四糸乃を下ろした瞬間、
ゾクッッッ!
途轍も無い殺気が僕に直撃した。その方向に顔を向けると其処にはとても不機嫌そうな顔の十香と苦笑している仙堂さんと纏さんが居た。十香は怒りの形相で僕に言う。
「・・・今、何をしていた」
「な、何って・・・」
僕が言うと十香はぐずる様な声で言った。
「あ、あれだけ心配をさせておいて・・・」
「へ・・・?」
「女とイチャコラしてるとは何事かぁぁぁぁぁぁ!」
そう言って十香はその場で地団駄を踏む。霊力は完全に僕が封印している上にコントロールしているので十香に逆流する事は無い。だから地団駄を何時もの勢いで踏んだ十香は足を抑えて悶絶してる。
『ええっと・・・おねーさん大丈夫?』
十香を見てて心配になったのかよしのんは十香に声を掛ける。だが近くに行く事はしなかった。何故なら四糸乃が光の無い目で十香を見ているだけだったからだ。今までに見せなかった表情に僕は寒気を覚えた。よしのんも同じ様でカタカタと震えている。
「・・・なん・・・・・こ・・・・・わたさ・・・・・・ろし・・・・・」
やがて何かをブツブツと四糸乃が呟き始め、周りの全員が絶句する。なにせこの少女から呟かれた言葉で唯一聞こえたのが、
『・・・コロシテヤル・・・』
だったからだ。次の瞬間、
「《氷結傀儡(ザドキエル)》・・・っ!」
四糸乃の下から巨大なウサギの人形が現れる。四糸乃はそのウサギの背にくっつき、背中の穴に両腕を入れた。するとウサギの目が赤く光り低い唸り声を上げる。すると白い煙が辺りに充満し始める。僕はその正体に気付いた。冷気だ。するとウサギは十香を向いて氷の柱を創り放った。僕はセシアをウインドモードでセットアップして刀で柱を切り裂いた。斬った柱の欠片が僕の頬を切る。寒いからか流れ落ちる血がとても暖かく感じた。そんな僕を見て四糸乃が急に無表情を崩した。顔を青くして「こんなはずじゃ」と言葉を繰り返し、窓を突き破って外へと逃走した。外から銃撃音等が聞こえた後、外は静まり返った。恐らく四糸乃が戻ったのだろう。僕はセットアップを解除して十香の元へと向かった。
「大丈夫?立てる?」
「あ、ああ・・・すまない」
僕の手を掴んで十香は立ち上がった。四糸乃の行動を見て先程の不機嫌さはすっ飛んで行った様だ。そして十香は僕を見て行った。
「セツナ・・・アレは七罪に見せてもらった本に載っていた《ヤンデレ》と言う奴ではないのか?」
「でも僕あのこと会ったのまだ二回目だよ?そんな事あるわけ・・・」
「無いとも言えないわよ」
「嘘でしょ・・・?」
仙堂さんの言葉に僕と十香も食いついた。仙堂さんは溜息をついて話し始める。
「ああいう子や異性に免疫のない子とかは一度優しくしてもらった異性に対して強い憧れを抱く物なのよ。さしずめ貴方は彼女の白馬の王子様ね。それを仲が良さそうな夜刀神さんが来たから自分のポジションを横取りされたと思ったのね」
「だとしても殺すはやりすぎじゃ・・・」
「何言ってるのよ。女の子は一度動き出すと止まらないのよ」
「そうなの?」
「そうよ」
仙堂さんの話を聞いた後、僕達全員はフラクシナスへと回収された。其処で面識の無い二人は琴里と話し、フラクシナスに協力する事となり、僕は十香に休憩室に連れ込まれ話をしていた。
「・・・つまりあの四糸乃とやらも精霊なのだな」
「うん・・・僕ヤンデレの相手とか分からないよぉ・・・」
「ああ!せ、セツナ、泣くな!私もできる限りの事はする!」
ゲイムギョウ界に居た時に似た様な子は居たけどその子は飽く迄も軽い嫉妬くらいであって殺そうとはしなかった。あんなに思いが重い子初めてだよ。この後僕は暫く十香に撫でられながら泣き続けた。
刹那サイド終了
四糸乃はヤンデレに進化した!
・・・どうしてこうなった!?