刹那サイド
転移した僕は、冥界に強制的に連行されて現在フェニックス家の応接室に座らされていた。僕の周りには式神達が霊体化して警戒してくれている。後ろではグレイフィアとステラが警護に当たってくれてもいるし、些か過剰な気もするが・・・。十香達には先に人間界へ帰ってもらい、アルカード家で待機してもらっている。暫くすると扉が開き、サーゼクスさんにセラフォルーさん、レイザーの眷属にいた初めて見る金髪ドリルな女の子、それにその保護者らしき人が入って来た。
「待たせてすまない刹那君。この方はレイザー君の父だ。そして此方はレイザー君の妹の・・・」
「初めまして、《レイヴェル=フェニックス》と申します」
「私はレイヴェルとレイザーの父だ。宜しく」
「・・・どうも」
僕は相手の表情を読みながら挨拶を返す。さて、どう言った話になるか・・・。
「それで刹那君、本題に入るけど・・・フィールドの中で何があったんだい?」
「それはですね・・・」
僕は何があったのかを話し始めた。レイザーの暴走、そしてそれに使った蛇・・・。話を終えると、封印されて結晶化した蛇をポケットから取り出してサーゼクスさんに渡した。渡されたサーゼクスさんは丁寧に封印を重ねる。
「刹那君、ありがとう。コレはとても危険な物で・・・」
「確か・・・オーフィスとか言う奴の蛇でしたっけ・・・?」
「っ!?・・・確かにそうだが・・・何故分かったんだい?」
「企業秘密です。と言うかもう帰っていいですか?本当なら今の時間帯寝てるんですけど?」
そう言って僕は端末の時計を表示する。特別製なのでどんな所でも人間界の時間が表示可能となっている。その時計は午前12時過ぎを示していた。僕の言葉にサーゼクスさん達は苦笑する。そんな中、レイザーの妹さんが僕の前に出て言った。
「五河様、この度は兄がご迷惑をお掛けしました・・・」
「えっと・・・もう変な事しなければいいからさ。ほら、頭上げて」
「ですが・・・兄は貴方を・・・」
「確かに僕の事を殺そうとはしてたみたいだけど、僕は生憎そんなんじゃ殺せないから・・・(神だし・・・)」
心の声をグッと抑えながら僕は言う。そしてふと疑問に思った事を聞いた。
「そう言えば何でフェニックスさんはレイザーの眷属に居たの?」
「私は元々レイザーの兄の眷属だったのですが、この前のゲームで兄が引きこもりになってしまい、レイザーの陣営に組み込まれたんです」
「そうなんだ・・・大変だねフェニックスさん」
「いえ、そんな事は・・・五河様、お願いがあります」
「お願い?僕に出来る範囲でなら・・・」
「ありがとうございます。実は・・・」
この時僕は本能的に面倒事だと思ってしまった。お願いを聞いた後、後日解決しに行くと約束して、この日は人間界へと戻った。
〜数日後[冥界]〜
数日経ち、再び冥界へ来た僕は、妹さんに案内されてフェニックス家の中の一室へと案内された。最近身長が段々戻ってきて142cmまで戻った僕はご機嫌状態だ。さて、今ならどんな面倒事も解決できそうだ。今回のお願いについては、黒歌も別の眷属から頼まれていた様で、余程大変な事だと見える。部屋に入ると、其処にはレイザーの眷属と、その中心に車椅子に乗った一人の少女が居た。年齢は同じ位だろうか・・・。だがそれよりも別の驚きに僕は何も言えなかった・・・。
「初めまして、私は・・・刹那君?」
「・・・はやて?」
前世での親友の少女だったのだから・・・。
「・・・まさかはやてがこの人達の主だったとは思わなかったよ」
「偶然ってあるんやな。・・・それで相談なんやけど・・・」
「確かはやての持ってる魔導書の呪いの解除だっけ?」
「そうなんよ。その所為で私の家族をこんな目に合わせてしまったんや。刹那君、お願い!皆を助けてあげて!出来る事なら何でもするから!」
「・・・分かった。親友の悩みだもん、任せて!」
「うん!ありがとな・・・!」
そう言ってはやては涙を流し始める。経緯を話すと、はやてはある日、自分の誕生日に主をランダムで選ぶ《闇の書》と呼ばれる魔導書の主に選ばれ、眷属である五人の騎士達に出会う。だがその魔導書は主の身体を呪いで蝕んで殺す最悪な物であり、歩けなくなったはやての足の治療法は見つかっていなかった。そんな中、何処からその話を嗅ぎつけたのかレイザーが現れ、はやてを助ける方法と引き換えに騎士達を自分の眷属にして、好きな様に扱っていたらしい。だが、今回のゲームで騎士達は眷属を外れたと言う・・・。
「じゃあ早速だけどその《闇の書》を貸してくれる?」
「はい。コレが闇の書や」
「よし、始めよう。セシア達は闇の書の分析を開始」
『分かりました』
「それじゃあ僕は・・・来い、《金色の魔導書》」
僕の手に魔道書が握られる。因みにコレを命名したのは部長である事は余談だ。僕が集中すると魔導書は白から金色へと変わる。僕はページを捲り、能力を唱えた。
「《次元の本棚》・・・起動」
そう言って目を瞑り、僕は特殊な精神空間へと意識を潜り込ませる。其処には真っ白な空間に大量の本が棚に入って並んでいる。
「キーワードは《闇の書》、《解呪》、そして・・・《真名》」
その瞬間、本棚が勢いよく動いて一冊の本を表示した。僕はそれを手に取って開く。本に書いてある知識が僕の中に流れ込む。全て頭に入ったのを確認すると、僕は次元の本棚を解除する。
「・・・よし、セシア。そっちはどう?」
「はい。エネがプロテクトの薄い所をサーチしてロックに壊させました。壊したプロテクトの穴は私が塞いでいます」
「分かった。じゃあ始めよう」
僕は本のページを更に捲り、能力を出す。
「《次元工房》で新たな魔導書を作成・・・ウイルスフィールターを設置、闇の書のデータを全て新しい魔導書へ・・・ウイルスを検知、ウイルスのみを消去し、防衛プログラムを確保・・・工房でプログラムの修正と改造・・・完成品を新たな魔導書へ・・・空になった魔道書を破棄、新規の魔導書名《夜天の書》・・・防衛プログラムを魔導書のAIとして設置・・・金色の魔導書から一部の魔法をコピーして転送・・・完了・・・作業終了」
全て終わり、闇の書から元の姿へと戻った夜天の書をはやてに渡す。
「はやて、その魔道書の元々の名前は《夜天の書》と呼ばれる神器だ。多分昔に誰かが呪いに掛かった時にソレにも被害が出て呪われたんだと思う。だから元のクリーンな状態に戻したからもう平気だよ。君の足も直ぐに動く様になると思う」
「そうなんか・・・ありがとう・・・ありがとうな・・・!」
魔道書を抱きしめてはやては涙を流す。僕ははやての頭を撫でながら泣き止むまで待った・・・。
「・・・うん、もう大丈夫や」
「そっか・・・ねえ、これからどうするの?」
「そうやね。もう人間界の家は親も居ないし、引っ越したって事になってて売地やから・・・」
「・・・じゃあ、僕の家に来る?」
「それって・・・ええの?」
はやては僕を見て聞く。僕は笑顔で頷いた。
「勿論、それに義妹もはやてが来たら喜ぶと思うし・・・はやての騎士達ももう悪魔じゃないから普通に生活できるよ」
そう、はやての騎士達は飽く迄もプログラムである為、悪魔という種族から元に戻すのは簡単だった。はやては遠慮がちに言った。
「でも・・・迷惑やし」
「ううん、迷惑なんかじゃないよ。僕ははやてと再会できて嬉しかったしこれからも一緒に居たいと思う」
「何かプロポーズみたいやな・・・それ前世で聞きたかったわ・・・」
「ごめん・・・現世でも婚約者とかできちゃったし・・・」
「・・・なあ、それに私も立候補してもええか?」
「はい!?」
「だって前世では刹那君不死になっちゃったから私おばあちゃんになって死んでしもうたし・・・未だに初恋継続中なんやで・・・?」
「いや・・・その・・・嬉しいけど僕の独断じゃ決められないって言うか・・・」
「まさか今回も尻に敷かれてるんか?」
「いや、その・・・ハイ」
僕を見てはやてが溜息を吐いた。そして何か決心をした表情で僕に言った。
「分かった。私、刹那君の家に住む。それで・・・婚約者達から刹那君寝取るわ」
「ちょっと待とうか!何?僕寝取られるの?」
「そうや。今なら私の騎士達も付いて来るで」
「イヤイヤイヤ、それなら普通に皆に相談して・・・」
「そんなの断られるに決まってるやろこのヘタレ!」
「ハイ!すいませんでした!」
・・・その後何とか説得して寝取るのは無しの方向ではやては我が家に来る事になった。所々お茶を濁して両親に説明と生活費のアップを頼んだら二つ返事で了承して貰えた。こうして五河家に新しい家族が増えた・・・。
「・・・と言う訳で新しく家に住む事になったはやてとその家族です」
「初めまして、《八神はやて》です。よろしく」
「ある、・・・はやての親戚の《シグナム=八神》です」
「・・・《ヴィータ=八神》」
「《シャマル=八神》です。宜しくね」
「《リインフォース=八神》だ。宜しく頼む」
「で、この子が家の犬の《ザフィーラ》や。いい子やからよろしゅうな」
「わふ・・・(宜しく頼む・・・)」
ザフィーラには犬モードになってもらって、五河家の番犬をしてもらう。黒歌も本格的に住む事になったので、番猫と言った所だろうか・・・。琴里は家族を見て、口に含んだ飴を落とした。そしてリボンを付け替えて僕を手招きする。僕が近づくと小声で話し始めた。
「ちょっと・・・アレどういうことよ・・・!」
「色々あってさ・・・義父さん達にももう話してあるから・・・あと彼女達も僕と同じで魔法使いだから精霊の事とかかなり有利に進むと思うんだけどな・・・」
「ック・・・戦力の強化は確かに欲しいわね・・・分かったわ。貴方から精霊の事は伝えておきなさい・・・」
「うん・・・じゃあ、明日辺りフラクシナスに寄るから・・・」
「分かったわ」
そう言って琴里はリボンを付け替えてはやて達に何時ものテンションで接しに行った・・・。さてと・・・この家空き部屋多くて良かったよ。僕ははやて達を部屋に案内し、無難に残りの時間を過ごした。
〜翌日[学校屋上]〜
「・・・とまあ、こんな事があってさ」
僕は仙堂さんと纏さんにここ最近の出来事を報告していた。二人は何か悩むような仕草で言った。
「まさか《リリカルなのは》のはやてがね・・・」
「《ハイスクールD×D》もあるとは思わなかったぜ」
「流石に二人を巻き込むわけには行かなかったしさ・・・」
「気遣いありがと。でも、同じ転生者なんだし相談位してくれても良いじゃない」
「うん、でも二人共発展途上過ぎて多分・・・」
「ああ・・・負ける、な・・・」
二人はズーンと落ち込む。
「で、でもほら!まだまだ伸びしろがあるんだし修行には付き合うよ」
「本当?それじゃあ、現時点でのアドバイズをお願いするわ」
「分かった。まずは仙堂さん、あの武器なんだけど・・・」
「ああ、ジャスティスイフリートね。アレは前世で流行っていた・・・」
「それ、没収ね」
「・・・what?」
「その武器真面に役に立たない癖に使用手順がネックだから使用禁止、代わりにデバイス創ってあげるからそれ使って」
「そ、そんな〜・・・」
仙堂さんは地面に膝を付いて泣き始めた。無視して今度は纏さんに向き直る。
「纏さんは前から言ってた変身は出来る様になったの?」
「ああ、十分間は保っていられるぜ」
「そう、じゃあ今度は一ヶ月そのままで尚且つ僕と模擬戦出来るまで行こうか」
「・・・は?」
「纏さんのその力が一番ピーキーなんだから一番頑張らないと。大丈夫、スパルタ特訓で、一週間で強くなれるよ」
僕の言葉に纏さんも崩れ落ちる。大丈夫かなこの子達・・・。
刹那サイド終了