「三代目様は、お若いのにご立派なことですなあ。」
「いえ、そんなことは。買いかぶりです。」
「しかも謙虚でいらっしゃる。老体のおべっかくらい受け取って下され、立つ瀬がなくなってしまう。」
魑魅魍魎の中に子猿が一匹迷いこんで、問答をしている。
思わずそう思ってしまったダンゾウは獣面の下で小さく嘆息をついた。慣れぬ思いをしているのは己もだが、さすがにこれは親友が哀れである。
自分だったら里の上層部─────戦国生まれ戦国育ちの老獪な化け物どもに腸をまさぐられるのは死んでもゴメンだ。
「三代目─────報告が。」
「分かった。すみません、執務があるので俺はこれで。」
頃合いを見計らい、わざと気配を出して物陰から上司の傍らに姿を現したダンゾウは、にこやかに笑いながら会議室の席を立つ彼に続いた。
「悪い、ダンゾウ。」
「任務中です。ゼンとお呼び下さい。」
淡々と言いながら廊下にいた部下に目配せをして扉を閉めさせる。軋みながら閉まる戸の隙間から、化生の唇の動きが嫌にハッキリ見えた。
(弱腰の若造、か。)
今に見てろよ、と思いながら困ったような顔をする親友の後ろにぴたりと付き従う。それから先ほどまで行われていた会合を思い出し、こっそり二回目のため息をついた。
******
雲隠れへの対応で、現在里内は意見が二分している。
一方はすぐにでも火影を損なわせた落とし前をつけるべきだという過激派、もう一方は主犯の首が落ちているのに事を荒立てるべきではないと主張する穏健派だ。
雲のクーデターを計画・実行した面々は既に抜け忍として手配されている。雲の忍のままならば木ノ葉が厳しく責任を追及することもできたが、抜け忍は里の管理から文字通り抜けた者だ。犯罪者を出したことを非難することはできても、雲に直接損害賠償を求めることはできない。もっとも金銀兄弟がクーデターの時に指名手配されていたかどうかは微妙であり、確実に雲隠れが尻尾切りしたのだろう。
テロリスト数名を捉え監視下に置いている木ノ葉としてはそのあたりをひっくり返すのもできぬことではなかった。とはいえ元来慎重派のヒルゼンである。師の有様に怒髪天をつくような怒りを見せてもそこは冷静だった。
「証言と呼べるほどの情報を得ることはできなかったし、抜け忍にされてしまっては発言もそこまで信用がなくなる。憤懣やるかたないとはこういうことかと、今思い知っているよ・・・・・・けど、きっと先生は争いを産むことを喜ばないだろうから。」
苦々しく言ったヒルゼンは、それから大きく息を吸った。
「ああ、悔しいなあ!どうしようもなく悔しい、火影の名前を頂いておいて、俺はこんなにも無力だ。」
若すぎるほど若い影であっても、無理矢理笑うその姿は弱くはなかった。
(お前は──────)
火影になったんだな。その笑顔を見たダンゾウは、なぜだか不意に強くそう思った。
慣れたはずの背中がまた遠く感じ下を向きそうになったが、目に焼きつけるようにその背を見つめる。
師匠が尽くし、守り、仕えよと言ったのはこの背中だ。そしてダンゾウはそうすることを名誉と思いこそすれ、やるせなくなることなどない。
なにより、ダンゾウはヒルゼンという火影について行きたかった。
「─────何故、このご判断をなさったのか伺ってもよろしいでしょうか。」
まあ勿論意見が合わないこともあるけどな!
丁重に握りつぶされた意見書に、ダンゾウは仮面の中で目を細めた。暗部総隊長“志村ダンゾウ”は、部隊そのものの顔としてこれから売っていく予定である。故に自由に動くためのもう一つの顔として用意したのが暗部の忍“ゼン”だった。尚ヒルゼンが結構うっかりをやらかすので小隊の仲間など、限られた者は正体を知っている。隠密の意味よ。
なんのためにフットワークの軽い別人作ったと思ってるんだ、有事の際にお前の護衛に回れなくなるだろうが。
「うちはカズラは優柔な忍です。里への忠誠心も高く、ただの上忍にしておくには惜しい。私が提出した他の暗部候補とも大差があるようには見えません。彼だけ除外されたのはいったい、」
「ダンゾウ、まずその話し方をよせ。ここにはコハルとホムラしかいない。」
「職務中です・・・・・・というか、本名で呼ばないで下さい。」
目の前にいるヒルゼンと両サイドに控える同期たちにこめかみを揉む。説明がたりなかったかもしれない。今度こんこんと語ろう。残念ながら暗部で今一番信用が置けて、尚且つ火影側近に置けるのが俺だけだということを。
なんせ今の暗部の構成員は二代目こと師匠の部下であり、立場だけなら元同僚。あと師匠が直々に「こいつら表に置いておけんな。」と思って裏に引き込んだ連中なので、ちょっと、かなり、だいぶ扱いが面倒くさいのである。例えば件のテロリストの拷問任せたら「見てください、人間ハリネズミ!」って報告してきた千本の人な。打ち解けられはしてもよく分からんものは分からん。師よ、なにゆえ穢土転生の術は残したのに彼奴らの取扱説明書は残してくれなんだ。
そんなわけで、ダンゾウは一から部下として教育できる人員を確保することにした。要はスカウトである。
原作だかアニメだかでチラッと言っていたが暗部は完全引き抜き制であり、火影が優秀な人材を直々に呼び出し暗部に編入して良いらしい。とはいえそのあたりのことはお前に一任する、という言質を三代目から頂いていたこともあり、ダンゾウは前線にちょろちょろ出たりしながら選抜を行っていた。図らずもここでゼンの顔が滅茶苦茶役にたったのだが、それは余談である。
「・・・・・・他の者はまだいい。山中、奈良、油女は里創設から大したスキャンダルもなかったし、先生の時の暗部にも在籍していた者がいる。しかしうちはは・・・・・・」
言葉を濁すヒルゼンに、ダンゾウは瞠目した。
「うちはカガミの存在を知る貴方がそれを言いますか。」
「俺だけじゃない、コハルとホムラも同意した。それにうちはには里の警務の一手に任せている。」
「そうですが、そこだけに閉じ込めておくにはうちはは貴重な人材です。」
「それはカガミに暗部へ移動してもらえば足りる話だろう?」
詰め寄るダンゾウに見かねたのかホムラが口を挟んでくる。隣のコハルも「まだ里とうちはのわだかまりは消えていない。うちはが誠意を示さない限り火影の膝元におけるほど信に値するとは思わないわ。」とキッパリ言い切った。
「ですが駄目でしょうそれは・・・・・・─────彼は今、警務部隊副隊長として、そのわだかまりを消すために奔走しているというのに。」
現在、カガミは火影側近の職を辞し警務部隊に籍を置いている。
うちはマダラの信望者が僅かに残るこの時代に、師匠もとい千手扉間の弟子であった彼がうちはのコミュニティ(に、残念なことになっている)へ戻るのは危険しかなかった。事実好意的な者に隠れて、敵意をむき出しにする者もいなくはないらしい。
そんな中彼がそこそこの地位をうちはで築いていられるのはひとえに人望と努力によるものだ。屈託のない朗らかな気性と、一族内でもそれなりの血筋の女性を妻に貰い(というか見合いの場で本人が一目惚れして口説き落とした)しかも今日にいたるまでぞっこんというのは、うちはでも非常に受けが良かった。忍としても才覚がずば抜けているのも大きい。
「彼という架け橋がなくなれば、彼らとの関係は悪化します。それにうちは警務部隊と暗部は業務が一部被っていることもあり、混乱を防ぐためにも早く指示系統を明瞭にしておきたいのです。今のうちはは頑な過ぎて、歩み寄っても答えてはくれません。このまま放置してもそれが変わらないことは分かり切っています。仲介になる人間をつくらなくては、」
「カガミがいる!」
「彼だけでは足りません!今日だって任務で里にいないのに!」
「やけにうちはの肩を持つな、ダンゾウ。なぜうちはのためにここまでする!?」
気がつけばお互い前のめりになっていた。チャクラも漏れ出しており、火影室がピシピシと怪しげな音をたてている。気迫に押されたのか、ホムラとコハルは一歩引いたところにいた。
「どういう意味ですか、それは。」
「純粋な興味だ、お前がうちは側に立つ理由を知りたい。」
頭がカッと熱くなった。眩暈がするほどの感情が体を満たす。うちはの件は時が解決してくれる問題ではない。早く手を打たねば取返しのつかない事態になる。この世界ではダンゾウが引き金を引く予定はないが、それでもありえないということはありえないのだ。
そうなったら木ノ葉は写輪眼という稀有な能力を持つ、戦国最強と謳われた戦力を失うことになる。国力を削られる。そしてそのしりぬぐいをさせられるのは、他でもない親友だ。
「私の行動の全ての理由は、他でもない三代目です─────貴方のために、貴方の力になることを模索した結果がこれなのに、どうして分からない。」
「分かるわけないだろ!!俺、俺は、」
叫びかけたヒルゼンが、すぐにストンと椅子に腰を下ろした。感情を押し殺すように息を整える。
「すまない・・・・・・下がってくれ。」
「・・・・・・・・・・・・はっ。」
消化不良のまま、ダンゾウは退室した。
廊下を出て右に曲がる頃には、怒りよりも僅かに燻る焦燥と悲しみが伸し掛かってきていた。
ヒルゼンを追い詰めるつもりなど全くなかった。温厚なアレが声を荒げるほどに追求したのは自分だ。反省しなくてはなるまい。
三度目の嘆息をつく。やることは山ほどある。しかしその中に友人との仲直りが追加されてしまったのが、どうしようもなく惨めで辛かった。
******
「・・・・・・ダンゾウ、ダンゾウ。」
「ん?ああ・・・・・・。」
─────所変わって、執務室。
ほとんど自室と同じように使っている部屋で、頬杖をつきながらぼうっとしていたダンゾウは、名前を呼ばれふと顔を上げた。饅頭のような丸い顔に、クリクリとした愛嬌のある目をした同期が「どうしたボーッとして。」と首を傾げながら茶菓子を頬張る。
別にと素っ気なく聞こえもする返答を返せば、親友はそうかとこだわりなさそうに言ってまた甘味を口に放り込んだ。友人は人と距離を取るのが上手く、相手が望まなければ深くは踏み入ってこない。多少マイペースなところもあるものの、そういった部分もひっくるめて好ましく感じているダンゾウは、(ここを休憩所の類だと思っている)カガミが箱で置いてった菓子の山を片付けていく彼に「ところで、」と話しかけた。
「誰の差し金で来た、トリフよ。」
「人聞きの悪いことを言うな。ヒルゼンとコハルに頼まれたんだ。」
「・・・・・・いやにあっさり吐くな。というか前はともかくコハルもか。」
ゲンナリしながら茶を啜るダンゾウに、秋道トリフ─────扉間小隊の一人で下忍のころからの古なじみは肩を竦めた。
「お前、自分じゃ気が付いてないかもしれないが、暗部についてからどんどん顔色が悪くなっていってる。みんな心配してるんだ。そうでなくとも、先生が死んでからダンゾウはずっと変だし。」
最後の言葉には心当たりしかなかったので、そっと顔をそらした。ただ単に前世を思い出しただけで、皆が思うように師匠の死を引きずっているというわけではないのだが・・・・・・いや多少それもあるが、さすがに全てを正直に相談するわけにもいかない。
「それに別にヒルゼンたちからは口止めはされてないしいいだろ。」
「そうじゃねえよ、」
「一応言っておくが、ホムラは止めてたぞ。そっとしておいてやるべきだと。」
「・・・・・・成る程、俺はあれか。腫物みたいに繊細に扱われているわけか。」
そして扉間小隊には俺とホムラ以外に奥ゆかしい情緒をしている輩はいないわけか。ちょっとすっこんでてくれ。
いやどっちかというと今にも死にそうな子猫を介抱するノリだな、ほっとけ大人しく死なせろ、というやりとりをしながらダンゾウは渋い茶を啜った。トリフはと言えば実に幸せそうな顔でどら焼きをかじっている。
腹が減ったら食う、腹いっぱいになったら寝る。そうでない時は任務か修行か、それとも世話を焼きにいくか。実に明瞭なライフスタイルでストレスフリーに生きている男にダンゾウは顔を歪めた。羨んでなどいない、絶対。
「・・・・・・なあ、ダンゾウ。俺たちみんな、お前が良いやつなのは知ってるよ。」
「やめろ、いきなりなんだ気色の悪い。」
「特にヒルゼンに対しての最近のお前は、正しい木ノ葉の忍だ。火影に忠実な良い忍者だ。」
話がいきなり飛んだと思ったら。見えない場所から把握できないところを突かれている気がして、ダンゾウは眉を寄せる。しかしダンゾウのしかめ面ごときでひるんだりはしないトリフは、大きな目でこちらを見上げながら続けた。
「だから言うぞダンゾウ─────お前が正しくやろうとしても、相手まで必ず正しいとは限らない。」
「それはどういう、」
「もっと言うなら、里の者はまだうちはを信じることができない。忘れることができていないんだ、“うちはマダラ”という存在を。」
痛いところを突かれて、ダンゾウは黙りこむ。
言い切った、という顔をしたトリフは「あ、カガミは別だ。アイツはまたちょっと別の領域にいるから。」と付け足した。そうだな、どんな時も明るすぎるくらい明るく前向きで嫁の惚気だけで三時間語りつぶすような男だからな、あれは。
閑話休題。
うちはマダラ。
うちは一族最強の男にして、木ノ葉史上最悪の抜け忍である。先の第一次忍界対戦にも一枚どころか十枚くらいがっつり噛んでおり、初代火影─────千手柱間と終末の戦いと呼ばれる死闘を繰り広げた末死んだ大悪党だ。
火影がその時受けた傷が元でこの世を去っていることもあり、以来うちは一族は里において肩身の狭い思いをしている─────と、まあ木ノ葉の忍の大半はそう認識している。実は彼が大筒木インドラの転生者だとか実は全然死んでおらず生き返って地下に潜伏しているだとか、そういうことは勿論ダンゾウ以外の誰も知らぬことだった。
「火影直轄の部隊にうちはを編入するのは尚早だ────少なくとも、ヒルゼンはそう思っている。」
「・・・・・・ならば妥当な時はいつだ、うちはは木ノ葉創設に深く関わっている。一度の失態で輪から外すことはできないぞ、彼奴らにもプライドがある。」
ムッとしたダンゾウのセリフに、トリフがキョトンとした。
「いやそれ俺じゃなくてヒルゼンに言えよ。」
「だから進言したしキチンと段階を踏んで書類も出したろうが。」
「でもそれ言ったか?」
「は?」
「本人に直接言ったか、言ってないだろ。」
ダンゾウは唖然としてトリフを見た。間抜け面を晒す傍らで、脳味噌は今言われたことを淡々と処理する。何を言われたのかに何を言いたいのかを推察して混ぜ、答えを繰り出したダンゾウは恐る恐る「嘘だろ・・・?」と呟いた。冷や汗のようなものが心をなめるように伝う。
そんなに繊細だったか友よ。
「残念だがその通りだ。」
「いやまて、勝手に伝わった気になって頷くな。違うかもしれんだろうが。」
「そっか、じゃあ言うぞ。」
「まてやっぱりまてだからといって敢えて言わんでも、」
「ヒルゼンは火影になってからお前に距離を取られて、ずっと嫌われたと思ってたんだ。そこで今日のアレだから、本気で落ち込んでてな。俺もヒルゼンから喧嘩したって聞いてやっと爆発するもんが爆破したんだと思っちまったよ。」
「だからまてと、」
「因みにこの間お前がヒルゼンを避けている理由をみんなで話し合ったんだけどさ、ホムラとコハルはお前が火影になれなくてガキっぽく拗ねてるんじゃないかって。カガミは二人ともさっさと話し合えと言っていたが。」
「・・・・・・・・・・・・。」
スーーーと大きく息を吸ったダンゾウは、緩やかに息を吐きつつ天井を仰いだ。
「・・・・・・ソリャ、トリフよ。俺たち二人は幼馴染だし親友だったが、」
「
「親友だが、ヒルゼンは里の最高権力者であり俺はその補佐だ。いつまでも対等というわけにはいくまいよ。初代様と先生だって上司と部下である前に兄弟だったが、職場では上下関係を弁えておられた。確かにヒルゼンと意図的に距離をとったが、別に敵対意思があるわけでは、」
「先生は初代様が執務をサボる度にアカデミーの教本でシバいてただろ。」
「初代様は休憩時間に甘味を食いに外に出たあとアカデミー帰りの子どもらと夕刻までめいっぱい鬼事をした挙句財布の中身を全部駄賃でやってすっからかんにしてただろうが。」
忘れもしない放課後の思い出が脳裏を過る。当時はなんかすごくてつよいひと!くらいの認識だった里長が滅茶苦茶稀有な木遁を「ほーら怪獣ごっこぞー。」とか言いながら乱用して遊んでくれていた日のことを。
アカデミーにいるとってもこわいしらがのひとくらいの認識だった師匠が鬼の形相で兄を回収しにくるまで、時間が許す限り面倒をみてもらったものだ。ぶち切れたあの人に襟首をつかまれながら「また遊ぼうぞー。」とニコニコ手を振っていた初代様はさすがとしか言いようがないが、その初代様に肩車してもらいながら髪の毛を手綱みたいにひっぱていた子どもらも凄い。なお扉間小隊はみんな一回は髪をぶちっとやっている。いやそれは今はどうでもいい。
「ともかく、ヒルゼンと話し会え─────今の上層部でアイツが信用できるのは、お前だけなんだ。」
「・・・・・・わかったよ。」
渋々肯ったダンゾウに、トリフが満足気に頷いた。丸め込まれた感が否めず鼻に皺を寄せると、色男が台無しだぞと冗談なのか本気なのか分からん顔で言われる。
「─────ダンゾウ!ダンゾウいるか!?」
不意に騒がしい気配がして、バンッと執務室のドアが開いた。
視線をやれば眼鏡をした四角紙面そうな男─────水戸門ホムラが、息を荒げ肩を上下させながら立っている。忍の癖に騒々しい、と毒づきそうになったダンゾウは尋常でない様子に「どうした。」と尋ねた。
「落ちついて、落ちついて聞いてくれ二人とも。・・・・・・・・・・・・カガミが、死んだ。」
トリフがガタンと椅子を倒して立ち上がった。そのまま容姿に見合わぬ素早さで火影室に去っていく姿を見送ってから、ダンゾウはゆっくり席を離れホムラの肩を掴んだ。服を鷲掴みにした指先は痺れるようで、心臓が早鐘のように強く打っている。
脳が回転することを拒否していた。今言われたことを理解したくない。
「何があった!?アイツが行ったのはただのAランク任務だった筈だろう。」
「襲撃だ、現場は霜の国と雷の国の境目で─────雲の忍に殺されたんだ。奴らめ、クーデターの原因を全て木ノ葉に押し付けた。外部に不満を向けて里の結束を高めようとしてるんだ!」
呆然としたダンゾウは、まくしたてるホムラからずるりと手を離した。
『おかげ様で毎日幸せだね、生きてて良かったって一日に十七回くらい思う。』
嗚呼、と呻いて口元を抑える。皮膚の下に通る血が酷く冷たく感じた。
うちはカガミの死を、三代目火影は無視することはできない。それをするにはカガミという忍は有能過ぎて、更に存在感があり過ぎた。第一五大国の一つがここまでコケにされて黙っておくわけにいかない。仮にそうなれば威信は落ち、なにより─────里内部で不満が上がるだろう。
なにせ、うちはは愛する者を損なった存在を決して許さない。
二代目が鎮火しようとして、クーデターで息を吹き返した争いの火種が、業火に変じようとしていた。
このお話の元のタイトルがDANZOUクリーン伝だった話はもうしましたが、プロットの段階ではだんぞーキレイキレイでした。因みにプロットの最後の方、ラストシーンにはらすとしーんって書いてあります。先行きに不安しかない。