「騎士様、ごきげんよう」
「カリナ?日の出ているうちから出歩くなんて珍しいね」
時間にして昼頃の浮遊城、日光を苦手とするカリナは夜に行動することが多いのだが今日は日傘をして外出をしていた。
「騎士様は夜、眠っているでしょう?ですから私からこうして出向いているんですわ」
「その台詞だと自分に用があるって感じだけど、何かあったっけ?」
男騎士は何かあったかと考えるが思い浮かばない、カリナは驚いた表情だ。
「まあ酷い!先月の出来事をお忘れになって!?」
「先月っていうと…あっ!バレンタインか!」
「ようやく思い出しましたわね」
先月はバレンタインがあった、カリナからはチョコではなく血のように真っ赤な赤ワインを貰ったが。
「しまった忘れてた…すぐに用意するから待ってて!」
謝りながら何を返すべきか考える男騎士。
「それなら心配ありませんわ、騎士様の血をお返しに頂きに来たんですから」
「えっ?」
「だって騎士様は全然血を吸わせてはくれないんですもの、でしたらバレンタインのお返しにかこつけて血を頂こうという算段でしたの」
ニヤリとカリナが笑う。キラリと輝く牙が見えた。
「血じゃなくて他のじゃダメ?」
「男らしくありませんわね、レディの為にお返しを用意していない甲斐性無しはさっさと血を寄越しなさい!」
「アァッーーーー!!」
その後3倍返しとかいう名目で吸われるだけ吸われた男騎士。しおしおになって倒れている男騎士をアレフが発見する。
「おや?騎士君、そんなところで寝ていると風邪をひくぞ?」
アレフのゴーレムに起こして貰う男騎士。
「む…?どうした、血の気が全くないと思うくらい顔色が悪いぞ」
「ア…アレフ…」
「何だ?」
「モテるって辛いね…」
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「今日のお仕事はここまで!みんなお疲れ!」
「「「お疲れ様でしたー!」」」
ユズの挨拶の後、他のサキュバス達も一斉に挨拶をする。
紆余曲折、様々な困難を乗り越えて軌道に乗ったサキュバスカフェ。
今日は支配人である女騎士はカルメンのような人物が再び現れないか、現れた場合はどうするかの打ち合わせでビアンカと屋敷で話をしており不在である。
その為、本日はユズが支配人代理となって働いていた。
「ふぅ…みんな帰ったかな」
ユズは店内に誰か残っていないか見回る。
戸締りもきちんとするのが支配人としての勤めだ。
確認を終えたユズは支配人室…ではなくなぜか物置へと向かう。
薄暗い物置部屋は一見すると分からないが床下に地下に通じる隠し通路がある。
その先へと進むと小さな部屋にたどり着く。
部屋には写真が飾られておりその全てが女騎士の写真だった。
一緒にニューチューバー配信をしたときの写真、中には明らかな隠し撮りや際どかったりするものまで様々だ。
「やっぱり仕事終わりはアイボニウムの摂取に限るね!」
写真を眺めながら満足げな表情のユズ。
そもそもアイボニウムとはなんなのか、それはユズにしか分からない成分である。