浮遊城の空きスペースに建てられたテント。
入り口の看板には『竜の爪団 浮遊城支部』と大きく書かれている。
「よくぞ来てくれた!クレイグ殿!」
ランファンに話があると言われついてきたクレイグ。
「とりあえずお茶でも飲んでゆっくりしていくのだ、ホシダ君!クレイグ殿にお茶を!」
「はいはーい」
団員のホシダがクレイグの分とランファンの分の茶杯を持ってきてくれた。
「粗茶ですがどうぞ」
「ありがたく頂こう」
一口お茶を飲んだあと、話を始める。
「ランファン君、俺に話とはなんだ?」
「うむ、率直に言うのであれば勧誘だ!クレイグ殿には是非我が竜の爪団に入ってもらいたい!」
「それはまた突然だな、何故俺に?」
ランファンの答えを待ちながらお茶をもう一口頂く。
「それはだな…クレイグ殿に運命を感じているからだ!」
「ぶふぅ!!」
突然のセリフにお茶を吹き出すクレイグ。
近くで何かガタンと音がしたが、気にする余地は無かった。
「どうしたのだ!?」
「いや…何でもない続けてくれ」
「団長、それじゃあクレイグさんに伝わりませんよ」
咽せるクレイグに驚くランファン、そしてホシダが助言をする。
「むっ確かに言葉が足らなかったな、クレイグ殿は我輩に匹敵するほどの着ぐるみマスターとお見受けする」
「着ぐるみマスター?」
なんとも聞かない単語だ。
「全身を覆いながら、共に戦う仲間の為に自らが最前線に立つ姿はいつ見ても惚れ惚れする。さらに言うとシェン市では我輩と同じ様な姿で戦うものはいなかった、だが浮遊城に来てみればいたではないか!これを運命と呼ばず何と呼ぶ!」
「ランファン君、俺のは鎧なのだが…」
やや興奮気味のランファンを見ながらクレイグは言う。
「そう謙遜しなくてもいい!返事はどうだ?」
「う…うむ…」
やや前のめりな姿勢なランファン。さすがのクレイグも少し対応に困る。
ダンジョン王国にいた時は大体は蔑むよう視線を向けられていたが、ランファンの様にキラキラした目で真っ直ぐと見られるのは慣れないからだ。
「おい、おっさん!」
どう対応するか困っていたところにエイリーがどこからか現れた。
「エイリー!?どうしてここに?」
「そんなのは後!さっさと出ていくぞ!」
エイリーに手を引っ張られ出口へ向かうクレイグ。
「ま、待つのだ!まだ返事を聞いてない!」
慌てたようにランファンがクレイグの腕を掴む。
「いや、おっさんは入らないからな!」
「我輩、エイリー殿には聞いてないぞ!そもそもなんでここにいるのだ!」
「そ…それはその…とにかく、おっさんは入団しないからな!」
「同じ志を持っているクレイグ殿は入団するに決まっている!」
「2人とも少し落ち着け…」
騒がしい2人を必死に宥めるクレイグ。
「クレイグさん、両手に花とか羨ましいですね」
「多分あれそういうのではない、父親を取られたくない娘みたいな…」
その様子をホシダとダヴィンチはのんびりと眺めていた。
〜パーティ攻撃力+36%無属性攻撃力+10%、被ダメ時に10秒間、防御力+25%〜
「ウオオオ!すごい力がみなぎってくる!団長!これは一体…」
「知らん…何それ…怖…」
騎士くんちゃんのスキル上方修正ありがとうございます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。