〜謎の美少女現る!〜
ここは旅館に併設された酒場、男達が何やら話で盛り上がっているようだ。
「ああ…愛しの彼女よ、貴方はどこに…」
「俺は1週間前に彼女を見かけたぞ」
「本当か!?声はかけたのか?」
「高嶺の花で無理だった」
今、浮遊城はある話題で持ちきりだ。
「ふむ…最近、浮遊城が妙に騒がしいな」
『竜の爪団 浮遊城支部』と看板に書かれた小屋、そこで団員達と寛いでいたランファンは呟いた。
「あれ?ボスは知らないんですか?」
「何をだ?ホシダ君」
「今、この浮遊城でとんでもなく可愛い女の子が現れるらしく、みな一目見ようと躍起になっているみたいですね」
「ふーむ…どんな子なのだ?」
「えーと、服はアオザイだから我らと同じくシェン市出身と思われます。身長は低く、美しい青みがかった美しい長髪とスレンダーで可愛らしい容姿が堪らないともっぱら評判でして…」
「妙に詳しすぎて我輩少し引くぞ…」
「いやぁ、そこまで可憐な方なら一度会ってみたいから調べてました」
「確かに興味ある」
ホシダと博士はうんうんと頷く。
「全く、2人とも仕方がないな…ところで博士、着ぐるみはいつ頃戻ってくるんだ?」
「もう少し…この前の戦いで派手に壊れたから仕方ない」
「やれやれ、不本意とはいえ暫くはこの格好のままか…」
そう言い立ち上がるランファン、その格好はいつもの着ぐるみ姿ではなく、紅を基調としたアオザイを着ていた。
ホシダと博士は知らない、探している相手が目の前にいる事を
ランファンは知らない、浮遊城へ訪れる男性が探しているのが自分だと言う事を。
〜ルフィナのニューチューバーデビュー〜
「決めた!我、ニューチューバーになるぞ!」
「にゅうちゅうばぁ…?」
そう言い急に立ち上がるルフィナ
そんなルフィナを隣で観測していたランは不思議そうに呟いた。
「氷の魔女は『にゅうちゅうばぁ』なるものに関心を持ち始めた、ランも知らない単語である、どのようなものか調査し記録すべきとランは思った」
「何だ、知らないのか?これだこれ」
ルフィナはランに端末の画面を見せる、どうやら動画のようだ
『キュブリーです!今日はお友達のところに遊びにきています!お空に浮かぶお城なんて素敵ですよね!』
端末には自撮り棒で撮影しているであろう、サキュバスが映っていた。
「此奴はな、ついこないだまでチャンネル登録者が2桁だったが急に登録者を増やしている…我も同じように動画配信をすれば名を轟かせるという算段だ」
「ふむ…」
ルフィナが持ってきた機材に囲まれたランはニューチューバー入門書を読む。
「ちなみにお前にも手伝ってもらうぞ」
「なんと…!」
ランは心底驚き、読んでいた本も落としてしまった。
「何か問題でもあるのか?」
「肯定、ランはこういった機械に疎く、取り扱いには慣れていないと告げた」
「何だそんな事か、ならカメラでルフィナの撮影しろ!記録なら得意だろう?」
「動揺、氷の魔女の無茶にランはとても困った」
「さ〜て、今度こそトレンド入りしてるかな〜」
いつもの様にエゴサを行うルフィナ、検索結果は…
いつもの様に0件である。
「何故だ!!何故なのだ!?」
しっかりと動画は投稿したはずだ
『今日もシバリング民を凍らせてみた』
『必見!ルフィナの自宅公開!秘蔵コレクションも見せるぞ!』
『ルフィナグッズプレゼント企画』
確認するとどれもこれも再生回数は10回程度、チャンネル登録者が1人いた。
「注目、これは1万回再生されてるとランは氷の魔女に動画を見せた」
そんな中、ランが1つの動画のリンクをタップした。
「しっかりとルフィナの事を見ているではないか、どれどれ…」
動画の内容は使い魔の狼達がランから骨型のお菓子を渡されて嬉しそうに食べている光景、その後はランに頭を撫でられて2匹とも嬉しそうに尻尾を振っていた。
コメントも『可愛い』『もふもふだ』『野生を忘れてる、だがそこがいい!』と称賛の嵐。
「大成功、生き物の動画を配信すると良い、とこの本に書いてあったとランは説明する」
ランが見せたのはニューチューバー入門書だ。
「おい!これはルフィナではなく、此奴らが人気なだけだろ!」
この日からルフィナは動画配信をやめたが、のちにシバリング山に現れたヘラヘラスマイリーと名乗るファンに誘われて浮遊城へと旅立つ事になる。