原作を知らないただのチート転生者が仲間を死なせないために頑張る話 作:蘭 ノイ
苦しい、
誰か、
母さん!
兄さん!
誰でもいいから、
たすけて
必死にナースコールを押そうとした手は、
空を切った
…
…
次に目を覚ました時、僕は見慣れない人に見られていた。
「あら、元気な男の子ですよ」
…
…
オギャア…!
オギャアア!
知らない赤ん坊の声がした。
…
…
その次も、知らない大人と子供に顔を覗き込まれていた。
「僕の弟?」
「そうだよ。お母さんと相談して、ノアっていう名前にしたんだ。これからはお兄ちゃんとして、ノアと仲良くやっていくんだよ。」
「うん、わかった!僕、お兄ちゃんになって、ノアの面倒見るよ!」
「フフフ、ルイス、ノアの面倒を見れるのはあなたが1人で起きられるようになってからよ」
「はーい…」
頭がモヤモヤ、クラクラする。眠気に任せて僕は寝た。
…
…
「どうして、君が、ここにいるんだ?……死んだ……じゃ…、……、君が………いては、…が……から来…………………こと…バレて………。あの時…………れた…………もなく…だが、………死……もらう……………。」
…
…
起きたのは夜だったからだろうか。僕はベッドの上で、そこは静かな気配に包まれていた。
窓際を見ると、月明かりに照らされた、チューリップが花瓶に生けてあった。
図らずとも前世の入院生活を思い出してしまうような部屋だった。
自分の体を確認すると、少なくとも0歳よりは大きく、体も赤ちゃんとは言えなかったため、5歳くらいになっていると推測した。
何があったのか、僕は一晩寝たら、5歳くらいになっていたのだった。
…
…
翌朝になると、母親と思われる女性が部屋に入ったなり、一瞬硬直して、抱きついて泣いていた。
母親は泣きすぎて何を言っているのか分からなかったが、ともかく、
起きてよかった。
生きててよかった。
そんなことを言っていた。
今までは起きていなかったのだろうか?
父親と兄らしき人達も来て、部屋の中はカオス状態。母親と父親と兄、3人が僕に顔を擦り寄せて泣きわめいていたのだった。
その後確認したことによると、僕は0歳で兄と会った日の後から、寝たきり植物状態で、5歳の今まで育ってきたらしい。
この辺に住んでいる、凄い腕を持つお医者さんでも原因は分からないらしく、このまま目覚めないかもしれませんと告げられたそうだ。
しかし、生きていてよかった。転生した瞬間、終わりなんてことがなくて。
転生という言葉は案外しっくりと自分に馴染んだ。
前世では病気で死んだけど、今世では健康体だ。転生というのも案外悪くない。
それに、もしかしたら、この5年間の眠りは、前世の病気が残っていて、それを治療するために体が僕の活動を一旦ストップしたのかもしれない。そうだったら、前世の病気のことはもう考えなくて良さそうだ。
ともかく、僕は植物状態で目覚めないかもと言われていたが、家族がせめて家で休ませてあげて欲しいと言ったそうで、この病室みたいな部屋で目覚めたのだった。
この部屋は僕の部屋みたいだ。
目覚めた僕に、父がお医者さんにかかるべきだと言ったが、僕は二度と病室、そして病院になんて戻りたくは無いので、遠慮させてもらった。
この体はほぼ丸5年間寝ていたにもかかわらず、元気そうだった。
…
…
僕はてっきり前世と同じ世界の、同じ場所で転生したのだと思っていた。
会話は同じ言語で理解出来た訳だし。
しかし、食事はパンとスープと野菜くらいで、質素な洋食というような感じだったし、家の作りも現代のそれではなく、レンガと石造りのもので、昔の頃のような作りだ。
どうやら別の場所に来てしまったらしい。
前の人生では喘息を拗らせて長らく入院していたせいで、苦しかったし、ずっと外にも出られない生活を送っていた。
生死をさまよったことも何回もあったし、この体になって苦しみから解放されて、嬉しいと言うより他はない。
大丈夫。もう死にたくはないし死ぬ予定もない。ましてやあの世界に帰りたいとは思わない。
…
…
あれから1週間程たっただろうか。
というのも、カレンダーがないから日付が分からないのだ。
時間も曖昧なようで、定期的に鳴る教会の鐘の音で、そろそろ〇〇しなきゃ、とか、家に帰る時間だ、とかやっているようなのである。
不便じゃないのか?慣れれば気にならないのかもしれない。
ひとつまず分かったことは、この世界は前の世界とは全然違うってこと。
周りの話している言葉は前世と同じように聞こえ、僕が理解出来る言語なのにも関わらず、風景は一昔時代が戻ったような感じ。
そして、確信に至った要素は、文字である。
本は少し高級なようだが、僕の住んでいる家にも1、2冊だけ本があって、それを読もうとした時、逆さの方向から読んだら読めたのだ!
摩訶不思議な世界だと思った。
でも、言語を覚える必要がないのは助かった。
また、今世でのお母さんはよく僕を外に連れ出してくれるが、車や電車といったものは1つも見つけられなかった。
現代よりも遥かに技術は後退しているようだ。
この世界に来て1番始めに良かったと思ったことは、兄がいることだ。
前世では一人っ子で、病気で入院していたことで友達もほぼいなかったということもあって、なんとなく兄弟というものに憧れがあった。
ということで、僕がこっちの世界でしていることといえば…
兄と外で遊ぶこと。これに尽きる。
この世界のことを考えたってすぐ答えが出るわけじゃないし、子供にできることなんてたかが知れてる。
しかも、僕は別に前の世界に戻りたい訳でもないのだ。
確かに前世の方がご飯は美味しかったし、便利だったけど、こっちの生活もそれなりに楽しい。
何より、体を自由に動かせることが楽しくてしょうがない。前は入院していて、運動なんかも制限されていたからね。
ということで、今日も今日とて兄と街でかくれんぼをしているところだった。
最初の頃は鬼ごっこもどきをしていたのだが、(何故か巨人ごっこという名前になっていた。)
さすがに5歳の差は埋められないということで3回連続で負けて自分が泣いた日から、かくれんぼをすることになった。
情緒が5歳児に戻っているんだ。泣いたのはしょうがないだろ。
兄は優しいし、兄の年頃だとめんどくさく感じるであろう弟という存在も邪険にせず、よく遊んでくれるので、僕がブラコンになるのは時間の問題だった。
…
…
そんなある日、ボールが手に入ったので、僕と兄がキャッチボールをしている時のことだった。
僕が取りそびれたボールがコロコロと茂みの奥へ転がりこんでいったので、僕はそれを追いかけた。
茂みを超えた先の道は下り坂だったこともあって、ボールは川沿いをぐんぐんスピードを上げて転がっていってしまった。
何とかボールに追いつこうと駆けていくと、そこには僕と同じくらいの歳の男の子が立っていた。
「これ、お前の?」
茶色の髪に、青い瞳。整った顔立ちで、前世だったらショタコンのおねえさんにキャーキャー言われてそうだ。
「うん、そうだよ。拾ってくれてありがとう。」
「お前…同い年?名前は?」
「僕はノア。今5歳。君は?」
「俺はエレン。エレン・イェーガーっていうんだ。やっぱり同い年なんだな!」
茶色髪に、空のような青い瞳を持つ少年。
僕は彼を人目見て、何かを動かすような力を持っているように感じてならなかった。
その時僕は…何故か分からないけど、その少年は誰かに似ているような気がしたんだ。
「あのさ……僕達、どこかで会ったことある?」
「え…いや、ないと思うけど…」
「あ、いや、忘れてくれ。なんか君の顔をどこかで見たような気がしたんだけど…」
「うん…?」
5歳児にしては流暢に話しすぎたかもしれない。とりあえず、僕のご近所さんには同い年の男の子はいないので、是非お友達になりたい。
「ごめん、いきなり変なこと聞いて。僕、まだ同い年の友達がいないんだ。だから、エレンくん、僕と友達になってくれないかな?」
「おう!もちろん、よろしくな!」
こうしてご近所さんの子供たちとの交流が始まったのだった。
エレンくんはここの広場辺りでよく遊んでいるそうで、僕は今まで遠かったのもあってその広場に寄ることは少なかったけど、それからは意識してこの近くを通ってエレンくんが来ていないか見に行くようにしていた。せっかく友達になったんだから、何回も遊びたいと思って。
そうして僕達は仲良くなっていったんだ。
…
…
ノアが目覚めてから2年。ノアの兄、ルイスはもうすぐ12歳になるということで、選択に迫られていた。
生産職に就くか、訓練兵団に所属するか。
訓練兵団というのは、調査兵団などの兵団に所属する前に、訓練をする、見習い兵士の寄せ集め学校みたいな施設だ。
周りの風潮として、訓練兵団に所属した方がかっこいいというような雰囲気があるが……。長男が家業を継ぐということが一般的となっていて、自分もいずれは生産職について親の手伝いをするんだと考えていた。
それに、自分が訓練兵になったら弟はどうなる?最近外に目を向け始めて、新しい友達も出来た弟のことだ。自由な将来の選択肢を与えてやりたい。
俺は何よりも弟に幸せになって欲しいのだ。
俺の代わりに家業を継がせるなんてこと、できない。
そうして、兄、ルイスは生産職の道に進んだ。
弟がブラコンならば、兄もブラコンだったのである。
…
…
僕は7歳になって、兄は12歳になった。12歳となると、前世では小学校卒業、中学校入学の年齢だが、こちらの世界ではこの年齢が人生のターニングポイントらしいのだ。
これらは全て兄からの情報だが、12歳から訓練兵団というものに所属できて、そこを生き抜いた兵士たちは、3つの兵団への道があるらしい。
ということで、12歳になったものには、生産職の道に行くか、軍人の道に行くか、選択の余地があるのだ。僕は兄が危険なことに巻き込まれないで欲しいと思って、生産職の道を勧めた。
そして、結局兄は…
生産職の道を選んだ。
服飾の家業を継ぐみたいだ。それから少し兄は忙しくなった。
…
…
それから何年もたって、9歳になっても俺とエレンは友達だった。ある日エレンは2人の子供を連れて、僕達の秘密基地にやってきた。
秘密基地って言っても、ちょっとだけ路地裏に入ったところに僕とエレンで持ちあった布やお菓子なんかを置いて、くつろぐ場所って感じだったが、9歳児の男の子である僕達にとって、それはすごくロマンがあった。
そうやって2人で築いてきた秘密基地においそれと部外者を入れるのは気に食わない。僕はそんなことを思ってエレンに突っかかっていった。
「おい、エレン!ここは俺たちの秘密基地だろー。なんで知らない奴らを連れてきたんだ。そういうのは話し合ってからだろ!」
軽く怒ったつもりだった。新人二人に舐められちゃあ困る。
「あ、えと、すまん。そこまで気が回らなかった。こいつらは俺と幼馴染で…良いヤツらだから、紹介したかっただけで…」
モゴモゴと何かを言っているエレンを横目に、高速で迫ってくる者がいた。
人だ。
「エレンを貶すものはユルサナイ。エレンを罵るものはユルサナイ。ユルサナイユルサナイ…」
いや、殺戮兵器だ。
これはやばい!やばい奴を怒らせたのかもしれない。黒髪の、赤いマフラーを巻いた少女が迫ってくる光景を最後に僕の視界は暗転した。
…
…
「おい、大丈夫か?ノア。
……ミカサ、お前、やりすぎじゃないか。俺はお前の弟じゃないんだぞ!あれくらい大丈夫だから…」
「大丈夫かなあ、この子。それにしてもミカサの本気の1発を受けきって血ひとつ流してないなんて、すごいよね。」
「うん。この人は、強い。」
「おい…ミカサ、俺の言うこと聞いてんのか?」
騒がしいな……
静かにしてくれよ。頭がガンガンと鳴っている。
目を開くと、秘密基地のカーペットの上に寝ていることがわかった。そして、さっきの3人も一緒にいる。
俺は意識が覚醒した瞬間、咄嗟に殺戮兵器と反対側の壁にビュン!と擦り寄った。
「あ、起きたか、ノア。大丈夫か?ミカサが悪かったな。」
エレンが心配してくれているが、そんなことよりもその隣にいる、こちらに冷たい目を送っているモノが怖すぎる!!
「さ、さささ殺戮兵器っ!こっち来んな!」
空気が更に冷たくなった気配がした。
「あ、墓穴掘ったね…アーメン」
金髪の少女(?)はよく分からないが神様に祈っているようだ。
例の殺戮兵器は額に怒りマークをつけて(いるように見えた)、またこちらに迫ってきた。が、さっきは油断してただけだ。奇襲じゃなければ女の子の一人くらい拘束できるはず…
と、思っていた時期が僕にもありました。
殴り合いの喧嘩は僕の防戦一方で、勝てることはなかったけど負けることもなかった。喧嘩はエレンと金髪の少女(?)に止められるまで続いたのだった。
…
…
あの後、僕はちゃんと黒髪の子と和解して、それからはあの2人を含めた4人で遊ぶようになった。
僕、エレン、ミカサ、アルミンの4人だ。
黒髪の子はミカサと言って、エレンとひとつ屋根の下で家族として暮らしているらしい。
9歳ながらも将来美人になるんだろうと予想できる程には、端正な顔立ちをしているが、エレンとは全く顔が似ていない。
エレンもなんだか弟扱いして欲しくないらしく、何かマリアナ海溝より深い事情があるのだろう。
突っ込まないでおく。
そして、金髪の少女だと思っていた子はアルミンと言うらしい。
エレン、女子を2人も連れて、浮気か?けしからん。
エレンのイケメンフェイスならハーレム作ってそうだとは思ったが…まさか、小学生の年齢からプレイボーイなんて…と、心の中で大いに貶していたが、
金髪の少女は少年だったらしい。
女顔ということに同情を覚える。
僕も前世は女顔と低身長で散々バカにされてきたものだ。今世は鏡を見たことがないので、自分がどんな顔をしているか分からないが…
この3人と遊んでいくうちに立ち位置というものが少しわかってきた。
アルミンがいじめられていると、エレンが勝てもしないのにいじめっ子に殴り込んでいって、後からついてきたミカサが殴り込んでボコボコにしているようだった。
そして、観察していると、ミカサはエレンのことが好きなようで、エレンはなろう系の鈍感主人公並にその好意に気づいていない。
これは…将来尻に敷かれるかもなあ。
…
…
アルミンと2人で遊んでいた時、アルミンが言ったことが印象に残っている。
「あの壁をいつか越えて、海を見に行くんだ。」
「え、待ってアルミン、壁って……何?」
「え、知らないの?まあ、そっかノアの家は内部にあるんだよね。
この秘密基地からは見えないけど、僕達は壁に囲まれている中で暮らしているんだ。そして、外の世界には、炎の水や氷の大地、それに、砂の雪原なんかがあるんだって!
その中でも僕は、商人が一生かけても取れない塩の湖が見たいんだよ!海って言うらしいんだけどね。」
壁?街の城壁みたいなものか?炎の水っていうのはマグマ?砂の雪原って、砂漠か?一度に入ってきた情報に、僕の頭はパンクした。元々頭がいいほうではない。
「城壁、の外には行けないのか?」
「うん……外には『巨人』っていうでっかい怪物がいて、人間を食べちゃうんだ。」
「巨人……。」
僕は奇妙な世界に飛ばされてしまったようだ。
その後、僕がアルミンから根掘り葉掘り聞いてきた情報によると、
この世界は3つの壁でできていて、中央の壁から、ウォール・シーナ、ウォール・ローゼ、ウォール・マリアと呼ぶそうだ。
そこの内側に住んでいるのが僕達、この世界では最後の人類であるらしい。ほかの人類は壁外の巨人にみんな殺されてしまったとの事だ。
そして、この壁は100年もの間、巨人に壊されることは無かった。だからこそ、壁内にいる人間たちは安心しきって毎日平和に暮らしているわけだ。
しかしながら、この世界にもなんでも解明しなきゃ気が済まない変人たちがいる。
それが、壁外を調査する、調査兵団という組織だ。
なんでもその調査兵団っていうところは、外の世界や巨人の正体の解明のために、何回も壁の外に調査に行っているらしい。
アルミンは分からないが、少なくともエレンはこの調査兵団に憧れがあって、将来入りたいと思っているみたいだ。
僕はキツそうな兵団なんて、ごめんだ。
…
…
また明くる日、僕は忙しい兄の休日を貰って、秘密基地に行った。
エレン、そっちも部外者を2人も連れてきたんだから、僕だって他の人連れてきていいよね?
兄は最近家を出るなりどこかに走って行ってしまう僕を心配していたようだった。
「やっと教えてくれるんだね。ノアがいつもどこに行ってるのか。」
「うん、もうちょっと早く教えればよかった。お兄ちゃんもきっと気にいると思うよ。」
そうして、秘密基地に行ったら、エレンは驚愕といったような顔をして、こう言った。
「おまえ……友達いないんじゃなかったのか?」
ゲンコツを落としておいた。
「僕だって、友達の1人くらいいるよ!!」
隣にいるのは兄だけど。
僕のブライドがエレンの発言を許さなかった。
僕は兄に必死にアイコンタクトを送った。
どうか、友達と言ってくれ。
「ノアの友達の、ルイスです。よろしく。」
おおー!さすが兄弟。
僕は感動した。アイコンタクトが通じた!
「よろしくな!」
「よろしく。」
「よろしくお願いします。」
エレン、ミカサ、アルミンは良いヤツらだ。
兄に知って欲しかった。
「ところで、ルイスは何歳?俺は9歳だけど…」
「俺は、14歳だ。」
「へえー。大分歳が離れてるんだな。」
「そういえば、ノアのお兄ちゃんも14歳だって言ってたよね?もしかして…」
あ、一瞬でバレる。昔から僕の嘘はバレやすいんだ。
「あー、まあ、ね。」
お兄ちゃんが苦笑いを浮かべてそう言った。
「あぁ!俺たちを騙したな!そしたらルイスはノアの兄貴なのか。」
やっぱり秒でバレた。
「そう言われると、似ている、ような気がする。」
ミカサがウンウンうなづいている。
「あー、ごめんな。騙して。こいつのプライドを守ってやりたくてさ。」
お兄様。傷口に塩塗りたくってます。
「やーっぱノア、お前、友達いないんじゃねーか。」
「いるよ!」
前世には!
「なんだよーまだ悪あがきしてんのか?」
「エレンはうるさいー!」
僕の言語能力は9歳児だ。しょうがない。
「エレン、それくらいにしておいてあげなよ…」
アルミンがオロオロしながら仲裁してくれた。
その日からは兄もたまに仲間に入って、やいのやいのと5人で遊んでいた。
…
…
ある日、エレンは言った。
「お前、綺麗な顔してるよな。最初あった時、女の子かと思ったよ。」
僕の世界はフリーズした。
「まあさすがに自分のこと僕って言うもんだから、男だろうなってわかったけどよ。」
もしかして……今世でも…女顔なんじゃ…
僕のガラスのハートにはヒビが入りかけていた。
いや、きっとエレンの感性がズレてるだけだ。
あれだけミカサの分かりやすいアプローチが分からないエレンのことだ。他の人とは違う感覚を持っているに違いない。
これは…見てみるしかない。
「僕、自分の顔を見たことがないんだ。」
「川とか噴水とか…、幾らでも見れるだろ。なんで今まで見なかったんだ?」
「自分の顔を見るのが怖くて…」
昔女顔だとバカにされたことは少しだけ僕のトラウマになっているようだった。
「そうか。見に行ってみるか?お前の顔、綺麗なのに知らないなんてもったいねーよ」
…
そうして僕達は川沿いに行った。僕は恐る恐る川をのぞきこんだ。
「前世と同じ……女顔だ…」
「何か言ったか?」
エレンの声が遠く感じる
なんでまた女顔なんだよ!
エレンがイケメンだから、僕も期待しちゃったじゃないか。
今世の僕は、白髪に淡いグリーンの瞳。配色はアルビノだった前世と同じだ。
顔は若干外国人っぽい顔になっているが、女顔なことに変わりはない。
自分の顔を見て渋い顔になっている僕に、エレンは言った。
「ノア、自分の顔がキライなのか?……綺麗なのになあ。俺、お前の顔、好きだけどなあ」
こ、い、つ、は!
なんで口説き文句を平気な顔で、さらっと!世間話のように言えるんだ!
ギャルゲーの主人公か?
そう思った次の瞬間、黒い影が迫ってきて、視界が暗転した。
あれ、デジャヴ…
…
…
次に目を覚ましたとき、俺が最初に考えたことは…
違う。あいつはギャルゲーの主人公でも、乙女漫画のヒーローでもない。
ヤンデレ彼女持ちの男だったのだ。
それから僕はミカサに何故かライバル意識を持たれるようになった。
男なのに…
…
…
その日、僕は、夢を見た。沢山人が死んでいく夢。でも、僕はそこにはいなかったはずだ。
その後、視点が変わって、そいつと話していた。巨人がどうとか、平和がどうとか話しているようだった。前世の報道番組か何かか?話しているだけじゃ、実行しなきゃ何も変わらないのに。
…
…
この世界は美しい。
街並みは僕好みで、オレンジの屋根で統一されている。
1度だけ街の中心部にある塔に登らせてもらったことがあったが、塔に登るとさらに綺麗なのだ。
特に、僕はエレンの家の周りが1番好きだった。
入り組んだ階段や路地に、近くには川もあって、外国というものに写真でしか触れたことがない僕にとっては、それこそ異世界みたいな場所だった。
確かに、前世より圧倒的に不便だ。
それでも、この世界は美しい。
そう感じるような風景だった。
それが、崩れることも知らずに、その時は、
過ごしていたんだ。
※読まなくても本編に支障はありません。
読んで下さりありがとうございます!
この小説が作者の初めて書いた小説となります。作者は豆腐メンタルですので、何かご指摘や矛盾、誤字・脱字などがあれば優しく教えて下さると嬉しいです。
また、この小説良いな!と思ったら、良かったら評価やお気に入り登録などして頂けるとありがたいです。
感想は、貰えたら飛び跳ねて喜びますが、作者は豆腐メンタルですので、(大事なことなので2回(ry)返信が出来るかどうかは分かりません…。
次話以降も既に投稿済みですので、良かったらどうぞ!
(7/26に編集しました)