原作を知らないただのチート転生者が仲間を死なせないために頑張る話   作:蘭 ノイ

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8.5話 【幕間】ある者の記憶

 

 

(?視点)

 

 

 私だって、何か出来ることがあると思ってた。

 

 でも、この世界は残酷だ。

 

 その言葉が、本当にそうなんだと、身をもって体験することになるとは、あの時は思ってもみなかった。

 

 

 それは、トロスト区奪還作戦が終わってからのことだった。

 

 

 

「ハッ…おい…お前、マルコ……か?」

 

 ジャンは、マルコの遺体らしきものを見つけてしまった。

 

「訓練兵、彼の名前が分かるのか?」

 

 遺体を回収する作業をしていた医療班の1人が、ジャンに声をかける。

 

 

「いねえと思ったら、でも…こいつに限って、ありえねえ。マルコ…何があった?だ、誰か、だれか、こいつの最後を見たやつは、」

 

「彼の名前は?知ってたら早く答えろ。

 分かるか?訓練兵。岩で穴を塞いでからもう2日経っている。それなのにまだ遺体の回収が済んでいない。このままでは伝染病が蔓延する恐れがある。二次災害は阻止しなければならない。仲間の死を嘆く時間はまだ無いんだよ。

 分かったか?」

 

「……第104期、訓練兵団所属、マルコ・ポット…」

 

「マルコか…名前が分かってよかった。作業を続けよう。」

 

 

 私は、その光景を見て、どうにもならないんだ、と思った。どうにかしようとしたけど、全部裏目に出る。

 私には、特別な力はない。ただ、行いが良かっただけだ。でも、彼らを、こんな残酷な世界を作ってしまったのは私なのに…

 

 そんな時、私の頭に思い浮かんだのは…何回目だったか、言っていた、アルミンの言葉。

 

『何かを変えることのできる人がいるとすれば、その人は、きっと、大事なものを捨てることができる人だ。何も捨てることができない人には、何も変えることは出来ないだろう。』

 

 何かを成すには、犠牲が必要だ。

 私には、今までその覚悟が無かったんだ。

 

 自分をも、捨てられる覚悟。

 

 次は、絶対に失敗しない。

 

 

 

 

 そう言って、覚悟を決めてやり始めたのは、何回前の事だったか。

 

 もう何百回と繰り返している。

 

 私のせいで巻き込まれたものには、深く責任を感じている。でも、そうするしか無かった。

 

 自分で始めたことにケリをつけるためには自分でどうにか終わらせなきゃいけない。そう、分かってたはずなのに、願ってしまったんだ。

 

 助けを。

 救いを。

 

 

 もうこの世界に神様なんていないのに。

 

 

 

 

 私は、何回目になったか、もう最初の記憶も曖昧なまま、またトロスト区奪還作戦を繰り返していた。

 マルコを救うために、どうすればいいのか、何回も繰り返した結果、辿り着いたのは…

 

 

「うわああああああ!辞めてくれ!何でこんなことを!わああああ!!!」

 

 

 マルコを巨人の状態のまま咥えて、丸1日街中を走ることだった。

 今日を超えれば、死亡フラグは完遂される。それを知ったから、この作戦が1番有効だと思っている。

 

 マルコには心の傷を与えることになるが、それも、いつかは治まるだろう。

 

 今回も、私はマルコを咥えて、調査兵団の先鋭達の攻撃を掻い潜って、街中を駆け巡っていた。

 

 




 読んで下さりありがとうございます!
 1~8話まで編集しましたが、大きな変更はないと思います。(あったらごめんなさいm(_ _)m)
 今回の8.5話は番外編という感じで書いてみました。マルコの遺体をジャンが見つけたところですね。誰視点かは『?』ということになっていますが、勘のいい方は気づくかもしれませんね。
 続きの9話も投稿しますのでぜひ読んでってください!
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