原作を知らないただのチート転生者が仲間を死なせないために頑張る話 作:蘭 ノイ
(ノア視点)
俺とジャンは、トロスト区の掃討作戦、そして、今回の犠牲者達の弔いを終えた後、それらの現場で見なかったマルコの情報を得た。
何でも、巨人に恐怖して可笑しくなってしまった精神患者達が入る、精神病棟に居るらしい。
俺たちは怪訝に思いながらも、あの、巨人達に仲間を食われる所を見てしまったら、可笑しくなってしまうのも仕方がないと思って、お見舞いに行った。
その時は、あんなにマルコが、変わってしまったなんて思っていなかった。
せいぜい、ちゃんと話せて、所々可笑しい所があるくらいのものだと思っていたんだ。
…
俺たちがマルコの居る病室に着いた時は、その病室は人がいるはずなのに、その気配がないような感じがして、静寂に包まれていた。
前世の病室そのものだ。
……いや、そりゃそうだ。正真正銘病室だ。病人の病気を良くするための。
俺は、前世の記憶を少し思い出して、嫌な気分になっていた。
「マルコ?見舞いに来たぞ!大丈夫か………」
ジャンがそう言いながら俺より先にそう言って入ったが、途中で言葉を詰まらせていた。
「ジャン?マルコは、どうしたの……?」
俺もその後に続いて入ったが、俺もジャンと同じように目を見開いた。
そこには、俺たちの知るマルコはいなかった。
整えられていない髭、黒ずんだクマ、そして、こちらを怯えるように見る、目。
いつも穏やかな表情で皆をまとめていたマルコの表情は、今は、恐怖で染まっていた。
「ひ、ひいっ」
俺たちの姿を見てすぐ、マルコは俺たちの立っている位置から対角線上の、ベットの端まで飛んで行った。
「もう……やめてくれ、こっちに来ないで……嫌だ、やめろ、あああああああああ!!!」
マルコはそんなことを仕切りに呟いたり、叫んだりしていた。
「お、おい……マルコ、俺らは巨人じゃない。3年間、一緒に訓練兵団でお前と訓練を共にした、ジャンとノアだ!分かるだろ?」
ジャンは何とか俺たちを認識させようとしていたが、マルコは暴れて近づけないし、何より目のハイライトが消えて、正気を失っているようだった。
俺は、ここまで酷いものなのか…と、変わり果てたマルコの姿に驚愕して、1歩も動けなかった。
…
その後、立ち尽くしていた俺たちは付き添いのナースさんに退出を促され、こうなった経緯を教えてもらった。
マルコは掃討作戦の最中、巨人に丸1日咥えられて、街中を連れ回されたらしい。
そんなことがあったなんて……
あのマルコの姿も、理解出来る。
丸1日死と隣り合わせなんて、誰でもああなる。
しかし、どうして、その巨人にマルコは食われなかったのだろうか。見たところ身体的な負傷は無いようだし、丸1日なんて、食われていてもおかしくない。いや、食われていない方が可笑しいのだ。
普通の巨人は、人間を咥えてから、1分もせずに食べることがほとんどだ。だからこそ、巨人との戦いでは犠牲が多いのだが…
いや、そんなことは今はいい。マルコは無事だった。それで、充分だろう。
俺たちは心が晴れないような感覚を共有しながら、帰路に着いた。
マルコ推しの方、ごめんなさいm(*_ _)m
結構エグい助け方なんで、助かったけど助かってない…という感じになってます。
これがあらすじで書いた『ハッピーになるキャラもいれば、より可哀想なキャラもいる』という注意書きの一因なのですが、この後もマルコのようなキャラが出て来るかもしれませんのでお気をつけください…。
それでもいいよという方は引き続き読んでいただけると嬉しいです。