原作を知らないただのチート転生者が仲間を死なせないために頑張る話 作:蘭 ノイ
(エレン視点)
捕獲していた2体の巨人が殺されたという報告を聞いたハンジ分隊長とリヴァイ班、俺は、その巨人達が居た場所へ急いで向かった。
「うわあああああああああああ!ソニー、ビーン!嘘だと、嘘だと言ってくれ!!」
ハンジさんはあまりのショックで巨人の蒸発しかけている骨の前で、叫んでいた。
「貴重な被検体を…兵士がやったのか?」
「ああ、犯人はまだ見つかってない。夜明け前に2体同時にやられたらしい。見張りが気づいた時には、立体機動で遥か遠くだ。」
「2人以上の計画的作戦ってとこか。」
リヴァイ班のグンタさんとエルドさんがそう考察している間にも、ハンジさんは悲しみのあまり、泣き叫んでいた。そりゃそうだ。ハンジさんは昨日、あんなに実験とその巨人たちのことを嬉しそうに話していたんだ。
「これは…一体…」
「行くぞ、あとは、憲兵団の仕事だ。」
リヴァイ兵長はあくまで冷静だ。
「あ、はい…。」
リヴァイ兵長が先に行ってしまった後、俺は誰かに肩を掴まれた。
エルヴィン団長だ。
「君には何が見える?
敵はなんだと思う?」
「は?」
俺は、質問の意図が分からなかった。敵って…巨人じゃないのか?俺は何も返せずにいた。
「済まない、変なことを聞いた。」
そのまま、エルヴィン団長はリヴァイ兵長に並んで、前を歩いて行ってしまった。
…
(ノア視点)
実験のために捕獲していた2体の巨人が、殺されたという報告があった。そんな噂が流れていた。
俺達は、その噂が流れ出したその日の昼頃、立体機動装置を調べられることになった。
自分は絶対やっていないと言えるが、何故だかドキドキしてしまう。
立体機動装置を調べられる、ということは、俺たち兵士の中に犯人がいる、と予測しているのだろう。大方、立体機動装置の音が聞こえたとか、立体機動装置で飛んでいる人の姿を見たという情報があったに違いない。
俺も調べられたが、もちろん何も怪しいものはなかった。
俺らの所属している南方面訓練兵の中には、巨人を殺した者は見つけられなかったようだった。
しかし、その日から、アルミンが何やら考え込むようになっていた。
…
「なあ、ノア。」
「ん?なんだ?」
ジャンが話しかけてきた。
「お前はあの時居なかったから、ここで言っておく…。
俺は、調査兵団に入ることにした。
…それに、トロスト区に行く前の、解散式の時は、お前の言うことを強い口調で否定して、悪かったな。」
解散式の夜。
『本当にお前は憲兵になりたいのか?』
そう、俺がジャンにお節介にも聞いた時に、あいつは、
『お前に俺の何がわかるってんだよ!』
『俺は、失いたくないんだ。
仲間も、自分も。』
そう、言ったんだ。もっともその通りだと思った。俺が言うことじゃなかった。
これは、自分自身の判断ですべきことだ。自分の命を懸けるのだから。
「あの後お前に謝ろうと思ってたが、お前は寝ていて、悪夢でも見ているようだったからな。後で謝ろうと思ってたんだ。
…お前も俺も、その時居るかも分からないのにな。
お互い、生きてて良かった。」
「お前、謝りに来てたのか?あれは俺が出過ぎたことを言ったんだ。ジャンが謝ることじゃない。
それに………
今、何て言った?調査兵団だって?お前が実力を発揮出来るのは喜ばしいことだとは思うが、どうして…」
「お前らの存在もあるが、1番は、この前のトロスト区襲撃の事だ。
俺は、今まで自分が楽できればそれで良かった。
でも、俺の判断で仲間が何人も死んだんだ。俺だけ楽して生きてりゃ、死んだ仲間にどの面引っ提げてあの世に行けるかって話だ。
それに、マルコが補給作戦の時、俺に言ってくれたんだ。俺は、『現状を正しく認識することに長けているから、今、何をすべきか、明確にわかる』んだとよ。
またあの、人を食う巨人達に会うのは心底怖いが……俺は、調査兵団に入るのが正解だって分かってるんだ。巨人と戦うことは、人類にとって必要なことだって…
………………だったら、やるしかないだろ」
「そっか。ジャンが自分で決めたのなら、それでいいと思う。俺も調査兵団に行くつもりだからね。ジャンがいれば心強いよ。
…………マルコ、か。元気かな。」
「さすがに、まだ本調子には戻ってるとは思えねえな。
丸1日巨人に食われかけ続けたって話だ。…俺たちが行った時だって…。
いや、そんだけ時間が経っても食われなかったってのは不思議な話だが、生きてるなら良かった。」
「生きてる……けど、あれは、生きてるって言うのか?」
「それは……」
「いや、いい。また2人でお見舞いに行こう。」
「ああ…」
マルコは、トロスト区の掃討戦の際、丸1日巨人に咥えられて、町中を振り回されたらしい。
一日中、死と隣り合わせだったんだ。誰だって可笑しくなってしまうだろう。
マルコは……巨人に恐怖して可笑しくなってしまった精神病患者が入る、精神病棟に入院している。この間ジャンと共にお見舞いに行ったところだった。
しかし、ジャンが調査兵団に入るということを聞けて、良かった。トロスト区の襲撃の前までは、迷っているように見えたが、今は、真っ直ぐ突き進んでいるように感じた。
…
そして、兵団選択の夜が来た。
「訓練兵!整列!壇上正面にならえ!壇上正面にならえ!」
整列した後、壇上には調査兵団の、エルヴィン団長が現れた。
「私は、調査兵団団長、エルヴィン・スミス。
所属兵団を選択する本日、私が話すのは、率直にいえば、調査兵団への勧誘だ。
今回の巨人の襲撃により、諸君らは既に、巨人の恐怖を、己の力の限界も知ってしまったことだろう。
しかしだ!
この戦いで人類は、これまでにないほど勝利へと前進した。
エレン・イェーガーの存在だ。
彼が間違いなく我々の味方であることを、彼の命懸けの働きが証明している。
更に我々は、彼によって巨人の進行を阻止するのみならず、巨人の正体に辿り着く術を獲得した!
彼の生家があるシガンシナ区の地下室には、彼も知らない巨人の謎があるとされている。
その地下室に辿り着きさえすれば、我々は、この100年に渡る巨人の支配から脱却できる手がかりを掴めるだろう!」
演説を聞いている訓練兵たちはザワザワとしていた。
「もうそんな段階まで来ているのか!」
「巨人の正体が分かれば、この状況も…!」
あの鍵は……エレンのものだ。
いつも肌身離さず身につけていた、あの鍵だ。
あれは…エレンの家の地下室の鍵なのか。
だが、そんなことをここで公にする必要があるだろうか?
団長の思惑は分からなかった。
「我々は、シガンシナ区の地下室を目指す。
ただそのためには、ウォール・マリアの奪還が必須となる。
つまり、目標は今まで通りだが、トロスト区の扉が使えなくなってしまった今、東のカラネス区から遠回りするしかなくなった。
4年かけて作った大部隊の航路の全てが無駄になったのだ。
その4年間で調査兵団の6割以上が死んだ。4年で6割だ。
正気の沙汰ではない数字だ。
今季の新兵にも、1ヶ月後の壁外調査に参加してもらうが、死亡する確率は、3割といったところか。
4年後にはほとんどが死ぬだろう。
しかし、それを超えた者が、生存率の高い優秀な兵士となっていくのだ。
この惨状を知った上で、自分の命を賭してもやるというものは、この場に残ってくれ。
自分に聞いてみてくれ。人類のために、心臓を捧げることが出来るのかを!
以上だ。他の兵団の志願者は解散してくれ。」
恐ろしいことを言う。調査兵団への勧誘だってのに、そんなに脅したら普通、誰も残らないと考えるだろう。
周りのもの達が出口へと向かっていく様子に、元々調査兵団に入ろうと決めていたものも、迷いが出ているようだった。
一通り調査兵団以外の兵団に志願する者が出ていった後、周りを見渡したら、やはり、少ない……が、先程の演説で残ったものは、それだけ、確固たる意思がある、ということだ。
周りには、アルミンやミカサ、俺に教えてくれた、ジャンはもちろん、コニーやサシャ、ベルトルトにライナー、クリスタとユミルまでいるようだった。
成績上位が軒並み揃っている。
憲兵団は、アニ…と、マルコがどうなるか分からないくらいか。
「君たちは、死ねと言われたら死ねるのか。」
エルヴィン団長のその言葉に、
「死にたくありません!」
誰かがそう答える。
俺だって、誰かに決められた死はごめんだ。自分の死に際くらい、自分で選びたい。でも、ここに入ったら自由に単独行動することは許されなくなるだろう。
……しかし、皆を守るため、そして、巨人を全滅させるためだ。
俺は、今一度、自分の目標を見つめ直していた。
「そうか。皆いい表情だ。
では今!ここにいる者を新たな調査兵団として迎え入れる!
これが本当の敬礼だ!
心臓を捧げよ!」
「「「「「「はっ!!」」」」」」
「良く恐怖に耐えてくれた。君たちは勇敢な兵士だ。心より尊敬する。」
エルヴィン団長のその言葉で、俺たちの調査兵団への入団式は完了したようだった。
…
エルヴィン団長の演説の後、俺は、個別にエルヴィン団長に呼ばれていた。
人の居なくなった会場で、エルヴィン団長と2人、向き合って話す。
緊張する…。
変人集団をまとめあげるトップだ。それに、俺が今から入る兵団の、トップ。前世で言えば、社長みたいなものだ。緊張しないわけがない。
「急に呼び出して悪いね。」
「いえ……俺に話とは、何でしょうか?先程入ったばかりの新兵の俺に、何か団長に利のある話が出来るとは思えませんが…。」
「いや、君には聞きたいことがあるんだ。
単刀直入に聞くけれど、君は、巨人になれるのだろう?」
……なんで知っているんだ?俺の秘密を知っているのは、あの時エレベーターに乗っていたもの…ミカサ、アルミン、ライナー、ベルトルト、アニ、ジャンのみのはずだ。それに、彼らには口封じをさせてもらった。あいつらも、あの時了承したはずだ。
にわかには信じられないが、あいつらが裏切ったってことか!?
「…答えられないということは、巨人になれる、ということで、いいね?」
「いえ、違います。私は生まれた時から人間です。大体巨人になれるのはエレンだけですし、なぜ私が巨人になれると思ったのでしょうか。」
俺は焦っても、焦りが表面に出にくいタイプだ。まだ誤魔化せるはず。
「君が巨人に両足を食べられた、その瞬間を見たという兵士がいてね。その兵士は訓練兵だと聞いていたけど、次に訓練兵団で会った時には両足が再生していたので、夢だったのかもしれない…というような報告が上がっていたんだよ。
しかし、あの戦場で、夢を見るとは考えづらい。
最初に見た、両足を食べられたのは、本当のことだとして、どうしてその両足が、再生したのか?
そう考えたら、君が巨人の能力を持っているとしか、考えられなくてね。」
この人は、もう答えを知っているのに、その答え合わせがしたいだけなんだ。
俺が何を言っても誤魔化していると分かってしまうだろう。
「…………はい、そうです。俺は、巨人の力を持っています。」
「どうして、今まで黙っていたんだ?」
「それは……エレンはトロスト区奪還作戦で功績を上げたからこそ、かろうじて今、生きていますが、目に見えるような功績を何一つ上げていない俺は、エレンとは違って殺されるだろうと考えたからです。」
「そうか……その通りだ。君が巨人だとわかっていたら、少なくともエレンと君のどちらかが解剖にまわされていただろう。それで、君はこれからどうなることを望んでいる?」
「もちろん、このまま、一般兵として、調査兵団に入ることが出来たら、1番ですが、そうとも行かないと思います。
万が一、俺が巨人化して暴走したら、1番に被害を受けるのは調査兵団です。
ですので、俺の力は隠しながら、俺の巨人の力を制御できる人の元で、エレンと同じように監視されながら、調査兵団の任務をこなして行ければと思っていますが、エルヴィン団長はどうお考えですか?」
「ああ、いい考えだ。君は、きちんと道筋を立てて考えられる兵士だ。
そうだな。君の考えは良いと思う。
君の提案を元に、後日、所属の班を決めさせてもらう。それまでは、調査兵団所有の地下牢に入ってもらうことになるが、それでいいね?」
「はい、もちろんです。生きていたいというだけで無理を言っているのは理解しています。調査兵団だけで巨人2人を抱えるのは、リスクがあると思いますから。」
「物分りが良くて助かる。
君には、もう1つ、質問があるんだ。」
「なんでしょうか。」
「敵は、なんだと思う?」
「敵は……。
これは、推測でしかありませんが、俺やエレンのように巨人化できる人間だと思います。
5年前のシガンシナ区襲撃の際には、普通の巨人たちとは違う、特徴を持った巨人が2体出現しました。
1体は、超大型巨人、もう1体は、鎧の巨人です。
俺は、超大型巨人が消えた所を今までで2度、目撃しました。
1回目は、シガンシナ区の時。僕達が逃げ惑っていた時には、もう白い煙を残して、去っていた。
そして、2回目は、今回のトロスト区襲撃です。目の前で巨人が一瞬で現れた所を見て、そして、項を削いだと思ったら、白い煙を残して消えていました。
これらの時に見た、超大型巨人と、俺とエレンに共通ずるのは、現れる時に雷のような音が響いて、そして、消える時には項を削がれていなくても、蒸発して消えるんです。この共通点は、決定的だと思います。
更に、根拠を確かなものにするとすれば、鎧の巨人をこの目で見たことはありませんが、扉を狙って壁を破壊したと聞きました。壁の中でも1番脆い、扉をです。ということは、つまり、少なくとも鎧の巨人には、知恵…何かを考える能力があるのだろうと思いました。
これが、今の段階でできる、俺の推測ですが…」
エルヴィン団長は、心無しか目を輝かせているように見えた。
「君は……合格だ。次の作戦について、後々話をしよう。」
「え!?は、はい…了解です。」
何の話かはよく分からないが、何が合格だったのだろうか?
俺はエルヴィン団長に対する謎が深まるばかりだった。
…
その日から、俺の地下牢ライフは始まった。まず、俺の秘密を知っているのは誰かということから始まり、洗いざらい話を聞かれた。
俺が、エレベーターに乗っている時に、ジャンや幼馴染、ライナー達に話を聞かれたと言ったら、その日から、地下牢の警備は、その中でも調査兵団に所属している、アニ以外の彼らの仕事になった。
それまでは警備は調査兵団の上層部っぽい人達が交代でついていたが、さすがに忙しさもあるのだろう。
俺にとっても、気心の知れた同期達の方が、まだ安心できる。同期達の仕事を増やして申し訳ないが…。
…
ジャンが警備になった時、
「お前……何したんだ?エレンに次いでお前も罪人かよ。」
そんなことを言われたので、事情を説明すると…
「バレたのか……、いや、そうだよな。俺に、お前の両足が巨人に食われたって報告してきた奴がいるんだもんな。確かにそりゃそうなるか。
……それで、お前の処遇は?死刑になんてならねえよな?」
ジャンは心配してくれていた。
「まだ、分からない。エルヴィン団長が決めることだ。でも、後ほど所属班を教える、って言ってたはずだ。だから、調査兵団には入れるだろうけど…その後は…」
「なら、良かったじゃねえか。一先ずは、命が繋がったな。」
「ああ、エレンと同じように、死に急ぎ野郎なんて呼ばれるのはごめんだ。」
「いや、もう既に地下牢に入ってる時点で、お前は死に急ぎ野郎に片足突っ込んでるよ。」
「なんだと!?そんなことは…ある…かもしれない。」
…
そんな会話があったものだ。
しかし、ジャン達が警備で良かった。
昼かも夜かも分からないような部屋で、誰とも喋らないような生活を送っていたら、一日で死んでしまいそうだ。
エレンは良く1人で耐えたよな。
俺はエレンへの謎の尊敬を抱いていた。
…
毎日、地下牢では根掘り葉掘りと俺の巨人について、トロスト区での動向について聞かれていた。
二ファの話をして、二ファに助けられたと俺が言った、その日の夜。
夜も警備を続けているアルミンが、俺に、話してくれた。
「二ファは……行方不明だ。今もどこにいるか分からない。」
俺を助けた……
俺より何倍も強い二ファが、か?
「信じられないな。あいつはそんなすぐ死ぬほどヤワじゃないはずだ。」
「でも、見つからないんだ。死体さえも。」
死体も?それは不可解だ。
もし死んでいたら、ほとんどの死体はトロスト区に残ったはず。巨人は人間を食べても消化しないから、吐き出すはずだし、死んでいても、トロスト区内のどこかにいるはずだ。
「名前が分からないくらい、無惨な姿で死んだ死体の内のどれかだろうって……」
「そう……か…。でも、それでも、俺はあいつは生きていると思う。」
「ノア…あれから何日経ったと思ってるの!?
二ファが、生きていたとして、どこで生きているって言うんだよ。どうして訓練兵団に戻ってこないんだ。…」
「それは……。でも、二ファは俺より何十倍も強かった!あの、人類最強と言われているリヴァイ兵士長にだって負けないくらい……!!」
俺がそう叫んだ時、牢屋の向こうのその人と目が合った。
「夜中にピーピーピーピーうるせえな。俺が、どうかしたか?」
話題の人、リヴァイ兵士長だった。
どこかで聞いたが、話の話題に上げると、その人が現れやすいのは本当みたいだ。
「えっ……えっと……なんでもありません!」
アルミンが慌てたように言う。
「リヴァイ兵士長、何か御用でしょうか?」
兵士長は、つまり、前世で言う上司だ。俺はまた緊張していた。
先程の会話とは裏腹に、無意識に背筋がピンとなる。
「どうもこうも、お前の所属の班を伝えに来た。」
「リヴァイ兵士長が直々に……ですか?」
あのリヴァイ兵士長が忙しくないはずがない。どうして彼が来たのだろうか。
「ああ、お前は、俺の班だからな。2人も巨人になるかもしれねえガキを抱えるのは大変だが、出来ないことも無い。」
俺は…リヴァイ班に…入るのか?
先鋭じゃないか。それに、エレンもそこにいると聞く。
「エレンと俺を一緒に匿って、大丈夫なのでしょうか。俺とエレンは幼馴染です。その場で話し合って、人類を滅ぼす策を考えたりとか…する…かもしれないんじゃ…」
「それをここで言うやつはそんなことしねえ。それに、エルヴィンの命令だ。お前はこっちにいた方が何かいいことがあるんだろ。」
「分かりました。」
「馬に乗ってついてこい。遅れるなよ。」
リヴァイ兵士長は地下牢へと続く階段を登って、先に行ってしまった。
「はい!
…アルミン、今まで警備、ありがとう。皆にも伝えておいてくれ。」
俺は、アルミンに今までの感謝を伝えてから、行こうと思っていた。ここで狂わずに楽しく過ごしていたのは、アルミンたち同期の警備があったからこそだ。
「うん。ずっとノアと話しているだけだったし、ここの警備の仕事は楽だったから、ノアが気にすることは無いよ。また、会おうね。」
「ああ。」
少しだけ話していただけなのに、リヴァイ兵士長とはもう距離ができてしまった。
「おい、早く来い!」
軽く怒られた俺は、駆け足で、リヴァイ兵士長の元に向かう。
「はい、すみません!」
俺はこれからどうなってしまうのだろうか。
それは、エルヴィン団長のみが知っていることなのだろう。