原作を知らないただのチート転生者が仲間を死なせないために頑張る話   作:蘭 ノイ

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15話 その後(第57回壁外調査4)

 

 

(ノア視点)

 

 

「エルヴィン!」

 

 俺は、リヴァイ兵長に抱えられて、エルヴィン団長の所まで連れて来られていた。エルヴィン団長は部下の人と話していたが、リヴァイ兵長が事情を説明して、2人きりにさせてくれた。

 

 …俺がリヴァイ兵長に抱えられていたのは、気づかれなかっただろうか?深くフードを被っていたから、誰かは分からないと思うが、他の兵士からしたら、怪しい人物であることは確かだ。

 

「エルヴィン団長!ご無事で何よりです。」

 

「君もな。これからどうやって帰るか、君には教えていなかったな。

 とにかく、他の兵士たちに君が生きていることがバレてしまっては元も子もない。

 私のいる指揮系統の1番近くにある、荷馬車に乗っててもらうよ。その間は、他の遺体に紛れ込んでもらうことになる。分かったかい?」

 

 遺体に……?どういうことだ?

 

「え、ええっと…はい…?」

 

「とにかく、君は実際に撤退するその時まで、ここで待っているんだ。」

 

「了解です。」

 

 エルヴィン団長がそこから離れると、リヴァイ兵長がまたやって来た。

 

「ところでお前……俺が行った時は気絶して気持ちよさそうに寝てたみてえだが、あんなとこで寝てりゃ、巨人に食わせて一飲みされても文句言えねえぞ…

 そもそも、エルヴィンとは、無茶しないって約束じゃなかったのか?」

 

 とりあえずは生き残り、俺をエルヴィン団長の所まで送り届けたリヴァイ兵長は、ガミガミモードに入っていた。

 確かに、言ってることは正論だけど、しょうがないじゃないか。俺もあんなに無茶するとは思っていなかったし、それに……俺がやっていなかったら…

 

「俺がやっていなかったら……リヴァイ班はエレンと兵長以外、全滅していたかもしれません。」

 

「そりゃ、どういうことだ?」

 

「俺…何か悪いことが起きる日の前日は、悪夢をよく見るんです。シガンシナの時も、トロスト区の時も、……今回も。

 そして、その内容は、恐らく…俺が居ない場合の、未来を示しているんじゃないかって…。

 今回の悪夢の内容は、女型の巨人と俺の同期達が戦うところ。

 そして、リヴァイ班の先輩方が……死ぬことでした。

 俺が居ないと、そうなるかもしれない…そう思って、俺は、あの時……、

 無茶せずには居られなかった!!」

 

「悪夢……?その内容を、お前は覚えているのか?」

 

「前々回と前回は曖昧な記憶でしたが、今回に関しては、ほとんど鮮明に。」

 

「そりゃ、予知夢かもしれねえな。」

 

 予知夢……?そう言われればそうかもしれない。

 この悪夢は、俺が居ない場合に起こる、予知をしているのかも。

 

「予知夢……。」

 

「ああ、そうだ。とりあえず、これから何かその、悪夢で見た時は、エルヴィンに相談してみることだな。予知夢…そいつが機能するかは分からねえが、とにかく何かしらの情報になる可能性がある。」

 

「そうしてみます。

 リヴァイ兵長、ありがとうございました。兵長が居なかったら、ここで餓死してたかも。」

 

「ああ。

 ……俺は、エレン達の様子を見に行ってくる。

 お前、今度は…無茶はするな。」

 

「はい。保証は出来ませんが……できる限りそうします。」

 

 リヴァイ兵長は苦笑といった表情をして、そこを離れた。

 

 

 俺は、上手く、見つからなさそうな陰に隠れて、兵士が来たら、その兵士の対角線上の木陰や草陰なんかに隠れていた。

 その合間にも兵士達の会話が聞こえたが、撤退までのこの時間は、亡くなった兵士の遺体を回収しているらしかった。

 

 さっきリヴァイ兵長がフードを被った俺を抱えていた時も、俺は遺体だと思われていたらしい。

 怪しまれていないようで、良かった。

 

 

 そして、撤退の時間はやって来た。

 遺体の回収には区切りをつけたようで、撤退する少し前に、エルヴィン団長がここまでやって来た。

 

「遺体の回収はほとんど終わった。我々はこれからカラネス区へ帰還する。君には先程言ったように、遺体に紛れ込んでもらう。」

 

 団長はそう言って白い布と、縄の様なものを持ち出した。

 

「だ、団長……まさか…」

 

「ああ。申し訳ないが、どんな事があっても、静かにしていてくれ。」

 

 そう言ったのを最後に、団長は俺を白い布でグルグル巻きにして、胴と足を縄で縛り付けた。

 他の遺体と同じように。

 

 しょうがない。……団長の命令だ。

 

「エルヴィン団長……従います……。」

 

 その後は荷馬車に転がされて乗せられているような気がしていたが、布に視界を奪われている俺には何が何だか、そして何が起こっているのかもよく分からなかった。

 

 

 

 

(ジャン視点)

 

 

 

「こればっかりは慣れねえな」

 

 

 俺達は撤退命令が出てから、見つかるだけ仲間の遺体を運んで、それを持ち帰る為に荷馬車に乗せていた所だった。

 

 

「……誰だってそうだよ」

 

「仲間がどんな風に死ぬのか、自分がどう死ぬのか……そんなことばっかり考えちまう」

 

「僕は、考えないようにしてるんだ。

 自分の最期なんて想像したら…多分、戦えなくなるから。」

 

「そうだな、お前の言う通りだ。」

 

 

 自分がどう死ぬか、いつ死ぬか、話せたあの時は、まだ分かっていなかったんだ。

 

 死、という終わりを。残されたものの、哀しみを。

 

 

(コニー視点)

 

 

「いつまで生きてられっかな。」

 

 

 俺は今日、何人も仲間が死んでいくのを見た。

 壁外調査というものの、過酷さを知った。

 俺の寿命は、あと何年だろうか。

 

 次の壁外調査で死ぬのか?それとも次の次?

 それとも…

 

 

「とりあえずは、生き延びたじゃないですか。」

 

「とりあえずはな。」

 

「良かったじゃないですか!生きてるんですから。」

 

 

 サシャの言葉は、明るくて、いつも励まそうとしてくれるのが分かる。でも、今の俺には、眩しすぎた。

 

 

「死んだ奴らの遺体に向かってそう言えるか?」

 

 俺達は、遺体を荷馬車に積んでいた。

 

 

 

(アルミン視点)

 

 

 今回の壁外遠征にかかった費用と損害による痛手は、調査兵団の支持母体を失墜させるには十分であった。エルヴィンを含む責任者が王都に招集されると同時に、エレンの引渡しが決まった。

 

 

 

(ノア視点)

 

 

 

 俺は壁外調査の後からは、エルヴィン団長の元につくことになった。しかし、未だに寝食は地下室だった。

 エルヴィン団長の行く先々について行っていることもあって、もう今がどこの地下室にいるのかは分からなかった。

 勿論、作戦通り、俺は死んだことになっている。

 移動時は、荷馬車に紛れ込んで、その馬車も、外から見えないように黒い布を掛けられている状態だし、通常時でも外に出ることはほとんどない。

 そして、たまに話すことができる相手は、団長のみだった。

 

 前の地下室での生活より何倍もキツい。それも、精神的なキツさだった。

 

 今、俺がどこにいるのかも、今が昼なのか夜なのかも、そして、作戦が失敗したことによって調査兵団がどうなったのかも分からないが、エルヴィン団長から聞かされた話だと、同期の仲間たちはこの作戦で生き残ったらしい。

 そこだけは安心した。

 

 

 

 

 ある日、地下室でエルヴィン団長はこう言った。

 

「近く、また作戦を決行するつもりだ。」

 

「また……ですか?今度はどのような…」

 

 俺は、早速巨人を使うのか、と覚悟していたところだった。しかし――

 

「しばらくの間、君はここで待機だ。私はそちらの作戦に赴くことになるが、君の力は今回は使えないと判断した。」

 

「どうしてですか!?

 俺も行きます!」

 

 仲間が死地に赴いているのに、俺だけぬくぬくとここで過ごしている訳にはいかない。

 誓ったんだ!仲間を助けるって!

 

「今回の作戦は、ストヘス区で行う。それも、エレンと女型の巨人の戦いだ。そこに巨人状態の君がいては、エレンはやりづらい。それに、被害が拡大するだけだ。」

 

 ストヘス区…!?あそこは、1番中央の壁、ウォール・シーナに近い場所だ。どうしてそんなところに、巨人が現れる?そして、どうしてそんなことが予測できる…?

 

「どうしてそんなところに巨人が……、それに、どうしてそんなことが分かるんですか!?」

 

「人間状態の女型をおびき寄せる。そして、捕獲する。それが今回の作戦だからだ。」

 

「おびき寄せる…!?ということは、意図的に、調査兵団が壁内で巨人を出現させるということですか…?」

 

「ああ、そういうことになるな。」

 

「巨人を壁内に、それも、人の住んでいる地域に入れたら、被害は計り知れませんよ!?」

 

「そうだな。でも、やらなくてはならない。」

 

 エルヴィン団長がここまで言うなら、ここでやらなければ行けないことなのだろう。

 

「……この作戦に関しては、調査兵団を信じます。

 しかし、俺の同期は、作戦に参加するのでしょうか。」

 

「ああ、既に君の同期達は動き出しているところだろう。私のところにも直々に知らせが来るはずだ。」

 

「あの、せめて!

 同期達の身の安全は俺が守りたい…の、ですが…」

 

 今まで俺は巨人を駆逐するのもそうだが、同期を守るために戦ってきたんだ。ここで失う訳にはいかない。

 

「君の身の安全は、どうなる?」

 

「それは……」

 

「君とエレンは、二人ではあるが、替えのない、唯一無二の存在だ。それに、君の存在が今、敵にバレてはいけない。ここで君を表舞台に出す訳にはいかないんだ。」

 

「でも!俺は、同期達を守るために、巨人を討伐していたんです!どうか、俺をここから出してください!」

 

 ここは地下牢ではなく地下室で、ある程度の家具は配置されているとはいえ、この部屋は地下牢とほぼ同じ。窓は無いし、エルヴィン団長の許可がなけりゃ、固い鍵で外にも出れない。

 

 巨人の力が暴走する危険性もあるし、外からの敵が侵入することも拒めるため、俺はここで暮らすことを了承していたが、今ばかりはここに住むことを了承したことを後悔していた。

 

「ダメだ。済まないが、君には終わるまでここにいてもらう。」

 

 

「ハッ……、ちょっと、団長!!」

 

 

 

 そう言って、エルヴィン団長は扉を閉め…

 

 静かに鍵をかけた。

 

 

 

 

(エレン視点)

 

 

「お前ら……よく、生きて帰ってきたな。」

 

 壁外調査から帰ってきて、旧調査兵団本部に帰還した後の夕食のことだった。

 兵長は相変わらず変な持ち方で紅茶を飲んでいた。

 

 

「兵長とノアのおかげです!」

 

 ああ、そうだ。ペトラさんが言うように、兵長と、ノアがいなきゃ、俺達はここにはいなかったかもしれねえ。

 

「兵長、ところで、ノアは……?」

 

 

「ノアは……」

 

 

 俺がそう聞いたところで、ノックが鳴った。

 

 

「遅れて申し訳ない。」

 

 

 そこに入って来たのは、エルヴィン団長と…

 

 

「いえ……、

 

 お前ら!」

 

 

「久しぶり……と言っても、まだ前会った時から数日しか経ってないけどね。」

 

 アルミンやミカサ、ジャンたちが旧調査兵団本部まで来ていた。

 

 

「女型の巨人と思わしき人物を見つけた。今度こそ確実に捕らえる。」

 

 エルヴィン団長はこの言葉を皮切りに、ストヘス区での作戦を話し出した。

 

 

「それで、肝心の目標は、ストヘス区にいることは確実なんですか?」

 

「ああ。目標は憲兵団に所属している。」

 

「憲兵団?」

 

「それを割り出したのはアルミンだ。

 曰く女型は、生け捕りにした2体の巨人を殺した犯人と思われる。

 君たち104期訓練兵の、同期である可能性がある。」

 

「ちょっと待ってください!…104期って…!!」

 

 

「その女型の巨人と思わしき女性の名は、

 アニ・レオンハート」

 

 アニ……だと?どうして……

 

 

 

 

 アルミン達が帰った後、俺は少なからずショックを受けていたが、それよりも、兵長に聞きそびれた、ノアのことが気になっていた。

 

「……兵長!」

 

「なんだ。」

 

「あの、ノアは……どうしたんですか?

 今、きっと何か他の任務があって、ここに居ないんですよね?」

 

 壁外調査から帰ってくる時にも、ノアは見なかった。そのことが、どうしようもなく俺の胸を掻き立てていた。

 

 もしかして――

 

 

「ノアは…………死んだ。」

 

 

「やっぱり…」「あの、ノアが…」「兵長!どうして、そう言えるんですか?」「ノアが…死んだ…」

 

 

「………………え?

 嘘、ですよね?あの、ノアが?

 だってあいつは俺と――」

 

 俺と、約束したじゃないか。

 あいつは、約束を、破ったのか?

 

 

 

『エレン!お前は、人類の唯一の希望なんだぞ!こんなところで無闇に巨人化するな!

 それに、俺と、約束しただろう!?

 共に巨人を絶滅させるって!』

 

 あいつはそう、言ったはずだ。

 

 

『約束………。お前は、死ぬつもりはないんだな!?』

 

 

『ああ!絶対に、俺は生きて巨人を絶滅させる!

 俺を、信じろ!エレン!』

 

 

 あれは、俺を撤退させるための、嘘だったって訳か?

 

 信じた結果がこれか。救われねえ。

 

 

「ノア……、どうして……

 あいつは、何が何でも約束は守るやつだったはずなのに!

 信じてたのに!

 ……最期の約束は、守らねえのかよ。」

 

 『お前を1人で巨人と戦わせるなんて事は、絶対にさせない。』

 『お前と一緒に、いつか巨人を絶滅させる。』

 

「あの時の約束は、本当じゃなかったのかよ!」

 

 俺は、食堂の机を強く叩く。

 

「エレ…」「エレン、やめろ。備品が壊れるだろうが。」

 

 グンタさんが口を開きかけたが、兵長がそう言った。

 

「兵長も、先輩たちも、ノアが、死んだんですよ?

 ここで、一緒に過ごしたノアが!

 悲しくないんですか!?

 どうして、そんなに冷静なんですか!」

 

 俺は、ノアが死んだと聞いたのにも関わらず、エルドさんやグンタさん、オルオさん、ペトラさんは既に落ち着いているように見えた。それに、この話をしても、表情筋をピクリとも動かしていない兵長が多少は憎かった。

 

「俺達も、悲しくないわけない。可愛がってた後輩が死んだんだ。

 でも、エレン。ここまで来る時に、ノアはいなかったんだ。

 俺達は…とっくに覚悟していた。」

 

 俺は、ハッと思って周りを見渡した。

 落ち着いていたと思っていた先輩方の冷静さは声色だけで、実際は、全員暗い顔をしていた。

 

 俺は、間違っていた。この人達は、誰より仲間を大切にする人達だ。

 

 その日は、みんなで目を泣き腫らした。

 

 

(ジャン視点)

 

 

「なあ、あの噂って、本当だと思うか?」

 

 俺は、同期たち…アルミン、ミカサ、コニー、サシャの4人にそう聞いた。

 

「噂って……どの?」

 

 コニーはそう答える。壁外調査から帰って、色々な情報が錯綜していた。でも、あの噂は…

 

「ノアが…死んだっていう噂、だよね?」

 

 アルミンがそう言った。

 壁外調査から帰ってきてから、そんな、笑えねえ噂があったんだ。

 

「アルミン!ノアが、死んでるはずない!

 まだどこかで任務をこなしているはず…」

 

「そ、そうですよ!あの、凄く強いノアが、やられる訳ないじゃないですか!」

 

 ミカサとサシャは現実を直視できないみてえだが…

 

「俺は……あの噂を聞いて納得したよ。

 あいつは、俺達の出来ないことを軽々とやってのける。トロスト区の補給作戦の時だって、俺達が生きて、ここにいるのは、あいつのおかげだ。

 

 でも……この噂を聞いて、何故か納得してる自分がいるんだ。

 あいつも、人間だったんだってな。

 

 ……いや、違う、そんなことを思いたい訳じゃねえんだ。俺は、人の死を見すぎておかしくなっちまったのか?

 

 俺は、あいつが生きてることを願ってるはずだ…」

 

 

 俺は、心の中の釈然としない思いを、いつの間にか同期に言っていた。

 あいつは、俺が思うより人間だった。から、死んだのか?

 

 

「僕は、ノアは生きてると思うよ。」

 

 

 アルミン……お前は、そんな、現実逃避をするやつじゃなかったはずだ。

 お前まで……そうなっちまうのか?

 

「…ジャン、これは、希望的観測じゃなくて、根拠があるんだ。あの時――僕達が木の上でノアと話していて、ノアが女型を食い止めようとしていた時、ノアは、何て言って、飛び去った?」

 

 あの時の、ノアの言葉か…

 

 

『…………俺の、意思だ。

 あいつを食い止めなきゃ、エレン達が危ない!ここで出来るだけ時間を稼ぐ!』

 

 

「ノアの意思で……エレンが危ないから時間を稼ぐ…と、言っていたはずだ。」

 

「意思?

 それなら、尚更、ノアが死んでいてもおかしくないんじゃ…」

 

 コニーがそんなことを言っていたが、俺も同じ意見だ。

 あいつは昔、『命令で死ぬのはごめんだ、死ぬなら自分の意思で…』そんなことを言っていたはずだ。それはつまり、自分の意思なら死んでもいいってことじゃねえのか?

 

「いや、違う。あれは、僕達を後で後悔させないための、嘘だったんじゃないかな?あれは、本当は命令で、ノアは元から死んだ、という情報を流す予定だった。そして、ノアは、実際は生きているんじゃないかな。」

 

「どうして、そんなことが分かるんだよ?」

 

「まずノアは、僕達から女型の話を聞いた時に、そこまで驚いていなかった。それに、ノアはリヴァイ班だったはずなのに、どうして僕達のいる木の上まで来てたんだ?」

 

「そりゃ、女型が来るのを待つため、じゃないのか?」

 

「確かに、そうだったと思う。でも、もしノアの意思でやっていることだとして、どうしてノアは女型が来る方向まで、分かっていたんだ?」

 

「それは……ずっと進行方向が東に行っていたから、それで…」

 

「いや、これはジャンの言ったように、まだ説明がつく。しかし、どうして見たことも無い脅威を足止めするために、事前に待っていたんだ?

 ノアの意思でやっていたことならば、女型の姿と、その脅威を確認してから、足止めしに行くのが普通なはずだ。」

 

 そうだ……どうして、あいつは、女型が強いと、あいつを止めなきゃ、被害が出ると、そして、エレンに被害が出る、ということを分かっていたんだ?

 

「これも、理由はつけられるかもしれない。

 でも、1番の疑問点は、どうしてノアは、女型を倒す、ではなくて、『時間を稼ぐ』って言ったんだろう?

 そもそも巨人に復讐心があるノアなら、どんな巨人でも、殺す気で戦っていたはずだ。でも、あの時は足止めだと言っていた。

 つまり、この時に既に、ノアは作戦のことを知っていたんじゃないのかな?」

 

 

「アルミン、作戦のことは、5年前からいる兵士たちにだけ教えられていたはず。」

 

 ミカサの言う通りだ。

 

「ああ。僕もそうだと思っていた。でも、ノアが作戦を知っていた、としないと、ノアの言葉には矛盾が起きる…と思う…」

 

 確かに、あいつの性格からすれば、エレンと同じようにこの世の全ての巨人をぶっ殺したいと思っているだろう。

 

「アルミンの言うことはもっともだと思う。けどよ、ってことは、ノアは元々死んだことにするってな作戦だったってことか?そして、今もどこかで生きている…ってことか?」

 

「そういうことだと思う。確証はないけど…」

 

「どうしてそんなことするんだ?」

 

「どうしてかは……まだ考えてる途中。何か理由があって隠してるのかもしれない。だから、この事は他言無用だ。」

 

 そうして俺らはその場を解散した。

 

 バカ2人はよく分かっていなかったようだが、アルミンの話が本当だとすれば、ノアは、生きてる。

 そう信じて、その日は眠りについた。

 

 

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