原作を知らないただのチート転生者が仲間を死なせないために頑張る話 作:蘭 ノイ
(ミーナ視点)
私は、私達は、あそこで死ぬ運命だったのかもしれない。
時々、そう考える。
トロスト区襲撃の際、私たちを助けた二ファは、その後行方を晦ました。
多くの同胞を、巨人を倒し続けることで救ってきたノアは、今回の壁外調査で、死んだ。
それに、今回の作戦では…トロスト区で同じ班だった、ナックとミリウスも死亡した。
このことは、特に私の心にずっしりとのしかかっていた。
トーマスは、トロスト区の作戦の時に両足を失って病院で治療を受け、かろうじて一命は取り留めたが、ずっと病院で眠っている。
お医者さんが言うには、もう傷は手術で治っていて、足は無いけれども、起きれないほどでは無いそうで、精神的な傷によって起きられないのだろう、ということだった。
精神的な傷。私もここにいたらいずれはそうなってしまうだろう。
私がここまで生きているのは、きっと偶然だけど、私がトロスト区の作戦を生き残ったのは、二ファやノアのお陰だ。
その2人も、もう居ない。
私も、いつかは、彼らと同じように…なってしまうのだろうか?
…
壁外調査を終えて、私達は束の間の休養に入った。もちろん訓練は毎日少しづつはあり、続けているが、壁外調査を乗り切ったもののために、前より休みの時間が増えているような気がする。
そんな時、私に一通の手紙が届いた。
ずっと今まで眠っていた、トーマスからだった。
私は病院に急ぐ。
手紙が届いたのは数日前だったらしいが、壁外調査が終わった後だということもあり、色々とゴタゴタして、私に届くのが遅れたのだそうだ。
…
「トーマス!起きたの!?」
バンッと扉を勢いよく開けて、私は病室に入る。
「ミーナ、久しぶり…なのかな?
病院では、静かにね…」
「トーマス!
本当に、心配したんだから!
このまま起きないんじゃないかって…」
「ミーナ、心配かけてごめん。
僕も、このまま起きれないのかと思ってたけど、トロスト区の時、一緒の班だった、ナックとミリウスが、言うんだ。
『お前はまだ生きてるだろ。早く起きろ』って。」
ナック、ミリウス…
彼らは、訓練兵時代はそこまで仲が良かったわけではなかった。
けれど、あの後からは、一緒に二ファに救われた仲間として、生涯の友人だと思うくらいに、仲が良くなった。
私は色々なものを失いすぎて、もう涙なんか出ないと思っていたが、ナックとミリウスのことを思い出し、涙していた。
「二ファ?大丈夫?
…あれから、何があったのか、話してくれるかな?
ナックと、ミリウスのことも。」
トーマスにそう聞かれて、私はトーマスが眠ってからのことを全て、話した。
…
朝方に来たというのに、もう空は茜色になっていた。
それ程までに、今までの出来事は濃かった。
「そうか。僕が眠っている間に、そんなことが…」
全てを話し終えた後、私は兼ねてより考えてきた、これからのことをトーマスに話そうと思った。
「トーマス。私は、これから医療班に移るつもりなの。もちろん、みんなと一緒に戦いたい気持ちはあるんだけど……私は、巨人が怖い。対峙したらきっと、1歩も動けないと思う。
それでも、みんなの助けになりたいから。」
今まで、誰にも言えずに心の中でつっかえになっていた思いを、トーマスに吐き出せて、スッキリした。ナックとミリウス。かけがえのない親友だった彼らが今まで心の支えだった私は、この壁外調査で巨人への恐怖が増幅し、もう取り返しのつかないところまで来てしまっていた。
もう、私には巨人は倒せない。
私はこんな自分を情けなく思っていた。親友を殺されたんだ。しょうがない、と思う心と、ここで諦めてしまったら、その親友たちに顔向けできない、という思いが錯綜していた。
「そうか。……ミーナ、君なら沢山の人を助けられるよ。共に戦うだけが、仲間じゃないもんな。」
そのトーマスの言葉に、少しだけ救われたような気がした。共に戦うだけが、仲間じゃない。私は私に出来ることで、力になろう。そう思った。
「トーマス、君はどうするの?」
「俺は、やっぱり調査兵団に所属したいって気持ちはやまやまなんだけど、この足じゃ、な。
とりあえずは、リハビリに集中するよ。
その後のことは、治ってから考える。」
「トーマスらしいかもね。」
「ああ。ミーナの活躍を願ってるよ。
絶対に……生きてまた、ここに報告しに来てくれ。」
それから少しだけ話をしてから、トーマスのいる病室から出た。もう空は、藍色をしていた。
UA10000、お気に入り100件越え、ありがとうございます!本当に、本当に、ありがとうございます!
主はネット耐性が無いので小説投稿してどうなる事かと思いましたが、皆さんに気に入って頂けて嬉しい限りです。
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