原作を知らないただのチート転生者が仲間を死なせないために頑張る話   作:蘭 ノイ

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 長い、長すぎる!全話中最高文字数を誇る23話。ウォール・マリア最終奪還作戦、始まります。


23話 展望(ウォール・マリア最終奪還作戦1)

 

 

(ノア視点)

 

 

 

 ウォール・マリア最終奪還作戦が始まった。

 

 

 

 俺たち調査兵団は、トロスト区から出発し、夜の間にシガンシナ区まで進んでいた。巨人との戦闘を避けるためだ。大半の巨人が眠る夜なら安全に進めるだろうということで、この時間にシガンシナ区へ向かうことになったのだ。

 道中は幸いにも何事も無かった。巨人には遭遇したが、それも寝ている状態で、俺たちはその横を通り過ぎることが出来た。

 

 暗闇の中、いつ巨人ないし他の敵が襲ってくるかは分からないという精神的負担はあったが、今までの壁外調査なんかに比べたら、巨人との戦闘がないということは大きく負担を軽くしていた。

 

 そして、兵士たちの負傷もなく、ブレードなどの補給物資もほとんど使わずに、俺たちはシガンシナ区へ辿り着いたのだった。

 

 

「僕達……帰ってきたんだ。

 あの日、ここから逃げて以来……

 僕たちの、故郷に。」

 

 

 夜も明けた頃だった。

 目の前には、5年前と変わらない景色があるかのように思えたが、家が壊されていたりして、そこはもう前とは違う景色になっていた。

 それでも、故郷に帰ってきた。

 色々な意味での、俺の人生の原点に。

 

 ここで生まれ、そして育った俺たちは、ここで何もかもを失い、失った物を取り返そうと誓った。そして今また、戻ってきた。

 

 それは運命のようで、実際は俺たちのこれまでの努力と、その成果が織り成す結果だ。

 

 俺たちの手で、故郷を取り戻す。

 

 そう再び決意し直した。

 

 

 

 調査兵団はシガンシナ区へ馬で駆けて入っていく。

 

 

「物陰に潜む巨人に警戒せよ!これより作戦を開始する。

 総員、立体機動に移れ!」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 ここからは記憶の通りにいくとすれば、敵は壁の中とシガンシナ区の外に潜んでいる。しかし、もう記憶の通りにはいかないかもしれない。

 

 

 そもそも記憶では車力の巨人という四足歩行の巨人が共に来ているはずだが、その巨人の力は現在二ファの物となっている。車力の巨人が偵察することによって稼げたはずの準備時間は、今回は十分ではないはずだ。

 

 記憶なら俺たちの到着より5分ほど前に敵は、俺たちの接近に気づいていたはずだが、今回はきっと3分前ほどでやっと気づいたくらいだと思われる。

 

 いやしかし、偵察がいない分敵は入念に準備をしている事だろう。

 

 

 

 

 

 

 まずは作戦だ。俺と二ファは記憶での細かな作戦が分からなかったため、本来行われたはずの作戦内容はうまく団長に伝えることが出来なかった。しかし、今回の作戦も記憶で見たそれと初めの部分はほとんど同じだろう。

 

 

 

 まずは、外からの巨人の出入りを遮断するため、シガンシナ区の外門をエレンが塞ぎにいく。

 その間に俺たちは敵の潜んでいる場所を特定する。

 

 獣の巨人の位置は既にシガンシナ区に入る前に別れた、リヴァイ兵長と二ファの部隊が。そしてライナーとベルトルトの位置は俺たち104期の班と、大勢の先輩兵士達が探る。

 

 俺たちは記憶でもライナーが隠れていたとされる、壁の中をまず調べることにした。

 

 そうしている内にもエレン達は壁の上を走って外門まで辿り着き、硬質化で塞いだようだった。

 緑の信煙弾が2発分見える。

 外門を塞ぐことに成功したという合図だ。

 

 早く敵を見つけないとエレンが殺されるかもしれない。そう考えて俺たちは壁の調査を続けた。

 

 

 今の調査兵団の戦力は、兵長やミカサに加え、ナナバさん達やリヴァイ班の皆もおり、その他俺が名前を知らない熟練兵士も生きてここまで辿り着いている。

 戦力は過剰と言えるほどに十分である。

 が、それでも俺たちの敗北条件は未だに、エレンを奪われることだ。

 

 

 

 

 もちろん巨人化できる人材なら俺や二ファもいるが、エレンの損失が敗北条件であるという理由は、そのエレンのもつ巨人の性質にある。

 

 彼は進撃の巨人と、始祖の巨人を持っている。

 

 進撃の巨人は未来を見ることが出来る、いや、未来に起こるであろう結末を見ることが出来るというような能力だが、それ自体は問題ないと今のところ考えている。

 

 俺たちの『記憶』と同じようなものだからだ。

 

 問題は、始祖の巨人。

 始祖の巨人の能力は、ほとんどチートだと考えていい。

 他の巨人…能力を持つ巨人までもを操れ、それに加え、ユミルの民であるエルディア人でさえ、操れる可能性がある。壁内人類を纏める王達は、この始祖の巨人の能力を使って壁内人類の記憶を改竄してきたからだ。

 

 

 この力をマーレにもし奪い取られたとしたら…。エルディア人は使い捨ての駒くらいにしか思っていないマーレのことだ。壁内人類ないしはマーレにいるエルディア人までもが何をされるか分かったもんじゃない。

 

 

 

 

 

 そんなことを考えながらも、俺は壁の上を歩いていた。壁から敵が出てきた時に仕留めるためだ。敵が出てきた瞬間に、その首を刎ねる。

 もちろん成功するとは思っていないが、それでも手数は増やしておいた方がいい。

 

 

 そして、壁を調査していた兵士が音響弾を上げる。

 

 

「ここだ!ここに空洞がある!」

 

 

 

 

 そう言いながらも、その兵士はすぐさま撤退して壁の上へ移動する。『記憶』では空洞を見つけた兵士はそれを見つけるなり、そこから出てきたライナーに刺されて殺される。

 

 その可能性があるため、俺はこの作戦が始まる前に、『空洞を見つけたものは、音響弾を上げてからすぐさま撤退しろ』と言っておいたのだった。

 

 

 

 

 しかし、撤退したのにも関わらず、その兵士は、殺された。

 

 

 

 

 パーン、という、銃声と共に。

 

 

 俺は敵が出てくるのを見届ける前に壁上から飛び降り、その首を狙った。

 

 しかし―――

 

 そこから出てきたのは、ベルトルトやライナーなんかじゃなく、銃を持ったマーレ兵だった。

 

 

 

 

 

 やはり、『記憶』と違う。

 

 じゃあ、巨人の力を持つ彼らは今何処にいるんだ!?

 

 

 

 

 困惑しながらも、仲間を1人殺した敵を仕留める。

 

 今世では初めての殺人だが、敵を殺すことに躊躇はなかった。

 

 

 

 

 すぐさま辺りを確認する。

 その直後、大量の音響弾の音、そして、銃声が響いた。

 

「何が起こったんだ!?」

 

 

「俺たち以外に人はいないんじゃ…!?」「どうして人に人が殺されてるんだ!?」「私たちが戦うのは巨人でしょう!?」「こいつらは巨人の仲間か!?」「こいつらも能力のある巨人なのか!?」

 

 

 

 見渡すと、壁からは大勢のマーレ兵が。そして、それに撃ち落とされる、仲間の兵士達。動ける先輩兵士たちは、マーレの事を知らないせいで、壁内人類以外の人類がいることに混乱している様子だ。

 こうなるなら、マーレのことを公表しておいた方が良かったか!?

 

 

 

「……クソッ

 してやられた!

 こちらが壁を調べることは織り込み済みか!」

 

 

 

「……そうか、彼らは降りる手段を持たないから、彼らの入っている穴は下に集中しているんだ!

 下に集中しているから…ほぼ同時に調査兵団の兵士たちが空洞を見つけたんだ。

 そして彼らは空洞を見つけた僕たちが無防備になった瞬間、銃で撃ち落とすことは容易にできると考えたんだろう。」

 

 

 アルミンはこの状況下においても、頭を回転させているらしい。

 

 

 

「……だとしたら、ライナーは…

 きっと全体が見える位置にいる。状況が把握出来て、エレンが何処にいるか分かる位置…。それにまだ僕たちが調べていない場所なんじゃないか?

 

 っ上の、それも出てきた彼らと被らない場所!まだあそこの壁は調べていないはずだ!

 皆、一旦壁から離れるんだ!ライナーが巨人化する!」

 

 

 アルミンがそう言った瞬間、

 

 

 

 

 ドーンッ!!!

 

 

 

 

 

 あの聞きなれた巨人化の音が聞こえた。

 

 

 

 幸い俺やアルミンはマーレ兵が出てきた辺りに居たため無事だったが、他の奴らは分からない。

 

 

「ライナーが巨人化した!

 作戦はプランBに切り替える!」

 

 

 アルミンはすぐさまそう叫んで、黒い信煙弾を打つ。

 黒い信煙弾は、壁外調査で奇行種が出現した際に使われたものだが、今回は能力のある巨人が巨人化した時に使うことになっていた。

 

 

 

 

 プランAは敵が此処に居ることが確認できず、何事もなく壁を塞げそうな場合の作戦だ。

 そして、プランBは、敵が出現した時。その敵を倒すことを目的とする作戦となっていた。先輩兵士達がライナーの相手をして、俺たちリヴァイ班の104期訓練兵達はベルトルトを探して説得する。

 

 この作戦の1番の不確定要素はベルトルトだ。どこに隠れているかも分からないが、ベルトルトが1番討伐するのに手こずる敵だと考えている。

 もしベルトルトが巨人化したら、消耗戦に持ち込むしかない。

 つまり、彼を説得するか、人型状態の時に殺すのが1番の攻略法だが、そう上手くはいかないだろう。

 

 そのためにまずは隠れているベルトルトを見つけ出し、人状態の彼を殺すことが必要だ。104期はベルトルトを見つける作戦に入るため、ここを先輩兵士達に任せたいが、如何せん激戦の先輩兵士達でも、銃を持つ敵との戦闘には慣れていない人も多いようで、死亡者や負傷者が増えていた。

 

 まずはマーレ兵からやらないと、ジリ貧になるんじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 作戦Bに変わったことで、ベルトルトを探さなければならない俺たちは1度、アルミンの元へ集合した。

 

 

 アルミンは少しの間考えた後、こう言った。

 

「この状況下で先輩たちがマーレ兵とライナーの相手を両方するのは難しいだろう。誰かが残った方がいい。

 ノア、君の記憶ではベルトルトは樽の中に潜んでいて、それを獣の巨人がシガンシナ区に投げて寄越したそうだね?もし記憶の通りそうだったならば、二ファと兵長がベルトルトの身柄を抑えてくれるはずだ。

 しかし、今回がそうとは限らない。まだ市内を捜索したわけでもないし、ライナーがここにいるならベルトルトも何かしらの策をもって、まだどこかに潜んでいるはずだ。

 つまり…ベルトルトを放置して全員がこの場に留まるのは愚策だ……。何か企んでいるのかもしれない。それに、ベルトルトがライナー達と十分に離れているのだとしたら、巨人化するかもしれない。それを、僕達は止めなきゃいけない。」

 

 

「アルミン、どうすりゃいい?

 ハンジさんは先輩兵士達の指揮、アルミンは俺達の指揮を任されているんだろ?」

 

 

 コニーがアルミンに問いかける。

 俺たちはアルミンの指示に信頼を置いている。

 

 

「そうだね……。

 僕はこの場にノアを残した方がいいと思う。

 ノアは元々1人の方が力を出しやすいし、1人だけで十分な戦力になる。」

 

 俺が1人残る、か。俺もそれが最善だとは思うが、如何せんこの、先が分からない状況で同期達と離れるのは嫌だった。

 同期が殺されるのを防ぐために、俺は巨人を倒してきたのに…

 

 

「それって…ベルトルトが交渉に応じることにかけるってことになるよな?」

 

 ジャンも判断力はピカイチだ。彼も今回の作戦では重要なブレーンとなる。

 

「いや、ミカサがいる。ミカサだけでも、人状態のベルトルトを仕留めるには十分だ。

 それに、どの道ベルトルトが巨人化してしまったら、彼を僕達だけの力で仕留めることは不可能に近い。例えノアがいてもね。

 しかし、その場は少しの間維持しなきゃならない。先輩たちのライナー戦を超大型が支援するような事が無いようにね。だから、そこでは多少、ノアが居ないことで苦労するかもしれないけれど、その分、ノアがここの戦いを早く終わらせて、こちらに援護に来てくれればいいんだ。」

 

 もしベルトルトが巨人化したら、同期達が苦戦するのは目に見えている。

 

「だけどよ……こいつ、クーデターの時いなかったんだぜ?こいつの特技は巨人の項を削ぐことだ。人を殺すことじゃねえよ。

 こいつに、銃撃戦を掻い潜ることが、そして人を殺すことが出来るってアルミンは思ってるのか?」

 

 

「ああ、出来るよ。ジャン、ノアは昔、ベルトルトとライナーと同じような…」

 

 

 

 きっとアルミンが言おうと思っているのは、俺が病室にいた時にアルミンに話した、マーレの話だ。これはアルミン以外の同期には言わないでおこうと思っていた。

 

「アルミン、やめろ。」

 

 俺はアルミンの口を塞ぎながら、そう言う。

 

 俺の真剣な表情に押されたのか、アルミンは口を(つぐ)む。

 

「おい、何があるってんだよ!」

 

「隠し事は無しですよ!」

 

 コニーとサシャがそう聞いてくる。

 

「まあ、俺は銃撃戦も、人を殺すことも、経験があるって話だ。この役は適任だよ。」

 

 同期達は皆、不思議そうに首を傾げるが、俺はそのまま話を続ける。

 

「だけどさ、俺はお前らを守るために兵士やってんだ。ここで離れたら…それもこれからを予測できないまま離れたら、お前らが死ぬかもしれない。俺は、ここに残りたくはないよ。」

 

「ノア…。

 君の言いたいことも分かるよ。けど、これが最善なんだ。

 君が早く終わらせて、援護に来てくれれば良いじゃないか。」

 

 アルミンは必死に俺を説得している。

 

「そもそもお前が残らねえと先輩兵士達が死ぬ可能性の方が、俺たちが死ぬ可能性より高ぇじゃねえか。そしたらそっちに行かねえと、お前の目的からすると、ダメなんじゃねえのか?

 皆を、救うんだろ?」

 

 エレンがそう言った。

 

「兵士なら、指揮官の命令には従うべき。

 私情で断っていたら一々キリがない。」

 

 ミカサの言葉が胸に刺さる。

 

 

 

「……そうだな。

 悪い、アルミン、子供みたいなこと言って。

 お前の判断に従うよ。

 俺もそれが最善だとは分かってるからな。」

 

「ありがとう、ノア。

 それじゃあノアはここに残って、ハンジさんの指示に従いながら、マーレ兵の討伐に協力してくれ。その後は、こちらに援護に来ること。

 ノア以外は、当初の作戦Bの通り、ベルトルトを探そう。」

 

「「「「「「おう!!!」」」」」」

 

 そうして俺らは二手に分かれた。

 先輩兵士達の援護に向かう、俺と、アルミン率いる、ベルトルトを探すリヴァイ班104期部隊だ。

 

 

 1人で援護に行くという状況は、なんだか俺が今世で初めて経験した実践である、トロスト区の時に似ている。

 トロスト区攻防戦では、補給をするために本部に向かっている時、エレンが死んだかと思ってショックを受け、そのまま自暴自棄になったせいで、助けられたはずの仲間を助けられなかった。

 けれど俺は、今度こそ失敗せずに全員を助ける。

 そう誓った。

 

 

 

 

 俺が壁付近についた時には、敵も味方も分からないくらい、混沌(カオス)といった光景が広がっていた。

 しかしこの状況を見ると、相手には銃があるが、こちらには立体機動装置がある。飛び回る相手にはマーレ兵もなかなか銃が当てられずに苦戦しているようで、形勢は同等のように見えた。

 

「ハンジさん!」

 

 俺は、指示を出しながらもマーレ兵と戦っているハンジさんに話しかけた。ここらの指揮官はハンジさんだ。まずは指示を仰ごう。

 

「ノア、どうしたの?作戦Bなら君はベルトルトの所へ行くはずだけど…。」

 

「予想外の敵の出現があったので、アルミンに命令されて来ました。」

 

 

 俺は今も暴れているマーレ兵の方を見る。

 

 すると、壁の方から壁が壊れたような、大きな音が聞こえた。

 

「何だ?」

 

 

 そちらの方を向くと、

 

 ライナーが壁を登っていた。

 

 

「ハンジさん!

 あれは…。」

 

「君たちの予言通り、馬を狙うつもりだろう。

 しかし、馬は事前にシガンシナ区の内側と外側、両方に散開させておいたよ。

 だから、馬が一気に殺される心配は無い。それに、新兵が馬を率いてその都度移動している。その位置を特定して一つ一つの部隊を潰すのは難しいだろう。

 そうなったら、彼らはエレンを狙うしかない。きっとあの壁を登った後、フードを被った兵士が大勢いる、シガンシナ区内側に戻ってくるよ。

 エレンを探しにね。

 この作戦を立てたエルヴィンは凄いよ…。君たちの予言から的確に作戦を寄越したんだから。」

 

「ええ、そうですね…」

 

 

 ハンジさんは一瞬、エルヴィン団長が残っているであろうトロスト区の方向を向いてから、俺にまた話しかけた。

 

「それじゃあノア、君にはシンプルな作戦の方がいいらしいからね。

 

 目標は敵兵士たちの殲滅。

 任せたよ!」

 

 

「了解です!」

 

 

 

 そうして俺は、昔味方だったマーレ兵を次々に殺していった。幸いにも、前世で知っている顔は一人もいなかった。

 

 しかしもし、知り合いに会ってしまった時、俺は果たしてそいつを殺せるのだろうか?

 

 

 

 

 

 それは突然の事だった。俺がマーレ兵を何人か倒した後の事だ。

 見慣れた光が見えたすぐ後、ドーンッという音が周囲に鳴り響いた。

 巨人化の合図だ。

 

 

 ベルトルトかと思ってシガンシナ区内の方角を見たが、違った。

 

 獣の巨人だ。

 

 

 

 獣の巨人は、記憶の通り、ウォール・マリアの内側に出現したようだった。

 

 

 

(二ファ視点)

 

 1時間程前…

 

 

 

 私とリヴァイ兵長は、シガンシナ区にもうすぐ着くというその時、他の部隊と分かれた。

 

 

 本当は団長もこのウォール・マリア最終奪還作戦に来る予定だったが、リヴァイ兵長の説得もあって、壁外調査の時にもいた、ウォール・ローゼからその先の森に入るまでの護衛部隊と一緒に撤退した。

 

 『記憶』でも兵長は団長を説得していたはずだ。

 

 『お前は椅子に座って頭を動かすだけで十分だ。巨人にとっちゃそれが1番迷惑な話で、人間にとっちゃそれが1番良い選択のはずだ。』

 

 兵長はそう言っていた。

 私もその通りだと『記憶』を見た時にそう思ったが、この説得は結局、失敗した。

 

 エルヴィン団長はどうしても、自分の目で真実を確かめたいから。

 

 

 しかし、今回の説得は成功したみたいだ。

 理由としては、私たちの話で真実を知ったことが大きいのだと思う。団長自身も、右腕が無い状態で前線に出るのは無茶だとは分かっていた様子だった。

 

 でも、私たちが虚偽を言ってないか確かめるためにも、エレン宅の地下室には行く予定みたいだった。

 

 まあそういうわけで、今回は団長は着いてきていない。団長の判断力と統率力は凄いけれども、片腕を失っている。そんな状況で死地に赴いたら、死ぬ確率は他の人よりも高いだろう。

 私もあの時のリヴァイ兵長と同じ意見だった。

 団長は、椅子に座って頭を動かすのが1番良い。

 

 

 

 話を戻すと、私とリヴァイ兵長はシガンシナ区内に入る前に別部隊となった訳だけれども、もちろんこれも団長の指示だ。

 今のところは隠密行動中。

 隠れながら、獣の巨人の居所を探る。相手が人型の状態で見つかったらラッキー。巨人化しても、獣の巨人は遠距離戦特化だ。近距離まで近づいていれば、勝機は十分にある。

 

 

 そして私達は敵の姿を見つけた。そこに着くまでに何人かの兵士を見かけたけれど、おおよそマーレ兵だろう。もしかしたらエルディア人で巨人化するかもしれない。

 

 しかし、隠密行動中の私達はとりあえずはそいつらを無視して、ジークを探していたが、それも今見つけたところだった。

 

 敵はこんなところに私達がいるとも知らずに、シガンシナ区の方向を偵察している。

 

 好機(チャンス)だ!

 

 人型で、それも油断している相手なら、私でも仕留められる。

 

 けれど、先に動いたのは兵長だった。

 兵長はやっぱり私より何倍も強い。

 

 

 私はその後を追うように行ったが、兵長の流石のこの速さでも、相手は気づいたらしかった。

 

 彼の近くにいたマーレ兵は兵長に銃を向けて、打つが、兵長はそれを軽くいなしてそのマーレ兵に斬撃を食らわせる。

 

 私はその間にその横をすり抜け、ジークの首を狙った……ように見せかけた。

 兵長には私が首を狙ったが、その前に獣の巨人が巨人化したように見えただろう。

 

 しかし実際は私はジークにブレードが届く前に寸止めした。そのまま首を切っていれば彼は絶命した事だろう。

 

 彼は巨人化の直前、信じられないものを見たような目でこちらを見ていた。

 

 その目は、何故、とこちらに訴えていた。

 

 ここで彼を死なせてはいけない。

 これは『記憶』に近づけるためじゃない。

 王家の血筋をここで絶ってはいけないのだ。

 

 だから私は今回の作戦で、リヴァイ兵長と同じ班になるように、不信感を抱かせるように、ノアの病室で嘘を吐いた。

 恐らく本来は、兵長ともう何人かの先鋭で行く予定だったのだろうが、私が裏切るかもしれない可能性を考慮すると、兵長の班か、それとも本部に待機か。その二択になると考えてのことだった。

 

 兵長と2人の班だと私が裏切った時に兵長は抑えられないと思われそうだが、それは無い。なぜなら、対人戦の実力で言えば圧倒的に兵長の方が上だからだ。私も対人戦においても自分は強い自覚があるけれど、兵長には絶対に敵わないだろう。

 

 私を見張るという役割においてはノアも適任だとは思うが、同じ『記憶』を持つもの同士。仲間のような雰囲気があるため、2人同時に裏切られてはたまらないと思うだろう。

 

 そして、もしリヴァイ兵長の班になったら、もれなくきっと獣の巨人もついてくる。

 獣の巨人の中のジークを生きたまま捕らえるには、私がこいつと直接対峙することが必要だった。

 

 また兵長と団長、そして調査兵団を騙すことになって、その事は申し訳ないと思うが、これは仕方の無いことで、この島を守るためだ。

 

 私の人生は、裏切りと決別によって成り立っている。

 

 

「兵長!すみません、離れて!!!」

 

 私も獣の巨人の巨人化による爆風に耐えられるように、巨人化した。

 

 

 

 

 兵長は何とか爆風を耐えたようだった。

 

 

「おい!てめえの巨人化は許されてねえんだぞ!」

 

 兵長は何だか言っているが、私は従う義務はない。

 元々調査兵団じゃないし。

 

 いや、これはイヤミな言い方だっただろうか?

 

 

 私は獣の巨人と戦うために、巨人化を解除した。

 

 私と兵長で獣の巨人を迎え撃つ。

 前回は容易く四肢を断つ事ができたが、今回はそう上手くはいかないようだった。

 

 獣の巨人の巨人化の爆風に耐えるため私は巨人化し、その後解除した。その僅かな間に獣の巨人は私たちと距離を取っており、兵長も爆風に耐えるためその場を離れていた。その結果、獣の巨人は相当遠い場所まで退避していた。

 

 彼の厄介な攻撃は、遠距離からの投擲。今この状況下では、獣の巨人の方が圧倒的に有利だ。

 

 それに、この地形。立体機動装置を使うことも出来ず、見通しがいいため、岩を投擲して私たちに当てるにはメリットが有りすぎる。

 さらに言えば、周りにはマーレ兵。彼らは銃を持っていて、私たちを狙っていた。

 

 この奇襲が成功しなければこうなることは予想がついていたけれど、人を相手にするというのは、今まで巨人を殺す訓練をしてきた私たちにとっては逆に難しいことかもしれない。

 

 いやしかし、不思議なことが1つだけある。

 

 なぜ獣の巨人は()()()()のだろう?

 

 彼が1度叫べば、大抵の生身の人間は恐怖するであろう、巨人の軍団の出来上がりだと言うのに、彼は頑なとして叫ばないのだ。

 私たちが巨人を殺すエキスパートだから、人型のままの方が殲滅しづらかろうという推測で、マーレ兵を人型のままにしているのか?

 それとも、他の何か意図があって…。

 

「オイ、考えてる暇はねえぞ!

 まずはこいつら敵兵士を片付ける!」

 

「はい、了解です!」

 

 さっきから銃が鬱陶しかったため、まずはマーレ兵を倒すことには私も賛成だ。

 しかし…

 

「獣の巨人が投げる投石はどうしますか!?」

 

「どうも何も、馬で避けろ!それしかない!」

 

 つまり、フィジカルで避けろということか。まあ、これだけ苦境に立たされれば、そうするしかないし、作戦ももう役には立たないだろう。

 

 

 そうして私たちは獣の巨人に近づきながら、マーレ兵を倒していった。

 

 

 

 

 あと少しで獣のいる場所まで辿り着くかと思っても、すぐあいつは移動する。

 大きな岩のある場所か、若しくは敵勢力が持ってきたのであろう、岩が入った荷車のような場所まで後退して、こちらを殺そうとしてくる。

 

 しかし最終目標は獣の巨人の討伐もしくは拘束だが、こうして私たちに彼の投石の意識を向けているだけでも、この班の役目は果たしている。

 彼がシガンシナ区内に投石をするのを防ぐための班でもあるからだ。

 

 けれども、そろそろ彼を討ち取って、シガンシナ区内の味方たちを助けに行きたいところだ。

 そう思っていた時、それは起こった。

 

 

 ドーンッッッ!!!

 

 巨人化の音の中でも一際大きい音、そして、シガンシナ区の外であるここまで届く、目を刺すような光。

 

 間違いない。超大型巨人が巨人化した!

 

 そんな、アルミンたちの班は失敗したのか?それとも、話す時間さえなかったのか。

 敵勢力はこの作戦で本当にケリをつけようとしているらしい。

 

 さっきまではマーレ兵からの銃撃と投石を避けるので手一杯だったが、今シガンシナ区の方向を見ると、飛行艇が何隻か上空に飛んでいるのが見えた。

 

 ベルトルトは、あそこから降りてきたのか!

 

 そうなれば、話し合う時間も無いはずだ。

 

 『記憶』とは全く違う展開。作戦はほとんどもう、機能しなくなったと言ってもいいかもしれない。

 

 

 獣の巨人は超大型巨人の方向を一瞥して、挑発してくる。

 

「あっちの援護に行かなくても、良いんですか?

 ここでずっと戦っていても、状況は悪くなっていく一方ですよ。」

 

 あいつの言う通り、マーレ兵は最初はシガンシナ区を取り囲むように散開していたが、今では私たちを取り囲むように立っていた。

 

「ここで投降すれば、兵長だけは痛くないように殺してあげますよ。二ファは、見逃すことはないけど。」

 

 それもそうだ。ウォール・ローゼでの襲撃で私はあいつの四肢を断ち切って、ずっと拘束し続けた犯人なのだから当然だろう。

 

「…黙りですか。

 まあ、いいです。そろそろですからね。」

 

 そう言って、獣の巨人はシガンシナ区の方向へ体を向ける。

 

「何の真似だ!?」

 

 飛行艇が何隻かあるのが見えるのに、ベルトルト1人だけが乗っているというのはおかしい。

 つまり、飛行艇に乗っているのは…

 

 脊髄液を取り込んでいる、エルディア人だ。

 

 

 そして、獣の巨人は、叫んだ。

 

 耳を劈くような大声に思わず身をすくめる。が、そこで気づく。

 

「兵長!周りの兵士が巨人化します!爆風に気をつけて!」

 

 さっきまで人だった彼らは、爆風と眩い光を出しながら巨人化した。

 

「二ファ、無事か!?」

 

「はい!兵長は?」

 

「大丈夫だ。」

 

「まさか、このタイミングで叫ぶとは…」

 

 

 もしかしたら…いや、もしかしなくても、シガンシナ区の中で巨人化が進んでいるだろう。

 しかしだとしても、そちらまでは援護できない。

 まずはこの周辺の巨人は…兵長に託そう。

 

 そうしたらこいつを連れ去ることが出来るかもしれない。

 シガンシナ区にいる仲間たちが心配なのは確かだが、私の目的は依然として王家の血を引き継ぐ人物の確保だった。

 ここで折れたらパラディ島が助かることはない。

 

 

「兵長!周りの巨人を頼みます!

 こいつは私が!」

 

「ダメだ。こいつはお前の手に負える奴じゃねえ。

 俺がこいつの相手をする。」

 

 兵長……。

 実は私、こいつの手足を切り刻んだことがあるんです。

 そう言いたいが、あれは殺人未遂みたいなものだ。何で殺さなかったのか、後でゆっくり聞かれることとなるだろう。なので、何も言い返せない。

 

 しかし、私はどうしても、ジークと2人で話す時間が欲しかった。

 

 

「兵長、お願いします。

 私はこいつに因縁があるんです。自分の手でやらせてください!」

 

 そうお願いした。

 因縁があることは確かだ。嘘も言ってないし、本当も言ってない。

 

 私がここから1歩も動かないような様子を見せると、兵長はため息を1つはいてから、立体機動で飛んでいった。

 周囲に大量に出現した、巨人の体にアンカーを刺しながら飛んでいるようだ。

 

 私にはあんな芸当はできない。

 

 

 兵長が他の無垢の巨人達を倒していく間に私は獣の巨人と対峙する。

 彼は前、私に四肢を延々と切り刻まれたことがトラウマで若干震えているように見えたが、手加減する気は無い。

 

 彼はまだ離れた位置から投石をしていたが、そろそろ石もなくなる頃だろう。更に、彼は後退している訳だが、そちらの方向は立体機動装置が扱える木々が生えている。そこなら、仕留められる!

 

 彼がそこまで後退した瞬間、私は飛び出して、彼の右足にワイヤーを刺し、ブレードを振り抜く。その後右腕にワイヤーを刺して3回ほど連撃を入れた。

 

 右腕は切断できた!

 

 そして回転斬りで右足をまたもや狙う。

 

 近接戦ならこいつに負けることはない!

 

 その間にも私のワイヤーを掴もうとして、ジークは手を振り回していたが、素早くワイヤーを移動させながら彼の攻撃を避ける。

 

 回転斬りは無事成功し、彼は膝を地面に付いた。

 

 私はリヴァイ兵長の位置を見る。

 彼は近場から倒していっているようで、私がギリギリ見える範囲内の辺りで今は戦っているようだった。

 

 私はその様子を見てすぐさまジークの項を狙う。

 

 縦1メートル、横10センチ。彼はそこにいる。

 

 もう1度リヴァイ兵長のいる位置を確認する。兵長は先程と同じ位の場所にいるのが見える。

 

 

「ちょっと待て!

 それ以上近づいたら、あの遠くで戦っている兵長とやらに大量の岩を投げつける!

 俺は狙ったところに物を投げられる!百発百中だ!あの兵長さんは死ぬだろうな。」

 

「それは、脅しのつもり?」

 

 兵長を遠ざけたのは失敗だったか?

 彼自身が言うように、彼の投擲スキルは異常に高い。そのスキルを使って彼は、使えないと思われていた獣の巨人の利用価値を示したほどの強さを誇っている。先程も、投石に悩まされたからこそ接近できないでいたのだった。

 

「フィアン、お前の目的は分かってるんだよ。

 『全員を救う』なんてな。そんな夢物語みたいなこと、出来る訳が無い。」

 

 しかし、この状況は私にとってはご褒美みたいなものだ。私はジークを説得する時間が欲しかったがために、嘘をついて兵長の班に入り、危険な橋を渡ってきたのだから。

 

「『全員』は救えないよ。だけど、『全員救うこと』を目標にしないと、多くの人なんか救えるわけが無い。目標は高くってね。

 でも、その『全員』の中にはジーク、君たちの事も入っているんだよ。

 島外の、エルディア人たちもね。」

 

「それは、どういうことだ?」

 

「そのままの意味だよ。

 君の計画はよく知ってるよ。『エルディア人安楽死計画』。始祖の力を使ってエルディア人の生殖機能を無くし、これ以上の悲劇を産むことのないようにという計画だよね。

 君の力とエレンの力があれば、座標に入ってエルディア人の生殖機能さえも操れるようになる。」

 

「なぜ、お前がそれを……」

 

「そんなことはどうでもいいよ。

 エレンの力が必要なんでしょう?

 私がエレンを説得して、連れてきてあげるわ。」

 

「今まで散々敵同士として戦ってきたお前のことが信用出来る訳が無い。そもそもこの計画はできる限り自分の力で成し遂げるって決めてるんだよ。

 それに、そんなことをしてお前に何の利益がある?」

 

「私はあなたの考えに共感してるの。

 新しいエルディア人が生まれて来なければ、もうこれ以上の悲劇が続くことはない。

 …今の状況であなたがエレンと接触して、説得するのは至難の業じゃない?

 私がやれば、あなたとエレンが話す時間を作ることも出来る。」

 

「……確かに、エレンと接触するのは今の段階では無理だろう。」

 

「ええ、そうよね。

 あなた1人でこの計画を進めるんだったら、きっと後何年も掛かるわ。その間に、そのあなたの残り短い寿命も尽きてしまうかもしれない。

 でも、私があなたとエレンの橋渡し役になれば、それも縮まる。

 あと何年か、苦しまなきゃいけないエルディア人が生まれるのを、今エレンと接触すれば阻止できる。」

 

「お前の言うことは一理ある。だが、お前が本当にこの計画に賛同しているのかは分からないし、信用できない。

 それに、前に襲撃に行った時には、俺の巨人の四肢を延々と切断して…よくもやってくれたな。

 そんなやつと手を組むなんて有り得ない。」

 

「前の襲撃の時のことは、本当に申し訳ないと思っているわ。

 あれは、ミケさんやノアを騙すために必要なことだったのよ。私が獣の巨人を無力化した。そうなれば、私とあなたが仲間の線は随分と低くなるわ。

 そもそもあの時、私はあなたをいつでも殺せたのに、殺さなかったじゃない。今回だって、あなたが巨人化する前にあなたの首を切る時間が私にはあった。それもこれも、エルディア人を救うにはあなたの力が必要だったからよ。

 私も色々と考えたの。エルディア人全員を救うにはどうすればいいのか。『エルディア人安楽死計画』。より多くの人を救うには、それしかないと思ってるわ。」

 

「お前が俺を殺さなかったことはずっと疑問に思っていた。

 そういう意図だったとは…」

 

「じゃあ、そろそろ決めて頂戴。

 こちらに来るのか、マーレに戻るのか。

 私と一緒に来たら、この壁内で隠れながら暮らすことになるけど、『安楽死計画』はより早く達成されるだろうね。

 リヴァイ兵長が来る前に決めて。

 ちなみに、これを逃したらもう私たちが手を組む事はないでしょうね。あなたが断ったら、次会う時には敵同士かもしれない。」

 

 リヴァイ兵長の位置は…さっきよりこちら側にいる。巨人の数もだんだん減ってきているようだった。

 

「そう、だな……。

 本当に、お前はこの計画に賛同しているんだな?」

 

「ええ。エルディア人を救いたいという思いはあなたと同じだわ。

 神に誓って、これは本当の事だと断言出来る。」

 

 ジークは少し悩んだ後、

 

「そうか…。

 お前と一緒に行くよ。」

 

 そう返事をした。

 

「そう。それは良かった。

 これに断られたら、どうしようかと…。

 じゃあ、まずはあなたを巨人から出して拘束する。そして、隙を見てあなたを攫って、隠れ家に連れていくわ。

 それでいいわね?」

 

「……それが最善なのか?」

 

「ええ。今までずっと考えてきたことだから、きっと成功するわ。」

 

 

 そう言いながら、私はジークの項に移動する。

 縦1メートル横10センチ。項に切り込みを入れ、彼を引っ張り出した。

 

「じゃあ、これからよろしくね。」

 

 私はロープでジークを拘束する。

 

「おい、本当にこれで成功するんだな?」

 

「執拗いわね。絶対大丈夫だから!」

 

 

 私がジークを拘束した様子を見たリヴァイ兵長はすぐさまこちらに向かってきて、獣の巨人の項あたりに着地する。

 

「やったか?」

 

「はい、仕留めました!」

 

「そうか。そいつは兵士が死んだ時の蘇生用になる。拘束したままシガンシナ区に連れていく。」

 

「分かりました!

 残りの巨人はどうしますか?」

 

 リヴァイ兵長がまだ倒し終えていない巨人たちが数体居るのが見えた。

 

「お前がそいつを監視しておけ。

 残りを倒してくる。」

 

「了解しました!」

 

 そう言うや否や、兵長はすぐ立体機動装置を操ってここを離れ、巨人を素早く駆逐していった。

 

「おい、シガンシナ区に連れてかれたら、逃げる場所が無くなるぞ?ここで逃げなくていいのか?」

 

「ここで逃げたら、私が兵団組織の近くに居れなくなるでしょ。私の立場も守らないと、エレンと接触出来ないわ。」

 

「そうか、それなら、これからはどういう計画で…」

 

「兵長が来るわ。」

 

 

 周りを見ると、もう巨人は全滅していた。

 リヴァイ兵長の流石の早業だ。

 

「シガンシナ区に援護に行く。」

 

「了解です!」

 

 私は指笛をした後拘束したジークを連れて、馬に乗った。

 

 今、シガンシナ区はどうなっているだろうか?

 超大型巨人はまだ生きているみたいだ。

 

 しかし、鎧の巨人はどうなった?

 敵の今回の作戦はどのようなものだろうか?

 

 最終決戦は1回目のループだから、今起こっていることも分からない無力な私には、ましてやこれから起きることなど見当もつかなかった。

 

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