原作を知らないただのチート転生者が仲間を死なせないために頑張る話 作:蘭 ノイ
訓練兵団の訓練は、年を追う毎に厳しさを増していた。
中には立体機動の訓練中、教官が意図的にワイヤーを切るという訓練もあった。あの時は肝が冷えた。
そんなこんなで訓練兵団に入って2年目と少し経った頃には、辞退者と脱落者が段々増えていき、残っている人数は初期の頃の半数より少ない程の人数になっていた。
俺や、俺の幼なじみ達、ジャンやマルコなんかはまだまだ残ってはいたが、最初の頃に班を盛り上げていた奴とか、真面目にやり過ぎていつも疲れたような顔をしてた奴は脱落したし、立体機動装置の訓練で操作を誤って死んだやつもいた。
俺はいつ、死ぬんだろう。
目の前で死んだ奴を見たり、向かいの部屋の奴が死んだと聞いたときに、ふとそう考えてしまう。
訓練兵団では絶対に生き残る。
でも、その後は?
調査兵団に入ったら、何年くらいで死ぬことになるんだろう。
調査兵団に入ったら、俺の生きられる時間はもっと減ることだろう。
いつかは死ぬ。そう理解していた。
その時は、何か役割を託されて、死ぬのだろうか。それとも、俺自身の行動で、死ぬのだろうか。
「俺たちって、何のために死ぬのかな。
死ぬ時は…上の命令で死ぬのかな?
それとも……自分の意思で戦って、死ぬのかな?」
ある夜、俺はそう皆に問いかけた。
真夜中は、俺が前世で死んだ時間だ。
だからなのか何なのか分からないが、俺は夜になるとどうしても悲観的になって色々考えてしまう。
それに、今日は同じ部屋の奴が立体機動訓練で死んだ…らしい。
俺は、そいつとは同じ班じゃなかったから、その情報だけを先程知ったところだった。
同じ部屋の奴らは、何か言葉を交わすわけでもなく、徐に外に出て、空を見上げていた。
俺たちの同期は死んだが、空も星も月も、いつもと同じようにそこにある。
俺が1人いなくなったって、この世界は、そんなことなんて気にも止めないように、いつも通り回るのだろう。
しかし、俺たち、残された奴らは今、少なからず同室の死んだ同期に影響されているのは確かだった。
沈黙の時間が続いた後、エレンが俺の質問に答える。
「俺には……いや、俺達には知り得ないことだろう。
でも、俺は、命令だとしても、お前らの意思だとしても、その時にお前らを殺そうとしている敵を倒して必ず救い出す。
いつか死ぬなんてことを今から考えてたら、それが現実になっちまうだろ?」
「そうか……エレンは、そうだよな。」
「でも、俺たちは……考えておいた方がいい。自分の、死ぬ場所をな。何が自分の譲れないもので、何のために死ぬのか。
それがないと……いざと言う時に行動できないだろう?
……命令か、自分の意思か………か。」
ライナーがそう言って悩むような素振りを見せる。
「僕は少なくとも、命令でも死ななきゃ行けない時はあると思うよ……。その時の命令が、自分の納得いくものだったら、その時は……」
「命令でも、死ぬのか?」
「うん…。死ななきゃいけない理由を理解できたらね。」
アルミンの覚悟を感じる言葉に、ジャンは少なからず、驚いている。
命令でも、自分が納得出来たら、死ぬ…か。
それも、1つの考えだろうが…
「俺は、命令で死ぬなんて絶対に嫌だね。
俺自身の目的を達成してからじゃないと、死ねない。」
俺は、そう考えていた。
命令で死んだ兵士たちの犠牲によって、調査兵団という組織は成り立っているのだろう。
新人が死ぬ確率は3割。そこから何年か経つとほとんど同期は残っていない。そんなことが現実で起こっている組織だ。
しかしそれでも、自分の犠牲で何かが成し遂げられるとしても……
兄の仇を打つ。それが成し遂げられるまでは。
そして、訓練兵団に入ってきてから出来た目標である、仲間を死なせない。少なくとも仲間が今後も安泰だと分かるまでは、死ねない。
そう考えていたけど……
もし、俺が死ぬことで仲間が助かるのだったら?
その時、俺はどうするのだろう。
(7/26に編集しました)