・なんてこったオコSundayが死んじまった!
・この人でなし!
私が彼と……オコSunday様と知り合ったのは
配信を始めて1ヶ月くらいだった頃、怪談話の枠を開いているときに彼がやってきたのです。それからとゆうもの、数日の間出たり入ったりして不定期に入ってきてくれましたが、いつの間にかほぼ毎日来てくれるのが当たり前こようになっていました。
ときには一緒にゲームをしたり、リアルで落ち込むことがあって心配してくれたり、面白い話を聞かせてくれたりと──まるでそこにいるのが普通だと言わんばかりに毎回来てくれていました。
──そして、あの日。世界が地獄に変わった日から、私は近くのスーパーの屋上にたてこもって数日間……1人で不安に押しつぶされそうになってたとき……Twitterから一通のDMが入りました。
オコSunday:
[おぐりんそっちは大丈夫!?やばかったら迎えいくけど!?]
まさかのあの人からでした。あっちも相当過酷な状況かもしれないのに私にDMを送ってくれたんです。それでも私は藁にもすがる思いで返信しました。
小倉あんこ:
[今、屋上でたてこもってます。……助けて]
祈る思いで返信すると、すぐに返信がきました。
オコSunday:
[了解。明日までにはつく。それまで頑張って生き延びててほしい]
そしてあの人は本当に私の所まで助けに来てくれました。この場所まで数百キロあるであろう距離を。
お互いに初めてリアルで顔を合わせるけど、それよりも助けに来てくれた安堵でそのままオコ様の胸に飛びこんで泣きました。
うぅ……今となってはちょっと恥ずかしいです。
合流してからとゆうもの、脱出する際のオコ様の快進撃はとても凄かったとしか言いようがないです。
工事現場の人が使ってるような道具で、ゾンビ達を蹴散らして出口への道を切り開いていきました。……正確には殴り倒すですけど。
それからはあの人が乗ってきたバイクに乗せてもらってその場を後にしました。後ろを振り向くと私がいたデパートがどんどん遠くなっていきます。
本当に生き残れたんだとゆう実感が湧いてきて、オコ様の背中により強く抱きつきました。
「ヒョッ!?」と奇声をあげながら体を震わせるオコ様の背中を見て、くすりと笑ってしまったのはナイショです。
街を抜け、都合よく武器を手に入れ、安全地域も確保して、新しくミレアも仲間に加わり、全てが順調に思えました。
……でもその思いは全部ダメになってしまいました。
オコ様が珍しく1人で物資を──弾薬を回収してくると言いいました。虫の知らせでしょうか……なんとなく嫌な予感がしましたが、ミレアも私も弾薬だけだしオコ様だからと完全に油断してそのまま1人で行かせてしまったんです。
……それがダメだったんです。
いつもなら30分以内で帰ってくるオコ様が、1時間以上経っているのに未だに帰ってくる気配がしません。さすがに様子を見に行った方がいいんじゃないかとミレアに声をかけようとした瞬間、とてつもない音量の爆発音が耳を刺激しました。
「この爆発音は……ボクの作った爆弾ッ!?あんこ行くよ!」
私はミレアに言われるがまま武器を持って、オコ様が居るであろう場所へと足を走らせました。目的地に近づくほど、私の中にある不安の波紋は大きく広がっていく。
そしてやっとオコ様がいる場所に着くと、2メートル以上はあるであろう化け物と……
左腕を無くしてうずくまるオコ様がいました。
私は頭が真っ白になってその場に立ち尽くしました。すると横から化け物の頭部を狙い撃ったミレアに、オコ様の元へ行くように指示され、涙が流れないようにぐっと我慢してオコ様を治療しました。
なんでもないと無理して笑うオコ様があまりにも痛々しくて、私は涙をこらえきれませんでした。
そんな大怪我を負っても、オコ様はまだ戦うと言って、そのまま化け物へとかけだしました。だから私も必死にオコ様を後ろから援護しました。少しでも注意がオコ様からこっちにいくように。
敵の動きがだんだん鈍っていき、希望の光が見え始めたとき…………私たちはまた絶望におとされました。敵の姿がより凶悪的な物に変わり、素早さもパワーも以前よりも強靭的に跳ね上がりました。
ミレアも吹き飛ばされ、オコ様も武器が折れて殴りとばされました。
前に残った私は、化け物がその凶悪な爪でこちらを貫こうとしているのを見ていることしか出来ませんでした。その爪が振り下ろされると同時に目を閉じた私は、誰かに突き飛ばされ、その場から離れた場所へと倒れ込みました。とっさに突き飛ばされた場所を見て、
──なんで化け物の爪がオコ様のお腹を貫通してるんですか?
そのままオコ様は化け物をすごい力で抑えこみ、私たちに逃げろと叫びました。私はなすすべもなく、ミレアに引きずられながらその場にオコ様を置き去りにしてしまいました。
そしてまた凄まじい爆発音が私たちを振動させました。
待って………この爆発音……オコ様の方から………まさか!!
「ちょ!あんこダメだって!!」
私はミレアの手を振り払ってオコ様のいる場所へと走りました。無事であって欲しいと願いながら。
でもそこには化け物であっただろう下半身しかありませんでした。
……いえ、本当は少し遠くに見えてました。
──おそらくオコ様のであろう右腕と愛用していたジッポライターが。
「…………あ」
私は震える手でその腕とライターを一緒に抱きかかて、その場に膝をついてしまいました。
「あんこ………その腕…………とゆう事は……オコは……」
頭の中で違うと否定したかった。でもこの手の形は………この手のひらのマメのでき方は……完全にオコ様のだと理解してしまう。
「…うあああああああああああぁぁぁぁッ!!」
「オコ………オコ兄ぃぃぃぃいいいいいいッ!!」
私が泣き叫んでも……、ミレアが名前を呼んでも……、返ってくるのは静寂とゆう残酷な現実だった。
──私は………この日、大切な人を失った……