私のいつか帰るところ   作:にくはるまき

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とにかく書けるときに書こうとバンバン進めてます。
現在ゲームで言うとDISC2が終わったとこです。はい。
頑張って進めますエタリタクナイ……

でもやはり脳内にあるものを書き出してるのに変わっていってしまう。ものを書くのは難しい。




リンドブルム〜フォッシル・ルー

 

日が昇り、我々はリンドブルムを訪れた。

城壁は崩れ落ち見るも無惨な光景が広がっている。

黒魔道士も倒れていて、まだ燃えている場所もあり火がくすぶり煙が立ちこめているのでとても空気が悪い。

 

メインゲートに入ってみたが、とても静かだった。

 

「何てひどいことを……お母様、リンドブルムにまで手を出すなんて……」

 

「気を抜くなよ、奴らまだ居るかもしれない。だけどビビは隠れていた方が良い、中に攻め込んだ黒魔道士達と間違われる可能性がある……」

 

ジタンにそう言われてビビはうんと頷いてリンドブルムに入るのをやめて近くで隠れることにした。

でも怖いから早く戻ってきてねと震えていて、私もビビに頑張れ!とエールを送ることしか出来なかった。

 

リンドブルムに入れば、あちらこちらに黒魔道士達が倒れている。

人は回収されているけど、黒魔道士達は放置されたままというのは何だか嫌な感じだ……

 

アレクサンドリア兵も我が物顔で歩き回っていて、住民は嫌そうにソレを睨んでいる。

兵はダガーの顔を見ても誰か分からないようで、誰も寄っては来なかった。

道中、倒れている黒魔道士を囲んで住民が騒いでいるのを見つけ、もう動かない黒魔道士を攻撃していた。

 

「やめろよ!そいつだっていきているんだぞ!」

 

ジタンが止めるが、住民は怒ってその手を止めない。

 

「人を人と思わねぇ破壊の仕方……まるでオレたちを建物の一部にしか見えてねぇような……コイツらこそオレたちを生きていると思ってねぇんだ!!」

 

あまりにもひどい光景に、私はジタンとダガーの手を引いてその場を去った。

気持ちは分かる。無慈悲に攻撃されて、たくさんの人たちが死んだ。その憎むべき相手が居れば、攻撃したくなるのも分かる。

でも操られているだけの黒魔道士が哀れでならなくて、アレが止まっているのが唯一の救いだと私は思いながらやるせなさに唇を噛んだ。

 

「今は我慢して……どっちの気持ちも分かるだろうけど今騒ぎを起こすのは良くない」

 

「……そう言うヴィエラの方が辛そうじゃないか」

 

「……つらい」

 

正直につらいと零しつつ街を進んでいけば、文臣オルベルタさんが居たので声をかける。

シド大公は無事だと聞き、そして我々が無事だったのも喜ばれたけど状況は悪い。

完全にリンドブルムは制圧されてアレクサンドリアのものになってしまっていた。

 

「殿下の元へご案内いたしましょう」

 

オルベルタさんがそう言って歩き出したが、私はもう少し街の様子をみたいから、と離れた。

もしかしたら生きている黒魔道士がいるかもしれない。

おそらく今までの中で一番数を使っただろうから、街中に散らばっていることだろう。

 

生きていて、意志までもってしまった黒魔道士が街の人に危害を加えられてしまったら、その子は深い傷を永遠に刻まれてしまうだろう。

だから私はあちこち屋根を飛んで路地などを見たり、皆止まっているのか確認していた。

 

すると薄暗く細い袋小路に三体の黒魔道士が集まっていた。

 

明らかにおかしい動きだ、攻撃の指令を出されているのであればこんな狭いとこに居るのはおかしいだろうし……

 

「立つんだ!早く逃げないと……」

「こわくて、体が、うごかないんだ」

「ニンゲンに見つかったら大変だ……!」

 

屋根の上から彼らの会話を聞いて、私は彼らの元へ降り立った。

その瞬間三体はビクンと体を震わせたが、私はすぐ駆け寄り、震えている黒魔道士の頬を撫でた。

 

「こわいね、大丈夫、私は傷つけないよ」

 

よしよし、と撫でてあげれば、逆に力が抜けてしまったのか座り込んでしまった。

 

「他の人に見つかったら大変だよ、早く逃げて。私も他の子達が目覚めてないか探し回ってるの」

 

「あなたは、一体……」

 

怯えて壁に寄っている黒魔道士が聞いてきて、お人好しのウサギさ、と答えた。

 

「君たちのように目覚めた子を以前見かけたことがあるんだ。おそらく他にもたくさん目覚めた子がいるはずだから、そこの子達と遠くへ逃げなさい。出来ればこの大陸からは逃げた方が良い」

 

「……わかった」

 

ずっと黙っていた黒魔道士がそう言い、二人を連れて走る。

魔法を使って空間をゆがませて自分たちの姿をくらませながら走って行く。

どこもかしこも穴だらけだから、城壁まで行けば逃げる穴くらいあるだろう……

 

さて、ほかにもいるはずだ、と私は立ち上がり、捜索を続ける。

 

倒れている黒魔道士をのぞき込んだら、急に瞳に光が点り、死んでる思っていたからこっちがびっくりしてしまった。

だけど黒魔道士は動かず、微かに声だけが聞こえた。

 

「いたい、いたいよ」

 

そしてその瞳の光は消えてしまう。

意志を持って、そして死んでしまったそれに私は耐えられず泣いてしまった。

こんな風に意志を持たないで欲しかった。辛すぎる。

 

その他にも、生きている黒魔道士を見つけたが、錯乱してしまって全然話が通じない子も居た。

 

「こないでこないでいやだこわいこないでいやだこわいこわいこわいこわい」

 

魔法は撃ってこなかったけど来るなと拳を振り回していて、私は近付いても殴られてしまい、近づけない。

殴られながらも無理矢理隙を見つけて抱きしめて、背中を撫でる。

 

「ごめんね、ごめんね、ごめんね……」

 

ずっと殴られているけど、私が強いからそんなに痛くなかった。

でも、心が痛くて謝りながら泣くことしか出来なかった。

 

「ナンデ、痛いコトしない?」

 

錯乱してた黒魔道士はやっと手を止めてくれて、でもカタコトな言葉で投げかける。

私はこの子の頬に私の頬をすり寄せ、背中を撫でる手を止めない。

 

「私はキミをいじめない。君の仲間がたくさん居る」

 

「みんナ、うごかナい」

 

「……キミみたいに動ける子もいたよ。……仲間を連れてくるから、ここで隠れていられる?」

 

崩れた建物の下に出来ているわずかな隙間があったので、そこに入ってと言えば素直に入ってくれた。

 

「私が来るまで動かないで、絶対迎えに来るから」

 

「うん」

 

良い子、と最後に頬を撫でてから、近くに同じような仲間が居ないか探し回った。

倒壊した家の残骸に潰されている黒魔道士も皆止まっている……あの子は一人にして逃げられる気がしない。

 

するとガタンと物音がして、その方向を見れば瓦礫の影から顔を出していた黒魔道士と目が合った。

私が声を出す前に引っ込んでしまったけど一気に距離を詰めて、逃げるその背中に抱き付いて止める。

 

「まって!大丈夫!!攻撃しないよ!」

 

黒魔道士は制止を聞かずに逃げようとする。何度も大丈夫、大丈夫と声をかければようやく止まってくれた。

離れてから向き合い、頬を包み込むようにして撫でて、落ち着いてと微笑んだ。

 

「お願いがあるの。キミのように意識がある子が居るけど、一人で逃げられないと思う。一緒に逃げて欲しい。他にも助けた子がいるから、とにかくこの場所からにげて」

 

「……他の、なかま」

 

「そう、仲間。こっちに来て」

 

手を引いて先ほどの黒魔道士の元に行けば、ちゃんと大人しく隠れていた。

中から出てもらい、二人で逃げるように言えば、二人でうんと頷いた。

 

「他の仲間にも会ったら、力を合わせて助け合ってね」

 

「助け、あう」

 

「……わかった。ありがとう」

 

二人は走り出し、城壁へと向かう。

私はそれから他の黒魔道士を探し回ったが、彼ら以外は見つけることが出来なかった。

やはり、そんなに数は多くない、か。

 

静まった路地で肩を落とし、諦めてそこから去ろうとしたら、後ろから声がした。

 

「あなたは」

 

振り返れば、黒魔道士が立っていた。

いつの間に居たのだろうか……それとも魔法で隠れていたのか……

 

「あなたは、何故黒魔道士を助ける」

 

ずっと見ていたのか、そう彼は質問してきた。

向こうから話しかけてくるのは初めてで、少し驚いたけど、助けたいからと言えば沈黙が支配する。

 

この子は他の黒魔道士と比べて随分と冷静だ。

 

「それは、答えになっているのか」

 

「答えを聞いてどうするの?」

 

逆に質問してみれば、またも沈黙。冷静そうに見えて実はそうでもないのかもしれない。目覚めて間もないから、たくさんのことが分からないから知ろうとしているのかもしれない。

 

「私は、人を殺した」

 

そこまで理解しているのも驚いたけど、私は仕方ないと言ってあげる。

 

「それはキミの意志じゃなかっただろう。だから、キミに罪はない。それよりも早く逃げなさい、人間に見つかったら大変なことになる」

 

「……どこに、逃げる」

 

この子は頭が良いのか悪いのか分からんな!!

仕方ないので私が連れて行くことにして、彼の手を引っ張った。

 

「姿を消せるなら消して」

 

と、いうと空間がゆがんで見えにくくなる。

そういう魔法は何て魔法なのか分からんが、黒魔道士の村に入るときに偽装されていたから、そういう魔法があるんだろう。

 

「他の黒魔道士達も逃げているところだと思う。高い崖があるけど、皆で力を合わせれば降りられる」

 

城壁を抜けてリンドブルムの外へと行けば、一部変に空間のゆがんでいる部分が見える。

おそらく皆そこに居るのかもしれない。

 

駆け寄ってみれば、私を見つけて魔法を解除してくれたのか、黒魔道士達が姿を現してくれた。

 

「あなたはさっきの」

「助けてくれたひと」

「なかまだ」

 

数は10人。よかった、結構居る。

 

「恩人よ、この下に行きたいのだが、どうすれば良い」

 

崖の下に行きたいが、方法が見つからないと皆が悩んでいた。

確かに、崖を普通に降るのは危ないよね……

私は彼らを降ろすために召喚術士にジョブチェンジすることにした。

 

「ジョブチェンジ、召喚術士」

 

額に一本の角が生えて、鎧姿から布の服に変わる。

一気に皆を降ろすために、抱えて降ろしてもらいたいから……

 

「バハムート」

 

飛べて、抱えられるのを考えると彼しかいない。

雲を貫いてバハムートは滑空し、我々の側に降り立つ。

ズシンと重たい音と共に現れたバハムートに、黒魔道士達は何人か尻餅をついたけど、私はバハムートに駆け寄って頭を下げた。

 

「彼らをこの崖の下に逃がしたいんです、力を貸してください」

 

するとバハムートは小さく唸りながら腕を組み、うんと頷いてくれた。

Ⅹの召喚獣は話が通じるからホント助かるよ。

 

「みんな、下に行けるよ!」

 

バハムートは5人くらいを一気に抱きかかえ、崖の下へと降りていく。

その際に抱えられていた何人かが叫んでいたけど、しかたあるまい。

下に降ろしてもらってからバハムートは残りの5人と私を抱えて下まで降りていく。

確かにこの感覚は怖いね。

 

下に到着してから、海まで皆で走る。

すると他の黒魔道士達も居たのか、空間がゆがんで姿を見せてくれた。

見えなかっただけで、私が初めてこの辺に来たとき、すでに居たのかもしれない。

 

「船が一隻あるんだ、これで外の大陸まで逃げよう。外にも大陸はあるはずだ!」

 

一人の黒魔道士がそう言い、私はあるよと頷いた。

船はアレクサンドリアの船で、どうやってかは分からないが盗んできたみたい。

大きさも十分で、今見えている人数でも余裕で乗っていけるだろう。

 

「ありがとう、優しい人」

 

「ありがとうウサギさん」

 

皆からお礼を言われ、私は気をつけてねと後を彼らに任せてバハムートの腕に抱えられながらリンドブルムへと戻るのだった。

以前のヴァルファーレで戻るのと同じで、ピナックルロックスに降りてから、バハムートを帰す。

さて、額の角をジタン達に見られるのは困るから、どうしたもんか。

 

仕方ないのでまた黒魔道士の帽子をかぶってリンドブルム兵に声をかけ、城まで行く。私の事は耳で覚えていてくれたみたいで、すんなりと通してくれた。ヴィエラでよかった。

やっとジタンやシド大公と合流したけど、また何でその帽子かぶってんだ?と聞かれ、気分と答える。ゴメン答えになってないよねゴメン。

 

それからビビも住民に攻撃されていたところを保護されて連れてきてもらい、これからの話をし始める。

ブラネ女王が狂ったのもそうだが、クジャという武器商人が怪しいと言うことになり、そいつをどうにかしようと言うことになる。

 

「クジャさえ居なければ、ブラネ女王もこんな風に戦力を持つこともなかっただろう。狂わせたのもやつの仕業かもしれないブリ」

 

ブリブリとシド大公はうなり、ダガーもジタンもうんと頷いた。

ビビも自分のような存在が作られていくことが許せず、クジャをやっつけようと言った。

 

「トレノでクジャを見かけたという者の話に寄れば、北の空より銀の竜に乗って現れるそうです」

 

文臣オルベルタが説明してくれて、外の大陸にいけば根城が分かるかもしれないと情報を得た。

そしてリンドブルムの近くの沼に、昔使っていた採掘場があり、その先が外の大陸に繋がっている可能性があると言われ、そこを探すことにした。

 

今現在動けるのはジタンとビビ、ダガー、そして私だろう。

シド大公もリンドブルムが降伏したからその後始末も残っているし、力は貸して貰えそうにない。

その代わり、古代から伝わる世界地図と準備のためのお金ももらった。

ビビはその姿だと歩き回れないので、色々な装備はジタンに任せることにしたのだった。

私もビビとダガーと一緒に待機し、半日そこで休むことになる。

私は召喚術士にジョブチェンジしてから同じく半日くらいなので、他のジョブにしたいがそれも出来ない。

せめて召喚術士から他にジョブチェンジしてからリンドブルムを出たいものだ。

 

「……ヴィエラはどうしてずっと帽子をかぶっているの?」

 

ダガーも気になったのか聞いてきたけど、ビビだってかぶってるといえば、あなたは普段かぶってないと言われる。

ジョブチェンジする度に姿を変えているし、普段の人であれば服を変えるのは普通だ。

 

「ファッションだよ」

 

「ヴィエラは何か隠してる」

 

ちょっとぎくりとしたけど、転んでたんこぶ出来たんだよ!と大きな声で言えば、びっくりしたのか一歩引いていた。ホントゴメン。

 

「……腫れが引くまで休んだ方が良いわ」

 

「出来ればリンドブルムを立つのは明日がイイです……」

 

と、そんなこんなで夕方になって、ジタンが戻ってきたけど休む間もなく最下層へと進んでいく。

最下層では兵は誰も居なくて、反対側の通路からブリブリと声がして、シド大公が飛んできていた。

 

「トロッコを止めてやったブリ!今がチャンスブリ!!ガーネット姫を任せるブリ!!」

 

はしゃいでいるシド大公にお礼を言いながら地竜の門へと向かい、我々は地竜の門から無事に出ることが出来た。

 

「えっと、沼は……こっちか」

 

ジタンは地図を見ながら、採掘場のあると噂される沼に向かう。

私たちも後に続き、私は時計を見る。ああ、ジョブチェンジするまでまだ先だ……トホホ。

 

ずっとかたくなに帽子をかぶり続け、一時間ほどで沼に到着した。

この沼には住んでいる種族がいるから聞いてみるとイイとアドバイスをもらて居るので、背の高い草をかき分けて行けば広い空間に出て、そこにはカエルが飛び交っている。

それを懸命に捕まえようと追いかけ回しているクイナと出会ったのだった。

 

「なぁ、この辺に採掘場があるって聞いたんだけど、知らないか?」

 

ジタンが必死に走り回っているクイナに話しかけるが、返事が無い。おそらく夢中なのだろう。

 

「……ジタン、あの人カエル取るの下手だから、代わりに取ってあげると話を聞いてくれると思うよ」

 

遠回しに、私はカエル捕まえたくないと言えば、仕方ないなとジタンはカエルを捕まえ、クイナにあげた。

 

「くれるアルか!?」

 

「いいよ」

 

ジタンにカエルをもらって大喜びしていたら、どこからか師匠が現れてクイナを呼んだ。

 

「誰かにもらって居るようでは、まだまだアルよクイナ」

 

「師匠!!」

 

クイナがジタンからカエルを受け取っているのを見ていたクエール師匠が、まだまだと首を振っている。

彼らは食の道の修行のために常鍛錬してる……?のかな?とりあえずクイナはカエルをたくさん捕まえるのが目標らしい。

外の大陸というものは二人とも知らないと言われたけど、外の大陸にはもっと美味しいカエルがいるかもしれないと言うことで、クイナもついてくることになった。

 

「仲間が増えるのは良いことだと思うよ、ヨロシクねクイナ。私はヴィエラ」

 

「よろしくアルよ!食の道はまだまだ果てしないアル!!」

 

皆とも自己紹介して沼にあると言われている採掘場を探すことになる。

ここに住んで長いはずのクイナが見つけたことないって言うのは、多分カエルしか見ていないからだと思うんですよね……

 

自分は採掘場の場所を知っているけど知らん顔してどこだろうって探してみる。誰も違和感ないみたいで気が付きません。へっへっへ。

 

長い草をかき分け、かなり時間が経ったその時、クイナがカエルの匂い!と走り出してしまい、ジタンはやれやれと追いかける。

だがその追いかけた先には採掘場の入り口があり、クイナは気にとめていなかったが、皆は見つかった事に喜んで、中に進むことにした。

 

「クイナのお陰で見つかったぜ!ありがとな!」

 

「カエルには逃げられたアルが、道が見つかったなら良かったアルよ」

 

遺跡のような採掘場の中を歩いて行くと、途中からやたらと凄い異臭が漂い、皆で鼻を押さえる。なんだ、この腐臭……!!

 

「これは、生き物が死んだときの臭いアル……!!しかもかなり大量アル……食べないで捨てるなんて何てもったいない!!」

 

だっとクイナが走り出し、その場所には山のように積まれているモンスターの死骸があり、皆がその光景に驚いている中、私は間抜けに「あ」と声を出した。

それは私がレベル上げに倒しまくったモンスター達だ。

盗掘屋さんがいくらか素材を剥ぎ取ってはいたが、大半が使えない気色悪いモンスターだったから残されてしまったんだろう。

 

「なんだこれ……ここで誰か力試ししたやつがいるって事か?」

 

わ、ワタシデース。と心で小さく手を上げて、コワイネと言いながら去ることにした。

 

通路を進んでいくと、急にガチャンと嫌な音がして、振り向いたらたくさんの武器を構えた謎の戦車のような何かがこちらに向かってきている。

 

「冗談じゃねぇぞー!!」

「きゃー!!」

「うわあああ!!」

「アイヤー!!」

「わー」

 

皆で叫びながら、振り子の斧が行く手を阻み、まるでインディージョーンズのアトラクションの様な感覚である。

迫り来る謎の戦車から逃げ、罠も避けてがむしゃらに走って行けば、通路に大きな穴が空いていた。

 

「みんな!とべー!!」

 

皆で大穴を飛び越え、そして追いかけてきた戦車は穴に落っこちていった。

それでも私たちは足を止められず、飛んだ先にあった細い通路に皆入っていって、逃げ切れたのを確認して足を止めるけど、勢い余って仲間同士でぶつかり合ってそこでコケてしまった。

私は一番ケツにいたので、ぶつかる前にブレーキかけて止めました。

 

皆は顔を合わせてから溜め息を吐き、一安心だねと思ったその時、女性の声がどこからか聞こえた。

 

「やれやれ、思ったより役に立たなかったようね」

 

そう言って姿を現したのは、狩猟祭でも出会ったラニという大きな斧を持っている女性だった。

裏の仕事をしているというから、結構危ない人ではある。

 

「えっと、どちら様でしょうか……」

 

ジタンはお姉さん系に弱いから、めっちゃ下手に出ていてダガーがぎろりと睨む。

ダガーもすでにジタンの事大好きよな。ふふふ。

 

「私はラニ、ブラネ女王でガーネット姫を探していてね」

 

まだブラネ女王が探しているというので、ダガーは眉を寄せながら、もうアレクサンドリアには戻らないと言えば、ラニはふふ、と笑った。

 

「用があるのは城から持ち出したものよ。大人しく返せば悪いようにはしないわ」

 

ブンブンと首を振るダガー。

ダガーがそれを拒否した瞬間にラニは大きな斧を振り上げ、ジタンがとっさに引き寄せて移動させが、ダガーの居た場所に大きな斧がズドンと轟音と共に突き刺さる。

 

「悪いけど、ガーネット姫を無事に連れ戻せとは言われてないの。さっさと出しな!くたばりたいの!?」

 

そうして斧を引き抜き軽々と振りかざす。

 

「ダガー!さがっててくれ!」

 

その攻撃はダガーを狙っていて、ジタンは自分を盾にしながら背後に追いやる。

ビビやクイナも距離を開け、攻撃の準備をするが、ここは狭い通路の中だから、思ったように攻撃は出来ない。

でもそれはラニも同じであろう。武器が大きいので振り回せば壁などに当たり引っかかってしまうだろうが、そう言う戦いも慣れているのか、小回りのきく攻撃をジタンに繰り出してくる。

 

ジタンはナイフで斧を受け止めるが、重量もあるのか少し苦戦していた。

私も試しにぴょんと跳んで彼女の背後を取り、召喚術士なので武器が杖なのだがそれで殴ってみようとしてみたが、ラニはくるりと体を捻ってこちらに振り向きざまに斧で振り払われる。

 

とっさに杖でガードしたけど、3歩ほど後ろに下げられた。

 

「ははっ、術者のくせに杖で物理?どれだけ頭悪いの?」

 

あざ笑ってきたのでもう一度杖でぶん殴りに行ってみたら、私も結構力を込めていたのもあってか、まるで剣で打ち合っているかのような感覚になる。

大きな斧を杖で弾き、こちらが振りかざせば向こうは斧でガードし、でもその威力に目を見開きながら彼女は怒鳴ってきた。

 

「杖でなんでそんな威力が出るのよ!あんた術者でしょ?!」

 

まぁそりゃ、ビビやダガーの杖攻撃だけでモンスターを吹っ飛ばしてたらびっくりするよな。私はレベルが高いからこうやって杖だけで牽制できるんだろうね。

 

「ふっ、強くなり過ぎちまったぜ」

 

「むっかつくわね!!」

 

彼女の斧のラッシュが始まり、それを杖で受け止める。

私はまぁこれくらいにしておくかと、ぴょんと跳んでジタンの背後についた。

 

「杖には限界があるのでジタン任せた」

 

「ええ!いきなりかよ!!……しかたねぇな」

 

そしてジタンがラニに向かっていき、戦いが始まって数分経って、分が悪いと感じたラニは退散していく。

採掘場の入り口の方へと走っていき、我々はやっと一息つくのであった。

 

「ヴィエラ、急に任せるってひどくないか?」

 

「だって杖ボロボロになりそうだったんだもん」

 

結構へこみと切り傷を受けてしまった杖さん……物理なんてさせてしまったばかりに。すまん。

 

「そう言えばなんでヴィエラは魔法を使わないんだ?杖持ってるって事は魔法が使えるんだろ?」

 

「洞窟が崩落してもイイならつかうけど」

 

私の一言で、ギザマルークの洞窟の出来事を思い出したジタンはブンブン首を振っていた。

実際、この狭い通路で召喚獣はまずいだろう。

 

「……あとさ、ずっと言わないで居たけど、なんでまだ黒魔道士の帽子かぶってんだよ」

 

「転んでたんこぶ出来たのー!見せたくないのー!」

 

ぷいと背を向けて私は勝手に進んでいく。

時間が来たらさっさとジョブチェンジしよ。久しぶりに精霊使いになりたいな。レイピアの攻撃も出来るし、敵にデバフもかけられるし、サポートにはもってこいなんだよね。

 

時計を見るが、まだ時間にはならない。

あと3時間くらいなんだが、この洞窟を進んでいればそれくらいになるだろう。

 

それから野生のガルガントに掴まって奥まですすんだり、スイッチを変えたりしてガルガントの行く先を変えたりして進んでいくが、道が入り組んでいてとても迷子になる。

 

「ジタン……一回休憩しようよぉ」

 

流石にガルガントに乗って逆さまになったり右行って左行って……この洞窟内で彷徨ってかなり疲れてしまった。

途中で出会った盗掘屋さんのトコに戻って、皆で一旦休憩することになった。

 

盗掘屋さんは私が召喚術士だから見た目が違うこともあって、会ったこと無いと思っているようで声をかけてこなかった。

まぁ、ありがたいが、精霊使いに戻ったら「あの時の!?」って言われそう……めんどくさい。買収しとくか。

 

「ねぇおじさま」

 

盗掘屋さんに寄っていき、実はと話をしていく。

 

「小さな声でお願いします、ほら、私入り口でモンスター狩りしてた……」

 

「……あ。あの時の騎士見習いか。どうした?」

 

「実は、私がここに来ていたことを内緒にして欲しいので、おじさまとも初対面だったというふりをしていて欲しいんですよ。もちろん謝礼はありますよ」

 

ジタン達と来て、最初にポーション一個くれないかと聞かれたから、ポーションが欲しいんだと思う。いっぱい持っているので5個ぐらい見せたらにっこり笑って、ありがとな、見ず知らずのお嬢さんと言ってくれた。交渉成立。

これで思い出されたり、精霊使いに戻っても何も言われることはないだろう。

 

ジタン達の居る場所まで戻れば、クイナがお腹がすいたと言ってうなだれている。

沼に居るときも結局カエル1匹しか捕まえていないもんな……

 

近くには木材やロープがたくさんあったので、近くの水辺で魚釣りをしようと言うことになった。

こういうのはジタンが得意だと言って色々と準備してくれる。

ダガーも初めての釣りにちょっとワクワクしながら、皆で竿を握り釣り糸(縄をほどいて細くしたもの)を垂らす。

先端にはそこらで倒したモンスターの肉を縛り付けて置いたので、かかってくれるだろう。

 

数分待っていたら、ビビの竿に魚がかかり、続いてダガーの竿にも魚がかかった。

ビビのは大きくて一人では釣り上げられなくて、クイナが一緒に引っ張り上げてくれた。

ダガーのは手のひらより少し小さい小ぶりの魚だった。

 

「ビビおっきいね!すごいじゃん!」

 

「クイナが一緒に上げてくれたから釣れたよ!」

 

嬉しそうに釣れた魚を抱えて、びちびち跳ねるのを押さえていた。

クイナは鍋を探しに行き、私もそれに続く。

 

「ここら辺は色んな道具が落ちているアルね。鍋とかフライパンもありそうアルね」

 

「あ、これどうだろ!比較的にきれいだよ!」

 

私はフライパンと鍋を拾い上げ、中を覗く。

鍋は土が入っているだけで、穴も空いてないし使えるだろう。

フライパンは持ち手が変形しているだけで、それ以外に問題は無い。

 

水辺でフライパンと鍋を洗い、ビビを呼んできて火を起こす。

レンガを組んで鍋を煮込む準備も整い、ジタンとダガーが大きな魚を持って戻ってきたので、これで食料はOKだろう。

 

「クイナさん、調味料はこういうの持ってるんだけど、使えそう?」

 

私の4次元バッグから持っていた調味料を見せれば、十分アルと頷いてもらった。

それから野菜をガルガン草で補い、料理開始!

 

「そうアルねぇ。ビビの釣った魚はスープに、ジタン達が持ってきたのは炒め物にするアル」

 

手際よく魚を捌き、ガルガン草も刻まれていく。

スープに調味料とハーブを入れて煮込み、そして同時進行でフライパンで焼き目を付けつつガルガン草と炒めていた。

ガルガントが好む草ってどんな味なのか分からないが、クイナのご飯は美味しいだろうなと、良い匂いを嗅いで待っていたら完成したのだった。

 

「良い匂いだな!」

 

「ガルガン草での料理は初めてアルね!私もワクワクアルよ!」

 

料理する前に生でモグモグしていたから、味付けに失敗はしていないと思う。

というか、長旅になるかもしれないなら料理道具を用意するべきだったよなと後悔してます。

 

その辺で集めた食器を洗っておいたので、それにスープと炒め物を分けて皆で食べる。

魚も美味しいし、ガルガン草も甘みがあってシャキシャキと歯ごたえのある食感。スープも調味料が絶妙なバランスをたもっていて、全ての具材の味と混ざってとても美味しい。

流石アレクサンドリアの厨房にいただけあるよ!!

 

炒め物も美味しくて、おっきな魚二匹だったのに、あっという間に食べてしまったのだった。

 

「クイナの料理、本当に美味しかったわ!」

 

ダガーも満足そうに微笑み、クイナは残っていた魚の骨もポリポリ食べている。何も残さないんだろうなぁ……

 

「ワタシ料理は得意アルよ!食べるだけじゃ無いアルよー」

 

「クイナを連れてきて良かったぜ!」

 

ジタンもクイナのお陰で美味しい食事にありつけたから、皆でお礼を言うのであった。

 

「外の大陸に行ったら、またこうやって食べるアルよ」

 

「その時はまた頼むぜ!」

 

こうして洞窟内なので時間が分からなかったが、もう夜も遅くなってしまっていることに気が付いた。

盗掘屋さんも寝るために残されていた小屋に入ったようで姿が見えない。

我々も食事も済ませたし、今日は寝ようと言うことでテントを張るのだった。

 

私はもうジョブチェンジが出来るので、召喚術士から精霊使いに戻っておいた。

釣りしているときにはもう時間が来ていたのにチェンジするの忘れてたぜ。やっぱりタイマー的なの欲しいぜ。

 

「あれ、服変えたのか?」

 

ジタンは私の変化に気付き、レイピアが使い勝手が良いと剣を振るう。

ヒュウと風を切る音はきもちがいいな。

 

「私の魔法だと洞窟が崩落しかねないから、サポート的な魔法にとどめたかったから変えたの」

 

「使える能力が変わるって不思議だな」

 

「クイナだってモンスター食べてモンスターの技覚えたりだからクイナだって不思議だよ?」

 

「たしかに……」

 

そう言ったら納得してくれたみたいで、それ以上聞かなかった。

テントで休んで夜を過ごし、目を覚ましてまた釣りをしてガルガン草の料理を楽しみ、先へと進んでいく。

 

「もうさ、こうやってガルガントを乗っていくのも疲れたよー……逆さまになるから頭に血が上るしーー」

 

私は文句を言いながらガルガントから降りて、付近に居たモンスターをレイピアで切り捨てる。

ここ最近レベル上げしてないからそろそろどっかでやっとかないとなぁ。

 

「そういうなよ、ガルガントが居なかったら歩いて進まなきゃならなかったんだぜ」

 

「そうなんだけどねぇ……」

 

逆さまになるのがいやなのよぉ、うええ。

 

そうやって文句を言っているうちにどんどん先に進んでいく。

そしてようやく洞窟の出口に辿り着くことが出来たのだった。

 

「この光は……霧が晴れているのか?」

 

そう、霧の大陸は名の通り霧に包まれているのだが、その外の大陸は霧がかかっていない。だから、どこでも晴れ渡る青い空を見ることができるのだ。

 

「さぁ、行こう!」

 

私は先に出てお日様の光を浴びる。

霧の香りも何も感じない、すがすがしい空気だ。

 

「すごい……!霧が無い……!」

 

ダガーも驚いていて、ビビもクイナもキョロキョロと辺りを見渡していた。

だが、外の大陸は霧の大陸と違って荒野が多いきがする。あまり緑豊かではない。

 

でも、この大陸にある文明の中で、コンデヤ・パタはとても新鮮な山の幸が採れるって記憶があるから、そこでのご飯が楽しみだなと微笑みながら、遠くに見えているコンデヤ・パタの建物を指さした。

 

 

 

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