バンバン書いてます。
がりがりがりがり、
黒魔道士の村からコンデヤ・パタに戻り、聖地への行き方を聞いて回る。
それとついでに食料の調達も行い、今日も美味しいご飯が食べられそうな予感である。
てけてけ歩いていると祭司と話しているジタンとダガーを見つけ、話を聞いていると聖地は夫婦になった者ではないと通ってはいけないらしい。
つまり、夫婦になれば良いと言うことである。
「どうする?ダガーとオレが結婚しちまえばあの道を通れるって訳だけど」
「……いいわ」
半分冗談で言ったんだろうけど、ダガーはジタンと結婚すると言ってジタンはかなり驚いていた。
「あの道を通るのに他に方法がないのなら仕方が無いわ」
「そ、そうだけどよ……」
唖然としながらジタンはダガーを見つめ、祭司は夫婦になる者が増えるのであれば、他種族であれ歓迎するといって準備をしに行った。
「えっと、どういうこと?」
混乱しているジタンをよそに、ダガーは祭司の方へとついていった。
私はニヤニヤしながら、ヨカッタネ!とジタンの肩を叩いた。
「ビビとクイナも儀式を執り行ってもらって、私はネズミ族並みのジャンプ力があるから先に聖地への道へ行くよ。じゃ、待ってるね」
「え!おい」
ジタンの返事も聞かぬうちに私はジャンプでコンデヤ・パタの建物の上に登り、巨大な木の根を飛び移って難無く入り込むことに成功した。
木の根の上でのんびり待っていると、小さな女の子の悲鳴が聞こえた。
下を覗いてみれば、小さな者が枝に引っかかっているのかバタバタと動いているのが見える。
エーコとモグだな。
そしてコンデヤ・パタの方からジタン達もやってきて、それを見たモグがエーコを見捨てて逃げていった。
「こらまてぇーっ逃げるなモグー!薄情者ー!!」
それからがっくりと肩を落として大人しくなったところにジタン達が囲めば、「ぎゃあおたすけー!」と叫んでいる。
エーコかわいいなぁ。
「だめよ私を食べるなんて!きっと美味しくないわ!!」
なんでかエーコさんは自分が食べられると思っているのか大騒ぎ。
だけど、クイナさんが「あの変わった色のモーグリはうまそうアルね」何て言って追いかけて行った。
クイナさんは何でも食べるからモーグリにも手を出してもおかしくないのがまた怖い。
クイナさんがエーコの引っかかっている土手の上から隣の離れた土手に飛び移った衝撃で、エーコが落下。
それをジタンがすかさずキャッチしてくれて怪我はなかった。
話も聞こえづらいしそろそろ私も降りるかとジタンの後ろに飛び降りれば、ジタンは「うおっ」ってびっくりして、エーコは「ひぎゃあ!」って怯えていた。
「やあ可愛らしいお嬢さん、私はヴィエラっていうの。驚かせてゴメンネ」
第一印象を良くしようと名乗ったけど、私の耳を見て固まっている。
ヴィエラは見たいことないから興味津々でしょうね。
「耳は柔らかいのよ、触ってごらん」
片耳を差し出せばエーコはにぎにぎと掴んで柔らかいと呟いた。
少しは緊張がほぐれたかな。
「ヴィエラもしかして上でずっと見てたのか?」
ジタンに言われてうんと頷き、入るタイミングが分からなくてさと笑った。
そしてその時エーコはずっとジタンに抱えられていることに気が付いて飛び降り、片言で「アリガト」と言った。
おじいちゃん以外に初めて見た人間で、しかも男性に抱えられるなんて思春期には恥ずかしいよね。
「大丈夫?」
ダガーも声をかければ、うんと頷いた。
「怪我はない?」
更にダガーが声をかければ、エーコはフンと鼻息を荒くしてそこの青い子みたいな子供じゃないわ!と言い出す。
「……でも君、ボクとあんまり変わらないような」
「しっ失礼しちゃうわ!それにキミだなんて!私にはエーコっていう立派な名前があるんだから!それにレディーに名前を訊く時は自分から名乗るってのが礼儀ってものだわ!ヴィエラなんて礼儀正しいお姉さんだわ!」
わーい褒められた。
「私はダガー、こっちの子はビビよ」
「ふうん、で、あなたは?」
エーコは振り返り、ジタンを見上げる。
ジタンも名乗り、彼女は満足げにうんうんと頷いた。
「エーコ嬢、それで、あなたは何をしていたのかしら。コンデヤ・パタの方々から追われている様に見受けられましたが」
紳士的に丁寧に接してあげてみている私に、ジタンが何故?と言わんばかりの眼差しをしているから、貴族ごっこと言ったら笑っていた。
エーコに合わせてごっこ遊びしているのが分かったようです。
「そうそう、そのエーコさんはなぜ盗みなんて働いたんだ?」
「……お腹、すいたの」
「そりゃまた立派な理由だ、まるでクイナみたいな……そういえばアイツほんとにモーグリを追っかけていったのか?」
ジタンはクイナが進んで行ったであろう山道を見つめて、エーコがモグが食べられちゃう!と慌てていた。
「まぁ、さすがにモーグリは食べないと思いたいよね……」
食べないよ、という絶対的な言葉が欲しいですが、残念ながらそうも行かず。
「ねぇ、エーコの家ってこの先にあるの?」
ダガーがエーコの住処を聞いてみれば、ずーっと向こうにあると言われた。
恐らくモグも先に帰ってしまったことも溜め息交じりで話してくれた。
そして、ダガーがこの子を家まで送ってあげようと言うことで、マダイン・サリへと向かうことが決定した。
その最中ジタンがダガーと夫婦と言うことを言ったのだが、ダガーにすかさず「オトモダチ」と修正されてしまい、「オトモダチには昇格できたのね……」と肩を落としていた。
姫様のガードは堅く見えるけどそうでもないわよジタン!ファイト!
「私の家まではこの山道を進んでいかないと行けないから、皆足下に気をつけてね!」
一部ぐねぐねとうねる木の根を歩くから、足下は安定していない。
ビビは気を抜いたらコケそうだ。
どんどん進んでいけば、見晴らしの良い景色と共にとても巨大な樹が見えた。
クレイラも大きかったけど、それ以上だろう。
「アレが……聖域?」
ジタンが呟き、エーコはそれの説明をする。
「アレはイーファの樹ってエーコ達は呼んでるよ」
「ふーん」
私はあまり興味なさそうに視線を道に戻す。
あの樹は後でたくさんお世話になるから、今はイイ。
「エーコの家はまだ先だよ!」
エーコについていくと、途中変な地響きがして、大きな生き物が歩いている震動だと気が付く。
「何か居るね」
私の言葉に、エーコはぷんと怒ったように腰に手を当てて「まったく邪魔してくれて!」なんて言ってるうちにでっかいモンスターとエンカウントしてしまった。
「時々出てくるの、いつもはエーコ急いで逃げてるんだけど……!」
ハルクみたいな緑色でピンクのパンツを履いた人型のモンスター、ヒルギガースは大きな拳をこちらへ振りかざしてきて、避ければ地面に亀裂が入った。なんなんだこのモンスター。
「大丈夫だよエーコ、今回は味方がいるからね!戦おう!」
私はスリッピィレインで水の塊を足に当てて相手の動きをスロウにする。
そしてシャイニングエアで強い光と突風を起こして砂埃を上げ、ヒルギガースの目を潰した。
「よっしゃー!相手は動きが鈍いし目を潰したぞー!!たたみかけろー!」
私の言葉に皆が攻撃態勢に入り、まずダガーがラムウを呼んで雷の攻撃を仕掛けた。
「ラムウ、お願いします!」
それから更に雷の攻撃を浴びせれば、ヒルギガースはラムウに襲いかかる。
ラムウは光になって消えていき、ヒルギガースの拳は空を切った。
それからビビの黒魔法、ジタンのナイフがヒルギガースの体力を削っていき、かなり苦しくなったのか雄叫びを上げて暴れ始めた。
この状態で近付くのは危険だから、一旦皆で待避する。
「あんなに派手に暴れてると、岩とか飛んできそうだな」
どうすっかな、なんてジタンが考えている横で、エーコが笛を鳴らした。
「フェンリル!アイツを吹っ飛ばしてちょうだい!」
そう言ったら大きなオオカミのような何かが現れ、その足下がせり上がってゴーレムのようなものができあがる。
そしてヒルギガースの足下から巨大な腕が生えて、キレイなアッパーでヒルギガースは空の彼方へと吹っ飛ばされていったのであった。
「ありがとフェンリル!もう帰っていいよ!」
そう言われたフェンリルは遠吠えをしてから光になって消えていった。
「ふう、いつもだったら避けられて当てられなかったんだけど、今回は皆のお陰で当てられたよ、ありがとね!」
ジタン達にお礼を言うけど、召喚獣を出したエーコにダガーがなぜ使えるのか聞いてみたけど、ダガーも使えるじゃんと言われてしまう。
「普通は呼べないぜ、エーコは昔から呼べたのか?」
「そりゃそうでしょ?おじいちゃんもみんな呼んでたよ」
エーコにとって、召喚獣は当たり前だったし、それ以外の人間を見たことがないから使えない方が不思議なようだ。
「そんなことはいいわ、さあ、いきましょ」
ヒルギガースもやっつけてこのへんに平和が訪れ、そのままエーコについていく。
すると山道を抜けて広い荒野に出ることが出来た。
奥の方にはなにやら建物が見えて、そこに住んでいるんだなと皆はすぐに理解して進んでいく。
ついにマダイン・サリに辿り着いた。
「ここがエーコの済んでいるマダイン・サリなの!」
「ここが……?」
マダイン・サリは瓦礫の山で、文明があったがもう滅んで廃墟になっているようだった。
人が住んでいるにしては活気がない。
「何かあったのかしら……まるで……廃墟、だわ……」
ダガーは何か感じながらも荒れ果てた光景に言葉を詰まらせている。
知らないはずなのに、何か知っている感覚なのかも。
その時瓦礫の影からモーグリ達が顔を出して、あちこちモーグリだらけになった。
「人の代わりにモーグリの巣になったみたいねぇ」
いっぱい出てくるけど、モグだけが居なくてエーコは食べられてしまったのかと顔を青くしたが、隅っこの方からチラリと、申し訳なさそうにモグが顔を出す。
そしてエーコのところに飛んできたけど、「エーコはもう怒ってないわ、でも次置いていくことはしないでね」って言ってて、まるでお姉さんだなって微笑ましい場面にふふっと笑ってしまった。
このモーグリがまさか召喚獣マディーンだとは思わないよな。
今はまだ覚醒してないからこうなのかもしれないが、結局は最初から召喚獣なのよね。
召喚獣は人の想いで生まれるという説もあるから、両親の願いによってモグが生まれたって解釈だったと思う。
「ジタンー!ついてきてー!」
エーコに言われてついていけば、噴水があったのだろう広場に行き着き、エーコはジタンに興味津々で質問攻めしていた。
流石のジタンも困っちゃってた。
ちゃんと答えてあげていて、その間に私もうろうろしたりしている。
だけど、ダガーは何だかぼーっとしていた。
やはり、記憶がなにかよみがえりそうなのだろう。
「ダガー大丈夫か?なんかぼーっとしてるけど……」
「ううん、何でも無いわ」
何だかジタンがダガーにべたべたするから、エーコは二人の関係を疑うが、ジタンは「仲間だ」と答えた。
たしかに、オトモダチというよりも、我々は仲間だよね。
するとどこからかモーグリがやってきて、片付いたと伝えた。
それからエーコが料理を振る舞うから絶対食べていってね!と言われたのでごちそうになることになった。
「後で呼ぶからここで待っててね!」
そう言ってエーコは走って行き、私は後を追うために瓦礫の山を飛んでいく。
エーコの家の調理場に勝手に入り、そこに居たエーコがぎょっとしていた。
「急にごめんね、私イイ食材持っているから、ぜひエーコ嬢の料理に、と思いまして」
持っている材料を見せたら、エーコは目を輝かせて「こんなにたくさんの材料いいの!?」と喜んでくれた。
コンデヤ・パタで盗みをするくらいだから、店に並んでいる品々を見たことがあるだけだっただろうから、そりゃあうれしいだろう。
この子がおなかいっぱい食べられるようにこれで貢献できたかな。
「ねぇ、ヴィエラってジタンの事どう思ってる?」
「仲間だね。ジタンは優しくていい人だよね」
そしたらエーコはうんうんとうなずいて、私は微笑んだ。
「エーコがジタンのハートをキャッチ出来るように応援してるわ」
「えへへ、ありがとヴィエラ!そうだ、モリスン。待っている間まだまだ時間がかかるから、召喚壁を見学させてて!ヴィエラも行ってきて!」
召喚壁をこの目で見られるのはめちゃくちゃ嬉しいことだ。
私はモリスンについていき、家から出る。するとジタンとも出くわして召喚壁を見せてくれると言うことを伝えた。
飛んで行くモリスンについていけば、途中でダガーに声をかけて三人になる。
モリスンの解説と共に召喚壁の中に入り、召喚士一族が守り続け、そして研究してきたそれを壁に書かれてると聞かされた。
ダガーも文献で読んだことがあるから、いくつかの召喚獣の名前を口にしている。
「……これは何かしら」
「恐らく、バハムートだね」
私はその名を口にすると、ダガーは目を見開く。
「……ヴィエラはここの召喚獣を全て知ってるの……?」
「そうだね、ある程度は。古い古い文献に残ってたり残ってなかったりね」
そう言ってラムウの書かれている壁を撫でる。
すごいな、これらを全部見つけるってのが本当に凄い。
「……ヴィエラは、何者なの」
ダガーは聞いてくるけど、私は遠いとこから来たウサギと答える。
「私のような種族は見たことないでしょ?私たちも人々から知られないようにひっそり生きているって事よ。まぁ、召喚士一族とつながりはないけど」
「どうしてヴィエラは外の世界に出たの?」
「来たかったからだね。探求ってのは楽しいものだよ」
ふふっと笑えば、ダガーにブラネ女王を止められる召喚獣はないかと聞かれたが、それは難しい質問だった。
「なんだかんだ、全部威力が高いからね。シヴァは全てを凍り付かせる、イフリートは地獄の火炎で燃やしつくす。バハムートはやめておけ、メガフレアはえげつない。オーディンもクレイラを潰すほどの威力だし、うーん、きついな」
正直止めるものってどういう風にして止めるんだろうか。
アレキサンダーくらいなのかもしれないけど、それは宝珠が無いといけないし、エーコが居なきゃダメ。
「どうしてそんなに詳しいの!?」
「ヴィエラは特殊なんだ」
「誤魔化さないで!」
「うーん、知っているからとしか言えないんだよね……文献に載ってるでしょ、これくらい。オーディンはクレイラから逃げるときに見てるしさ」
まだ納得して無くて、ダガーはモヤモヤしているみたいだった。
余計なこと言ったなぁ……
「おいおい……二人ともどうしたんだ」
ジタンもやってきたけど、私は溜め息交じりで少し話すことにした。
「カーゴシップの時に居たあの翼竜、あれは召喚獣ヴァルファーレ。私は召喚魔法が使えるの」
急にカミングアウト下から二人がびっくりしていて、速いけどネタバレをすることにした。
「私は特殊で、様々な戦闘スタイルに変えることが出来るのは、一緒に戦って知っていると思うけど、その中に召喚士ってのもあるの。私はこのマダイン・サリの召喚士一族とはなにも関係はないけど、召喚魔法が使えるからある程度召喚獣のことも調べて知っているってわけ」
「ヴィエラも召喚魔法を使えるのか!?」
「ここに書かれている召喚獣とは似て異なるけどね。最も、ヴィエラが召喚士の力を借りて使えるってのか正解だね」
「何で黙っていたの?」
「抽出されちゃ面倒だから隠していたってのが一番かな、ブラネ女王は召喚獣を集めているから、私まで使えるのを知られたらまずい気がしてね」
そう言えば、ダガーは黙ってしまい、ジタンもそりゃそうかと納得してくれた。
「私は別な戦い方が出来るし、なるべく召喚獣を使わない方が私はイイかなっておもうからなるべく使わないんだ。使わなくても強いでしょ?」
すると二人ともうんと頷いた。
「隠しててゴメンネ、でも皆にはなるべく内緒にして」
そうして三人の秘密になり、しばらくしたら食事の準備が出来たとのことで呼ばれるのであった。
ごちそうが並んでいて、エーコはクイナさんにも手伝ってもらった事を話し、食事を始める。
とても美味しい料理に皆が大満足だったのだが、エーコ以外の人を見かけないことを聞いてみたら、皆死んでしまったと言った。
「エーコが生まれる4年前だから10年前かな、村は天変地異に襲われて壊滅しちゃったの。生き残った人も無事ではすまなかったって。でもその中でお父さんとお母さんが愛し合って私が生まれたの。っていっても、小さい頃に死んじゃったから顔も覚えてないんだけど、その後はおじいちゃんと暮らしてたの。そのおじいちゃんも一年前にしんじゃったけどね、だからエーコが最後の生き残りなの」
そして、16歳になったら召喚魔法の耐性がつくから好きな召喚獣と村を出てイイって言われているらしい。
たしかに、ダガーも16歳になるのをまっていたからね。そういう文献も残っていたのだろう。
それから召喚獣と召喚士の魂のつながりの説明を受け、大きくなるまで好きな召喚獣を選んで呼ぶことは出来ないようだ。
今呼べるのは、自然と知っているものだけって感じなのかな。
「角で召喚獣と交感するのよ。ダガーって不思議だわ、どうやって交感しているの?」
「…………」
ダガーは自身が何故召喚魔法を使えるのか全く分からないし、角で交感していると言うことを初めて聞いて黙ってしまう。
だけどその答えは出ることはなかった。
「……ヴィエラ」
「いや、私もその時は角あるんだわ……」
「そう……」
ヴィエラだって召喚魔法使うけど角無いじゃんって思ったんだろうけど、残念、角あります。
「今度機会があったら見せるよ」
食事を終えたダガーの肩をポンと撫でたら、うんと頷いた後にうつむいてしまった。
その後、食事を終えた皆で食器を運んだりして、私は考え事をしているビビのトコにやってきた。
「よ、悩める少年」
「お姉さん……」
ビビはこっちを向いたけどまた視線を下の方の川の流れに戻してしまう。
私はポンポンと背中を撫で、何も言わずに隣に居た。
ビビも何も言わずそのままだった。
そのまま皆でマダイン・サリで一泊することになり、私はすんなりと眠りについた。
目が覚めてから、ジタンにイーファの樹に向かうことを知らされる。
銀竜の目撃情報もそっちだからね。
でもイーファの樹には召喚獣で結界を張っているから入れ無いとも言う。
そうなると進むことも出来ないのだが、エーコがついてきてくれることになった。
「どうしてもエーコが必要よね!しかたないわね、今だけ仲間になってあげるわ!」
とのことで、エーコが仲間になり、イーファの樹を目指すことになったのであった。
イーファの樹の前にまでやってきた我々。
霧が溢れていて、ここが霧の根源だと言うことがなんとなく分かる場所だ。
薄気味悪いし少し寒い。
そしてちょっと進んでみたら、見えない壁みたいなのに当たったみたいで、ジタンは跳ね返された。
「それが結界よ、今解いてあげるわ」
エーコがそう言うと何か呪文的な何かを唱えるのだが……エーコは途中でやめてしまった。
「んもぉ、しかたないなぁかっこつけたかったのにー」
そして結界は解かれてルビーを手に入れる。
カーバンクルだったんだろう。
「エーコ、さっきの呪文は?」
「ホントはいらないんだけど、かっこつけたかったから唱えてみたんだけど、召喚獣に戻すなら早くしてって急かされちゃって」
私も角がないから、召喚獣のやり取りは全く聞いていないのである。
ダガーも何も感じなかったし聞こえなかったから、凄くがっかりしている。
「まぁまぁ、ダガーが召喚獣を使えるのはたまたまなのかもしれないしね、そういう例外もあるのかもよ」
「…………」
ダガーは黙ったままで、とにかくイーファの樹を進もうと言うことで、うねる幹を登っていく。
クレイラのように整備されているわけじゃないから登るのが辛い。
進んでいくと、何やら人工物があるのが見えた。
青と水色……この色と作りはテラのものだ。
「一体誰が作ったんだ……」
ジタンは眺めながら呟き、真相を知る私は不思議だねって言う。
そして中央に何やら円盤があり、私は触っても何も反応しなかった。
やはりジェノムであるジタンがキーになっているのだろう。
「ねぇジタン、これ動くかなぁ」
コンコンと叩いてみたけど反応なし、ジタンが同じく触ったら、淡く光が点った。
ついでに乗ってみたら下に降りていき、ジタンは途中でジャンプして上に戻ってくる。
「どうやら下に行くための装置みたいだね、戻ってきたら行ってみようよ」
私がそう言うと同時に戻ってきて、皆で一斉に乗ったら下へと降りていく。
リンドブルムの城のリフトと違って揺れはあまりない。
下につけば、またうねる根を歩いて行くことになるが、下に来たせいかかなり薄暗い。
モンスターもアンデット系がいるしな。
どんどん進んで下がっていくと、先ほどまで薄暗い場所だったのが、やたら緑色の場所に出た。
緑が多い茂っているとかの緑じゃなく、未知なるエネルギーを感じる。
近くに葉っぱの乗り物的なのがあったが、エーコと私が乗ってみても反応はない。
「動かないわねぇ、これが動くと思ったのに」
「ホントだねぇ。もしかしたら体重が重くないと作動しないとかかな?」
知らないふりで適当なことを言っておく。
でも重さで反応するギミックもあることはあるからさ。落とし穴とか。
「ねぇ、変なのあるから皆で乗ろうぜー」
「ヴィエラ!エーコ!なんで乗ってるんだよ危ないだろ!」
「私は素早いのでいいかなって」
「……まぁヴィエラなら大丈夫だろうけど」
こうして葉っぱの乗り物に皆で乗ったら、やはりジタンが乗った事で反応しているようだった。
それに対して「オレの日頃の行いがいいからかな」とか言っているので片言でソウデスネと返しておいた。
リフトはぐんぐん下へと降りていき、先ほど自分たちがいた場所はあっという間に見えないくらい高いところになってしまった。
「クジャと霧……どんなつながりがあるんだ」
「でも、霧が生まれるのがイーファの樹なのに、どうしてジタン達の大陸にだけ霧があるのかしら」
エーコも疑問に思い、皆で首をかしげた。
外の大陸のイーファの樹で作っているのに何故わざわざ霧の大陸に流すのだろうか。
悩んでいる中、別なことに悩んでいるのか浮かない顔をしているビビが居て、ジタンが駆け寄る。
「ビビ、どうしたんだ?」
「ボクも霧について考えていたんだ……ダリ村の工場のこと……覚えてる?」
「黒魔道士達が作られていた工場ね……」
ダガーがうんと頷き、エーコは何の話なのか分からず首をかしげ、その説明をしようとダガーがビビのような姿をした……と口にしてしまう。
ジタンはビビが傷つかないかと心配でダガーの言葉を止めるが、ビビは自分が作られたことは気にしてないよ、と言った。
この子は強くなったなあ……
「あの工場も霧がいっぱいあって、しかも機械もあった」
「それと卵もだね」
「だから、何か関係があると思うんだ。霧とクジャと黒魔道士……」
話しについて行けてないエーコはフクザツなのねぇ……と呟いたのだった。
それからようやく底について、見たことのない機械のような植物のようなものと気持ち悪い緑色の光が嫌な気分にさせる。
更に下にはハープの様な光の線が伸びていて、底は光で見えない。
これ以上下へは行けそうにないだろう。
一人先に走っていったエーコをビビと追いかけて、キレイだけど気持ち悪いねって言えば、二人はキレイだと思ったらしいから、気持ち悪くはないらしい。
あの光は恐らく魂の光だとおもうから、ここにはたくさんの生き物を感じるって言うのはそういうことだろう。
その魂をここで霧に変えて星……クリスタルへ返さず霧の大陸にまき散らしている。
それを知っているから気味が悪いのよね。
「まぁ、作ったにしても誰がどうやって作ったんだろうね、こんな大きなもの」
「なんなんだろう……」
「全然分からないわ」
結局ここでは何もなく、それ以上下に降りないといけないのかと思ったとき、モグが何かを察したのか怯えていた。
「ねぇ!モグが上から何かが来るって言ってる!!」
その上からの来訪者は自分たちの前に降り立ち、「クジャではなかったか」と言った。
樹のような見た目の化け物、赤い一つの瞳のような宝珠が気味悪く光っている。ここの管理者だろう。
「クジャはどこに居る!」
ジタンが聞くが、そいつは知らないと言った。
ならば霧を作っているのはお前かと聞けば、霧の事を説明してくれた。
「生産ではない……霧は精製における余物、根を通し廃棄するチリに等しきもの。闘争本能を刺激する霧によってかの大地を廃棄物で包み……かの大陸の支配者を争いさせ、かの大陸の文明を滅ぼすため。クジャは廃棄物を別の手段で利用したに過ぎない」
「クジャは一体何を……!?」
ビビが聞けば、管理者はゆらゆらと揺れる。
「クジャはチリを使って兵器を作った。そう、お前のような……」
だがそこでエーコがなんかムカつくと言う理由でやっつけちゃおうと言いだし、ジタンはちょっとまってと言って更に情報を聞くために管理者へ質問する。
「クジャが作ったって言う兵器って言うのは……」
「クジャは黒魔道士と名付けた。それは霧で作られた暗黒の生命体」
それから間を置いて管理者は言葉を続ける。
「我を倒さば霧が止まる、それすなわち人形のごとき兵器が生まれぬ事を意味する。答えよ人形よ、お前は自らの出生を否定するのか」
そこでビビは大きな声で答えた。
あんなに小さなビビから、はっきりとした強い意志が放たれた。
「これ以上人殺しの道具は作らせない!作らせちゃいけないんだ!!」
こうして戦いの火蓋は切って落とされる。
怒ったビビの魔力は相当なもので、結構危なげだがイイ火力が出ている。
「ラムウ、お願いします!」
「うむ」
ラムウの雷撃も当てつつ、ジタンも隙を突いてナイフで斬りかかる。
私もスリッピィレインで水弾を当ててスロウにさせて、戦いをサポートする。
この面子はすでに白魔道士二人いるからヒーラーに困ってないので、半ヒーラーな私は回復を出す事も無く戦いを見守っている。
私もレイピアで参戦しても良いのだけど、ラムウの雷撃とビビの魔法の邪魔になりそうなので、スロウだけかけてる。
皆だけで勝てるだろうから大丈夫だろう。
回復が多く居るからダメージは問題なかったが、管理者はマスタードボムを放ってジタンがヒート状態にされてしまった。
「な、なんだ、身体が……熱い……!」
「ジタンだめ!動かないで!動いたら死ぬよ!!」
私はジタンに駆け寄り、彼を動かさないように止めた。
ヒート状態で動くと死にます。
逆にフリーズだと、攻撃されたら粉々になって死にます。
「ビビ!ジタンにブリザドかけて!それしか方法がないの!」
「わ、わかった!」
ビビのブリザドをジタンに放ってもらい、ダメージは食らうものの、ジタンの身体の熱は取り払えた。
「死ぬかと思ったぜ……」
「それが冗談じゃないのが怖いねぇ」
そしてそのまま戦いを続け、管理者に勝つことが出来た。
勝てたのは良いけど、変な地響きがして、ここから脱出することになる。
木の葉のリフトを乗って上に上がり、走って元来た道を引き返していった。
イーファの樹の入り口まで戻ってきたが、いつの間にか霧が晴れていて、心地よい日差しを浴びることが出来た。
やっぱりお日様は良いなあ。
「すっかり霧が晴れちゃった。何だかイーファの樹がきれい。……んで、これでジタン達の大陸も霧が晴れたって事なのかな?」
エーコは岩の上に登って遠くを見渡しながらそう聞いて、大本をしめたからなとジタンが笑った。
「後はクジャがどう出るか……だな」
そんな中ビビは自分の行いが間違っていないか不安を零し、私はギュッとビビを抱きしめてあげた。
「何にも間違ってないよ。仲間は生まれないけど、道具にされてしまうあの子達をこれ以上作らない方が絶対いい。ビビはエライよ」
ヨシヨシ、と背中を撫でれば、ちょっと涙ぐんだ声でボク、皆に嫌われる気がすると言った。
「嫌うわけ無いじゃないか。あの子達だってそれが嫌で逃げてきたのに、同じような悲しい子達を増やさないようにしたビビを攻めるわけ無いでしょ。私は、彼らが傷つくのが嫌でたくさん助けようとしてきた」
「……村の皆からお姉さんのこときいたよ。どうして動いている仲間が居るって教えてくれなかったの?」
ビビの声は更に震えていて、なんで隠していたのかと不審を抱いた。
「……みんな、たくさん戦いの中で目が覚めてしまったから、ビビに紹介する暇なんて無かったの。それよりもとにかく遠くに逃げてほしくて、私も余裕がなかった。平穏に暮らして欲しかったから、それ以上関わる気も無かったし、逃がしたあの子達の事をビビに話したら、会いたいと思うだろうし、そしたら彼らを追いかけることになっちゃうから……あと、兵器として動いている黒魔道士達と戦えなくなるだろうから、ビビを傷つけたくなくて言わなかった」
これは本当。
彼らもビビのように意志が、何て言ったら攻撃できない。
全ての魔道士達が目覚めるわけじゃないから、戦えばもっと傷つくだろう。
「黙っててゴメンネ」
「ううん、大丈夫」
「誰も君を責めないよ。むしろ私、黒魔道士達を殺しまくったから私の方が憎まれると思うよ」
めちゃくちゃ殺したもん。クレイラなんてひどいもんだったよ。
そしたらビビも私が黒魔道士達の首を刎ねた時を思い出して「うぁ」って声出して引かれた。
引かないで。
「……お姉さん、助けてるのに容赦ない……」
「ほら、私の方が嫌われそうでしょ?」
「っそ、そんなことない!お姉さんが嫌われるなんて事絶対無い!」
ビビが必死にそう言って、私はビビの頬を撫でてありがとうと笑った。
「だから、ビビだって嫌われないよ、絶対」
その時、モーグリが飛んできて、何やらマダイン・サリであったことを知らせた。
エーコは急いで村に戻らないとと慌ててたけど、我々はクジャが来るのを待っているだろうからとエーコは気を遣ってくれたけど、仲間の一大事にほっとくわけ無いのである。
「何があったんだ?」
「村の宝珠が盗まれたの!」
「そんじゃ、どちら様かは知りませんが、盗人を捕まえませんとねぇ」
「そうだぜ、クジャなんか待たせておけば良いさ!!」
と、言うことで我々もマダイン・サリに戻ることになったのであった。