24.11.18に書いたやつだったらしい。
2話溜めてから投稿しているので時間が結構開いたりしてます。
あと12月から引っ越しの事情で引っ越し終わったけど現在でも忙しくて文字打ててないです。他のゲームすら出来てないし。
でもふと見たら2話分溜まっていたので投稿しました。
ここからサラマンダーさんといきなり距離が縮まります。
恋愛するつもり無かったんだけどなぁ、書いてたら何かそうなっちゃった……
ホントそのつもり全くなくて書いてたけど、無意識に良い距離してたわ……
目が覚めたら、美しい青い世界の中にいた。
うっとりするような虚ろな青い光り……ソレはまるで青い月の光のようだった。
「気が付いたか」
「あぁ、フライヤさん、おはよう」
傍らで膝を付いていたフライヤさんに挨拶して起き上がれば、ダガーがジタンを連れてこちらに来ていた。
恐らくジタンはガーランドに出会ったんだろう。
「ココがテラ、か……不思議な場所であるな」
ふむと辺りを見渡してスタイナーさんがそう言い、私はそだねと小さく返す。
「……うっとりするくらい美しいね」
でも、記憶が正しければ本来テラは赤い星だから、景色も赤い筈なんだよね。
でも今はガイアと1つになっているから青い光になっているとか何とかだったようなうんたらかんたら。
「とりあえず道みたいなのはあるし、行ってみようぜ」
ジタンが道を指さしそして進んでいく。
するとここの住民なのか、少女が佇んでいた。
たしかジタンの妹の……ミコト、だよね。
その子に誘われるように道を行き、我々の世界と全く違う景色に圧倒されつつも歩みを進める。
「……そう言えばヴィエラの世界ってどんな感じなの?」
異世界人だと知っているエーコが訊いてきて、私はリンドブルムがわりと近いかなと答えておいた。
「私の世界は霧が無いからね。最初は蒸気機関で、今はガソリンとかの燃料でタービン回して飛空艇みたいなのとか馬の要らない馬車にのって生活してるかな。ぱっと見、この世界の技術力は機械とか見ないと分からないけど、私の世界とは全く異なるかな」
「ちょっとまて異世界から来ておると!?」
「初耳でありますぞヴィエラ殿!?」
異世界から来たことをバラしたときにはいなかったフライヤさんとスタイナーさんに詰め寄られた。
普通にめんどくさくて説明してなかったけど、その後そのまま忘れてたわ。
「ご、ごめんね。みんなに異世界から来たことをバラしたのはブラネ女王が亡くなったときなんだわ……そのまま普通に忘れてた。それに、私は気ままに異世界から来てるだけだし、ぶっちゃけバラすともう一人異世界人来てたよ? 多分みんな会ってるかも」
ギルくんことギルガメッシュくんである。
そこで私以外の異世界人が普通にいたことにみんなびっくりしてたけど、今はスリやってるごろつきみたいな感じだから多分みんな脳内から彼のこと消えていると思う。
本当は強いんだけどねぇ。
「だからわりと異世界人いたりするから実は珍しくなかったり。ま、異世界人だからなんだっていうこともないしね」
そう言ったら納得したのかそのまま皆は道を進んでいった。
すると案内していたかのような少女は透き通るような橋で足を止め、知りたいのなら進めと言った。
ここで皆さんジタンと同じ尻尾ってこと気が付かないのでしょうかね?
言われるがまま進んでいくと、ようやく人工物の景色になっていく……が、それでもまだ文明をあんまり感じないんだよね。
「人の気配を感じないな……」
ジタンがそうぼやいたと共に、何やらタービンの音が響いた。
我々がいた場所は高所だったため、下からせり上がってくる飛空艇を目で追う。
そして問題の船底部分の赤い瞳のようなソレ。
ソレをみた途端ダガーが倒れてしまって、私はダガーを見てからもう一度上空へと浮かんでいくインビンシブルを見上げた。
たしかに、瞳に見えるよな。
それにしても綺麗な船だなー。
それからダガーをミコトが向かったブラン・バルへと進んでいき、何とかベッドを見つけて寝かせることに成功した。
私はそろそろレベル上げもしたいので、用があったら村の外に来てねと言って私は単独で村の外へと出て行った。
最近レベル上げを怠っていたからちょっと不安なんだよね。
まぁ今もまだ精霊使いで戦っていて、ドンアクにしてから攻撃して私へのダメージがないように戦っている。
うんうん。イイ経験値だ。ぐんぐん上がるぞー。
ヘクトアイズをべしべしとやっつけて亡骸をその辺に置いておくのもアレなので、下をソッと覗き込んで何も無いコトを確認してから、シャイニングエアで吹っ飛ばした。
はっはっは。
「……何をしている、ガイアの民よ」
しわがれた声が背後で響いた。
ちょっと背筋がゾッとした……老人の声って事はぜったいガーランドじゃん。
恐る恐る振り返ったら思った通りガーランドでした。
「何をしている」
「……モンスター狩りですよ。テラ観光でやってきてモンスターがどんなのなのか腕試しをしていたんです」
私の背後にモンスターの気配がしたのでレイピアで切り捨ててやれば、私だけダメージ限界突破しているのか一撃で倒すことが出来た。
やっぱり私はこの世界では異端だからなぁ。
「で、テラの住民が私に何のご用で? 楽しくおしゃべりしたかったんですか?」
レイピアを握ったままそう訊けば、ガーランドはじっと私を見つめていた。
「ガイアでお前のような者を見たことが無い」
「ええ、私は異世界人ですから。異星人でもなく異世界人」
するとガーランドは眉を寄せる。
「私はただ探究心としてテラに来ただけ、別にどうこうしようとは思わない。街の中を少し見させてもらったけど、住人は随分人らしくないですね」
「アレは時が来れば正しき宿主が入るための器……」
説明してくれるんだ。
「ガイアにてウイユヴェールで多少テラの歴史を拝見させて貰いました。まぁ文字は読めなかったけど、多少分かりました。テラは衰退し、永遠を求める為に星を食らって生きている……そうですね?」
「ほぉ……そこまで分かっているのか」
「博物館にありましたしね。インビンシブルの初号機とか。疑問なのは、あの施設は今は眠っているテラ人のための施設なのですか? 入れ物の彼らには不要な物でしょうし」
ガーランドは腕を組んで、高くそびえるキノコのような構造物を眺め、その横顔を私は見つめる。
彼は管理するために長い長い時間を過ごしてきた。与えられた命令を守るために。
「……異世界人にもそういう事例はあるのか?」
「無いですけど、空想でそういう発想をしている方は居ましたので。私の世界も永遠では無く、技術力は発展している反面、滅びへと進んでいる。物は滅びる物……だけどテラは拒んだ。まぁ、誰しも死にたくないですから」
再びガーランドは私と向き合い、じっと視線がぶつかる。
敵認識されてなければ良いけど。
今のところはジタンを求めているから、我々にはあまり興味なさそうなんだけどなぁ。
「お前はガイアがどうなっても良いのか?」
「よくは無いけど、異世界人の私があまりでしゃばるのは違うと思うんですよ。ガイアのことはガイアの民……この世界の人間がやらないとね」
そう微笑んだら、彼は背を向けて歩いて行く。
「ガーランド」
私は彼の名を呼んだ。
彼はピタリと歩みを止めて振り向いた。
「なぜ、名を」
「事情は知っている。アナタは命令に従っているだけ、遠くなるほど永く。私は何かあれば抵抗はするけど、アナタを恨まない。私だって、大事な人も守る為であれば相手を殺すことなんて何度もしてきた。犠牲は……無いなんて夢物語だけど……それが現実になれば良いのにな」
私はガーランドは嫌いじゃ無い。私利私欲のために行ったわけでは無い。そう造られたのだから。
彼に歩み寄り、彼の手を取った。彼は振りほどかない。だから身をかがめ、その手を包んだ。
「貴方の、幸福を願って」
「幸福……そんなもの、私には必要のない物だ」
「テラの再建が貴方の幸福じゃないかな?」
「…………お前の名は」
私は手を取ったままニコッと微笑んで身を起こし、名乗った。
「わたくしヴィエラと申します」
だけどガーランドは沈黙したあと、口を開いた。
「……それが”お前につけられた名”なのか?」
ゾクッとした。背筋がゾッとして、私の表情は凍り付いた。
そうだ、だって、私は……ヴィエラではない。
「……好きに名乗るのも、個人の自由だよ。あなたも感情豊かなら、名を変えたりしたでしょうね」
「どうだろうな」
私の手を振りほどいて、ガーランドは消えた。
わりと話せる人だったな。
……だけど、忘れていた、忘れようとしていた過去を思い出されてしまった。
私はヴィエラではない。私は…………
――ブンブンと頭を振って、そのままモンスター狩りをしていたら、エーコに呼び戻された。
ジタンがどこかに行ってしまったと言われた。
パンデモニウムか……
「わかった、探しに行こう」
まだまだモヤつく胸を押さえながら、ジタンが向かったであろうパンデモニウムへと皆で向かっていく。
唯一行けていない道は最初バリアが張られていたのに解けていて、その先にワープ出来る場所があり、気味の悪い建物の中に入ることが出来た。
「ここはパンデモニウム城だね……。ジタンは間違いなくここにいる」
「ヴィエラ、知っておるのか?」
「案内してくれた女の子からジタンはパンデモニウムにいったっていわれたから、ここがそうなのかなーって」
うっかり口を滑らせたからとりあえず誤魔化した。誤魔化せたか?
そして皆で探しに行き、道がいくつか分かれてしまったので手分けして探すことにした。
私は戦闘をしたくなかったのでビビとエーコに付いて行くことにした。
子供組だしね。
「じゃ、みんな成果がなかったらここに戻ってきてね。ジタン見つけたらその場で待機!」
こうして皆で散らばり、良く分からない……なんか巻き貝みたいな変な見た目の壁を抜けて進んでいく。
エーコも気味が悪いって言っていて、ビビは怯えている。
道中にモンスターが現れたりしたけど、ビビの黒魔法とエーコの召喚獣の前ではみなあっという間に散っていった。
私の出る幕では無いな。
そのまま進んでいけば、椅子に腰掛けて死んだように眠っているジタンを見つけることが出来た。
皆で呼びかければやっと目を覚まし、だけど何だか様子がおかしかった。
「……ジタン、自分が誰か分かる?」
そう聞けば、頭を抱えて唸る。途切れ途切れで辛うじてジタンと自分の名を口にしたので、記憶は消しきれてなかったようだ。
多分、本人の強い意思のおかげなんだろうな。
「お前達には……関係ない、こと、だ」
そう言って立ち上がってどこかに行こうとしている。
一人でガーランドの元に行こうとしているんだろう。
「そんなふらふらでガーランドに勝てると思う?」
私がそう口にしたら振り返り、私は腕を組んだ。
「私もここに来る前に実は会ってる。ガーランドと少しお喋りしたんだわ。彼、強いよ?」
だけどお前らは首を突っ込むなと言ってジタンは扉の向こうへと行ってしまった。
扉はコチラから開けることが出来ず、隙間からフラフラのジタンを見送ることしか出来なかった。
「大丈夫だよ二人とも、きっと他の皆が助けてくれるから」
「……ていうかヴィエラ、そのガーランドってのに会ってたの!? なんで言ってくれなかったのよ!」
エーコがむきーって怒っていて、ごめんごめんと頭を撫でた。
「いや、うーん、悪い人って感じじゃ無かったからかな?なんて言うんだろ……、向こうにも事情があるのを私は知ってるからってのもあるんだけど」
「でもジタンにこんなコトしちゃうとか許せないわ!」
「……うーん、そうなんだけど、ガーランドも可哀想なんだよ。彼も、ただ言われたことを忠実に守っているだけだから……。まぁ、だからといってやって良いことと悪いことがあるのは分かるけど……コレはジタンが元に戻ったら話そっか。ジタンがほぼ全て知ってるから」
そう言ってしばらく待っていれば、バラバラに探して貰った皆を引き連れてジタンが戻ってきてくれた。
エーコはお腹をポコポコと叩いていて、ジタンはいつものようにごめんと笑っていた。
「さて、この城の主に会いに行く前に、ガーランドのこと、ジェノムのこと、テラのことをざっくりみんなに説明して貰おっか」
私は長話になるなと思ったのでその場で胡座をかいて座り(精霊使いで露出高い)皆も詳しいことは知らないからジタンに説明を受けた。
テラのこと、ジェノムのこと、ガーランドのこと。
そして補足を入れるように私も解説すると、ジタンすら知らない情報だったりなので驚いていた。
「ウイユヴェールで説明されてたよ? 読めないけど分かるというか」
「ヴィエラってスゲーよな……」
「知ってる情報を話しているに過ぎないよ。……あのね、作られた人形だとか器とか、ソレだけの役割とか、そんなの私達人間だろうが何だろうが同じなんだよ。国を守るために戦争をする事も、そのために命を奪うことも、皆死にたくないからするんだよ。ガーランドも死にたくないっていうテラの人々の願いを託されただけのこと。だけど、このまま指をくわえたままでいたら、ガイアはテラに乗っ取られる。つまり大事な人達が死んじゃうって事。悲しいけど、双方手を取って生きる道は無い。どちらかが滅びる」
私はいつになく真面目にそう言うと、皆が沈黙した。
そう、残酷な話だ。
「簡単な話じゃねぇか、弱肉強食。つまりそういうことだ」
「そうなんだよねぇ~」
サラマンダーさんはすんなり受け入れて、スタイナーさんも戦争経験あるから分かるし、フライヤさんもあれだけ自国を滅ぼされたから分かってる。
その他も、大事な物を守りたいという一心で立ち上がり、ガーランドの元へ行く準備は整った。
「さあ、いこう」
――だけど、テラが終われば記憶の場所……つまりラストステージだ。
私の足が止まった
怖くなった
冷や汗が額に浮く
「ヴィエラ?」
「あ、あ……いや、えと、ちょっと、きぶんが」
戦いの前に気分が悪いとかかなり悪い状態だし、メイン火力と言っていい私がいないのはマズいだろうな。
「モーグリも来てくれたし、少し休もう。さっきモンスターと結構戦ったしな」
そう言ってテントを出して貰って、私は中に入る。皆はテントは不要とのことで皆で輪になって談笑している。
私はテントの出入口を少しそらして皆から見えないようにして、中で転がって自分を抱き締めて震える息を吐いた。
この世界から帰りたくない。
元の世界に帰りたくない。
あの世界が私のいつか帰るところなのは分かってる。
だけどあんな所に帰りたくない。
「――ヴィエラ」
ふと、サラマンダーさんの声がして、顔を上げたら出入口の側に座ってコチラを見てた。
「お前が怯えるのはあのクジャのときに見たが、今のツラはソレとは違う。お前は何に恐怖を抱いてる」
「……サラマンダーさん、意外とみてるんだね」
「……なんとなくだ」
ぶっきらぼうにそう言って、談笑している皆を見た。
「お前だけ異世界から来て、ソレだけの力があるのに何を怯える。あいつらだってお前なら守れるだろう」
「……あのさ、サラマンダーさんは、私がいなくなったら、寂しいって思ってくれる?」
すこし、私の声が震えてた。
ほとんど泣きそうで、コワイって気持ちでいっぱいで……
「……お前、異世界に帰るのか?」
「そうなんだ、あんまり長い時間いられない……。元の世界の事好きじゃ無くて、この世界と、今の私が、皆が大好きな、の……っ」
言葉に出したら涙腺が緩んじゃって、ボタボタと涙がこぼれていく。
「帰り、たくない……」
「……あいつらには言ったのか?」
ブンブン首を振れば、サラマンダーさんはため息を吐いてからテントの中に入ってきて、そっと大きな手を私の頭に乗せた。
「お前が良くビビたちにしてるやり方だが、あってるか?」
サラマンダーさんなりの優しさを見せてくれて、皆といたからこそ分かってきた接し方なんだろうな。
「……もうちょっとワガママ、言っていい?」
「……何だ」
「胸貸して」
すると彼は数秒沈黙したけど、手を退けて胡座をかく。
私はその上に座って彼の胸に頬を当てる。
そしたらサラマンダーさんは腰を抱きそっと大きな手で包み込んでくれて、頭をポンポンと撫でてくれた。
「あれだけ馬鹿みたいに強い女のくせに、弱いところもあるんだな……」
「皆には内緒ね……、びっくりさせちゃうだろうから」
ポロポロ涙をこぼして彼の服に染みこんでいく。
でも、撫でてくれる手も、彼の心音も、彼の体温も、私には心地が良くて……
いつの間にか、眠ってしまった。
------
あんなに強いヴィエラが、元の世界に帰ることを口にした。
異世界から来ているのだから何れは帰るだろうが、そのことにヴィエラは怯えていた。
お前の世界はお前を幸せにしてくれてはいなかったのか?
お前は残してきた友人も家族もいないのか?
こんな性格だが、面倒見が良いコイツなら人に好かれるだろう。
なのに帰りたくないと言った。
怯えて涙して、オレの胸で泣いて眠ったほどだ。
――オレは、コイツの何を知っているんだろう。
ヴィエラの好きなものはなんだ
ヴィエラの好きな景色は何だ
ヴィエラは何が楽しいと思えるんだ?
寝息を立てているその頬を撫でる。
柔らかく、なめらかで気持ちが良い肌、顔立ちも整っていて、正直美女だ。だが凶暴なくらい強い。
語尾にぴょんだのつけてふざけて笑う明るい女だ。
それがこんなにも、元の世界に帰ることに恐怖している。
折れそうな細い腰を撫でれば、少し身をよじり、そっと唇を指で撫でれば、しっとりした感触を覚える。
娼婦館で女を抱いたことは何度もある。
ヴィエラほどの美女だっていた。
なのに、どうしてこうも――
……オレはジタンの考えに疑問を持ってアイツに関心を持った以外に、関心を抱いた奴はいただろうか。
「……ん、」
身じろぎをして、ヴィエラの声が少し漏れた。
不思議と身体が熱くなった。
楽しめる戦いの前のあの高揚感とは違う心臓の高鳴り。
まだ触れていたい、まだ離したくない
――コレが、ジタンがダガーに抱いている恋愛っていう余計な感情なのか……?
いつの間にかオレの感情に入ってきて、居座って、気が付いたときにはもう時間が無いだなんてな
「……もっと早く知っておきたかった」
寝ているヴィエラにキスをしたら、胸が熱くなったと同時に苦しくなった。
――こんな感情、知らなきゃ良かった。
------
「ヴィエラ、そろそろ起きろ」
小さく囁く声が聞こえた。
目を開けたら鼻と鼻がぶつかりそうなくらい至近距離にサラマンダーさんの顔があって、声を出す前に彼は何事も無かったかのように離れた。
……そうだよね? だってあのサラマンダーさんが何かイヤらしいことしてくるタイプじゃないし。
ジタンだったらしてるだろうけど、そういうの興味ないタイプだろうからなぁ。
そうは思っても、私の腰と肩を抱く手を意識してしまって少し恥ずかしくなった。
「あ、ありがとうサラマンダーさん」
降りようとしたんだけど、彼の手ががっちりと私を捕らえていて離れられない。
まぁ本気出せば私の方が強いんで離れられるんだけど……なんですんなり離してくれないのか謎なんだ。
「言っておくが、オレも男だからな」
「えっ――」
驚いてひるんだと同時に、サラマンダーさんの唇が私の唇に触れ、ホントに触れるだけですぐに離れて私を膝から降ろしてテントから出て行ってしまった。
私は今起こったことにしばらく思考停止してからパニックになって、真っ赤になっただろう熱い顔を手で覆ってそれから唇を撫でた。
――ファーストキスだったのに!
とりあえず深呼吸して整えてからテントを出て片付け、そして皆が大丈夫かと訊いてくる。
私は十分休めたよと言って、ようやくガーランドの元へとみんなで歩みを進めることになった。
その中で私は一番最後尾にいるサラマンダーさんの横に行って、ちょっと睨んだ。
「サラマンダーさんがあんなことしてくるなんて夢にも思いませんでしたー」
口を尖らせて言えば、彼は目も合わせず喉で笑う。
「男を弄んでいるように見えて、案外ウブなんだな」
確かにブランクさんに手を出して弄って遊んでますけどねぇ?
「オレはお前の知らない一面をもっと見たいと思った」
正直に、彼は本音を言って、そしてこっちを見た。
何だか寂しげに笑ってた。
「戦い以外でお前に興味が湧いたって事だ」
「……ええ、あのサラマンダーさんがデレた」
デレた。マジか。
人に興味持つって、正直ジタンくらいしか無いのに、まぁ私は手合わせしたりしてるから距離近かったんだろうけど、トレノでフライヤさんとお話ししたり、鏡の時のメンバーでも二人が当てられたくらいだったのに、私に興味持ってくれてるって言うのがなんか嬉しかった。
「……デレ?」
「普段優しい言葉をかけてくれない人が、いきなり心配してくれるみたいな?」
サラマンダーさん軽くツンデレだからなぁ。
でも単に物知らないだけだからかわいいんだよな。
「……オレも驚いてる」
「あはは、そうなんだ」
なんだろう、このたわいも無い会話。
だけどなんか凄く近い。
「私もサラマンダーさんの新しい一面が見られて嬉しいよ」
そう笑ったら、彼はフイと顔を正面に戻してしまった。
それから彼は口を閉ざしてしまって、私は寂しくなって彼を見つめたけど、その視線は交わることは無かった。
しばらく歩き、迷路のようなパンデモニウム城を抜け、ようやくガーランドの元へとたどり着くことができた。
ガーランドは背を向けていて、赤い水晶のような大きな建造物を見ている。
彼はそれを見て天文台だと言う。
ジタンとジェノム、テラの運命の話をしたのち、ジタンがテラの死神になるという話しもした。
私達ガイアも死にたくない、だからこそもう引けないんだ。
「……異界の来訪者、ヴィエラよ。この戦いに手出しはするな」
ガーランドは私を見つめそう言い、私は頷いて一歩下がった。
「この戦いはテラとガイアの戦い……悪いけど、今回私はその運命の果てを見届けるよ」
ここは、彼らの戦いだ。
「分かったぜヴィエラ!こんなやつオレ達だけで十分さ!!」
そう言ってジタンは盗賊刀を振り上げ、ガーランドへ飛びかかる。
その他の皆も何も言わずに連携が取れていて、ガーランドへと攻撃が始まる。
たくさんの仲間と共に生きようと足掻くジタン。
テラの人々から管理を命じられたまま何千年も生きてきたガーランド。
戦いは激しかった。
私は手を出さなかったけど、両者が傷付くのは悲しかった。
話し合えるかも知れない相手だけど、テラのためなら彼は管理をやめないだろう。
それが役割だろうから、それが彼の世界だから。
管理をやめて、テラの人々なんて放って置いて一人でどこかに行こうなんて思うことも無い。
ずっと一人でいたのだから、そんなの思いつくことさえ無かったんだろう。
クジャが生まれてガイアに送り込み、だけど彼の行動を危険視していたくらいだから、ある程度の常識は備わっていると思う。
でもそれは彼の”やりたいこと”や“自由”ではない。
最も……悲しいけれども、彼には、それを考える力は無かったんだろうな。
そう考えていると、ガーランドが戦いの末に膝を付いた。
戦いは終わったんだ。
「……ガーランド」
「……哀れむな」
名を呼べば、少し、笑った気がした。
計画が狂ってジタンが謀反を起こしているというのに、彼は微笑んだ。
不思議だった。ゲームだったらこんなの無かっただろうに。
気が付いたら私の頬は涙で濡れていた。
「哀れむな……私はただの、お前達ガイアの敵だ」
「っ貴方の一生に無駄なんてなく、主に忠実で堅実な貴方に出会えたことを誇りとします!」
皆はそんなこと思わないかも知れない。だけど、私は、ガーランドの一生を悪とは言いたくなかった。
「ヴィエラ……お前」
ジタンが私を見て複雑そうな顔をしていて、私は彼の横を通り抜けてガーランドに近付き、膝を付いた。
「哀れんでごめんなさい……っ、だけど、貴方を悪とは呼びたくなかった」
傷だらけの頬をそっと撫でれば、ガーランドはまた微笑んだ。
そして刹那私の腹に波動が入り、私は警戒もしていなかったのでモロに食らって吹っ飛び、直線上にいたスタイナーさんに受け止められた。
「大丈夫かヴィエラ殿!」
「あ、うん、向こうも力が弱まってるのと私の方が断然強いから効いてない。吹っ飛んだだけ。ありがとうスタイナーさん」
ほぼダメージ入ってないわ。
体勢を立て直してガーランドを見つめたが、先ほどの波動がわずかな足掻きだったみたいで息を乱して下を向いていた。
「敵に情けをかける愚かな異邦人だ。さあ、殺すが――こ、これは……!」
ガーランドは赤い光りがまとわったと同時に言葉を止め、そして上を見上げた。
そこにはいつの間にかインビンシブルが浮かんでいて、クジャがクスクスと笑いながらゆったりと降りてきている。
私はレイピアを抜いて戦闘態勢に入り、そしてガーランドと私達の間に降り立ちニヤリと微笑んだ。
「本当にキミたちを愛してやまないよ……ガーランドをここまで追い詰めてくれるだなんて」
本当は自分でどうにかするつもりだったんだけど、我々がガーランドをボロボロにしたので、もう邪魔者はいなくなった。
クジャが望む物を私は知っている。それはトランスだ。
だからこそガーランドではなく元気のある私達に戦いを挑んだ。
「皆気をつけて!クジャは魔法戦闘が特に上手い!フレアは威力が強いからホントに気をつけて!」
「へぇ。ウサギは随分ボクを知っているんだね」
瞬時に私の真横に来て手の甲で私の頬を撫でてから、髪を一房するりと手から零した。美しい物好きだもんなコイツ。まぁ自分以上の美は無いと思ってるだろうが。
「……まぁね、アンタの思惑もグルグ火山でなんとなく分かってるからね。知らないであろう技を見せてあげるよ」
私は剣に炎を纏わせ、ファイアウィップを放って炎の輪で縛り上げる。
「魔法が使えない……!?キミ、面白いことをするね……」
この時点のクジャは自分のことを追い詰めて欲しいから、攻撃を受けるのはかえって好都合なんだというのは知っている。
だけどここで間違ってクジャを殺めても、このストーリーは報われない。
私が出来るのはここまでの支援だ。
「皆たたみかけろー!」
私の号令で皆が一斉に攻撃を仕掛け、だが思惑通りクジャの身体が光り始めた。
トランスだ。
……そう言えば私トランスしてないな。やはり部外者だからかな?
クジャはトランスの力を手に入れて恍惚とした表情を浮かべ、アルテマを放った。
流石に今は私も精霊使いなのでガードする技は無く、アルテマの光りに打ちのめされることになった……けど、ダメージは入ったけどとりあえず半分くらいだ。
……トランスクジャのアルテマで半分って、私強ーい。
とりあえず倒れた振りしとこう。
周りの皆はほとんど動けなさそうで、這いつくばったままクジャを睨んだ。
そしてトランスクジャはこの力を手に入れた方法を語る。グルグ火山で見たモグのトランス。だけど単なるトランス……それだけでは足りない。
「だから借りたのさ!生に異常なる執着を持つキミのママの魂を!!」
楽しそうに、訊いてもいないのに勝手に自分に酔って話し始めるのは本当にヒルダの言った通りだなぁってぼんやり思った。
地面が痛い。
そしてクジャはガーランドに歩み寄り、もう用済みだと笑う。
テラもガイアも、自分が支配すると言えば、ガーランドは息を乱して無駄だと言った。
「貴様が……力を手に入れたところで、無駄な、ことだ……ぐふっ!」
彼の言葉が気に食わないクジャは、ガーランドの腹に蹴りを入れる。
もう死に体というのに、まぁ、もとより殺すつもりだったのだから同じ事か……
「……もう一度言う、無駄だ」
その一言を最後に、クジャに高所から蹴落とされてしまった。
最後の彼の断末魔が、遠ざかっていった……
「さぁ、次はキミたちの番だよ。どう殺してあげようか。苦しまないように一瞬に?それともジワジワと苦しめて殺そうか」
クスクスと笑うが、狂気そのものだ。
妖艶だが、本当に仲良くなれそうにナイヨ。
――刹那、ガーランドの声が響いた。
頭の中に直接語りかけてくるような不思議な声だ。
『お前に永遠の王国など作れぬ。魂の器として不適合なお前を、いつまでも生かしてしておくよう私が作ったと思うのか?』
つまり、クジャの寿命があると言うことを明かしたのだ。
管理者の補佐として生まれたと思っていた自分が、まさか永遠に生きられないとは思ってないクジャは声を荒げた。
だがガーランドはその残り短き時を告げ、声は聞こえなくなり、そのかわりにクジャが笑い始めてしまった。
死というものを受け入れられないクジャは、今にも壊れてしまいそうだった。
「アハハハハハ!!笑えよジタン!限られた生命の黒魔道士達をあざけ笑っていたボクが今、同じように滅びるんだぞ!!」
ずっと笑っているけれど、やがてその笑みは止まった。
「ボクの存在を無視して世界が存在するなど、認めない……」
クジャはふわりと浮かび上がり、もうこちらを一切見ていないことを確認してから、皆にホワイトフレイムをかけて回復させる。
「ヴィエラ!ピンピンしてたのかよ!」
「一人じゃ勝ち目が無いからね!だから隙をうかがってた!クジャは多分癇癪を起こしてるから一刻も早く逃げないと!」
そして急いで皆でその場から離れたら、コチラと遠い場所から轟音が鳴り響く。
大きなキノコのような建造物がみるみるうちに倒れていっている。
「クジャの奴、全て破壊するつもりじゃ!」
「巻き込まれたくないアルよ!まだ美味しい物食べ尽くしてないアル!」
走りながら各々が騒いでいて、私はインビンシブルを使おうと言えば、皆がそれしかないと納得して頷いた。
「オレはブラン・バルの奴らを連れてくるから、皆は先に船へ!」
「私も行くわ!」
ジタンがジェノム達を助けに行こうとしていて、ダガーもいっしょについていくことになり、残りのメンバーは下の方に停められているインビンシブルに乗り込むことが出来た。
見た目通りSFな乗り物だけど、とりあえず念じれば動くみたい。すげ。
「ブラン・バルの所まで飛んで」
私がブリッジでそう口にすれば、船はその方向へと進んでいく。大きな画面には破壊されていくテラの姿が映っている。
青く輝いていたテラは赤く燃え上がり、ブラン・バルのほうはまだ被害は出ていないが時間の問題だ。
ブラン・バルの岸壁に接岸し、誘導されたジェノム達を乗せていく。
最後に遅れてミコトを連れたジタンが乗ったことを確認し、インビンシブルはガイアへと向かう。
ほぼ機体は真上を向いているが、重力装置が優秀なのか全く角度を感じない。
どんどんテラが壊れていき、虹色に光る真上の空へと突き進む。
「……皮肉だよね、ガイアに飲み込まれて青い光になってしまったテラが、滅びの瞬間にようやく念願の赤い光を取り戻すだなんてね」
そして、インビンシブルは虹色の光りを通過し、ガイアへと戻ってこられた。
だが、様子がおかしい。
「……ジタン、この景色、異常なんだけど分かる?」
船の下が全て雲で覆われていて何も見えないから、私がそう聞いたけど、曇ってるか高いとこ飛んでんだろ?と返してきた。
「輝く島から出ただけで高度は低い、これ、カーゴシップでも見た景色だ。霧だよ」
「――!!ま、まさかガイア全体が霧で覆われてるのか!?」
「そのまさか……だね」
こうしてテラからの脱出も終わり、とりあえずジェノム達をどうしようかという話になり、ビビが黒魔道士の村はどうかなと提案され、我々はそこへ向かうことになったのだった。
執筆は現在クリスタルワールド手前です。
もう次はデスゲイズしてトランスクジャして、そして永遠の闇だろうけど、ここもしかしたら一話でまるまる収まる可能性……
そしたらジタンがクジャを探しに行くのを見送ってから、エンディングまでの間の時間を……たぶんサラマンダーさんとのイチャイチャとか黒魔道士達の話、ビビのこととかになるんじゃぁないかなぁ。
とりあえずまだ書けた分のストックはあります。
エンディングは目前だし、オチはあるし、未完にはしたくないですので頑張ります。