私のいつか帰るところ   作:にくはるまき

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エタりたくない……さっさと書いてしまいたい(泣)

でも打つのって大変ですね………(泣)




ダリの村

ダリ村を訪れ、まだ昼間なのだがまず宿に入ることになった。

宿屋のオジサンは昼間っから寝ていて、仕事をやる気が無いのがうかがえる。

まぁ、こんな田舎に来訪者があることはあまりないのだろうから、宿を使う人もすくないのだろう。

ジタンはオジサンを起こし、宿に泊りたいと言うことを伝えるのだが、オジサンがビビを見つめて固まってしまっていた。

ジタンは寝ぼけている、もしくはダガーに見とれてしまったと思いちょっと笑っていたが、これはビビを見て驚いていたのだ。

私はそのことに気が付いているけど、暖炉の上でくつろいでいる猫を見つめて悟られないようにした。

 

「あ、いえ、お部屋は奥になります。どうぞどうぞ……」

 

オジサンは誤魔化して部屋の場所を示し、ダガーは驚いたように小さく声を漏らした。

 

「あの、ジタン?わたくしの泊る部屋はどちらでしょうか?」

 

姫様だから、まさか同室になるとは思っていなかったようでそんなことを言っていて、ジタンもこんな田舎で個別の部屋を願うのは無理だよと告げ中へ招く。

 

「ダガー、これも勉強になるね。どうせ長旅していれば野宿になったりするし、こういう小さな街も少なくない。時には我慢も大切だよ。大丈夫、私が居るから安心して?」

 

「そう、ですね。わたくしの考えが未熟でしたわ」

 

「言葉遣いも私と話していれば慣れてくるだろうし、先の話もかねて練習しよう」

 

「はい」

 

みんなが中に入って扉を閉め、本題に入った。

ジタンはダガーに何処へ行くつもりだったのか問うと、隣国であるリンドブルムに行こうとしていたと答えた。

家出すると言うだけではなく、何か深い事情があったことをなんとなく悟らせるが、まさか本人自らが自分の国から出てしまおうと考えていたとはジタンでも思っていなかったようだ。

 

飛空挺のない今は国境を歩いて越えなければならず、そうなればダガーが見つかってしまう確率も上がる。

第一にゲートパスを持っていないので国境を越えるのはかなり難しいことなので、忍び込んで行くとなるとかなり骨が折れるだろう。

流石のジタンも答えが見つからずに悩んでしまっていた。

 

「事情はまだ話せませんが、わたくしにはやらなければならないことがあるのです……だから、どうか……」

 

ダガーは辛そうに訴え、ジタンは必ずリンドブルムに連れて行くと言ってくれてダガーも満足そうに微笑んだ。

だがそこにスタイナーが割って入って、ジタンを信用するなとダガーに主張する。

やつを信用すれば危険な目に遭うやもしれない、何があったかは知りませんがとにかく城に戻りましょう!!ってスタイナーはしつこい。

流石に私も口を挟ませてもらった。

 

「彼女自身が何かを決断してここまで来ているんだから、ハイハイ分かりましたで城に戻れるわけありませんよスタイナーさん。まずはアレクサンドリアに戻るより、彼女を守って寄り添うことも必要なのでは?」

 

連れて戻りたいのだろうけど、彼女の意見を聞いてあげていないのも可哀想なのです。

まだ世間知らずで王室が嫌で飛び出しちゃった反抗期に見えているんだろう。

こんな真剣な顔をしているのに、なんで理由を聞いてあげないんだろうか。

……いや、言ったところであのブラネ様がそんなことはありえない!というのだろう。

 

今は暴君のような女王になってしまったが、本当は心優しい素敵なすばらしい女王だったブラネ。誰からも愛されていたブラネ……だからこそ、変わってしまったブラネに対してもダガーは諦めずにずっと訴え続けるんだ。

 

「ヴィエラ殿には悪いがそれは出来ぬ!ブラネ様からのご命令なのであります!」

 

「で、おっさんはどうやって城に戻ろうって言うんだ?」

 

ジタンにそう言われると、結局方法は見つかっていないので、城に戻ることすら出来ない状態なのであった。

ふと気が付くとビビはいつの間にかベッドで寝ていて、気持ちよさそうに寝息を立てている。

あんまりにも可愛くってクスリと微笑んだが、よく考えるとこの宿はベッドが4つしかない。

現在私たちは5人だ……足りないぞ!!

 

「……しかたない、私はまだ元気だからモンスター狩りでも行ってくるわ」

 

女の子を一人おいていく事になるのだが、優秀な騎士様がいるから問題は無いだろう。

 

「戦って疲れてるだろう、休んだ方が良い。オレと添い寝で問題なしだ!」

 

ジタンがそんなこと言ってくるので私は彼に近付き、耳元で小さく忠告しておいた。

 

「ダガーの目の前で他の女と添い寝ですか……後で後悔しても知らないよ……?」

 

ダガーに惚れたからついてきていた彼にとって、それは結構まずいことである。

ダガーの目の前で他の女性と添い寝……軽い男って見なされるだろうし正直周りからの感度的なメリットはないだろう。

 

「どうする?それでも私と寝る?」

 

ちょっと青ざめながら狩りにいってらっしゃいと弱々しく答えていたので、声を出して笑ってしまった。

 

「やっぱりヴィエラって遊び人だろ……」

 

「さぁ、どうでしょー」

 

いたずらげにほほえみながら「気が済んだら戻るからみんな休んでて」と告げて宿を出た。

少し間をおいてから小窓を覗き込んで部屋の様子をみてみれば、魔の森を抜けてから休んではいなかったみんなだから、なんだかんだ疲れが溜まっていたようで、すんなり眠りについたようだ。

私はレベル差もあったからちょっとしたハイキングに来たって感じだろうからまだ全然疲れてない。

 

ここで休んでいる間に、とっさに使えるジョブや緊急時のジョブを考えたり、先のことも含めて私自身も作戦を練るのも悪くはない。

私は村から離れてモンスターと戯れながら色々と考えを巡らせる。

例えばボスが思いも寄らない攻撃をして、みんなが危険にさらされたとき、私は何が出来るのか。

 

今は赤魔道士になっているから、高出力な魔法は放てない。レベル差があると言っても、私が15だから……多分差は10くらいだと思われる。

こうやって表に出てモンスター狩りをしているから少ないけれども経験値が入ってきているので、ジタン達に追いつかれることは無いだろう。

 

でもレベル差10くらいではたいした事は出来ないと思う。

やはり少しでもレベルを上げて、危険を感じ取ったらワンパンで沈める……ってのがいいだろう。

 

一日一回しか出来ないジョブチェンジだから、大切にしていかないと。

とりあえず赤魔道士よりも精霊術士の方が扱いも楽だったので、基本的な操作はそのジョブを使いたい。

 

もし万が一大ダメージを与えなければならないときや、カーゴシップが墜落なんて事になった場合は、召喚士になってバハムートを呼ぶのが一番安心かもしれない。

ヴァルファーレは腕がないので、背負うことは出来ても掴むことは出来ないし、両手が空いていて空も飛べて力持ちとなれば、バハムートが一番だろう。

 

一度出してどういう風に指示を出せるのかやってみたいところだが、まだまだ24時間経つには時間がかかる。

今の段階だと召喚士の練習は出来そうもない。

 

モンスター狩りを止め、高原にまたも死屍累々の状態で私は村に戻ってきた。

宿屋の小窓から覗いてみると、まだまだお休み中のようだ。

私は飲み屋に入り、机を貸して欲しいと言えばすんなりとOKが貰えた。

まだ昼間だから店は準備中なので何も出せませんが、と、店番している女の子に言われたが、場所を借りているお金だけは払わせて貰うわと100ギル置いた。

 

「え、いえ、まだお店も開店していないのにお金なんて」

 

「開店していないからこそ、です。場所をお借りしているのですから、その分のお金を受け取ってください。ついでに紙と書くものを貸していただけると助かるのですが」

 

そういうと、女の子はお金を受け取り、紙と羽根ペンを渡してくれた。

めちゃくちゃありがたいわ。

 

まずはとっさの火力を求めたジョブチェンジ枠

セージ(ギガフレア、アルテマブロウ)

錬金術師(フレア、メテオ)

闘士(バックドラフト)

狩人(モンスター相手ならサイドワインダー、アルテマショット)

召喚士(バハムート、アニマ)

…てっ感じになるけど、召喚獣は使っているところを見られてしまうと後々抽出される恐れがあるからやはり危険だ。

本当に切羽詰まったらバハムートを呼ぼう。

 

魔法も強いけど、物理攻撃も自身のダメージを受けるタイプであればかなり火力が増す。闘士のバックドラフトはよく使ったもんだ。カンスト行けるし豪快で好きだったし。

狩人は弓の攻撃になるけど、モンスターに対してはかなり特攻になるジョブだ。遠くからでも狙えるし、大体の敵がモンスターだから、そういうのを考えればかなり強い。

 

いやまあぁ、魔法が一番楽ではあるけど、近くに仲間が居た場合は一緒に食らうことになってしまうので、魔法も使い方次第だ。

 

こういうのは実践してみないと分からないことばかりだから、書いた内容は小さく折りたたんで異次元ポッケに突っ込んで置いた。

さて、そろそろ皆さん目が覚めたかな?

 

宿に戻ってみれば、ビビが目を覚ましていたようだ。

 

「おはよ、ビビ」

 

「おはようお姉さん」

 

くいくいっと帽子を整え、風車を見に行ってくると言ってビビは出て行き、その音でスタイナーが目を覚ました。

 

「ヴィエラ殿、戻られたのだな」

 

「えぇ、モンスター狩りも飽きちゃってね。そろそろ私も休んでおかないと後が困ると思ったのもあるんですけど」

 

よいしょとビビの寝ていたベッドに横になり、寝る体勢を取った。

ダガーも慣れない旅だったからかまだ寝ていて、ジタンは特にそういうわけでもないのだろうがめっちゃ寝てる。休めるときに休んどこうっていうことなのかな?

 

「それじゃ、おやすみなさい」

 

私はそう言って目を閉じ、以外と疲れていたのかすんなりと夢の世界に旅立ったのであった。

目が覚めたらジタンだけ部屋に居て、置かれている本とかを眺めていた。

 

「じたぁん、おはよぉ」

 

ふ抜けた声で挨拶すれば、もう起きるのか?と聞かれ、多分3時間くらいしか寝ていないのかもしれないけど、疲れは取れていてスッキリしている。

元々そんなに疲れていなかったからだろうか。

 

「げんきげんきぃ」

 

「ちょこっと寝ぼけている感じはあるな」

 

寝起きってそんなもんよ。

するとジタンは三人を探しに行くって宿を出て、その間に身なりを整えた。

しばらくするとジタンはダガーを連れて戻ってきて、ビビには声をかけたからすぐ来るだろうと言った。

ジタンはダガーに村の感想を聞いてみて、彼女は初めて見るものがいっぱいで、そしてここまで自由に歩いたのは初めてだったと楽しそうに話した。

私が寝ている間に村の娘とお喋りして、口調の練習をしたんだという。

確かに今私と話していて、時折丁寧になるけど、すぐに町娘のような話し方に直していた。

 

「これならダガーが姫だなんて分からないね」

 

「ふふ、わたしもっとがんばるわ」

 

ニコッと微笑んだダガーだったが、そう言えば、と言葉を続ける。

 

「この村には大人が見当たらなかったわ。畑仕事をしているおばあさんと、この宿の方くらいしか居なかったように見えました」

 

そう、このダリ村には子供の姿しか見えないのだった。大人は一体どこに居るのだろうか。

 

「昔は一面の畑で働いていたんだがなぁ」

 

「畑は小さいものしかなかったわ」

 

ここまで急に畑仕事を無くしたなぞが解けない。そして大人はどこに居るのだろう。

ジタンはこの村の異様な雰囲気に何か怪しいと感じ、長居は無用だろうと判断した。

変なことに巻き込まれるのはなるべく避けたいからね。

 

「ビビが戻ったらすぐに出発しよう」

 

「……スタイナーはどうするの?」

 

とっても置いていく気のジタンさん。

 

「城の連中はダガーを探しているんだ、南ゲートを通るにしてもダガーを隠せば問題ない!おっさんがいなくてもオレさえいれば大丈夫ってコトさ!」

 

そんなこと言っていて、ダガーは心配しつつも連れ戻そうとするスタイナーだから南ゲートを通るときに邪魔されてしまっても困ると思っているのだろう。

ちょっとうつむいてしまった。

 

「そうだ、ビビを待っている間に、オレの盗みの話を聞かせてやるよ!ヴィエラも聞きたいだろ?」

 

「ふぁーききたーい」

 

半分微睡みながらそう言いつつ、時計に目をやる。

そろそろ24時間経ったかなぁ……

 

「ジョブチェンジ、精霊術士」

 

唱えてみるも、やはり時間が経っていないんで変われませんでした。

腕時計か懐中時計が欲しい。マジで欲しい。

 

「ゴメン村の散策行ってくる!とけいほしい!」

 

ジタンの話を聞くのをやめて私は宿を飛び出していった。

適当にお店に入って腕時計か懐中時計がないか聞いたが、高価なものらしくて扱いはないと言われてしまった。

リンドブルムに行くまでは時計はお預けだな……と、外で肩を落としていたら、宿から二人が出てきて、ビビを見なかったかと聞かれた。

確かにみてはいない。

 

「声かけたはずなのに来てないっておかしいよな……どこに居るんだ?」

 

と、言うことでビビの捜索が開始された。

小さな畑をぐるっと回ったり、ジャンプして家の上に登っても何も見えない。

一面の草原のみで、ビビは居ない。まぁ、居所は知ってますけどね。

 

その時、ジタンがビビの声がした!と私とダガーを呼び、とある家の横に行けば、足下の筒からビビの声が聞こえた。

いきなり連れてこられて、ここから出るなって言われて戸惑っているようだ。我々もすぐに助けに行くということになり、地下への通路を探し始める。

でもそんなの案外簡単で、その家の中に入ってみれば、怪しい蓋が床にあるではないか。

 

「いかにも地下に行けますって感じだねぇ」

 

「さあ行ってみよう」

 

第一号で私が中に入り、はしごも使わずに飛び降りた。ヴィエラ族万歳。

ジタンが次に降り、最後にダガーが降りてきた。

随分怪しげな洞窟だ、何を作っているのだろうねぇ。ひひひ。

 

奥に進めば、何か話し声が聞こえてきて私たちは息を潜める。

村に居なかった大人は地下にいたようだった。

 

「これ、何で動いているんだろう……」

「これ見つけたの村長さんの弟だっていうじゃん?喧嘩も終わったからオレたちの仲間入りするんだとか」

「まぁ人出も足りないからいいんじゃない?とりあえずこれを箱に詰めよう」

「城に送れば城の連中が判断するだろうさ」

 

すると彼らは移動するらしく足音がし始めたので、一旦様子見で引こうと思ったのだが、ジタンが村人に殴りかかりそうだったのでダガーが引っ張り三人で道を引き返していく。

 

ダガーの急な行動にびっくりしつつ理由を聞いてみたら、近くに置いてあった大きな樽に描かれた模様を、城で見たことがあると言ったのだ。

つまり、この村はアレクサンドリア城に関係する何かを作っていると言うのが分かった。

だけどこの怪しい感じ、日用品とかを作っているようには見えないなにか気味の悪さを感じた。

 

「さて、調査してみましょかね」

 

赤魔道士のとんがり帽子をくいっとあげてにんまりと微笑んだら、ジタンにヴィエラは楽しそうだな……とちょっと呆れられた。

 

「こういう謎な場所や秘密を探るってワクワクしない?んふふ」

 

「ヴィエラって意外と盗賊が合ってるかもしれないな」

 

「お宝探しって楽しいから、確かに盗賊はいいかも!ひひひ」

 

二人と違って元気にるんるん先へ進んでいく。

物置のように乱雑に箱が積まれていたり、荒れていた洞窟内だが、奥へ行くにつれてどんどん広くなっていた。

とある部屋に入ったときシクシクと泣く声が聞こえ、箱の中に詰められてしまっているビビを発見した。

 

「何でこんな箱に……」

 

ジタンが困惑しつつ中から出してあげて、詳しく事情を聞いた。

するといきなり男の人に連れてこられ、「動くな」と言われて怖くて動けなくなってしまったらしい。

 

「それと……何で外に居たんだ、カーゴシップはまだ来ていないのにって聞かれたんだ。ボク何のことなのか分からなくて黙っていたんだけど、今日の分に入れておこうって……」

 

全員その言葉の意味が分からず首をかしげていたが、私は分かっているので分からないふりをして同じく首をかしげた。

 

「とりあえずビビが無事で良かったぜ」

 

「そうだね、とにかく無事で良かった。そんでビビを箱に詰めたやつをとっちめよう」

 

私がシュシュっとジャブを打つまねをして、ぶん殴る意志を見せたらジタンが笑っていた。

なんだよ痛くなさそうってか。

 

「ビビも黙ってるだけじゃダメだ、いざという時は自分から大声でいってやんねぇと!例えば……いい加減にしろよなコノヤロー!とか」

 

ジタンは引っ込み思案なビビを少しでも自信が持てて、自分の言いたいことを言えるようになってほしいから、色々と教えてあげた。

 

「それに氷の洞窟から出たとき、ジタンがスタイナーさんと言い合いになったとき、二人ともやめて!って言えたじゃん。そんな感じで何かあったら声を出していこ。あとは勇気だけだ」

 

ビビはもう出来てるんだよ、大丈夫って背中を撫でてあげたらウンと頷いた。

 

「ところでビビ、この先の様子も気になるから見に行きたいんだけどさ……ビビは嫌かもしれないんだけど……」

 

ジタンは謎の機械が置かれている場所を見ながらそう言い、ビビもここがなんなのか気になるから調べようと言うことになった。

私は細かい場所は知らないからるんるん気分で色々見てみる。

見たこともない機械から、ぬいぐるみのようなツギハギの卵がどんどん出てきていて、これがなんなのかはさっぱり分からない。

これだけ見ると卵ぬいぐるみを作っている工場なのだが、それにしては雰囲気が暗い。夢が無さそう。

 

そしてとある扉の隙間からは、冷たい霧が流れ出している。

異様な雰囲気だ。ここは高地のダリ村……霧からは上の場所。なのにここから霧が流れ出しているのはどうしてなのだろう。

 

「開けてみるか」

 

「そうだねぇ、開けてみよっか。開けた瞬間お化けが出たりして」

 

「ええっお化け……!?」

 

脅かすようにそう言ったら、ビビは縮こまってしまって、半分嘘だよと笑ってあげた。

 

「半分は……本当なのですね」

 

ダガーも苦笑いしていて、私は自らの鼻を指さしてクンクンと匂いを嗅ぐ。

カビ臭い、木箱の匂い、霧の湿っぽいにおいがする。

 

「ゴーストさんの気配がしますよー」

 

扉を開ければ言ったとおりにゴーストが現れて襲いかかってくる。

ビビがとっさにファイアを唱え、ジタンはダガーを自分の後ろにやってからゴーストへと駆けだした。

ふわりと上へと浮かんだゴーストだったが、ジタンの身の軽さには意味を成さず、ナイフでさっくりやられてしまいました。

 

「やー、お強い頼りになるー」

 

小さく拍手しながら、ビビはやっぱり強いね!とポンポン背中を叩いた。

これがこの子の自身になっていけば良いな。

 

そしてその扉の中には更に見たことのない機械が置かれている。

その機械は霧を吸い込んでいるようで、その機械の先には卵が出てきていたということは、この霧から卵を作っているのだろうと考えられた。

 

「妙な機械だな……」

 

「とりあえず卵の後を追ってみようよ、先に行けば何か分かるかも」

 

私は先へ急ごうと促し、進んでいくとチョコボが滑車を回していた。

これでコンベヤーを回していたんだろう。そこどうにか機械化できなかったのかよと突っ込みたかったが、まあ置いといて……

その先にある機械も見たことのない形状をしていて、ものすごく異色な気配が漂った。

なにせ、テラの技術で作られているのだから、異色な見た目なのはあたりまえなのだから。

秘密の工場探索を続けながらコンベヤの先へ進めば、その卵が孵っているようで、更に先へ急ぐ。

 

「一体何が孵っているんだ?」

 

「うーん、チョコボかな?」

 

私はとぼけたようにそう言うが、ジタンはチョコボの卵はあんなのじゃないと否定し、ついに卵の正体を目の当たりにした。

 

「なに、これ……!!」

 

そこには卵から孵り、自動で運ばれていくビビに似たモノの姿……人形のようなそれが次々と運ばれていく。

ジタンはビビにそっくりだ、と言う言葉を飲み込み口を結んでいて、ビビは自分と似たそれを見ながらぶるぶると震えていた。

ダガーもアレクサンドリアに運ばれている以上、ブラネ女王の下に作られたというのに薄々気が付いてしまって呆然とその人形を見つめて居る。

すると後ろの方から誰かが来る気配がして、困惑しているビビとダガーをつれてどこかに隠れることになった。

とはいえ、隠れるところなんてないので、人形達の入っていく方へ自分たちも入って身を隠そうとしたが、上から降ってきた箱にジタンがすっぽりと入ってしまい、梱包完了してしまう(笑)

そのままラインを流れていき、人形に押されてビビもダガーも同じように箱詰めされて、私も遅れないように箱に入ってこの地下から脱出するのだった。

 

みんなの入った箱入りの樽はどこかへと運ばれ、気温が変わったのをなんとなく感じられたのでおそらく外に出たのかもしれない。

だけど狭い箱の中で武器を手に取ることは出来ない。魔法も危険なので無闇に放つことも出来ない。さてどうしたもんか。

 

周りには人の気配もあって話し声もするし、ジタン達と相談することも出来ない。

だけど、周りの人が急に慌てだし、逃げようという声が聞こえた。

記憶が正しければスタイナーさんが走ってきたのではないか?

 

「うむむむ、あからさまに怪しい!」

 

当たりです。やはりスタイナーさんです。

 

「スタイナーさーん!助けてー!出してくださーい!」

 

私は樽の側にいるであろうスタイナーさんに助けを求めれば、「ヴィエラ殿?!」と返事を返してくれた。

 

「色々あって、ダガーもみんなもこの樽の中に閉じ込められちゃったの!開けてー!」

 

そして私の訴えの後にジタンたちも早く早くと急かした。

狭いんだもん箱の中……このまま居たら酸欠になっちゃう。

 

「姫様!今お助けいたしますぞ!!」

 

こうしてようやく樽から脱出ができ、樽の横にはカーゴシップが停まっている。

もうそろそろ出発になるだろうし、私は赤魔道士のままなのだが、今ジョブチェンジをしてしまうといざという時に他のジョブに変わることができない。

おそらくもう24時間は経っているだろうから、何かあるまでは赤魔道士でいこうか。

 

「姫様これは一体どういうことなのですか!まさかこの男が何か企んで……」

 

スタイナーさんは箱詰めの理由をジタンのせいかと思って怒り始めるが

、静かにしなさい!とダガーに一蹴されてしまった。

確かに今は一番困惑しているビビに気を遣ってあげたいよね。

 

「なぁおっさん、この飛空挺の行き先知ってるか?」

 

ジタンはビビを励ましながらも、横の飛空挺の行き先をスタイナーさんに聞く。

もちろん我々もこの艇がアレクサンドリアに向かうのはなんとなく察しては居る。

だけどスタイナーさんは行き先がリンドブルムだと言った。

 

「あ、あの岩小屋の老人にこのカーゴシップがリンドブルムに行くと聞いたのである!間違いないのである!」

 

「なんかあやしいな」

 

ジタンも分かりながらも質問していたのだが、アレクサンドリアに連れ戻そうとするスタイナーさんが、リンドブルムに行く艇の事を教えてくれるはず無いだろうし、やっぱり嘘ついてるなと確信したのだろうな。

 

――その時、何かの影があちこちに移動してこちらに急接近し、そして目の前に姿を現した。

翼を生やした女形の黒魔道士。バサバサと羽ばたいて軽やかに宙に浮いている。

 

「女王陛下がお待ちだ!」

 

「えーと、自己紹介もなくいきなりそれはないんじゃないかナー」

 

私はゆっくりレイピアを抜いて戦闘態勢を取る。

ジタンはこの黒のワルツが城からの使いだったことに気が付いて、氷の洞窟で戦った一号の事をみんなに説明した。

 

「一号を倒したのはお前か。我が名は黒のワルツ二号!一号よりも全ての能力が上……抵抗しても無駄だ、姫よおとなしく従うのだ!」

 

「姫様に対して従うのだ!は失礼ですねー。よってフルボッコの刑でしょう」

 

私はのんきにそう笑えば、癪に障ったのか二号がファイアを放ってくる。

おっとっと、爆発を避ければ、いつの間にか背後に二号が居てブリザドを放ってきた。

瞬間移動はめんどうくさいな。

 

「ヴィエラ!」

 

その放たれたブリザドをジタンがナイフで弾いてくれて、私に被害はお呼ばなかった。

女の子をかばうのはジタンの専売特許よな。

 

「無礼な奴め!このスタイナーが相手である!」

 

スタイナーさんも二号に斬りかかるが、瞬間移動をされて全く攻撃が当たらない。

ゲームだと普通に当たるけど、こうやって現実になってしまうと結構苦戦する敵なんだな。

 

「姫、こやつらを始末するまで大人しくしていろ!」

 

二号は避けつつダガーにスリプルをかけ、眠らせてしまう。

まぁ、回復役を眠らされても私が赤魔道士なのでケアル使えるから問題はありません。

 

「コイツ!当たらないぞ!」

「うぬぬちょこまかと!!」

「あわわ!」

 

二号の動きに翻弄されてみんなの攻撃が当たらない。ビビも魔法を放つが避けられてしまっていてこれじゃ埒があかない。

試しに私が普通に瞬間移動している二号を追いかけてみたら、ヴィエラの脚力で距離が詰められ、移動される場所を予測して行けば何とかなりそうだ。

 

「この……!何て素早さだ!!」

 

二号は表情をゆがめ、私はようやく二号の袖を掴んだ。

 

「そーりゃ!」

 

そして思いっきりかかと落としで背中を打ち、地面に叩き付けてやった。

一号の時も蹴りだったなー。

 

「ナイスヴィエラ!」

 

ジタンはその好機を逃さず、片翼を落としてやった。

飛べなくなった二号は途端に動きが鈍くなり、そしてスタイナーさんのサンダー魔法剣の前に沈んでいった。

 

「う、ん」

 

「あ、ダガーお早いお目覚めですね」

 

弱めに魔法をかけていたのか倒したから目が覚めたのかよく分からんがダガーは目を覚まし、倒れている二号を見て眉をひそめる。

 

「……本当にお母様が放った者なのでしょうか……」

 

城に戻れ!と言っていたと言うことはそういうことなんだろうが、あんな狂暴な者を使うってのは信じがたいだろう。

スタイナーさんもブラネ女王を信じているから、あんなおかしな者が配下に居る何て思えなかったんだろう。

 

「姫様が姫様だと知り、悪さを企てた者に違いありません!」

 

スタイナーはそう言うが、ジタンはダガーの努力を教えてやり、ダガーが姫だと言うことは誰にも知られていないと言った。

 

「うん、ダガーはかなり話し方もくだけてきたもんね。それに、悪さを企てるっていっても、人の居るようなトコ通ってないし、この村も大人が全く出歩いてないし、誰もダガーに気が付いてないと思うよ」

 

店も子供しか居ないじゃんね。

 

「ヴィエラの言うとおりだぜ。それよりおっさんの方が『姫様ー』っていって走り回ってるんだからバラしてんのおっさんじゃねぇか」

 

そしたらスタイナーさんも流石に自覚したらしく言い返せず地団駄踏んでいたが、ジタンは気にせずこの先の話を進める。

 

「国境越えなんだけどさ、これに乗せて貰おうと思うんだ」

 

ジタンはカーゴシップを指さし、ダガーも飛空挺ならリンドブルムもすぐだと頷いた。

 

「乗せて貰えるか頼んでくるから、みんな待っててくれ」

 

そう言うジタンだったが、スタイナーさんが自分が頼んでくると言い出した。

姫様のためを想ってである!とかいってカーゴシップに向かっていき、あれほどまでに城に戻れと煩かったのに、あの態度はおかしい。

 

「スタイナー……あれほどまでにリンドブルムに行くことを反対していたのに……」

 

ダガーも流石に信じられなかったみたいで目を細め、ジタンもうんと頷いた。

 

「この飛空挺は本当にリンドブルムに行くのでしょうか」

 

「間違いなくアレクサンドリアだろうな」

 

「では、どうしてジタンも乗ろうと言ったの?」

 

ダガーの問いに、ジタンはにんまりと微笑み、何とかするってと言う。

彼は盗賊だから、艇を乗っ取ろうというのがなんとなく分かって私も笑ってしまった。

 

「ねぇ……ジタン、お姉さん……」

 

ビビは突然私とジタンを呼んだ。

そして地下で作られていた人形が自分と似ていた?と質問してきて、さてどう答えたもんか。

 

「ちょっとは似てたかもな、でも人形は人形だからな」

 

ジタンはそう言い、私はそうだね、と同じく似ていたと言う。

 

「似てるけどあっちの方が大きいし、ビビのほうが可愛いけどね」

 

「……ボクかわいいかなぁ……」

 

「かわいいよおおお」

 

初めて会ったときみたいにギューッと抱きしめてあげれば、わたわたと手をばたつかせて困っていたので、ふふっと微笑んでしまった。

 

その時、カーゴシップのエンジンか掛かり始め、飛ぶ準備に入ってしまった。

ジタンは置いて行かれちまう急げ!とカーゴシップのはしごへ我々を誘導し、上らせていく。

先頭にビビ、続いて私、そしてダガー、ジタン。

すると後ろの方でダガーのちいさな悲鳴が聞こえ、ジタンからのセクハラを受けた模様である。

飛空挺は飛び立ち、優雅に雲を切っていく。飛ばされないよう柵に掴まり、高いところが苦手なビビの背中をポンポンと撫でた。

 

「よく見て私の帽子、ビビとおそろいだよ?」

 

氷の洞窟から赤魔道士になっているけど、今更私はビビに私との共通点を言えば、ちょっと戸惑いながら彼も帽子をぎゅっと握る。

 

「似てるって結構あるコトなんじゃない?」

 

「……そう、かな」

 

そう戸惑う彼の背を押してカーゴシップに入る。

 

「……え!?」

 

そこで見たものに、ビビは戸惑い声を漏らす。

カーゴシップの中では、あの地下で作られていた人形達がひとりでに動いて、機械を操作していたのだった。

 

ビビは戸惑いながらも彼らに声をかける。その様子を、私はただ黙ってみていた。

 

 

 





※修正箇所
振って→降って
女房→狂暴

ァァァもっとあるんだろうなぁ……
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