私のいつか帰るところ   作:にくはるまき

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ずっと楽しませてもらっていたオンラインゲームが、ついにサービス終了してしまいました…………

喪失感に虚無感が半端ないデス………
続きを書く気力はないけど、書き溜めたものはありますので貼ります……




カーゴシップ〜リンドブルム

 

 

カーゴシップの中でせっせと働く黒魔道士達に話しかけるも、まったく反応を返されることのないビビ。

ジタンとダガーも艇の中に入ってその様子を見て切ない気持ちになっただろう。

 

「驚いたな……動いてる……」

 

「作ったモノは作られたモノが運ぶっていうシステムねぇ。低コストだなー」

 

「ヴィエラ…!」

 

冗談でそんなことを言うべきではないんだろうけども、全部知っている自分からしたらそんなに感情は抱かない。

物事の効率化っていうのはいつの時代何処でも求められるものさ。

 

「人も人形もあんまり変わんないもんだよ。使えれば何でも良いんだ」

 

ただ黙って仕事をしているこの黒魔道士と自分……大差なんて無いだろうな。

 

「……嫌なこといってゴメン」

 

「……ヴィエラにも色々あったんだな」

 

ジタンは何かを察したのかそういったけど、私はブンブンと首を振った。

 

「何もないよ。私はヴィエラなんだから」

 

そう、過去なんて無い。何もない。私は今幸せな夢の世界に居るんだ。元の世界の事なんて思い出したくない。

ここに連れてきて貰うときに記憶も消して貰うんだった。

 

すると話しかけることを諦めたビビがこちらにやってきて悲しそうにうなだれた。

 

「何度話しかけても……まるで何も見えていないみたいに……反応してくれなくて……」

 

「そうだね、彼らには私たちが見えてないんだよ。そういう風に魔法をかけられているのかもしれない」

 

ポンポンとビビの背中を撫で、わざと無視しているわけじゃないんだといってあげた。

本当はお喋りできたらうれしかったのかもしれないけどね。

 

「ダガー、ヴィエラ、オレはちょっと上に行ってくる。このままだと城に着いちまうからな」

 

ジタンはビビを任せて上へと行くといった。

確かにこのカーゴシップはアレクサンドリア行きだから、そのまま放置するのは良くない。

 

「ん、私も行くわ。私風に当たるの好きなんだ」

 

と、いうことでジタンと二人で甲板に出てみる。

気持ちが良い風が頬を撫でてここでお昼寝したい気分になった。

でもその甲板には無念といわんばかりに這いつくばってるスタイナーさんがいて、思わず吹き出してしまった。

無反応の黒魔道士に困っているんだろうな。

近付いてみれば何か呟いていて、それを聞き取ったら更に吹き出しそうになってしまった。

 

「姫様を残して離陸してしまうなんて……ブラネ様に申し訳が立たん……!私は何ていうことを……!」

 

あぁ、置いていってしまったと思ってたらしい。

確かに先に乗り込んだのはスタイナーさんだから、急にカーゴシップが飛び立ってしまったもんだから、我々が乗ったかどうか確認出来なかっただろうしね。

 

「おっさんなにやってんだ?危うく乗り遅れるとこだったんだぜ」

 

ジタンが話しかければビクンと身体を弾ませて立ち上がり、姫様は!?と聞いてきたから艇内にいるよと教えてあげれば安堵の表情を浮かべた。

 

「でもさ、スタイナーさん。このカーゴシップってリンドブルムじゃなくてアレクサンドリア城に向かってんでしょ?」

 

そう聞いたら、胸を張ってそうだと答えた。

 

「リンドブルムにいくっていったじゃん。うーそーつーきー」

 

「姫様を連れ戻すのが役目!ヴィエラ殿も邪魔しないでいただきたい!」

 

「へぇ」

 

私はこれからジタンが舵を奪うことは予想済みなのでニヤニヤしながら端っこに行き、手すりに掴まりながら景色を楽しみ始め、それから数分で飛空艇は旋回を始めて違う方へと向かい始める。

おお、始めたか。なんて思いながら操舵室を見てみると、ジタンとスタイナーさんが何か揉めてて草でした。

その騒ぎを聞いて集まったのか、進路が変わってしまったから集まってきたのか、黒魔道士達は操舵室を取り囲む。

意志のないただの人形のはずの彼らだけど、今微かに感情というモノが生まれつつあったのかもしれない。

 

すると魔道士達を追いかけてダガーとビビも甲板に上がってきていて、私はビビにヤッホと手を振った。

 

――刹那、黒のワルツ三号が船首に現れ、振り返ったビビめがけて挨拶代わりの軽いサンダーをお見舞いした。

すかさずダガーが駆け寄って声をかけるが、ビビは怯えて震えている。

 

「ちょっと、うちのかわいこちゃんにちょっかい出すのやめて貰えないかな?」

 

私はその場で腕を組んで置いてあった木箱に寄りかかる。

この中にも魔道士が入ってるのかな?

 

「どんなやつが二号を倒したかと思えばこんな小僧どもだとは」

 

「一号も二号も三号もあんまり変わらない気がするんですが」

 

おちょくってたらサンダー飛んできました。

レイピアで弾けば、不快そうに目を細めてこちらを睨んでる。あーやんなちゃうわ。

 

「邪魔するモノは排除する!姫よそれまで待っていろ!」

 

と、言ったと同時に働いていた黒魔道士達がわらわらと集まり、ビビ達を守るかのような壁になる。

ここでようやく心を持ち始めた彼らをみすみす殺すのは何だか悲しいので、私も加勢しに入った。

 

「邪魔するな黒魔道士兵どもが!!」

 

「ブリザド!」

 

まず先に三号へブリザドをかすめてやれば、他の魔道士達も魔法を打って戦い始めた。

でも本気で怒った三号はその場に居たものを一瞬で吹き飛ばすほどの魔法を放ち、黒魔道士達は飛空艇から投げ出されていく。

 

「ファイア!」

 

「サンダー!」

 

私はファイアを放ち三号を殺しにかかる。でもやつもいい機動力を持っていて、当たるのだけども少しだけだ。

強い敵と戦ってこなかったから、こういうときの対処法が分からない。経験不足に唇を噛んだ。

 

「貴様……!この魔法の威力……ただ者ではないな!」

 

「攻撃するなら私をやれ!」

 

何とか残っている魔道士を守ろうとするが、もう光がなく死んでしまっているのが何体もあった。

そこのも、あそこのも、みんなもう光がない。

 

「サンダラ!」

 

三号はサンダーの上位であるサンダラを唱えて私はまともに食らってしまう。

流石にレベル差はあるといえ、ダメージをまともに受けた事ってないかもしれない。甘く見ていた。

 

今の私は赤魔道士。連続魔法と回復が出来るって言うのが利点なだけで威力はそんな無いだろう。完全にレベルでゴリ押していると言うだけだ。

 

飛空艇に残っていた最後の一人の黒魔道士が飛ばされそうになったのを見て、私は急いで駆けつけてその手を掴む。

おちないで、その目に光があるなら、死なせたくない。

 

「食らえ、サンダラ!」

 

またもサンダラを放たれて痛みに声を上げ、でも掴んだその手を離さないように強く握っていた。

だけどサンダラの雷撃は黒魔道士の身体にも届いてしまい、黄色く光っていたその瞳が消え失せてしまった。

同時に三号は私を殴り床に倒し、黒魔道士の最後の一人の手を離してしまった。そして私の腹に蹴りを入れて、後方にあった木箱へと飛ばす。

受け身を取ってなかったのでまともに背中を打ち付けるし腹は蹴られるし殴られるし、あのこも死んでしまったし、実に最悪の気分だ。

 

「ヴィエラ!」

 

ジタンは私に駆け寄りポーションを使う。

ダメージ量は結構あったけど、元々のHPが高いのでそんなに削れているわけではなかった。

 

「あの野郎許さねぇ!」

 

ビビもスタイナーさんもジタンも三号と戦い、でもやはり強力な魔法に翻弄されている。

でもこちらも弱いわけではないから、戦えていた。

私はゆっくり立ち上がり、残されていた黒魔道士の帽子を掴んだ。

分かっていた展開だったのに、許せなかった。

やはりその場にいてしまうと情が移るんだと嫌なほど思い知った。

 

「ジョブチェンジ、召喚術士」

 

私は姿を変え、そして額には一本の角が生える。

それを隠すように帽子をかぶり、戦いへ戻ってきた。

 

「ヴァルファーレ」

 

そう呼べば、空から強い光と共に何かが飛んでくる。

この世界の人々がまだ見たこともない召喚獣、居るはずのない召喚獣。

 

「船から蹴り落として」

 

私の言葉で、空から降りてきたヴァルファーレは蹴りで三号を吹き飛ばす。

お互い飛べるモノ同士なのできりもみ状態で戦っていたが、明らかにヴァルファーレのほうが上であった。

 

「な、なんなんだ、あれ!」

 

「さぁ」

 

私は知らんぷりしつつ、通常攻撃だけで戦うようにとヴァルファーレに伝えた。

 

「さぁって、だってヴィエラが指示出しているじゃないか」

 

「……私の友達なの。内緒にしてて」

 

まだこの時点で召喚獣というのを教えるわけには行かない。

戦いは終わったようでヴァルファーレが戻ってきて甲板にのってくる。

壊さないようにそっと乗ったので飛空艇は大きく揺れただけで済んだ。

 

「ありがとう。でももう少し仕事があるの、おねがい」

 

ヴァルファーレにそう告げるとこくんと頷き、私は頬を撫でた。

 

「みんな、追い払ったけど気を抜かないでね」

 

私がそう言うと、ビビがジッとこっちを見ている。

かぶっているのが彼らの帽子だからだろうか、召喚獣のことだろうか。

 

私は何も言わずいつものようにポンポンと背中を撫でてあげるだけだった。

そしてビビは飛空艇の端っこに引っかかってるおんなじ帽子を見つめにいった。

 

「ヴィエラ殿、あの翼竜は一体……」

 

「以前旅をしてるときに怪我してたのを介抱したら懐いたんだ」

 

スタイナーとジタンにそう説明すれば、二人は凄いなーと感心するだけで、まさか召喚獣だとは思わなかったのだろう。

そのままヴァルファーレと待機していると、後方から追い払ったはずの三号の乗った小さな飛空挺で追いかけてきているのが見える。

かなり無理矢理だが、ヴァルファーレにこの飛空艇を引っ張って貰おうと頼んでみたら、コクンと頷いてやってくれるという。

かぎ爪の足にロープをひっかけ、飛空艇を加速すべく羽ばたいて貰った。

 

そして追ってきた三号が前に立ちはだかり、サンダーを放った瞬間飛空艇に残っていた帽子が飛ばされ、三号は怒ったビビの全力のファイアを食らって吹き飛ばされた。

ビビが力尽きたようにポテ、と倒れたので介抱すればジタンもやってくる。

 

「ゲートが閉じる!中に入ったら風圧で飛ばされるぞ!」

 

「わかった、ジタンはビビをお願い!私はこの子と居るから大丈夫!」

 

そう言ってヴァルファーレのロープを外して彼女の背に飛び乗る。

まだ追いかけてくるあいつをやっつけてあげましょう。

 

「みんなはかまわず進んで!」

 

ヴァルファーレの羽ばたきで一気にカーゴシップの後ろに回り込み、そして飛空艇はついにゲートの中に入り込んだ。

三号も追いかけてきて、私は彼へと手をかざし、容赦する気も無くそれを唱えた。

 

「シューティング・レイ」

 

ヴァルファーレの口から白い光線が放たれ、三号もろとも小型艇を吹き飛ばす。

その爆発はすさまじく、カーゴシップが出て行くと同時にゲートから出たのだが黒煙を吸い込んで軽く咳をした。

 

「ヴァルファーレ、もう大丈夫。船に降りたらもう戻ってください」

 

カーゴシップの側に寄って私は背中から飛び降り、彼女に手を振ってやれば空へと飛んでいき、光となって消えていった。

 

「さて、みんなはどうなってるかな」

 

カーゴシップの操舵室に行ってみれば、黒煙を上げている南ゲートを見て表情を曇らせている。

自分たちのせいでゲートが壊れてしまったとなれば大変なことをしたと思うだろうけど、これは三号も追いかけてきていたし仕方ないことだろう。

ジタンもリンドブルムの技術力ならすぐ直ると励まし、船は進んでいく。

 

「……ヴィエラ、あの翼竜は……」

 

ダガーもヴァルファーレの事が気になったみたいで、先ほどの事を聞いてくる。

二人同様に旅の途中で怪我してたのを手当てして懐かれたと言っておいた。

 

「人に懐いた竜なんて、貴族などに知られたら捕まえに来ちゃうかもしれないから、なるべく呼ばないようにしていたの。見たこともない竜だから、遠くから来たんだろうし、珍しいから狙われちゃう。だから今のことはあの竜のために内緒にしてて」

 

それらしい事を並べたら、皆さん何も疑わずうんと頷いた。

仕方の無い嘘だけど、みんなと旅し始めて少し胸が痛くなったが、これから先も嘘をつき続けないと行けない。

嘘に嘘を重ねていくしかない。

 

「それにしても、なんでその帽子かぶってるんだ?ていうか変なかぶりかたしてて、前見えなくないか?」

 

ジタンはずっと黒魔道士の帽子をかぶっている事に疑問を持ったみたいで、私の顔をのぞき込んだ。

角を見られるわけにはいかないので、スッと後ろに下がり、手向けのためさと言えば皆が黙った。

ホントは手向けのため何て思ってない。ちょうど良くあったからかぶっているだけ。

また、ちょっと胸が痛かった。

 

「……ねぇ、ボクとあの黒魔道士って呼ばれていた人たちって……おんなじ、なのかな」

 

流石にビビもアレがなんなのか、自分とどんなつながりがあるのか薄々気が付いてしまっていた。

そりゃ自分とかなり見た目が似ていて、人間達とは姿が違うんだから気になるのは当たり前だ。

それに、ダリの地下で量産されてるのを目撃しているから、自分もあそこで作られたのかと考えたのだろう。

みんなが黙っているのに、スタイナーさんは間の抜けた顔で首をかしげ、それを否定した。

 

「ビビ殿はビビ殿であろう?あの者達はあの者達である、何を言っているのか……」

 

スタイナーさんは似ているなんて思わなかったんだろう。それはビビ個人を見ているからこそ言える言葉なのかもしれない。

ジタンは良いこと言うな!とスタイナーさんを褒めてビビを慰める。

どんなに似ていてもビビはビビだ、と。

 

私も微笑んでビビを撫で、そしてカーゴシップはリンドブルムの城の中へと入っていった。

こんな古ぼけているし、停泊の連絡も入れていないカーゴシップを城も易々入れているところで大分警備が緩いなーと感じてしまう。

最近ブラネ女王が怪しい動きをしているって言うのにこのざる警備はいかがなモノか。

 

カーゴシップを停泊させ、私たちはリンドブルムの城に降り立った。

警備の者が集まってきたが、ダガーが王族の証である天竜の爪を見せて証明しようとするも、警備の者では判断が出来ずに上司を呼ぶと言った。

そりゃそうよな、一般人が秘宝なんて見たことないだろうし、よく見て判ったなと思ってしまったけどキニシナイキニシナイ。

そして我々が怪しまれてしまった原因をスタイナーさんはジタンのせいだと言って喧嘩を売りつけて騒ぎ始める。

とにかくジタンの事が気に食わないからって全部彼のせいにしないでよぉ。

 

「貴様のように知性の無さそうなやつと一緒に居るから我々までも怪しまれるのだ!」

 

「おっさんが知性溢れる紳士には見えねぇけどなぁ?」

 

「きっ貴様ぁ!」

 

「わー、お祭りだー」

 

私はやんややんやと手を叩いて煽るが、文臣オルベルタが到着してお祭りは終了してしまう。

もうちょっとやってて良かったんですよ。

オルベルタさんは部下から事情を聞き、ダガーを一目見て本人だと確信して頭を下げ、シド大公に会わせてくれることになった。

 

「どうぞこちらへ、大公殿下がお待ちです」

 

オルベルタさんはそう言って進んでいき、お忍びで突然の訪問だったはずのダガーをお待ちというのが不思議で、みんなで首をかしげていた。

私もナンデダローと言いながら後を追い、リフトで高く高く城の上まで上っていく。

普段のエレベーターって壁があるのが普通だけど、壁がなくフレームのみのエレベーターって絶叫マシンに乗っているみたいでちょっと楽しかった。

まぁ、ヴァルファーレの背中に乗ったときの方が絶叫マシンだったな。

 

そして最上階まで到着し、大公の間に訪れてシド大公とご対面……かと思いきや、王座には誰も居ない。

そのからの王座の上にはキラキラと何かが光っていて、アレが宝珠の一つかと見つめてみたら、椅子の後ろからブリ虫が顔を出した。

ブリブリ、と可愛いような気持ち悪いような音を出しながら、ドデカいブリ虫はダガーに飛んでくる。

ブリ虫はこの世界でのゴキブリのようなものなので、とにかく気持ち悪いみたいで、隣に居たスタイナーさんが思わずパンチを食らわせて吹っ飛ばしてしまった。

 

「ぶ、無礼なやつブリ!ワシがシドだブリ!」

 

ブリ虫シド公はプンスカと怒りを表すが、ジタンもビビもデカいブリ虫にうわあと声を漏らしていた。

 

「リンドブルムってブリ虫まで大きいんだね……」

 

「ビビ、流石の栄養満点なごはん食べてもブリ虫はあんなに大きくはならないと思うよ」

 

私にとってはブリ虫って言うのは可愛く見えてしまうから、アレクサンドリアからどっかの街に移転してしまったブリ虫グッズも買うことが出来るだろうな。

 

「だからっワシがシド=ファブールだと言っているブリ!!」

 

「そのおヒゲ……ホントにシドおじさまなのですね……!」

 

ダガーはターンAガンダムのような、白ひげのような立派なヒゲで判断し、やっとみんなもそのブリ虫が王様だと理解する。

 

「いや第一に虫は喋んないから……」

 

とはいえ虫の姿で王様だ、は普通無理か。

シド大公はある日城内に何者かが忍び込み、魔法でブリ虫にされたあげくに作った飛空挺と妻のヒルダを盗まれたという。

……と、言っているが、実はシドが妻以外の女性に見とれてしまって、ヒルダが嫉妬してシドをブリ虫に変えてしまったというのが真実。

ちょっと家出するつもりだったのだろうけど、そこにちょうど良く後に出てくるキーキャラクター、クジャに連れ去られてしまったというのである。

 

今後のことはとりあえず休んでから話そうと言うことになり、料理を振る舞われた。

豪華な料理に頬がつり上がり、何を食べても美味しくて大満足だ。

この世界に来てトレノでは居酒屋のような店に入ったから、こういうお高いごはんは食べていなかったな。

それから食事が終わってから、私たちは城ではなく城下町に行かされることになる。多分姫と同室はイカンよと言うことなのだろう。

 

「ゴメンみんな、ちょっとしばらく私は外れるよ。野暮用があるんだ」

 

私はみんなと一旦離れることを話し、ジタンはどこかに行くのかと聞いてきた。

行く場所はチョコボの森と、フォッシル・ルーからさきである。

先ほどの三号の戦いでもそうだけど、私は経験値が足りない。場数が足りないのだ。

あとチョコボは足になってくれるのとにかくお宝を掘り出したいって言う意味である。アイテムはたくさんあっても困らない。いいアイテムは欲しい。

 

「ダガーのこと、リンドブルムに送り届けてハイ終わりじゃ寂しいから、また会いに来ても良いかな?」

 

そう聞くと、ダガーは頷いていつでも会いに来てくださいと微笑んだ。

こうして我々はダガーを送り届けることに成功し、各自色々と行動して身を休めるのであった。

 

そんな中私は休むことなくリンドブルムから出て行く。

霧の下に出たいのだが、あいにく下の出口は霧で危険とのことで封鎖されていて行くことが出来ない。

でも召喚士である今なら降りることはたやすいだろう。

人に見られても困るので、付近にある森のような場所、ピナックル・ロックスで呼ぶことにした。

 

「ヴァルファーレ」

 

名を呼べば空からヴァルファーレが舞い降り、その背に乗って霧の下の大地に降り立つ。

視界が悪くて本当に周りが見えない。

 

「ゴメン、もう少し乗せて」

 

ヴァルファーレの背に乗ってゆっくり飛んでいると、黄色い鳥がチラリと見えた。

森の中に入っていったから、アレがチョコボの森だろう。

 

「ありがとうヴァルファーレ。戻ってください」

 

背中から降り、頬を撫でれば満足げに小さく鳴いてからヴァルファーレは空へと飛んでいった。

見送ってから森に入っていくと、モーグリのメネと追いかけっこしているチョコボのチョコの姿があった。

私を見るやいなや、情けない鳴き声を上げて森から飛び出してしまう。

 

「ごめんクポ、チョコは人見知りなんだクポ」

 

でもギサールの野菜があれば!とメネは私に野菜をくれる。

チョコの友達が増えてくれるのを待ち望んでいたんだろうなと思って、けなげで泣けた。

 

「チョコボってカワイイね」

 

「チョコは最高のチョコボだクポ!ちょっと臆病なのがたまに傷だけどクポ」

 

「これで釣って仲良くなってくるね!」

 

「無理強いはよくないクポよ!」

 

そんなこと言っているのを無視して外で物陰に隠れているチョコに野菜を見せれば、大好物だからかこっちをジッと見つめている。

野菜を食べちゃおっかな?と口を大きく開けて近づけたら、ダメと言わんばかりに走ってきたので、ぷぷっと笑いが零れてしまった。

 

「だべないよー。ほら、あーん」

 

野菜をチョコに差し出せば、チョコはもりもりと野菜を食べていく。

全部食べ終わったけど、その頃には勝手に触れても全く動じなくなっていて、おそらく食べ物くれる=優しい人、の認定なのかもしれない。チョロいな。

 

チョコを森に連れ戻し、ようやくここ掘れチョコボの開始である。

 

「チョコは穴掘りが得意クポ、一緒にやるといいクポ。60ギルで」

 

「金取るのね」

 

「当たり前クポ!こちらにも生活があるクポ!」

 

と、言うことでジタンの代わりにここ掘れチョコボをやっていく。

金はめちゃくちゃ持っているのでバンバン使っていると、流石のメネも「お金持ちクポね……」と引いていた。

ここ掘れチョコボはポーションもエーテルも掘れるし、正直良いことづくしである。

謎の石版を掘り出して、お宝の地図も発掘できるしいいアイテムが手に入りそうだ。

 

「クェ……」

 

「あれ、疲れちゃった?」

 

流石にずっと穴掘りさせていたら疲れてしまったみたいで、本日の穴掘りはここまでとなった。

だけど良いものも掘れたし、チョコグラフは明日堀に行こうか。

私もまだ召喚術士のままなので、レベル上げに行きたいのだけどこの状態では出来ない。召喚獣で戦うわけにはいかない。

今日のところは戻って一日休んで、24時間経ってジョブチェンジするのが得策か。

角を隠すためにずっと黒魔道士の帽子をかぶっているけど、やはり視界が遮られているのでキツいモンがある。

 

「また明日来るわ。ありがとねチョコ」

 

掘れた野菜を全部置いていけば、チョコは目を輝かせてモグモグと食べ始めた。

だけどメネは「太っちゃうクポ!制限も大事クポ!」と量を決めていて、仲が良い二人を見てふふっと笑ってしまった。

可愛いなぁ……癒やしのアニマルビデオを見てるみたいだわ。

 

ふと空を見上げてみると、もう日が沈みきるころで大分暗くなっていた。

森は霧の下にあるから、星は見えないのが残念である。

 

森から出てヴァルファーレを呼んでピナックルロックスへと飛んでもらう。

やはり誰も居なくて、ここは隠れるには便利な場所だなと思いながら、そこに書かれている注意書きに目を止める。

 

「老人の幽霊に注意、ねぇ」

 

正体は主を失ってさまよっている野良召喚獣、ラムウなんだよね。

ピナックルロックスの深い場所を数秒眺めてからリンドブルムへと振り返ったとき、視界の少し上の岩場に何者かの足が見えて思わず後ろに飛び退いてその正体を見やる。

 

「お主は、術者にしては何か妙なところがあるな」

 

謎の老人がそう口にしたと同時に、飛び退いたせいで頭から飛んでしまった帽子が地面に落ちる。

私の額の角を見て、老人はその本来の姿へと戻り、そして私に何者かと聞いてきた。

 

「召喚術士一族の角を持ち合わせているが、別な種族も入り交じっておる……」

 

「……私は召喚術士一族の力を借りることが出来るという、少々特別な存在なのですよ、ラムウ」

 

正体を知っているからその名を口にすれば、ラムウは目を細める。

私という存在が敵か味方かと言う判断をしようとしているのだろう。

 

「召喚術士一族の末裔と私は知人なのです。ですが、私自身もこの力を使えることを隠しているのです。これは知られるわけにはいかない。その最後のも末裔も守らないといけない」

 

マダイン・サリの事もあって、ラムウもこの一族が危険視されていることは知っているだろう。

 

「お主は何処まで知っておる」

 

「一族が消されたことくらいでしょうか。我々も、互いのために知らぬフリをすべきかと」

 

遠回しにあんたと関わりたくないといえば、ラムウはホホ、と笑った。

 

「それでは、機会があればまた会いましょう」

 

私は帽子を拾い上げてピナックルロックスを去った。

何も言ってこなかったということは、敵と見なされなかったと言うことで良いのだろう。

だけどちょっとピナックルロックスには行きづらくなったから、今度はシド大公にお願いして下の門を開けてもらおうと思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

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