私のいつか帰るところ   作:にくはるまき

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セリフが多いと打つのがタイヘンです……
うちの子をどう混ぜるか悩むし、全部を全部セリフ拾うとんもぉ……





ギザマルークの洞窟〜ブルメシア

 

ギザマルークの洞窟の奥へと進めば、黒魔道士達が歩き回っていて、残っているブルメシア兵を魔法で攻撃していた。

それをフライヤがジャンプで跳んで黒魔道士に槍をお見舞いする。

突き刺された黒魔道士は痛みを感じるそぶりを見せず、そのままフライヤにファイアを飛ばし、フライヤは後ろに跳んで回避した。

私も今はスナイパーのままなので遠距離攻撃に向いているから、フライヤを援護して弓で頭を打ち抜けば、黒魔道士は動きを止める。

でも黒魔道士兵はまだまだいっぱい居て、どんどん押し寄せてきた。

そのなかにブラネ女王の下にいた怪しげな術士、ソーンとゾーンが混ざってこちらにやってきた。

 

「何者でおじゃる?」

「見たことないでごじゃる」

「どこかで見たような気がするでおじゃる」

「しらないでごじゃる」

 

二人は我々を見てそう言うが、最後に結局殺そうという答えになって、黒魔道士達が襲いかかった。

ビビは魔法に魔法で返し、ジタンもナイフで斬りかかる。フライヤも残ったブルメシア兵と共に応戦し、私は後方で弓を引いた。

 

「凶暴な奴らでごじゃるよー!」

「逃げるでおじゃるー!」

 

黒魔道士達がどんどん倒されていくのを見て恐れをなした二人はとっとこ逃げていった。

フライヤは逃がすか!と追いかけようとしたが、深追いは危険だとジタンに止められる。

 

「一人で行くな、オレたちも行く!」

 

「一人で行っちゃ危険だよ。あの二人、結構手練れの術士だとおもうから」

 

私がそう言うと、フライヤは槍を握りしめて八つ裂きにしてくれるわ!と地面に槍を突いて怒りをあらわにする。

仲間がこんな目に遭って怒りを静められるはずもなく、フライヤは息を荒くしていた。

 

残っている兵達にポーションを配りつつ(チョコボの森で所持数99になってたから腐るほどあった)奥へと進めば、大きな鐘が置かれていてとても神秘的な空間に出た。

そこではモーグリが「あなたー!」と嘆いていて、どうしたのか聞いてみれば夫が巨大な鐘の中に閉じ込められてしまったと言う。

 

「ここで結婚式を挙げていたのに……!ひどいわクポー!」

 

だけどその時、あわてていたモーグリがビビの持ち物に反応した。

 

「クポの実を持っているクポね!?それをくれないクポ!?」

 

どうやら中にいるモーグリはクポの実が大好物で、そのにおいで中から出てくるかもしれないと言う。

ビビはクポの実を渡し、奥さんがクポの実があることを伝えれば、本当にドデカい鐘の中からモーグリが飛び出した。

食べ物に対する執着……クイナ並かもしれん。

 

「ありがとうございました!」

 

そう言って二人は去って行き、その後を追えば小さな隠れ家のような場所にたどり着く。

私はその壁に上から伸びているツタに目をやる。

上にいくと確か地上にでられるんだと記憶している。そしてそこには現レベルで相手にしたらもれなく全滅させられてしまう厄介モンスター、グランドドラゴンが居るはずだ。

 

…………今の私でどうにか出来るだろうか。いや、無謀すぎるか。

 

私は見なかったことにして、みんなと少し休憩しながらまた先へと進んでいく。

するとギザマルークとの謁見の間というのか、そこに倒れている兵に駆け寄れば、気をつけてくださいと言われた。

 

「ギザマルーク様が怪しげな二人に操られて、荒れ狂われております……!」

 

刹那、壁に空いた水路の穴から何かが現れる。

リヴァイアサンに似たような姿のモンスター、これがこの洞窟の主であるギザマルークだ。

この洞窟では結婚式を挙げたりするから、本当に温厚なモンスターだったのだろう。

守り神のような存在だったギザマルークは大きな尾をしならせ、我々をおそう。

フライヤは兵を担ぎ、ジタンはビビを抱え、私はぴょんと跳び上がって各々回避すると、空振りになった尾は壁に当たるが大きな穴を開けた。

かなりの重量もあり、アレを食らうとただでは済まなそうだ。

 

「戦うしかないみたいだなッ!」

 

ジタンはそう言ってギザマルークに向かって飛び上がるが、ブリザドを食らって地面に叩き付けられる。

また尾の攻撃が迫ったので私はジタンを引っ張って何とか回避した。

ビビには少し離れた場所からファイアを放ってもらい、フライヤは辛そうな顔をしながらギザマルークを槍で貫いていた。

 

痛みで雄叫びを上げるギザマルークにチャンスと言わんばかりにジタンが背中へと飛んで、ナイフでざくさく切り刻んでいた。

私もサポートをすべく翼のようなヒレを打ち抜いたり、尾を刺したりして小さなダメージを入れていく。

何せ普通にやったら多分三発くらいで終わってしまうから、そうなるとちょっと立場的なものがある。私が全部やれば良いじゃんみたいな感じになりかねんし、あとクジャと対峙するのだけはご勘弁願いたい。

アレはどうあがいても勝てないし話が通じる相手じゃない。間違って追い込めたとしても、そういうストーリーじゃなし、最悪ガーランドが出てきたらかなりまずい。

だから私は仲間Aという存在でいたいのだ。

ただたまたま、仲間になった存在に。

 

だけど、ギザマルークは雄叫びを上げながら身体を回転させてジタンを振り払い、ボロボロのヒレでフライヤを叩いて吹き飛ばした。

ジタンがフライヤを受け止めたが、ウォータを唱えられて水弾をまともに食らって壁に叩き付けられてしまった。

 

「ジタン!フライヤ!!」

 

更に追撃しようと水弾を溜めているギザマルークに私は焦って弓を引くが、その痛みでギザマルークが後ろへと倒れていく。だが、その巨体は大きすぎたために、運悪くビビがいる場所にまでとどいてしまうくらいだった。

 

ビビがあんな巨体をまともに食らったらただじゃ済まない……!

一発で仕留めないといけない、相手がどれだけ体力が残っているのかも分からない。

消し去るくらいの大ダメージを当てるしかない!

 

「ジョブチェンジ、セージ!ギガフレア!!」

 

私のMPが全て無くなって、そして同時にギザマルークにとてつもない火力での大爆発が起こった。

その威力は水をも蒸発させてしまうほどで、強烈な熱風が洞窟内を包み込み、爆発で全てを揺らし吹き飛ばした。

壁にはたくさんの亀裂が入り天井は崩れ落ち、爆発が収まったときにはギザマルークは骨すら残っていなかった。

 

「ビビ!?どこ!?ビビッ!!」

 

私は真っ青になりながらビビの居たであろう場所へと跳んだ。

その場所も爆風の爪痕が残されていて足下に亀裂が入っている。まさかビビまで燃やしてしまったんじゃ――

 

「ぷはっ!び、びっくりした……」

 

その場から少し遠くの水辺からビビは顔を出してこちらに泳いできた。

自分が殺しちゃったかもしれないと思っていたから、私はへなへなと地面に座り込んで泣き出してしまった。

殺したかと思った。本当に怖かった。

 

何てえげつない火力……現時点のレベルでこれだけの火力が出ると言うことは、まだこれは弱い威力だと言うことだ。

バハムートの技もメガフレアなのに、私が使ったのはその上のギガフレア。レベルのお陰もあって威力が低かったことに感謝すべきかもしれない。

 

もしもっと威力が高ければ、洞窟が崩れて生き埋めになっていたかもしれなかった……助けたいと思っても、これでは私が仲間を殺してしまう……なにをやっているんだ。

もっと考えなきゃいけないな……剣などで高威力が出せるようにならないと。それならこんなことにはならないはずだ。

 

「お姉さん泣かないで、ボクは大丈夫だよ」

「ごめんえ、ごめ、うええ」

 

ビビに慰められながらセージにジョブチェンジしたので服装が替わり、ローブ姿になっていた。私はローブで涙を拭い、泣くのをなんとか押さえた。

 

それからまだ熱の余波のあるギザマルークが居たであろう場所へと行けば、石は溶岩のようにドロドロに溶けてしまっていた。

あ!そうだ二人は無事か!?

 

「ジタン、フライヤ!大丈夫!?」

 

壁に叩き付けられて地面に伏せている二人に駆け寄れば、小さくうめき声を上げた。

急いでポーションを使えば何とか回復したけれども、二人とも戦えるような状態じゃなかった。

ビビも急いで駆けつけたけど、ビビも回復魔法も使えないからオロオロとするだけである。

 

「モーグリ達がいたトコで休ませてもらおう」

 

やっと歩けるかという状態の二人をつれ、我々は先ほど助けたモーグリたちの元で休むことになった。

 

「ギザマルーク様があんなに荒れ狂うなんて……」

 

フライヤはうつむきながら呟き、そして私を見上げた。

 

「ギザマルーク様を一瞬で葬ったお主は一体何者なのじゃ」

 

私は少し沈黙してから、ただの旅人だと答えた。

 

「巨大な力を持ってはいるけど、それを正しく使うために旅をしている、って言う感じなのかな……でもこの力も悪いやつに利用される可能性もあったから、隠してきたの」

 

下手したら洞窟が潰れてたわ、って笑ったら、みんな少し顔を青くしていた。

しゃれにならなかったもんな。

 

「……みんなは少し動けるようになったら、この洞窟に溢れてるモンスターを討伐した方が良いかも。ギザマルークで苦戦するようじゃ、多分何も救えないよ」

 

私の言葉に皆がうつむき、私は持っているポーションの半分を置いて、壁についているツタを掴んで登り始めた。

やっぱりレベルが足りない、どうしてもレベルが足りない。

 

「そ、外は危険クポ!!」

 

外にいるグランドドラゴンを知っているモーグリがそう呼び止めたが、知ってる、危なかったら逃げるからと言って上まで登った。

そこは深い森の中で、聞き慣れない鳥のさえずりが響き渡っている。

確か森にはガルーダが居たか。

 

「皆は絶対来ないでね、死ぬから」

 

私はそう告げて森を抜け高原に出た。

見晴らしの良い景色ではあるが、やはり居ましたグランドドラゴン。

緑色の四つ脚ドラゴンさんはこちらには気が付いていない様子で、のしのしと歩いている。

群れで行動しているわけではないので、今見えるのは一体のみだ。

 

木の陰に隠れながらエーテルを飲んで全回し、先ほどギザマルークに放ったギガフレアを唱える。

強烈な熱が集中し、大爆発を起こす。だが流石グランドドラゴン、倒れません。

いきなりの攻撃に怒り狂ったグランドドラゴンはあちこちにサンダガを打ちまくり、辺り一面が荒野と化した。

私の居る方にはサンダガが届いていないので、またエーテルを飲んでギガフレアを打ち込む。

さて、もう一発、とエーテルを飲んだ瞬間、サンダガが飛んできて木の陰から逃げ出す。

かなりの威力に、当たったら体力は三分の一くらいしか残らないだろうなと思いつつグランドドラゴンとにらみ合った。

グランドドラゴンもようやく自分に喧嘩を売ってきた相手を見つけて、鋭い爪で襲いかかった。

確か猛毒だから……っていうかあんなの食らったら真っ二つだよ。

 

何とか跳んで避けながら、後方に跳びつつギガフレアを唱えれば、流石にあの威力の攻撃を三発くらったグランドドラゴンはようやく倒れたのだった。

 

……完全にエーテル飲んでごり押しだったけど、あのギガフレアで倒れないグランドドラゴンはやはりとんでもない強さだ。

勝てたので一気に経験値が入ってレベルもぐんと上がり30に到達した。

ここでクイナのレベル5デスを使ってグランドドラゴン狩りをしてレベル上げをするというのが楽ちんなのだが、あいにくクイナはいない。

私の青魔道士にもレベル5デスはあるから乱獲は可能だが、ジョブチェンジはさっきやってしまったのでしばらく無理だ。

 

さて、大分騒いだし他のグランドドラゴンが集まりつつあるので、急いで洞窟に戻ろうと森に入った。

中でガルーダに出会ったが、ウォータを唱えて水弾当てたらすぐ倒れてくれた。

ウォータでも結構威力あるな……

 

ギザマルークの洞窟に戻れば、皆まだ休んでいたようで、無事か?と聞かれた。

 

「めちゃくちゃ強い竜が居て一匹だけやっつけて逃げてきた」

 

「やっつけたクポか……」

 

「皆はまだ休んでて、私は見回りに行ってくるわ」

 

皆を残してギザマルークの洞窟を歩けば、息絶えてしまっているブルメシア兵がたくさん目にとまる。

その中に黒魔道士達も居て、ただ操られていると考えると切なくなった。

もはやこの洞窟には誰も居ないみたいだった。

 

――刹那、むくりと身を起こす黒魔道士を横目で発見し、エーテルを口にして杖を構える。

黄色い瞳があちこちを見渡したと思ったら、こちらと目が合い、そして後退った。

私も普段と違う行動を始めた黒魔道士に目を丸くしたと同時に、その黒魔道士は走り出した。

私は一瞬で理解した、あれは自我を持った黒魔道士だと。

 

黒魔道士は走ったが行き止まりになってしまい、私を見てひどく怯えていた。

 

「いじめないよ、怖がらせてゴメンね」

 

そう声をかけたらまたビクンと身体を跳ねさせ頭を抱えて縮こまってしまった。

こうやって自我が目覚めていく子がいるんだ……と思いながら彼に歩み寄り、大丈夫、と抱き寄せて背中を撫でた。

 

「何が起こってるか、分からないよね」

 

「こわい、こわい、こわい」

 

震えながら黒魔道士がずっとこわいとうわごとのように言っていて、大丈夫と背中を撫で、しばらくしたら黒魔道士は言葉を止めるがでもまだ震えは止まっていなかった。

私は身を離して彼に逃げるように伝えた。

 

「そこの通路をまっすぐ進めば出口に出られるよ、そしたら沼か、海あたりで身を隠しなさい」

 

沼の理由は、外側の大陸に行くための通路がそこだからだ。

海もあげた理由は、他の仲間達も集まり始め、船で海を渡ったりするからだ。

 

「君と同じ姿で、キミのように話が出来るならそれは味方。こちらに攻撃してくるのは敵だがら逃げること。人間達にも出会わないように隠れること」

 

「……あなたは、ダレ」

 

「お人好しのウサギさんだよ」

 

行きなさい、と背中を押せば、少しこちらを振り返ってから走って行った。

あのこのほかにも目覚めた子達はいるのだろうかと倒れている黒魔道士達を見て回るが、全員死んでいるようだった。

数も二百番台まで黒魔道士達は作られているから、ここに居るやつのなかで目覚めるのなんてほんのわずかなのかもしれない。

でもとにかく見逃さないようにして、逃がしてあげないと。

 

そう思いながらジタン達の元に戻れば、残っていたモンスターを討伐していたようで、ラミアと戦っていた。

私はそれを遠目で見守りながら、三人の連携の出来にうんと頷いた。

これなら後々も大丈夫だね。

 

「ただいま」

 

「ヴィエラ!戻ったか!」

 

ジタンは最後の一太刀を食らわせてラミアを倒す。

私も少しつかれたと言って皆でまたモーグリ達のいる小部屋で休むことになった。

 

「ここら辺の敵は簡単に倒せるようになったぜ」

 

「それなら心強いよ。それと、生き残っている兵がいないか確認していたんだけど、皆もうダメだった」

 

「……そうか」

 

フライヤは残念そうにうつむいたが、もう少ししたらブルメシアへ向かおうと立ち上がった。

 

「先ほどヴィエラに言われたとおり、弱くては何も救えぬ。私はまだ、弱い」

 

これから先、まだブルメシアの悲劇を目の当たりにすることになるフライヤ。

そしてまた更にクレイラで絶望を覚えるだろう。

私はまた知らないふりして黙っている。

 

「私はまだまだ強くならなければならない……」

 

「……身体を休めるのも大事だよ」

 

そのまま出て行ってモンスター狩に行ってしまいそうだったから止めたが、分かっておると笑われた。

微笑んでいるけど辛そうなフライヤに申し訳なくて、私は黙ってうつむいた。

 

しばらく休んだ後、ようやくギザマルークの洞窟を抜けてブルメシアへと向かう。

外はもう暗くなっていているが、それでも走った。

道中、逃げてきているブルメシア国民達にも何度か出くわし、リンドブルムに避難するように呼びかけた。

 

「ギザマルークの洞窟のモンスター狩りをしていて良かったぜ」

 

たくさんやっつけておいたから、一般人も通れるはずだ。

逃げてきている者の中には兵士もいて、国より家族が大事だと逃げていく。

そして誰一人王の安否を知るものは居なかった。

 

「かなり混乱しているね」

 

「急がねば!」

 

そしてどんどん雨が降り始め、ブルメシアについたときには我々はびしょ濡れになっていた。

こんな状態でサンダー系されたら感電するのでは。

 

「ここがフライヤの生まれた国か……」

 

ジタンは皆が慌てて逃げ出したであろう街の惨状を見て顔を引きつらせた。

倒れている人々、壊された建物、活気があったであろうこの場所には雨の音しかしなかった。

 

「この国を出て早5年……この故郷を夢見ぬ日はなかった。そしていま竜騎士としての力が試されるときなのじゃ!」

 

恋人を探して国を出て、戻ってみればこんな惨状。

早く王を助けたいだろう。

 

「果たして、私にどれだけのことができるのか……」

 

街の中を行けば、生き残っている人は見当たらない。

皆もう死んでいて、フライヤは走る速度をあげ、大きな屋敷に通りかかったとき、上のバルコニーからソーンとゾーンが顔を出した。

 

「また来たでおじゃる!」

「しつこいでごじゃる!」

 

そして黒魔道士達をけしかけ、ギザマルークの洞窟で散々モンスターと戦った我々の相手にすらならず、黒魔道士達はあっという間に倒れた。

ジタン達をあそこでレベル上げして置いて正解だったな。

 

「そんなことばっかりしていると、あの女将軍に怒られるでおじゃるよ!」

「そうでごじゃる!あの女将軍を怒らせると怖いでごじゃるよ!」

 

ソーンとゾーンはそう言い残して去って行き、我々は更に先へと向かう。

フライヤはブルメシアの王宮はもうすぐそこだと言った。

そして長い階段を上っているとき、フライヤは足を止め口を開いた。

 

「この先が王宮じゃが、居住区の荒れ様をみると、この先に進むのが恐ろしいのじゃ……」

 

フライヤは不安を漏らし、更にひどい有様になっているのはなんとなく察してしまう。

国を攻めるとなれば、王を狙いたいだろうから……

 

その時上の方からまだ残っていたブルメシアの民や兵が逃げてきていた。

彼らは命からがら逃げてきて、子供達は泣きじゃくっていた。

そしてビビを見て更に怯え、わんわん泣いてしまう。

 

「このものは黒魔道士ではない、それより早く逃げるんじゃ!」

 

国民は逃げていき、フライヤは更に顔を青くしていた。

 

「ここで立ち止まってちゃダメだ、敵の正体を見極めようぜ!」

 

ジタンがフライヤに言葉をかけ、ビビも黒魔道士達の正体を知りたいと言う。

 

「ボクはどんな人間なのか、知りたいんだ」

 

フライヤは自分自身の恐怖と戦っているビビを見て前を見据え、進もうと言った。

更に先へ進めば、彼らを追いかけてきた黒魔道士達と出くわし、そいつらも軽くあしらってやる。

結構な量がこの街に放たれているのか、あちこちから黒魔道士が顔を出した。

 

「ええい、いったいどれたけおるのじゃ!」

 

嫌気がさしてきたのか愚痴をこぼしながら槍で打ち抜き、ジタンは蹴りも入れて魔道士達をやっつけていく。

ビビも臆することなく魔法を当てて攻撃し、我々は順調に進めていると思う。

大きな建物に入れば、ここでもあちこちにブルメシアの民が息絶えていて、生き残っている者が見当たらなかったが、微かに何か声がしたので見に行けば、今にも倒れそうな石像の下に生き残りの国民が見えた。

 

「なにやってんだ!?それより、石像が何だか倒れそうだ……!」

 

ジタンは何か嫌な予感を感じたのか二人に駆け寄り、石像から引き離せば同時にその石像が崩れ落ちてしまった。

そのまま移動させなかったら下敷きになっていたところだ。

 

ジタンが助けたのはどうやら夫婦らしいが、夫の方が足に怪我をしてもうまともに歩くことが出来ないと言っていた。

 

「オレのことは良い、だから、お前だけでも逃げろ」

 

「あなた……!いやよ!」

 

離れないわ!と泣いている嫁さんに、外からまだ生き残っていた兵が駆け寄った。

そしてその兵が夫を担ぐから、逃げようということになり、どうにかにげられそうである。

 

その後ろ姿を見送ってから王宮を目指せば、王宮がめちゃくちゃに攻撃されてしまっていたと分かるほどにボロボロになっていた。

黒煙が上がり、立派だっただろう城壁も崩れ落ちていて、王の安否も正直……

 

「そういえばダガーが来ている感じがしないね」

 

私がそう言うと、ジタンも同じ事を思っていたと言った。

ダガーも行方知れず、ブルメシアはこんな感じ、最悪である。

 

フライヤは片膝をついてうなだれてしまい、今はそっとしておこうと離れたとき、フライヤは王宮に人の気配を察知したようで立ち上がった。

 

この先そのまま行くとベアトリクス戦に入って強制的に負けになり、そしてクジャとの初の対峙する場面になる。

 

私はまだベアトリクスと戦いたくないし、クジャにも会いたくないので、この戦闘から逃れるべく、逃げていった人たちが心配だから街の外まで送ってくる!と言って無理矢理離れた。

 

先ほど逃げた人たちを追っていけば、逃げられてはいるけどあの黒魔道士達もまだ居て追いかけられていた。

これ、来てなかったら殺されてません?

 

「エアロ!」

 

つむじ風で黒魔道士達を巻き上げ、地面にたたき落とす。

魔力が強いせいでこの一発で倒せるから楽ちんだ。

 

「街の外までお送りしましょう」

 

「ありがとう!」

「助かったよ!」

 

人々は喜び、そして黒魔道士達を倒しながら街の外にたどり着けた。

この道中で物陰に隠れていた国民も何人も居たので仲間に加えたから人数が結構増えた。

 

「出来ればリンドブルムに亡命する方が良いと思います」

 

私の案に、賛成するものとそうでないものが分かれた。

賛成しなかった者はクレイラに逃げると言っていて、昔に別れてしまった一族だが、同じネズミ族だからきっと受け入れてくれると信じて走って行く。

 

そして人々はそれぞれの道に分かれていった。

 

私は街に戻り、残りの人が居ないか確認する。

その中で黒魔道士達も確認するが、だめだ、皆死んでる……

……ていうか私が殺しているというか。

 

とりあえず反応はなさそうなのでジタン達の居る王宮へと戻り、崩れた城壁を登って中の様子を見る。

するとジタン達は負けてしまって、地面に這いつくばっていた。

 

「私の闘士を満足させてくれる者は、この国にも居ないのか……」

 

彼らの前に立っているベアトリクスはそう呟き、つまらなそうに溜め息を吐いた。

確かに騎士として強者と戦いたいと思っただろうけども、ブルメシアが攻撃を仕掛けてきたのだというブラネの嘘を見抜けず使われているのは哀れである。

私は気付かれないように息を潜めて敵が去るのを待った。

 

ブラネとベアトリクスが去ったが、クジャだけが残り不敵に微笑む。

なにせジタンに国の混乱を見せつけて笑っているのだ、本人の目の前でこういうことが出来るのが気持ちよくて仕方が無いだろう。

 

「さて、ドブネズミは置いといて……問題はこっちの少年だな」

 

分かっているくせに、少年、と呼んだ。

クジャはジタンを見下ろし、気持ちよさそうに微笑む。

その笑い声がここまで聞こえるんだよね。

 

「そしてそこに居るネズミが一匹、かな」

 

え? なんて間抜けな顔をした瞬間、背筋がぞくりとした。

恐る恐る顔を除かせれば、クジャはこっちを見ていた。

めちゃくちゃバレてた……!!!!

 

「なんだ、ネズミじゃないようだけど、けだものには変わらなかったね」

 

そう言って銀竜に乗り、高く高く飛び上がりどこかへ行ってしまう。

私はクジャと目が合ったことで心臓が大騒ぎして呼吸を荒くした。

下手したら殺されていたところだっただろう、あぶなかった……

動物的勘というか、完全に被食者の気持ちになったよ。マジで殺されるかと思った。

 

胸を押さえつつ倒れてる皆のもとに駆けつければ、ベアトリクスにやられた怪我でまともに動けそうになかった。

 

「ほら、ポーションつかって!」

 

「……ヴィエラポーション持ちすぎじゃねぇ?」

 

ポンポン出してくるポーションの量にジタンが流石に気になり始めたみたいなので、金はあるからとにかく買えるだけ買ったと答えたら、金持ちだなぁと返される。

ホントはチョコボで掘ったお陰ですが、それは言わないでおこう。

 

「先ほどの気色の悪い男……一体何者なのじゃ」

 

フライヤはポーションを飲みながら先ほどのクジャのことを考えていた。

あまりにも異質な存在、クジャ。かっこも異質。

 

「ヴィエラはどう感じた?」

 

フライヤの問いに、正直に殺されるかと思ったと正直に漏らした。

 

「え、あいつそんな強いのか……?」

 

「……うーん。カンだけど、かなりいやな気配がしたよ。隠れてるこっちに気が付かれたときに目が合ったんだけど、背筋が寒くなった」

 

この中でも強者である私がそういうのだから、皆は冷や汗をかく。

下手したらあのまま全員殺されていたかもしれなかったからだ。

だけど見逃してくれた理由があったことを、彼らは知らない。あえて殺さなかった理由を……

 

「とりあえず皆が無事で良かった。逃げた民達も私が守ったから大丈夫だったよ」

 

「すまないヴィエラ……」

 

「困っている人をほってはおけないよ」

 

また少し休んでから、ブルメシア王がここには居なかったという情報を得た我々は、次にクレイラへと向かうことになる。

誰も居なくなったこの国を歩き、雨の音だけがこだました。

 

 

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