ちょっとずつ進めてます。
エタりたくないエタりたくない……
結構急ぎ目に書いているから、説明文が多い……
戦闘描写マジで難しいですウワァァァ
ブルメシアから少し離れた岩陰でテントを張って休む我々……
クレイラに向かおうとしたのだが、この暗さと先ほどの戦いでやはり一度休もうと言うことになった。
狩猟祭からギザマルークの洞窟、そしてブルメシアと連戦が続いていて流石に皆の疲労が溜まっていた。これ以上無理して進む方が危険だった。
岩陰に張られたテントの側はモンスターの気配がないので、とりあえず今夜は大丈夫だろう。
「ブルメシアから逃れた民は無事であろうか……」
横になりながらフライヤが呟き、少なからず兵も一緒に居たから大丈夫だよと言って私は目を閉じる。
クレイラへの道のりで、同じようにどこかで休んでいる民も多いのだろうなと思いながら眠ったのだった。
目を覚まし、クレイラに向かった我々は、遠くからでも見える竜巻に圧倒されていた。
「……まさかダガーがこんなところに来ているわけ無いよな……」
ジタンはブルメシアにダガーが居なかった故に、何処に向かっていったのか分かっていないようだった。
アレクサンドリアに戻ったというのは思いつかなかったみたい。
竜巻の根本付近へとやってきたが、見た目より砂嵐は落ち着いている様に感じる。
フライヤも同じだったようで、普段よりも静かじゃと言った。
クレイラも異変が起きていることを感じたが、先へ進むことになる。
「うーん、ブルメシアの民を受け入れるために風を弱めてくれてるって事は無いの?」
「……そうやもしれぬな」
「それなら敵が来ないうちにオレたちも早く登ろうぜ!」
砂嵐を進めば、大きな大樹がお出迎え。ここの上に皆住んでいるんだな。
イーファの樹とどっちが大きいのだろうか。
頂上目指して砂の中を走るが、ローブを引きずっている私には結構キツい。
ジョブチェンジは昨日の夕方にしたからまだまだ先だー!!
泣き言を呟きつつ進めば、砂のモンスターやら虫やらに襲われる。
「ウォータ!」
サンドゴーレムは水が弱点みたいで、たくさんの水に抵抗できず下へと流れていく。水には勝てなかったね。
クレイラの内部は木の幹の迷路のようで、砂嵐の砂にも浸食されているし大分参る。
道は分からないし歩きづらいし滑るし……
「せっかくのヴィエラなのにローブが邪魔だ……!!」
あああとわめきながらも着々と進んでいく。
ドラゴンフライに襲われサンドゴーレムにも襲われ……あああ魔術師系は基本動きづらいからこういうとき不便だー!!
「エアロ!」
「ウォータ!」
「エアロ!」
ポコポコ魔法をぶちかますが、その他の魔法がドレイン、ブライン、バイオとちょいと使い勝手が悪いのでこの二つで頑張ってます。
ああ、レイピアとか弓があればなぁ。
試しに杖でぶん殴ったら、流石のレベル差でボコボコに出来た。
うん、これはいい。物理セージですわ。
「おらおらかかってこいやー!」
段々楽しくなってきた私はサンドゴーレムのコアを杖で殴って破壊する。
私の通常攻撃もそうなのだけど、この杖つよいな。
「……ヴィエラ一人でこの辺の敵全滅させちまうんじゃねぇか?」
「そ、そこまでしないよ!砂面倒だから先に行きたいし……」
ヴィエラ無双が始まっていたので慌ててやめたが、ジタン達は心強いと言わんばかりに笑った。
「そんなこと言ってもあの変態さんにはどうひっくり返っても勝てるとは思えないから、期待しないで欲しいな……」
こうして樹の幹の探検をして行き、ようやく頂上へと登ってこれた。
下から見上げて上の建物が見えないくらいだから、かなりの高さが合ったこのクレイラ。
ええ、登山しているくらいのつらさでした。ぜーはー。
クレイラの街はほのぼのとしていて、ここでは空が広がっていてとても気持ちが良い。
だけどもう日が沈む時間になってしまっていて、空はあかね色で、星もぼちぼちきらめき始めていた。
ここは砂と風の音がするけど、それはまるで川のせせらぎのように心地が良かった。
そこに待っていたのは二人の神官で、フライヤを待っていたと言った。
やっぱり入り込めるように砂嵐を弱めていたんだよね?
そして二人の神官はブルメシア王からフライヤを丁重に案内するようにと言われているとのことで、王様が無事と聞いてフライヤは胸をなで下ろし、早速案内してくれと急いだ。
「私は王に謁見してくる。ジタン達は少し休んでいると良い」
「おう、分かったぜ」
「いってらー」
フライヤは神官達と先へと向かい、私たちは街で自由行動になった。
まるで砂漠の中のオアシスのようで美しいクレイラは観光にはぴったりで、先ほどまで殺伐としてた様々な光景が嘘のようにここはおだやかだ。
あああ癒やされるー。
巨大な謎のキノコや、小さな滝、そして水車、そこらにこけも生えていて幻想的だ。
マイナスイオンが発生しているんだろうなぁ……
そこから街に出たりして歩き回り、展望台に行けば砂嵐で半分くらい外が見えないが、空がキレイなので問題なし。
「あら、こんにちは」
ふと声をかけられて振り返ってみれば、美しいネズミ族の踊り子が二人いて、美しさに思わず「おぉ」と声を漏らした。
「お二方、優雅で美しいですね」
「「ありがとうございます」」
二人はお辞儀をして、この展望台は憩いの場所なのだと教えてくれた。
砂嵐は自分たちを守ってくれる存在だから、感謝するために祈りを捧げるのだという。
その邪魔をするわけに行かないので私は街に出てみたのだが、そこでは何かもめ事のような声が聞こえ、駆け寄ってみたらビビがブルメシア民に睨まれていたのだ。
それもそのはず、襲撃してきた黒魔道士の格好なのだからそうなるだろう……
「待ってくださいその子は違います!」
私は急いで駆けつけ、今にも斬りかかりそうな男性の前に立ってビビを守るように手を広げた。
「何が違うってんだ!」
「この子は似ているだけで、ブルメシアを襲った黒魔道士達じゃないんです」
守るようにぎゅっと抱きしめてから身を離し、ほら!と見せつける。
「敵だったらもう私は攻撃されてます。この子は一緒に旅をしてきた私の仲間なんです」
「そんなの信じられるわけ……!」
その時、騒ぎを聞きつけた他のブルメシア民が集まって、待ったをかけた。
「その方は私たちをブルメシアから逃してくれた……黒魔道士達から助けてくれた命の恩人です!」
「オレも助けられた!」
「その人が言うんだ、そいつは似てるだけなんだろ!」
私が逃がした人たちも間に入ってくれて、何とかこの場は収まった。
だけど似ているだけで攻撃されてしまったビビはしょんぼりとしていて、そっと宿へと連れて行った。
「今日もたくさん戦ったし歩いたから、もう休もう」
「……うん」
「ジタンも呼んでくるから、ここで大人しく待ってて」
優しく背中を撫でてからジタンを探しに行き、宿を取った事を話した。
フライヤの王との謁見もそのほかに色々ありそうで時間がかかるだろうし、とにかく休めるときに休むべきだろう。
「クレイラを登るのも大変だったし、ちゃんと休まねぇとな」
ここまででようやく日が落ちて空はあかね色から紺碧の夜になり、星がいっぱいに広がっている。
この世界の星空は本当にキレイだ。
私の世界では街灯が多すぎて星や月の光をもかき消してしまって、よくみえないんだとか。
だから山とか街灯のないとこに行くと星が綺麗に見えるんだよね。
少し早めだが私たちは布団に入り、今日はビビと添い寝することにした。
「大丈夫、何があっても私やジタン達が味方だよ。大丈夫」
子供をあやすようにポンポンと背中を撫でたら、ビビは小さくうんと頷く。
ビビの頬を撫でてお休みと言い、私はビビが目を閉じたのを確認してから目を閉じたのだった。
翌日、早めの就寝だったからか、朝日と共に目が覚める。
添い寝していたビビはまだ寝ていたが、私の身じろぎで目を覚ましてしまった。
丸い瞳と視線を交えて、私は微笑んで「おはよう」と言えば、ビビも返してくれる。
ベッドから降りてぐぐっと身体を伸ばせば、しっかりと休めていて気分は良い。
さて、ジョブチェンジだが、昼になればできるようになるだろうから、それまでは何も起きなければ良いけど……
ここでまたベアトリクスとやりあうことになるから、ここでは闘士とかで相手をしたいところだ。考えておかないとな。
「ビビはよく眠れた?」
「うん」
「じゃ、ジタンも寝てるし、早朝の散歩一緒にしない?」
「うん!」
私と一緒ならブルメシアの人々から何か言われることはないだろう。ビビは笑顔で返事を返して一緒にクレイラの散歩をする。
私が好きなのは水車のところなので、ここで座って段々と明るくなる空を仰げば、ビビも同じく空を見上げた。
のほほんと時間を潰していると、ブルメシアの民が何人か通りがかったが、平和的に挨拶を交わしていく。
ビビもなじめたみたいで小さく会釈を返していた。
しばらくすると、目が覚めたジタンが朝飯を食おうと呼びに来てくれて、宿で出してもらったサラダと卵とパンをかじる。
とても質素だけど美味しかった。
その時、外から「大変だ!」という声を聞き、なんだろうかと宿から出てみたら、子供がアントリオンに襲われていると言う騒ぎだった。
普段は大人しくしているはずのアントリオンが暴れてるというのは、ギザマルークの時のようなのと同じような感じがする。
まぁ、流石にソーンとゾーンが操っていたわけじゃなかったけど、間違いなくクレイラに異変が起きているのは確かであった。
それなのに話を聞いていた神官は、大祭司様にご報告しておきます何て言って、急ぐことなく歩き去ってしまう。
襲われている子供が心配ではないのか、ここではそういう緊急事態が起こったことがないせいなのか、なんとものんきにしていられるなぁ……
「クレイラのやつはどうしてこうものんびりしてるやつばっかなんだ!!」
襲われているぞ!と報告してくれたブルメシア民が呆れて居たところで、ようやく私たちが行こうと手を上げた。
ここで戦えるのは我々くらいだろうからね。
アントリオンの元に案内してもらうと、確かに子供がアントリオンの前足に捕まってぶんぶん振り回されている。
私とビビは見覚えのある顔に、一緒に「あ」と間抜けな声を出していた。
「パック王子ではありませんか、ご機嫌麗しゅうございます」
「のんきに挨拶してる場合かー!!」
すると騒ぎを聞きつけたフライヤも駆けつけ、王子に気付いて目を丸くしていた。
「もしやパック王子ではありませぬか!?」
「おお!フライヤ久しぶりじゃ……うぎゃーーっ!!!」
返事を返したパック王子はこちらに投げ飛ばされ、砂に尻餅をついた。
尻餅で済んでいるのは砂地のお陰なのか、ネズミ族だからなのかもしれない。
「いってぇなこのやろう!!」
「ハイハイ王子殿、戦いますのでお下がりくださいませー」
私は王子を後ろに下げつつ、ジョブチェンジで軽く鎧を纏った闘士へと姿を変えた。鎧の面積はおそらくソルジャーの方が多かったのかもしれない。プルート隊みたいな感じなのかも。
闘士は鎧を身につけていても最低限で、力を重視しているから動きやすくしてあるのかもしれない。
普段使っていたのはレイピアだったが、ずっしりと重い両刃の剣を持って、早速戦いに入る。
「わお、今度は随分ワイルドになったなぁ」
私の格好が変わって、かっこいいぜと言ってくれるジタン。
女の子を褒めることを忘れないのがジタンである。流石。
「攻撃もワイルドかもね。おりゃー!」
アントリオンの足下は流砂の様になっているので迂闊には近寄れないが、反対側に飛ぶ勢いですれ違いざまに足を切り落としてやる。
スパッと落とされてしまった足にアントリオンが嘆きの声をあげた。
暴れて鋭い足をばたつかせるので、皆は一旦引いてビビにはサンダーとか撃ってもらった。
「ヴィエラみたいに攻撃すれば危なくねぇな!」
ジタンは私のようにすれ違いざまで足を切り落とそうと跳んだのだったが、アントリオンの粘液を浴びて戻されてしまう。
ベトベトしていて砂が絡みついてひどい有様になっている。
「な、何だよこれ……気持ち悪ぃ!くっそ!」
ねばねばで動けなくなってしまっているので、私は言い案を思いつく。
「……よし、ビビ!優しくファイアで焼いたげて!」
「えええ!!ジタン燃えちゃうよ!」
ビビは焦るが、力加減をちゃんとすれば大丈夫!なんて無責任なこと言ってファイアをさせました。
でもジタンもとちょっと火傷は負ったけど、ねばねばは燃えて動けるようになったという。
「ヴィエラ無茶苦茶だぜ……!」
「あら、じゃあそのまま砂まみれのネバ団子になってたかったの?」
「……いいえ。……ビビ!ありがとな!」
仕切り直してまた飛びかかり、口から出された粘液はちゃんと避けてナイフで斬っていく。
ビビも黒魔法を唱え、フライヤも頭上から槍を当てて攻撃を入れ、着々とダメージを入れていた。
そしてビビいつの間にかファイラとか唱えてるけど、「ラ」系の黒魔法いつの間に覚えたん……強くなったねぇ……
「空破斬!」
闘士になったので使える技が変わったから、ここで練習がてら撃ってみる。
空破斬は斬撃を飛ばす技で、アントリオンの足をスパッと飛ばすことが出来た。
ううん、良い切れ味。動かなくても遠くに攻撃できるのは楽だわぁ。
「あとは、ブリッツ」
ブリッツは攻撃力は下がるが、命中率が上がる技だ。
ぴょんと跳んで意識を集中させ、足の関節部分を狙って攻撃できた。
これも一対一での戦いで狙いたいところに攻撃できるのは良いかもしれない。
その他の技もあるが、あいにくアントリオンだと足下の流砂のせいで実験し辛いな……
ていうか多分まともに技を当てたらアントリオンすぐ死んじゃう。
私はサポートに転じて遠くから斬撃を投げてアントリオンの足を切り落としていき、ついには手も足も出ない姿になってしまった。かわいそう。
「これで終わりじゃ!」
最後はフライヤの脳天からの一撃を食らい、アントリオンは流砂の中に飲まれていったのだった。
「王子、ご無事ですか?」
フライヤは槍を置き、パック王子に跪いた。
パックは元気よく久しぶりだな、何て笑っているが、フライヤは王子が長い間行方不明になっていたことを口にする。
まさかアレクサンドリアで劇をタダ観するような事をしていたとは思わないよね。あはは……
「うん、ちょっとな……」
何か言いたくないわけがあるのか、姿をくらませていた理由は濁していて詳細は教えてはくれなかった。
フライヤは大聖堂にブルメシア王がいるから、会いに行きましょうと言うが、パックは親父に会うのは照れるから、代わりにヨロシク伝えてくれ!と言って颯爽と走り去ってしまった。
そして遠くから、ビビと私にもまたなー!と声だけ投げていって、元気の良さにふふっと微笑んでしまう。
親父に会うのは照れるって正直に言うところが凄いな。
「ビビとヴィエラは知り合いだったのか?」
ジタンはパック王子のことは知らなかったから、アレクサンドリアで一緒に劇をタダ観してたんだと話したら笑っていた。
「いやー、まさか王子様だとはねぇ」
「……ヴィエラは先ほどの開口一番、パック王子ではありませんかと言っていたではないか。知っておったのじゃろう」
確かに開口一番でそう言ったけど、ふふっと笑ってビビと肩を組む。
「パック王子にはアレクサンドリアで会ったときに、子分になればタダ観出来る場所を教えてやるぜ!って言われて子分になっていたんですよ。親分!って呼ぶよりも王子の方が合ってたんでね」
「……坊ちゃまの方が合ってると思うぜ」
「私的には王子でしたのー」
さて、アントリオン戦は問題なしに片付いたし、私の剣技も試すことが出来た。
後はベアトリクス戦よね。こういう強敵は相手してないから緊張するわ。
「……あの子、ボクの初めてのお友達なんだ。ボク、追いかけてくる!」
ビビはパックを追いかけていき、私はお友達じゃないんかーいって内心ツッコミながらも(友達というかお姉さんだもんな)武器をしまってジタン達と共にこの場を後にするのであった。
パック王子のことを王へ報告へ行くとのことで、我々も大聖堂に来ていて、私は宝珠のついているハープを眺める。
こういう楽器って憧れちゃうよね、弾けないけどさ。
フライヤとブルメシア王は何かを話していて、私はあんまり興味がなかったので聞いてないで内部の見学をしていたのだが、外の砂嵐をもっと強くするために古来から伝わる踊りをしよう、と言う流れになった。
見学するために端っこに待機し、その踊りの様子を眺める。
竜騎士であるフライヤもその踊りが出来ているというのは、やはり昔からの教えだったのかな?と思いながらそれを見つめていた。
そして曲が終わったと同時にハープの弦が切れてしまい、砂嵐を強くするどころかすっかり晴れてしまう。
みるみる外界が見え始めて大聖堂から世界を見下ろせば、良い景色ですねぇなんてのんきなことを発してしまった。
「砂嵐が強まるんじゃなかったのか!?」
ジタンも驚いて司祭に聞くが、誰もこんな事態は初めてだと言った。
なにせクレイラは数百年砂嵐を解いたことがないはずだから、こんなことはなかっただろう。
王はうむと唸ってから口を開き、何者かが結界を破ろうとしているのではと推測するので、私もうんと頷いた。
「間違いなくアレクサンドリアの関係だと思いますね。あちらさん、何か嫌な気配を持ってますから」
ソーンゾーンもそうだけど、クジャ含め黒魔道士達も普通じゃないしね。
「敵が幹から上がってこなければ良いのだが……」
砂嵐がない以上、城壁のない城も同然。
誰でもウェルカム状態なクレイラはあまりにも危険だ。
逃げられるならさっさと逃げた方が良いのだが、さてどうしたもんか。
それからこの先のことも王は神官と話し合うことになり、我々は外に出された。
砂嵐でよく見えなかった景色も丸見えな青空が引き立てて更に美しくなる。
でもこのクレイラでこの美しさは危険な証拠なので、街の人々は怯えているのであった。
ジタンと展望台にきてみれば、そこにはフライヤがいて、この砂嵐がなくなった原因はなんだろうかと問われた。
「うーん、オレにとっちゃあ、砂嵐があったことだけでもびっくりだからなぁ」
彼は腕を組んでうーんと悩み、私は展望台から下界を見下ろしつつ、まぁ……と口を開いた。
「世界にはまだ予想だにしない力って存在するから……」
「……ブラネはそれを手に入れたと言うことか?」
「そこまでは分からないよフライヤ。だけど、黒魔道士達を作り出したことも普通じゃないし、だったらまた予想の出来ないことをしてくるのもあり得る」
私の言葉でフライヤは幹の方で砂嵐が消えた原因を調べに行くと言い、ジタンも私も一緒について行くと後を追いかけた。
その先にはビビも居て、パック王子を追いかけていたけど見失ったと言った。まぁちょうど良いので一緒に幹まで来てもらうことにした。
砂嵐のなくなった幹の中は砂の音も静かで、とても通るには楽な道になっている。本来なら流砂もあり、足をすくわれてしまうと言うのに、足下の砂はとても大人しくしている。
「行きもこれだったら進みやすかったのにナー」
なんて文句を垂れていれば、微かな殺気を感じて振り返る。
そこにはアレクサンドリア兵が2人いて、あちらは声も発せず我々を発見次第い攻撃を仕掛けてきた。
私は斬りかかる剣を受け止め、そしてはじき返し様に腹へ蹴りを一発お見舞いして吹っ飛ばす。他の皆も3対1だったから返り討ちにしてやった。
「ふふ……私たちを止めても、まだまだま来るぞ……」
倒れている兵士はそう言って意識を手放した。
このまだまだ来るぞ、は幹からどんどん部隊が登ってきている……と言う意味ではなく、テレポットを使って空から兵を送り込もうという作戦だから、こちらはおとりに近いだろう。
それからも幹を降っていくと、少ないアレクサンドリア兵としか戦闘しない。
先を知っている私は街が気になると言って勝手に戻る。
ジタンも慌てたように「おい!?」と声を上げていたが、私の足は速く追いかけてくるにも時間がかかるだろう。
振り返ることもせず幹を駆け上がれば、そこには空からテレポットで送り込まれている黒魔道士達に追われている人々の姿があった。
「助けてくれー!」
「ぎゃあああ」
「やめてぇええ!」
阿鼻叫喚といえる光景が目に入り、地面を蹴って距離を詰め剣を大きく振るい黒魔道士の首を飛ばす。
私の周囲には逃げ遅れた民が3人、魔道士が3人。
向こうが魔法を放とうとするがソレを許さず腕を跳ね飛ばし、その黒魔道士を蹴ってもう一体に上から斬撃をあたえ、左肩から斜めに切り倒し、残りの一人がこちらに放ったファイラをワイルドスイングでぐるりと高速で回転することにより、炎をかき消し、そして視界が晴れた瞬間に距離を詰めて首を切り落とした。
まだまだ安心できない、彼らを安全なところに避難させないといけない。
「上へ逃げましょう!とりあえず大聖堂に!」
何処が安置なのかも分からないから、大聖堂と言ったが、次々と空から黒魔道士達が送り込まれてくる。
どんどん合流する市民を守りつつ、一発で黒魔道士達を倒していくが、本当に切りが無い。
とりあえず守れた人々を大聖堂に押し込み、兵士も居たから籠城のための番を頼んだ。
私は他にはぐれた人が居ないか確認しつつ黒魔道士を切り捨て、辺りはネズミ族の死体より黒魔道士の死体の方が多くなる。
あんなにキレイだった街が、いとも簡単に汚れてしまった。
足下のキレイな草花、流れる滝、岩にこびりついている苔……全てが赤く斑に染まってしまった。
そうやって一人で戦っているうちにジタン達とも合流し、ジタン達も逃げていた民を守っていた。
「ヴィエラ!」
「街の人たちは救えるだけ大聖堂に誘導した!皆さんも早く!」
迫り来る黒魔道士達を退け道を開いていくが、大聖堂まで来たときに多くの黒魔道士に囲まれてしまい、絶体絶命かと思いきや、謎のネズミ族が現れて黒魔道士達をやっつけてくれた。
謎のネズミ族も一緒に大聖堂に連れて行けば、彼はフライヤの恋人のフラットレイだという事が判明する。
だが記憶を失っていて、何も分からないと言われて、フライヤは膝を落としてしまった。
旅に出た恋人を追いかけて旅をしていたフライヤ。だけど再会してみれば「覚えていない」なんて言われてしまう。
声なんてかけられなくて、ただ見つめて居たら、フラットレイはこの場から去って行ってしまった。
「フライヤ、追いかけなくて良いのか?」
ジタンが問うが、恋人が生きていたことが知れただけでも幸せだと泣きながら微笑んでいた。
生きていて嬉しい反面、自分を知らないと言われてしまうのはキツいもんだ。
「オレはフラットレイをさがしてくるよ!」
隣で聞いていたパック王子は走って大聖堂から出て行く。途中ビビにぶつかってビビはドテっと尻餅をついていたのだった。
ビビは状況が分からなかったから泣いているフライヤを気遣ったが、フライヤは辛そうに微笑んでいた。
――刹那、背後から神官の怯える声が聞こえ、そこにはクレイラの宝珠を手にしたベアトリクスが立っていた。
まるで怪盗の様に「この宝珠はいただいた!」と颯爽と去って行き、おいおい門番とか入ってくるまで誰も止めなかったのかーい!ってツッコミは置いといて、宝珠を取られたままでは居られないので、すぐさま大聖堂を出て行くベアトリクスを追いかけるのであった。
「逃げる気か!」
ジタンの声にベアトリクスは足を止め、鼻で笑って振り返る。
そう、ブルメシアでの戦いで、ベアトリクスに全く刃が立たなかったはずの彼らの言葉に思わず笑ってしまったのだ。
軽い挑発に乗るような女性ではないだろうが、ここで灸を据えるという感じでセイブザクイーンを抜いてゆっくりと構えた。
「ちょっと悪いんだけどさ、ここは私にやらせてくれない?」
張り詰めた空気の中、私は前へ出て剣を構える。
ジタン達は待てと言うが、先手必勝と言うことで勝手にベアトリクスに斬りかかりました。
「ブリッツ」
小さな一撃だけど命中率が高い技で攻めれば、彼女も軽く私の剣を弾きそして呼吸をする間に私の胸へ刃を突き立てようと腕を伸ばす。
私も迫り来るセイブザクイーンをいなし、その軌道を保ったまま身体を軸にし剣を振るい、ベアトリクスはその攻撃を弾いて少し距離を取った。
「少しは私と相手が出来そうですね」
「さぁ、どうでしょう」
舐めんなよ?と思いつつ、ぐっと脚に力を込め、ブーストを放つ。
ベアトリクスは威力の高い攻撃だと見抜き、一気に後退して避けた。そして彼女は少し力を溜め、私にショックを放つ。
まるで閃光の様な斬撃を躱すために、近くにあった樹に向かってブリッツをしてその場からすぐさま逃げ出すことが出来た。
向こうがショックで遠距離技が使えて有利に見えるが、私だって遠距離技持ってますから、遠慮無く放っていく。
「空破斬!」
剣の斬撃を放てば、ソレをショックで打ち返される。
遠距離での戦いは不利だな、力を溜めるのに少しかかる。それに、ベアトリクスは白魔法の最強技、ホーリーも唱えられたはずだから気をつけたい。まぁ現在は唱える暇すらないだろうが。
「ブリッツ!」
私は詠唱時間を与えないよう一気に距離を詰め、またも威力重視のブーストをベアトリクスにお見舞いする。流石に二回も同じ技を見れば、どういう技なのかも分かっているのか、先ほどよりも少ない回避……一歩避ける、程度で私の技を避けた。
ブーストは威力重視なだけあり大きく振りかぶるし、命中率は低い。だが、私はあえてソレを使ったんだ。
「同じ技ばかりですね」
見飽きたとぼやくベアトリクスは、無防備になっている私の横から切り捨てようと剣を振るう。
……だが、その振るった剣を”掴んで”止めた。
私の手は甲冑を着けているといえども、手のひらは所詮グローブだ。この行動も私の闘士アビリティの一つ、「ハメどる」だからなのか、手は無事です。
相手の攻撃を止め、そしてカウンターをするのがハメどる。カウンターならこちらにダメージを負ってからの行動だが、こちらのは攻撃をキャンセルする技なのだ。
流石に剣を直接掴まれるなんて思いがけない行動だったのか、ベアトリクスの目は見開いていた。
私の剣を受け止めようにも私がその剣を掴んでしまっている。
ベアトリクスは腕の鎧で私の剣を受け止め、ならば、と私はベアトリクスの腹に蹴りを入れて吹っ飛ばした。
「くっ!」
宙返りして体勢を立て直し、握って離さなかったセイブザクイーンを構え、そしてこちらに突っ込んでくる。
これはおそらく大技が来るという予感がして、私も自己ダメージ付きの火力技であるバックドラフトを準備し、相手の技にぶつけて相殺させた。
激しい白っぽい斬撃の嵐……今のはストックブレイクだったかもしれない。
私はバックドラフトの反動で身体の節々がぎしりと痛んだ。
「この技も受け止めるとは……こんなところにここまでの強者がいるとは思いませんでした」
「ならもう少し遊びましょうよ将軍様」
またも一気に距離を詰め、剣と剣の打ち合う音が木霊する。
隙あらば技も織り交ぜるが、互いに相手の剣を打ち返すくらいの余裕しかないので中々大技など出せ無い。
だがベアトリクスは技を出さざるを得なかったのだ。
私のアビリティのハメどるが地味に厄介だったみたいだ。普通に打ち込めば止められる挙げ句に攻撃をされてしまうのだから、嫌でも技を使うしかない。
ショックは少し溜めが必要だから、距離を置いた時点で発動される。私も分かっているので距離を離さないようにずっと側にいた。
雷鳴剣も手早くブリッツで相殺させていたので、正直戦況は変わらず膠着状態が続く。
流石のベアトリクスも少々戦況の悪さに目を細めている。
私はニヤリとほほえんで彼女を挑発する。私は攻撃を受け入れても良いように準備もしていた。
「そっちがしないなら、大技入れちゃいますよ?ブースト!」
ベアトリクスは流石に距離を詰めすぎていたのか荒い大技を避けられず、剣で受けるが反動が大きく苦悶の表情が見えた。
でも私は技を出した事で隙も時間も与えることになった。
さぁ、ベアトリクス、いまですよ?
「……っクライムハザード!」
一瞬彼女に迷いが見えたのは分かった。これが罠だと知って技を打ったんだ。
私は強い斬撃を何度も打たれ、身体が切り刻まれる。そしてニタリと微笑んでベアトリクスにカウンターを入れ、とっさに剣で受けたベアトリクスを後方に生えている大きな樹へと吹っ飛ばした。
こちらも闘士特有のアビリティ肉斬骨断。ダメージを受けたときに1.5倍にして返すという技だ。
ダメージは負うが、確実に入れられる大ダメージだろう。
樹に背を打ち付けて、ダメージに息を乱しているベアトリクスはまだ戦おうとこちらを睨んだが、黒魔道士が一人現れて無念と呟いた。
「もっと楽しみたかったところですが、もうお時間です。……さようなら」
ベアトリクスはそう言うと黒魔道士と共に光の粒になって空へと飛んで行ってしまった。
これがアレクサンドリアの新しい兵器のテレポットというものなのだ。
「あいつ、ヴィエラに勝てないからって逃げやがったぜ!」
ジタンはそう言うが、半分間違っているんだよね。
「確かに勝てなくて悔しそうな顔をしていたけど、正直まだお互いの全力を出し切ってないから勝敗は付けられないな。ソレよりも、奪っていった宝玉を持ち帰るのが優先だったんじゃないかな」
私はポーションを飲みつつ回復し、そう説明すると皆がうんと納得する。
とにかく追いかけようと言うことで、他の魔道士達が光になって消えていくのに便乗してジタン、フライヤ、ビビは一緒に飛んで行った。
私は最後の一人になってから、大聖堂の皆に声をかけた。
「皆さん今から速やかにクレイラを降りてください、籠城は得策ではないです!いつまでこもっていても囲まれるだけです!ある程度の敵は追い払いましたから今です!」
このままテレポットで空に行けば、クレイラの人々を見殺しにすることになってしまう。パック王子など少なからず生き延びられた人たちがいるのであれば希望は捨ててはいけない。
「ここに居ても死ぬだけです!急いで!!」
恩人である私の言うことだからか、王も含め全員が走って行く。私はその姿を眺めながら、トコトコと歩いている魔道士に近付いた。
黒魔道士達はもう帰還命令をされているので、誰かを見つけても攻撃しようとはしなかったから、今逃げているネズミ族達も狙われることはないと願いたい。
黒魔道士は手を上げ、そして光になる。私も光に飛び込んで、ジタン達の居るレッドローズへと飛んで行ったのだ。
その空中遊泳は結構時間がかかる物だった。あっという間に船に到着!と言うことではなく、ゆったりと動いている。あまりにも遅いから眠くなるな、とうたた寝をしてしまうほどである。
――刹那、大きな音がして空を見上げれば、黒雲が立ちこめその中央にはマグマのように赤く光が見えている。
その中からマントをなびかせ、馬に跨がり槍を持つナニカが現れる。そう、オーディンだ。
空から一直線に駆け下りていき、そしてグングニルの槍でクレイラを貫いて、大爆発を起こしあっという間に破壊し尽くしてしまう。
飛んで見ているだけだったが、その衝撃の強さはすさまじいものだった。
爆風は感じなかったが、音と光、衝撃を身体に感じて苦しみに歯を食いしばったくらいだ。
テレポットの光になっているからそこまで被害はなかったのかもしれないが、これが生身だったら結構な衝撃だっただろう。
ギザマルークの洞窟で放ったギガフレアも、下手すればこれほどの力を放つかもしれない。そう考えたら怖くなって背筋が寒くなった。
力を強めても、使い方を間違えば味方を殺す。
冷や汗をかきつつ爆煙を見つめて居るうちに、私はレッドローズにたどり着いたのだった。