ようこそ悪正義の教室へ   作:ざきあ

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8.少女の想い〜楽園の終焉

 

 

「ん………」

 

窓のカーテンから朝日がチラつき、空は少し曇っていた。

千秋が目を覚ますといつもと違う風景、匂い、そして目の前には自分の最愛の人が眠っていた。

 

(あ、そっか、昨日真君と久々に会って、色々話して和解して、真君の部屋でご飯食べてその後…………ッ!?)

 

昨日の出来事を思い出し、千秋は自分の姿を確認すると

 

(は、裸……真君も……うぅ……)

 

事後である。

嫌であるとか思ってはいないが恥ずかしいものは恥ずかしい。

 

(うぅ……私達しちゃったんだ……なんか恥ずかしいよぉ……)

 

そう思っていると真が目覚め始めた。

 

「ん…………千秋…おはよ」

 

「お、おはよ真君……」

 

「……どした?」

 

「な、なんでもないよ?」

 

「そうか?……煙草吸いたいから先シャワー浴びててくれ」

 

「わ、わかった……」

 

(なんでそんな普通なの!?!?)

 

そう思う千秋だったが実は真も心の中では荒ぶっていた。

 

(うおおおおおおおおおおおお……千秋の裸…………再会して付き合ってその日にって俺…………あぁああああ……けど昨日の千秋可愛かったなぁ……)

 

お互い同じ様な事を考えていた。

 

 

ここからは少し私の、松下千秋と真君の昔の事を話させてほしい。

少し長くなるかもしれないけど聞いてくれると嬉しいかな。

 

私達2人は親同士が仲が良く、小さい頃からずっと一緒に育ってきた。

私自身も真君の事が好きで何をやるんでも一緒にやっていた。

お互いなんでも出来ちゃうような子供だったから親も安心したのか私達二人には何でもやらせてくれてた。

そんな中真君は私より物覚えが早く勉強や運動とか色々な事が私より出来たから私も真君に追い付きたくて頑張っていた。

真君は昔から少し大人っぽくて優しい人でそんな彼に私は歳を重ねる事に憧れ、好きになり一緒にいたいと思っていた。

 

そして2人が中学生になった頃、周りの環境が少し変わっていったが、私達2人はクラスは違えど常に一緒にいた、それをよく思わない人達もいた。

思春期の女子達の嫉妬だ。

勉強も運動も出来て基本的に優しく顔もいいし男子の中では背も高い彼は幼馴染の私から見てもモテるのは分かっていた。

そして私自身も真君には劣るけど、勉強も運動もやればそつなくこなせた。

そんな彼に私も恋をしていて幼馴染だからという理由で一緒にいれば、嫉妬されるのも当たり前だ。

入学してから1年半は嫌味や軽い悪口程度だったし、そんなもの気にならないからどうでもよくて無視をしていたけど次第にやる事がエスカレートしていった。

 

2年の後半になると教科書やノートへ落書き、上履きを隠されたり、廊下ですれ違えば肩をぶつけられたり、酷い時には給食の中に虫が入っていた。

不快には思っていたけど大した事じゃない。真君と一緒にいられない方が嫌だと思った私はいつも通り過ごしていた。

もちろん真君には話さなかった。

そしてさらにやる事がエスカレートしていく。

3年になった頃には悪口や私物を隠されるのは当たり前になり、普段喋っていた友達にまで無視され始め体育の授業で私の見ていない方向からボールが飛んできて頭や顔に当たったり等、けどそれまでなら我慢は出来た。

そしてこの頃から真君は私の異変に気付き心配をしてきたが私はなんでもないと答えた。

 

私が限界を迎えそうになったのは暴力だ。

最初は同級生の女子生徒2.3人に殴られたり蹴られたり髪を引っ張られたりした。

顔には傷から残るからと言う理由で殴られなかったが、痛いものは痛い

初めて涙を流すとその女子生徒達はあざ笑いながら私に向かって言った。

 

「あんたが浅桜君と釣り合うわけないじゃないこのブス!」

 

「幼馴染だからって調子に乗んないでくんない?」

 

「受験勉強のストレス発散したいからこれからもよろしくね〜」

 

辛かった、けど真君に迷惑をかけたくなかった私は何を言われても大丈夫としか言わなかった。

 

「おい千秋、なんだその傷?」

 

「ん、なんでもないよ?……少し転んじゃって…」

 

「……お前虐められてないよな」

 

「ッ!?……大丈夫だって!心配しないで真君!」

 

「………………わかった」

 

こんな会話を何回した事か、恐らくこの頃に彼は気付き行動をし始めたのだろう。

暴力によるいじめが続くと女子生徒達は飽きたのか、気の弱そうな男子生徒数名を連れ、自分達の前で自慰行為をしろと言ってきた。

流石に無理だと思った私は全力で抵抗したが、それに苛立ったのか暴力が激しくなった。

その時男子生徒達は関わりたくないと思ったのか見て見ぬ振りをしていた。

 

限界だった。

助けた欲しかった。

一言いえば彼は助けてくれる。

けれど迷惑をかけたくないの一心で言えなかった。

だが本当に限界だった私は彼に無意識のうちにメッセージを送っていた。

 

 

《たすけて》

 

 

それから彼は学校を休んでいた。

その間も虐めは続き私は疲弊していた。

とある日の昼休み、お昼の放送で放送委員の子が少し震えた声でテレビを付けるようにと言われた私達は言われた通りにテレビを付けると、とある映像が流れた。

私が虐められていた映像だ。

 

 

『ねぇ松下さん、殴ったりするの飽きたからコイツらの前でオナニーしてよ』

 

『え……』

 

『いいね!アンタらも見たいでしょ??』

 

『え……いや、それは……』

 

『ハッキリしろよー男だろー?』

 

『み、見たいです……』

 

『ほらほらー皆見たいってーやりなよー』

 

『い、嫌だ……』

 

『は??今なんつった?』

 

『嫌だ!!!!それだけは無理!!!!!』

 

『あ?何口答えしてんだよアンタ、調子こくなよオラァ!』

 

 

そこからしばらく私が殴る蹴るの暴行を受けていた映像が流れそれが終わるとスピーカーから真君の声が聞こえ、彼は淡々と話していった。

 

 

『どーも皆さん。こんにちは、3年3組の浅桜真です。この映像はフィクションでは無く、ノンフィクションです。この映像で虐めを受けてるのは3年2組の松下千秋さんです。ほとんどの人がご存知かと思いますが俺の幼馴染ですね』

 

『彼女の周りの人間から聞いた話によると彼女に対しての虐め……暴力等が起こり始めたのは3年になってからと聞きました。恐らくその前から虐めを受けていたんでしょう。彼女はずっと我慢し耐え1人で抱え込んでいた。俺自身彼女の異変に気が付いたのも3年に上がってからです。俺はこの証拠を収め、担任の教師、校長、教育委員会に提出し、現在独断で全校放送をしています』

 

『虐めを行っていた生徒は、同クラスの寺島優花さん、緒方美紀さん、山本杏子さん、この3名です。けれど、彼女らだけが松下さんを虐めていた訳ではありません。見て見ぬ振りをしていた3年2組全員が俺は加害者だと思っています。教師の方々は間違えのないご判断を……』

 

 

放送が終わると私を虐めていた3人は顔を青くし体を震わせていた。

そしてすぐに教師数名が教室に来て3人を何処かへ連れて行った。

私はすぐに放送室へ向かったが既に彼はおらず、彼の家へと走ったのだった。

その道中で彼を見つけ声をかけると彼は今までに見た事もない、感情の無い無表情で恐ろしい顔をしていた。

 

「真君!!!!」

 

「……千秋か…どうした?」

 

「な、なんで?」

 

「…?何がだ?お前が助けてと言ってきたんだろ?」

 

「そ、そうだけど、助けてくれたのは嬉しかったけど、あんなやり方……」

 

「あれが俺のやり方だ、アイツらはお前を傷付けた、それ相応の罰を受けるだろ」

 

「そうかもしれないけど、けど!!こんなやり方!」

 

「…………」

 

そう言った瞬間彼は無表情から凄く悲しく辛そうな顔をした。

その時私は何かを間違えたのだと悟った。

かける言葉を間違えたと思い再び声をかけようとした。

 

「あっ……ちがっ……」

 

「千秋、あれが本当の俺だ」

 

「えっ……?」

 

「俺は他人がどうなろうとどうでもいいと思ってる、自分さえ良ければそれでいいんだ、俺は正義のヒーローでもなんでもないからな」

 

「なっ……違う…真君は……」

 

「俺は悪人だ、所詮ダークヒーローってやつだよ、自分の利益になる事ならその他のことはどうでもいいのさ……だから千秋…」

 

「違う……待って…………」

 

そう言われ私は声を振り絞ってそこから先彼が言おうとしている事を止めようとしたが思う様に声が出ずにいた。

 

 

『お前は俺の傍にいちゃいけない』

 

 

そう一言言って彼は家とは別の方向へ歩き出して行った。

 

そこからの事は良く覚えていない。

気付いたら自分の部屋のベットの上にいた。

次の日になっても学校へ行く気になれずそれから1週間学校を休んでから学校へ行くと、

私を虐めてきた3人は別の学校へ転校したと聞かされた。

休み時間になり彼のいるクラスへ行ってみたが彼はいなかった。

彼と比較的仲の良かった友人に話を聞くと彼はあの日から学校へ来ていなかったみたいだ。

 

電話やメッセージ、メールも繋がらず、彼の親に話を聞いてみると帰ってくるのは深夜で昼間も気付いたら部屋からいなくなっていると言われた。

それから私は彼と会えず抜け殻の様になっていた。

 

高校は親や担任の教師らに東京都高度育成高等学校という所を進めてきて学校案内を見たら入学したら3年間外部との接触が禁じられていると書かれていたので、もしここに入れば3年間は彼と会うチャンスが無くなると思い断ろうとしたがあまりにもしつこく受けてみろと言われたので、かなり手を抜いて受験をしてみると合格してしまい入学する事が決まった。

 

あぁ、これで彼と3年間は会えないのか。

けれど彼がいないなら彼がいないなりに頑張ってみよう、再開した時に彼をガッカリさせないように……

 

いざ入学すると私はDクラスとなった。

教室へ入ると既にいくつかのグループが出来ていた。

比較的席の近かった少し派手目の女子生徒達が話しかけてくれて。

金髪のギャルっぽい軽井沢恵、ピンク色の髪色をしたギャルっぽい佐藤麻耶、ボブカットの見た目は普通そうな篠原さつき、それが彼女らの名前と特徴

それと金髪の爽やかそうなイケメンの平田洋介

 

そして教師が教室へ来て入学式の案内やSシステム等について説明をしていた。

説明を聞いた私は教師の言い方に少し疑問を持ちながら話を聞いていると10万と言う高校生に渡すにしては少し大金だと思い驚き、少し警戒をしていた。

 

その後仲良くなったメンバーと入学式が終わった後敷地内を見て回っていた。

少し見て思った事は異常に多い監視カメラの数や毎月10万ポイントが貰えるにも関わらず各店舗に置いてある無料商品の数々、私はもしもの事を考えあまり無駄使いはしないように心に決める。

少し心苦しいが他の人には黙っておこう。

変に目立つのはもう嫌だったから。

 

後に気付いたのは教室にある監視カメラや授業中に何をしていても注意しない教師達、極めつけは月初めにも関わらず学食にあった無料の山菜定食を食べている上級生を見て私の中でこの学校への警戒心はさらに上がった。

 

そして施設を見て回った私達は帰りにコンビニへ向かうと遠目ではあったがそこには3年間会えないと思っていた彼の姿が私の瞳に映った。

背が高く少し気だるげで暗めの赤色で綺麗な髪色の彼

 

「真……君……?」

 

私は彼の姿を見てその場に立ち尽くしてしまうと佐藤さんが話しかけてくる。

 

「どうしたの松下さん?」

 

「え?あ、いや、なんでもないよ、少し知り合いに似ていた人がいて……」

 

「え!?ほんと??どこどこ?」

 

「えと……あっ、いなくなっちゃった」

 

「ありゃ、そっか、もし知り合いだったらいいね!」

 

「……うん…」

 

「松下さん?」

 

「あ、ごめんね?買い物しちゃおっか!」

 

そこから私は暇があれば彼の姿を探した。

あれから2週間が過ぎ彼の姿を見る事はなかった私は担任の茶柱先生に彼はこの学校にいるのか、いるならば何処のクラスにいるのかを聞くとBクラスにいると言われたので、翌日私は彼のいる教室へ向かうとBクラスからツインテールをした少し不良っぽい生徒に声をかけ彼の事を聞いた。

 

「あの、ちょっといい?」

 

「……なに」

 

「えと、浅桜真君っているかな?」

 

「……浅桜?アイツならもう帰ったけど」

 

「え、あ、そっか、ごめんね?」

 

「……いいけど、アンタクラスは?」

 

「Dだよ、私が来たことは伝えても伝えなくてもどっちでもいいから、それじゃ」

 

「え、あ、うん」

 

…会えるかもしれない、会いたい、会って話したい、ちゃんと自分の気持ちを伝えたい……。

 

この時私は彼の事しか頭になかった。

それから毎日彼の事を考えていた。

少し考えすぎていたので気分転換をしようと思い敷地内の端の方にある海辺で海を眺めていると1人の男子生徒が歩いてきた。

 

(あ、誰か来た…………え?)

 

「……え……真君……?」

 

「……千秋…」

 

そこからお互い自分の気持ちをぶつけ合い伝え合った。

彼が私の事で傷付いてるなんて思いもしなかった。

私は彼に守られてばっかりだ、だから私も彼を守ってあげたい。

傍にいたい、傍にいてほしい。

もう離さない……だから私の前からいなくならないでね……

 

私だけのヒーロー…………

 

 

 

それから私がシャワーを浴びた後彼もシャワーを浴び、少しいつもより早い朝食を食べている時だった。

 

「千秋、少し話があるんだが」

 

「ん?どうしたの?」

 

「この学校のルールやSシステムとかについてなんだけど」

 

「……やっぱり5月から貰えるポイントって減るの?」

 

そう言うと彼は少し驚いた顔をしていた。

 

「え、知ってたのか?」

 

「うん、色々見て回って怪しいとは思ってたから…念の為節約もしてたよ」

 

「そうか、クラス分けについては?」

 

「うーん、ごめんそれは分からない」

 

「そうか…もう月が変わったから契約違反にはならんから喋ってもいいよな……?」

 

後半声が小さくなりよく聞こえなかったが、恐らく彼は何が重要な事が分かっているようだった。

 

「よし…千秋、今月からクラス毎によるバトルロワイヤルが始まる」

 

「…………殺し合い?」

 

「ちゃうわ!!!!」

 

「ご、ごめん、続けて?」

 

「千秋は今月何ポイント貰えた?」

 

「えと、ちょっと待ってね………………?増えてない…」

 

「oh......そこは原作通りなんだな……恐らくDクラスの生徒達が今月から貰えるは0ポイントだ。因みに俺達Bクラスの生徒達が得るポイントは72000ポイントだ」

 

「……クラスによって貰えるポイントが違う?そしてそのポイントは個人じゃなくクラスの生徒全員……」

 

「YES、恐らく朝のHRで担任から聞かされると思う。これから行事がある度に俺達はポイントを賭けて戦う事になる。勝てばポイントは増え負ければ減る」

 

「え、クラス毎でって事は…………私と真君は敵同士…………」

 

「……敵同士になるか分からないが、Aクラスから順に生徒には優劣がついてる。だから言い方は悪いかもしれんが千秋のいるDクラスは最弱となる…千秋お前、試験で手を抜いただろ」

 

「うん、受かる気が無かったから……」

 

「そうか、まぁそれはいい…」

 

彼と敵同士になると思った私は顔を青くし体を震わせた、勝てないからだ、恐らくこれから学校の行事等が戦いの場になってくる。

クラス毎の生徒にレベルが違うって事は私達Dクラスは彼の言う通り最弱。

私みたいな生徒がいるかもしれないが恐らく少数、お世辞にも私と仲のいい人達は平田君以外能力は低いだろう…

全てにおいて私の上位互換である彼に勝てる筈がない。

 

 

「とりあえず千秋、俺はこれからお前と敵同士にならない様に行動するから安心しろ…」

 

「え、でもそれじゃクラスは……?」

 

「そこも含めて色々考えるさ……とりあえずそんな心配そうな顔するなよ、俺はお前の味方だ」

 

そう言ってくれた彼は私に優しい顔を向けていた。

 

「分かった……私に出来ることがあったら言ってね…協力する」

 

「あぁ、その時は頼んだぞ、ハニー」

 

「ふふっ、任せて、ダーリン」

 

「………………やっぱり恥ずかしいから今のナシで……」

 

「…………そうだね…」

 

そして彼らの新しい運命が幕開ける。

 

第1章 入学編〜完

 

 

 

「浅桜……お前は……」

 

 

 

「私は貴方が嫌いです!!!!!」

 

 

 

「何でそんな事言うの!?同じクラスの仲間なんだよ!?」

 

 

 

「アタシはアンタが間違ってるとは思えない、けど、アンタが辛そうな顔を見るのは嫌だ」

 

 

 

「お前か……」

 

 

 

「ンだと!?さっさと教えやがれ!!!」

 

 

 

「やぁ……ピースボーイ?」

 

 

 

「私は貴方を超えてみせる」

 

 

 

「誰も傷つかない世界なんてないんだよ一之瀬…………」

 

 

 

「真……俺達は友達だろ?」

 

 

 

「いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす、真君と同じ名前の人のセリフ……その通りだと思うなぁ……」

 

 

 

「千秋!!!!!!」

 

 

 

第2章 中間テスト、暴力事件編

 

 




これにて第1章完結です。
2章も頑張って執筆致します。

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