ユグドラシル・EFFECT RTA 称号『ワールドジェネレーター』取得チャート   作:ケイオース

1 / 3
どうもリド-2です。

オーバーロード、最新刊読み忘れてから読んで無いのですが、執筆意欲が出てきたので、資料片手にRTA、書いてみようと思います。





サーバー停止

ユグドラシル

 

 

それはぼくの、いやこの世界にいる人々に残された唯一の癒しだった。

 

 

度重(たびかさなる)なる核汚染。

それによって生活圏が狭められた。生けるものが生きれる空間が無くなった。

 

そして、『箱庭』に入れた人間が今こうしてなんとか生きている。

……我々人間は皮肉にも、核を生み出したその科学力で生きながらえている。

 

 

資源の奪い合い。

生活の格差がより広がり、底辺に位置する者と頂点に位置する者との二極化が極まった。

 

底辺は、食材を食べることすら難しい。しかし、『上』にいる者達は湯水のような金を使い、核汚染前と同じような食事をできるのだという。

 

 

そして、そんな『上』の者達でも、今の現状をどうにかできるわけではない。

 

今ある資源をすり減らし、刻々と滅びへの道を辿っているに過ぎない。

 

 

そういう、どう考えても下向きで、何になるかもわからない仕事を、ただただ生きながらえる為だけに成していた。

 

 

そんな毎日を過ごして、人生飽き飽きしていた時。

ある日本のゲームメーカーが一本のゲームタイトルを出した。

 

 

デモムービーに映る広大な風景。まだ美しかった頃の様な夜空。汚染されていない大海原。

 

 

そして、現実ではあり得ない様な武器・魔法。それを操る数多の種族。

凄まじい量のアイテムや武器防具、金色に輝く財宝たち。

 

現実とかけ離れていて、どうしようも無く渇望していたモノ。

 

この醜い現実(リアル)を忘れられるユメ。

 

それが『ユグドラシル』。

 

大勢の人達がこのユメを見た。

ある人は、そこで出来た仲間達と笑い合った。

ある人は、闘争に身を委ね、頂点へと上り詰めた。

ある人は、誰かに夢を託すべく、鋼を打った。

ある人は、配信をして大勢に楽しさを共有した。

ある人は……

 

 

人の思いが重なり、さまざまな歴史を刻んだ。

時に笑い、時に怒り、現実(リアル)を忘れ、このユメを想った。

 

楽しい時だった。かけがえの無い時だった。

 

 

 

……でも、夢はいずれ覚める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

「……ユグドラシルのサービス終了、か。」

 

ユメの終わり。それは案外あっけないモノだ。

 

 

確かにこのゲームは盛況して、物凄い額の売り上げを誇った。

 

配信自体は無料であったが為に多くの人に触れられ、その分多く課金をされた。

 

多くのアップデートが行われ、多くのコラボが有り、そしてその度プレイヤーは盛り上がった。

 

 

しかし、時間が過ぎている間に、『次』が出てくる。

 

より高度なCG。新たなゲームジャンル。そこでしか体験出来ない事。

そんな売り文句を掲げて、新たなユメがやってくる。

 

 

人間は強欲だ。

最初は、ユメさえ見れれば良かった。

 

しかし時間が経てば、そのユメを飽きたと思う。

あまつさえ彩を求め、文句まで言う者さえ出てくるのだ。

 

 

そして、それに沿う形で違うユメを見に行くのだ。

 

そうすれば必然と人口は減り、勢いは鈍く、盛り上がりに欠ける。

勿論、その度に運営はさまざまなアップデートやコラボで引き戻しをした。

 

その度、戻ってくる人はいた。

けれども時が経つ度、やはり人口は減っていく。

 

「12年……長かったんだろうな。」

 

そうだ12年。

あっという間に過ぎ去った様に感じたこの期間は、多くのプレイヤーを新たなユメに導くには易い長さだった。

 

 

……ははっ、今となってはこの名前にしたのも滑稽に感じる。

 

R☆T☆A♪(リタ)……か。」

 

R☆T☆A♪(リタ)。それがぼくの名前、泡沫のユメの中の名前。

 

今日(こんにち)にやれる人が居ない、RTAと言う競技。

 

リアルタイムアタック(RTA)……ゲームを始めた瞬間から計測をスタート。現実時間でタイムを測り、どれだけ速くゲームを終了できるかを競う。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()稿()()()()()()

 

過去のサーバーでは無くとも、その動画を保存している者達のお陰で、今のサイトでもその一端を見る事が出来た。

 

 

様々な手を使い、1分1秒を縮めようとするその姿。

幾つものミスをしても挫けず、リセットし続けてでもタイムを稼ごうとする彼らに感動したのだ。

 

彼らは生き生きとしていた。どこか生気があった。

 

だからぼくは憧れた。目指してみようと思った。

 

 

……だが、それは無理だった。駄目だった。

 

 

まゲームソフトが無い。データも残ってない。そして過去の作品など作ろうとする者もいない。

 

そしてそんな未練がぼくの名前。

 

【警告 サーバー停止まで1分】

 

「……速さを求めたよなぁ。誰よりも早くゴールに辿り着く為に。」

 

この姿も。

 

「でももう終わりなんだよなぁ。」

 

このユメも。

 

「キャラクターテキストも、誰に読ませる訳でも無いのに無駄に書いちゃったし。」

 

未練でしか無い。

 

「……ここじゃ花火も聞こえない。」

 

だから最後だけ。

 

「ここにいるのはたった1人。」

 

ぼくが主人公。

 

「……自分だけの、()()。」

 

これで終わり。おしまいだ。

 

「一回さ、言ってみたかったんだ。」

 

【残り3…2…1…】

 

「……RTA、はーじまーるよー」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。