………ふむ、なんの記憶だろうか。少なくとも幻想郷での記憶ではないと思うが………
………どこだここ?え?次の授業?多分数2じゃないのか?………
………***……ああ、たしかそれが俺の名前だったな。じゃあここは**か………
………そうだそうだ。当たり前の日常、当たり前の人生、なんでそれらをわすれていたんだろうか………
………おれはなんでここにいるんだ?
「ぐぇっ」
腹部にいきなりの激痛。何かにのしかかられたような…
寝ぼけてぼやけている目を擦り何かあるであろう方向に顔を向ける……げっ。
「あっ、お兄様おきたっ。」
「………はぁ、最高な始まりだな。」
腹部にのしかかるは俺の妹、「比那名居天子」。可愛らしい顔をしてはいるがやんちゃでちょっと横暴。正直めんどくさい気持ちが強い。恐らく俺の事を起こしたのも単純にイタズラがしたくて起こしたんだろう。迷惑極まりない。
俺が記憶を失って(多分)から二週間が経過した。
俺が記憶を失っているっぽいということは俺と衣玖さんの間だけの秘密にしている。曰く、「時期総領になるお方が記憶喪失…なんてことが知られたら緋想の剣と緋想の火砲の管理の取り消し…地位が下がる……などなど色々とめんどくさいからです」らしい。
この二週間の間に俺は色々なことを学んだ。
幻想郷のこと。天界のこと。歴史のこと。以前の俺の立ち振る舞い……もちろん、緋想の火砲の扱い方も。
緋想の火砲は簡単に言うと何でも撃ち抜ける特殊な銃らしい。
人、妖怪、天人はもちろん…神でさえも。
ただ扱いが異様なまでに難しく経験と慣れが大事になってくるのだとか。
後、体を撃ち抜くだけでなく心や魂だけを撃ち抜くなんてことも出来るらしい。俺は出来ないけど。
まぁその辺はまだ習っては居ないしいつか出来るだろう。
「んで、いつまでそこにいるんだ天子。」
「良いじゃないの。可愛い妹が隣にいることを幸せに思って欲しいわ?」
「はぁ……うんうんさいこうだな。」
「そうでしょうそうでしょう。もっと褒めてもいいのよっ!」
どやぁっ、という擬音が聞こえてきそうなほどに無い胸を張ってドヤ顔をする天子。腹立つな。
「ほら、さっさと失せな失せな。お兄さんは着替えるんだ。」
「えーっ」
無理やり押して退出させ、ようやく一息。
「そう言えば何か夢見てたっけ?」
そう、さっきからひっかかってたのだがずっと夢を見ていたはずなのだ。でも思い出せない…モヤモヤする……
「ま、いっか。くだらんことだろ。」
まぁどうでもいいことなんだけどね。
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うん、美味しくもなく不味くもなく。
朝ごはんの桃を咀嚼しながら本を眺める。衣玖さんから借りた幻想郷の歴史についての本らしい。異変や巫女やうんたらかんたら……って言うのが載っている。よく分からんがまぁそのうち理解できるか。たぶん。
「えい」
「ぷみっ」
そーっと桃を盗ろうとしてきた泥棒天人の頬を摘む。うーむやわっこいやわっこい。ついつい触ってしまうな。
「ひゃ、ひゃめははーいっ」
「じゃあ人の飯を盗るなよ。」
「いてて…いいじゃないのよぅ」
「前それしてこっぴどく怒られたの忘れたのか?」
「うっ………」
というか…うーむよく分からん。とりあえず本を閉じて散歩することにしよう、それが一番だな。
「あっ、どこかいくのっ?私も連れてってよ。」
「やだ。」
当たり前である。
「うーん桃の香り。普段ならいい匂いなんだろうけどこういつも嗅いでるとなぁ……」
「そうねぇ……」
今現在、2人で桃の雑木林を歩いている。天子は無理やり着いてきた。
「あっ、あれ食べましょうよっ。」
「また桃じゃん食べ飽きたわ。」
「えーっ!」
驚くべきことに天界には桃と酒と後なんかよく分からん団子しか食べ物がない。天人はあまりそういうのには頓着しないんだとか。初めて聞いた時は嘘だろって声出たよ。
「暇なんだよなぁ…やることないし。」
「じゃあじゃあっ、地上に降りましょうよ!食べ歩きっ!」
「やだよ。少なくともお前とは。ぜっっっったい悪さするだろ。」
「えっ、しないわよっ!?私の事なんだと思ってるのよ!!」
むすーっとむくれる天子。酷い言われよう……だと第三者は思うかもしれんがそういう言われ方をするレベルには色んな悪いことをしてるのだ。そのうち人の所有してる建物とかつぶしそうだな。おおこわいこわい。
「ねーねーおねがーいっ。いいでしょ?ちょっとだけ!ちょっとだけだし悪さもしないからっ!」
「…………えぇ…めんどくさい……」
「おねがいっ!」
上目遣いでめっっっちゃ見てくる。媚びてるのがバレバレである。
「…はぁ、ちょっとだけな?悪さしたらしばくからな?」
「はーいっ!」
ぴょんこぴょんこ飛び跳ねる天子。ここだけ見たら可愛いんだけどなぁ…中身がなぁ……
と、言うわけで俺たち2人は下、地上へと行くことにするのであった。