エキドナ1とは、オペレーションオメガ時の臨時コールサイン……ではなく、私が空軍に居た頃のコールサインである。……なぜストリンガーは私のコールサインを知っているんだろう?相棒は最後の空戦で敵のエースに落とされて……私はそのエースを落とした。それっきり、乗っていない。
「落ち着いた?」
「はい……お騒がせしました。」
「改めて自己紹介を。」
「ストリンガーことMR98ファング、合流しました!」
「本当の名前はどっちなんだ?」
「実はね……MR98ファングの開発時の名前はストリンガーだったの。ただ、実験部隊に持たせたら欠点が……ね……」
「威力、貫通力と引き換えに得た反動が大き過ぎて再装填に移れるようになるまでが長くて……」
「反動で肩を壊す人も多かったし、先発品のライサンダー狙撃銃のシェア率を崩すことはできなかった。ところで、どうして私の担当外の人型戦闘用ロボットが?」
「開発者に会いたくて祈っていたらいつの間にかできていました。」
……魔法か?そもそも無機物に意識と呼べるものはあるのだろうか?まあ、ここにいる戦術人形達には意識と非常に酷似したものはあるが……
「さて……と……連絡は終わったか?」
「え?」
「その様子だと遺書まで書き終わってそうだな。そうだ、通信機はどこにある?自爆用の配線も合わせて3秒数えるから教えろ。」
ボルトシューターをエクスキューショナーの腹部に押し付ける。
「じゃあね。」
電撃。
「ぐわぁぁ!」
「……ふぅ……こんな感じかな。立てる?」
「おぉぉ……オレ……生きてる……」
「君、硬いんだねぇ……運が良ければ通信機ごと自爆装置を破壊、運が悪ければそのまま破壊、といったつもりだったんだけれど……」
「もしかしなくてもオレ、殺されるところだった?」
「うん。殺意はなかったけれど。」
「P38、君の居た司令部は?」
「……陥落しました。みんな、逃げました。指揮官以外は。」
「……指揮官は?」
「私達を逃し、一人残って応戦していました。ですがあの軍勢では……もう……」
「そっか……その司令部に連れて行ってくれ。」
「わかりました。」
「おい、どうする気だ!?」
「安否確認くらいしてやらないとな。」
「辞めろ!あそこには仲間が!」
「仲間、か。単独で飛び出した君に仲間が居るのか。」
「そっかぁ……よし、P38。行くよ。その仲間とやらを鹵獲してやろうじゃない。」
「……空気感のせいで忘れていたけれどオレ、鹵獲されてるんだったな……」
「あ、そうそう……近くまで来たらこのロープを解くけれど逃亡、反逆、駄目ゼッタイ。」
「……もし、逆らったら?」
「君はエクスキューショナーだった無機物の塊になる。」
スパークバインをリロード(再充填)しながら伝える。
「そりゃあ、逆らえないな。」
無機物の塊にしたあと、製造元の鉄血工造……だっけ?に送り返す。笑いながら言うことではないかも。
残り300m。なるほど。全壊だ。煙が上がってないから火事は起きていないようだけれど。
「指揮官……」
「埋葬ぐらいはしてやろう。同僚ではないが、人間として。」
「まじかよ……スケアクロウにハンター……ここまでする必要があったか……?」
「はえーこりゃあ、私の生まれ故郷とどっこいどっこいだあ。」
口々にコメントをしていく。一人、重いコメントがあったけれど。
「飛行場も、研究棟も、焼け野原でした。基礎だけが原型を留めていたというか……残っていたのは急造の特火点くらい。近隣の民間人が武器を取って兵士達と前線を維持していました。」
仲間が倒れていく中、狙撃兵が一人奮戦していた……らしい。
身長130cmのロリが全長170cm近い大口径狙撃銃を振り回している。色素沈着の起きなかった少女は小枝を振るようにファングを構え、真っ赤な瞳でもって目標を捉え、細い腕で射線上の全てを破壊できた。……再装填が遅いのが難点だが。
「作戦は無い……わけではない。少し危険だが。」
「私が矢面に立つ。P38は私の右側に位置。エクスキューショナーは私の左後ろ、ストリンガーはP38は私の右後ろだ。」
「わかったが……大丈夫なのか?」
「君は基本は近接型だけれど……装甲が薄そうだから。何かあればストリンガーが君の頭を撃ち抜いてくれるかもしれないし。」
「わ、わかった……」
「まあ、状況によっては前に出てもらうかもしれない。」
「さてと……P38、一応、これを渡しておこう。」
「これは……」
「使い捨ての信号弾発射機。防御の弱いところのスポットに使って。あと……照明弾の出番があるかも。」
使い所にもよる。味方ごと目潰しすることになる可能性もあるからこれは最終手段。
「では、一時間後に作戦開始。各自、今のうちに仲を深められるだけ深めておけ。」
こんな感じの少しシリアス味のある作品です。よろしくおねがいします。