『各自、装備を確認!』
「P38!問題ありません!」
「MG42!問題ありましぇん!」
「
「あー……お、エクスキューショナー……?問題なし……」
『よろしい。降下開始30秒前。ハッチ開け!』
輸送機の後部ハッチが開き、後部ランプが展開状態に。
『現在高度10m 。完璧だ。』
外では対空砲撃によって爆発が起き、機体が揺れたり、破片がカツカツと外板に当たっていたりする。まあ、それでも私はランプの起点にいるけれど。
『ふふふ……素晴らしい。素晴らしきかな。』
「大丈夫かしら……指揮官様……」
「大丈夫だと思います……多分……」
『10秒前!降下に備えよ!』
「地上で会いましょう。」
「お、おう。」
『ストリンガー、お前は私とペアだ。』
「はい、了解です。」
『……(スゥ…)Go!Go!Go!』
P38、MG42、エクスキューショナーがパラシュートによって輸送機から引き摺り出され、地上に降着する。
「隊長、一つ気になることが。」
『……なに?』
「昔もこんなことをしませんでしたっけーーー!」
パラシュートをさっと開いて引き摺り出させる。長大な狙撃銃を抱えて飛行ユニット頼みの降下を行うのは私とストリンガーだけでいいというのは気楽なものだ。
『ひゃっほーい!』
うーん……きつい。
『みんなー!居るー!?居るねー!』
こんなことになったのは一週間前、敵に占領された指揮所を取り返したのがきっかけだった。
『は、はぁ……了解しました。』
「よろしく頼むよ。ライカ指揮官。」
何故か、施設と時間、役職を与えられて"指揮官"として振る舞うように説得された。私には重すぎるのだが……
『あー……今日よりこの施設の主をすることになりました……ライカと申します。よろしくおねがいします。』
拍手。人間とはつくづくも残酷な生物だ。
敵に奪取された研究施設の奪還、それが今回のお仕事。問題はその研究施設は転送技術を研究しており、量子トンネルともポータルとも呼称されるシステムの実験を行っていたらしい。技術の流出を防止するためにも確実に押さえないといけない。手遅れになる前に。
『……どう考えても手遅れだと思うんだけどなー……』
「そうだよなー」
『聞かれておりました?エイハブ指揮官殿。』
「ああ、うん。手遅れだとは思う。」
『しかし、やらなければ止められなくなる、そういうわけですね。』
「そうなる。頼んだよ。」
『了解です……』
それからはひたすらこの特殊な空挺降下訓練を続けた。超低空を超低速で飛行し、パラシュートで引き出させるLAPESと呼ばれる本来は戦術人形よりもずっと重い物資を投下する方法を採用する。
こんな説明だらけの回想を私は一言で済ませるべきだと思う。
『誰かAperture laboratoryって言いました?』
地上で再集結、全員集合完了。一週間にしては上出来だと勝手に思ってる。
『前進、防御の薄いところを叩くぞ!』
塹壕をMG42の援護のもと飛び出し、
「ストリンガーさん!火点を!早く!」
『3秒待って!』
銃身の冷却、弾頭の再装填、装薬の再装填……よし。
『発射!』
バヒューンと、とてもわかり易い音を立てて特殊な徹甲弾を撃ち出すMR98ファング。プライマーの技術が応用された特殊な狙撃銃はここでも真価を発揮できるらしい。
「おー……3枚抜き……すごーい……」
P38が感嘆に浸っている間にリロード。
後にストーム1と呼ばれることになる志願兵が撃墜した、プライマーの輸送船から回収された技術と、エアレイダー用に研究されていた電磁シールドの技術がぎゅっと濃縮されたこの狙撃銃……いくらなんだろう……
「こちらライカ、突入する。」
『了解、ライカ、ご無事で。』
『ライカを援護!』
犬種を名前に採用したのはどうかと思うけれど、まあ、しょうがない。
『ここはどうなっているんだ……?』
塹壕を乗り越え、研究施設に入ったのだけれど……
「こんにちは、不運な侵入者さ……な、何故貴女が……?」
『誰……?誰かいるのか……?』
「わ、私は…………私は貴女と同じです。」
『あなたは何を言っているんだ?』
「……ふぅ……ふぅ……落ち着きました。次のチャンバーに進んでください。全て話しましょう。唯一のコピーさん。」
なかなか酷い言いようだなとは思うが行くしかない。
目の前に階段ができていく。左右の壁のタイルを跳ね上げて。信じていいのだろうか。下は奈落のようだけれど。
Still alive