エリス「そうか。騎士クンを、最強に、すればいいんだ」ミソラ「( 'ω')ふぁっ」 作:ルーピア
【クリスティーナ】
獣人と戦ってみたかったからオクトーの坊やを使って、プリンセスナイトの傘下のギルドに所属する人間が乗る荷馬車を動物苑の傘下ギルド【自警団(カォン)】が襲った構図を作り出し、大義名分を掲げて【自警団(カォン)】のギルドハウスに【王宮騎士団(NIGHTMARE)】の副団長して単身乗り込み、望み通り獣人と闘争を楽しむことができた。
ワタシは獣人を二人同時に相手にした。
刀身が波打つ剣──フランベルジュを獲物にしている獣人の女と見たこともない武術を使う武闘家の獣人の女の二人。
獣人は獣の本能と強度、人間の知性と柔軟さを柔軟さを併せ持っていた。
未知の強い相手と戦えるのは退屈が嫌いな私にとっては楽しい時間だ!
フランベルジュを振るう獣人は剛の剣というのが似合う一撃一撃が重い斬撃。
武闘家の獣人は息をつく間も与えない全身の力の乗った良い拳や足技を組み合わせた連続攻撃を放ってきた。
両者ともまだまだ荒削りだが、素晴らしい才をもっている。
まぁ、ワタシには遠く及ばないがな。
戦いを愉しみたかったワタシは少しだけ本気を出した。
ワタシの能力『乱数聖域』
相手の能力、行動、周囲の環境。それらの膨大な情報を瞬時に計算する事で『必ず当たる』『必ず防げる』ルートを導き出す力。
『絶対攻撃』と『絶対防御』攻撃は絶対に必中し、相手の攻撃は絶対に当たらない。
結果、獣人の女二人は『乱数聖域』のワタシを前に攻撃一つ掠らせる事すらできず、逆にワタシの黒と白の刀身のロングソードの攻撃は回避しようとしてもできず全て必中しダメージを負う。
その一本の槍飛んでが飛んできたきたのはワタシが更に獣人の女たちに追撃を加えようとした時だった。
何時もなら『乱数聖域』の演算による『絶対防御』によって欠伸をしていても避けられるな大した速度も出ていない槍の投擲を──ワタシは躱すことができず剣で防いだ。
咄嗟の防御で意図せず体勢が崩れた。
「姿勢が崩れた。今がチャンス! 仕留めるぞカオリ!」
「はいは〜い! これで終わりさ。キッついのをお見舞してやるさ〜!」
そこを狙われ獣人の女二人の攻撃を受けてしまう。
攻撃をした獣人二人はすぐにワタシから距離をとり各々構え直す。
「くっ、なんだ。ワタシの『絶対攻撃、絶対防御』が乱れたっ!?」
『乱数聖域』で 演算しきれなかった。
稀にこういうことはある。
例えば雨の時、ワタシは雨粒を無意識的に一粒一粒を演算してしまう。そのせいで演算キャパを超え『乱数聖域』の精度が格段に落ちる。
だが、今このギルドハウスでは雨どころか埃だって舞ってはいない。
槍は後方から飛んできたな。
後ろをみれば右手を振り下ろした体勢の銀髪のチビ女のエルフが居る。
あいつが槍を投げたのか。
チビエルフの後ろには場に不釣り合いな和やかな雰囲気の男がぽけーと佇んでいる。
こっちにはあまり興味が引かれないな。
普段ならあんな不意打ち対応して避けられる。
戦いを愉しみすぎて勘が鈍ったか?
……それとも、貴様がなにか特別なのか?
ギロリッ♪
「ひっ……? なんですか、あの目は? りょ、良識がある人間とは思えません!」
「これが人間さ。強欲でいつだって快楽の奴隷だ。しかし興味深いな、見たところ単なる小娘のようだが……ワタシや『陛下』のように特別な存在なのか?」
「……? どういう意味でしょうか」
本人には思い当たることがないようだ。
「単なる偶然か? 先ほど不意打ちを食らったのもワタシが油断していただけかもな? まぁいい、調べればわかる。貴様、こっちにこい。このクリスティーナがとっくり検分してやる。切り刻んで腑分けして、貴様の全てを暴いてやろう♪」
未知な存在ほど心踊るものはない。
ワタシはチビエルフの小娘へと近づくために脚を踏み出す。
チビエルフの小娘の後ろにいた男が護るようにチビエルフの小娘の前に出る。
「主さま!」
「ほう。貴様がチビの飼い主というわけか。ペットに似て随分と愛らしいなりをしているじゃないか」
「コッコロは傷つけさせない!」
左腰に吊るされた鞘から剣を抜き、柄を両手で握り、正面で構えるマントを翻す騎士風の男。
いや、坊やか。構えをみただけでわかる。
剣をもって間もない素人の構えだ。
だが、目だけは評価しよう。覚悟を決めた良い目をしている。
「威勢は良し。男の子はそうでなくちゃなあ! さぁ、ワタシから貴様の大切なペットを死ぬ気で護ってみせろ!」
さぁ、どう来る!
坊やは剣を振り上げて──ワタシの右手に凄まじい衝撃が走る。
耳を劈くような金属音。
ピキっ。
それはワタシのロングソードの刀身にヒビが入る音だった。
一泊遅れ衝撃波が巻き起こった。
「ぐっ! なんだこのデタラメなパワーは!」
これをやったのは眼前で剣を振り下ろした体勢の坊やで間違いない。
……まさか『乱数聖域』をフル稼働させどんな攻撃でも回避出来る自信のあった『絶対防御』を正面からぶち破って来るとは予想だにしなかった。
坊やがやったことは至ってシンプル。剣を振り上げ、肉博し、ワタシのロングソードを狙って振り下ろす。
動き出す前の目線や身体の力の入り方から何処を狙っているのか丸わかりのつまらない素人の剣だが─恐ろしく速い。
一連の動きが、まるで時を止められたみたいに速すぎる!『乱数聖域』で全く演算することができないくらいに!
攻めなくては。守りの回った時点で此方に勝機はない!
コンマ0.0001秒で判断。
ワタシは足払いで相手が体勢を崩すのを狙い、全力で坊やの脚裏を狙い右足を全力で振り抜く。
素人剣士によくある先入観は剣士は剣でしか闘わないというものだ。
だからこそ闘いの相手が剣士だった場合咄嗟の剣以外の攻撃に対応できない。
実際、反応できていない。
ワタシの振り抜いたは、坊やの右の脚に直撃した。
バキッと嫌な音が響く。
フッ、逝ったな……。……ワタシの足が。
坊やの脚はまるで地に根を張っている巨大樹のような強度でぴくりとも動かなかった。
坊やは顔を下げ、それを見ると不思議そうな顔でワタシを見て。
「……? なにがしたいの?」
「っ! 貴様の脚は大木かなにかでできているのか?」
「……? 骨と筋肉と神経と皮膚でできてるよ?」
こいつ天然か? 比喩が通じてないぞ。
「それより、大丈夫? 目、涙浮かんでいるよ?」
「……。一つタメになる事を教えよう──女の涙は武器だ。事実、こうして貴様は油断してワタシに隙をみせたからなッ! 『乱数聖域』!」
超至近距離からの『絶対攻撃』による右下段から右腰から左肩にかけての裂け斬り。
高濃度の魔力で身体能力と武器の強化。更に『乱数聖域』を総動員した至高の一刀。
卑怯というなかれ。闘いに不意打ちはつきものだ。
ワタシはな。血湧き肉躍る本気の闘いがしたいんだよ!
ワタシが心の底から満足できる相手は『陛下』くらいだと思っていたが、目の前のこの男こそが──
「えい!」
『絶対攻撃』の一刀。
それを軽々と、確実に後から動いたにも関わず剣で防いでみせたこの理解不能な存在こそが!
──ワタシの求めていた!
甲高い金属音と共に衝撃波が起こる。
周りで見ていた小娘4人が、グッと腕を顔の前に持ち上げ衝撃波で吹き飛ばされないように耐えている。
鍔迫り合いの体勢だが、ワタシだけが必死に剣に力を加えている状態だ。
坊や──
「おい、貴様名前を教えろ! ワタシはクリスティーナ・モーガンだ」
「ユウキ」
「ユウキの坊や──お前こそがワタシが求めていた未知の最強。剣の腕も戦闘に関しても素人。だが、身体能力と魔力はあの陛下ですら手の届かない程の遥か高みに到達している。お前は異質だ! 戦いの素人が最強なんてアシンメトリーにもほどがある! だからこそ──最高だ!」
「ありがとう?」
「礼を言いたいのはこっちの方だ!この世界に生まれてきてくれてありがとう!ワタシはお前の存在のようなやつをずっと追い追い求めていたんだ♪ そして、早く本気を見せてくれ! まだまだ、こんなもんじゃないんだろ? 早く本気になってワタシを愉しませろ!」
ユウキの坊やが少し力を入れただけでワタシは押し返される。
ワタシの熱烈な愛の告白を受けたユウキの坊やの返答は!
「無理。本気出すと危ない」
「……本気を出してくれないとユウキの坊やのペットを見るも無惨な惨たらしい目に合わせるぞ♪」
「コッコロはペットじゃない。大切な仲間! 絶対にそんなことはさせない」
「なら、殺す気で本気で来い! 絶対そんなことはさせないんだろ? だったらワタシの息の根を止めることだ」
「嫌だ!」
「先に言っておくがワタシは剣を壊されたくらいでは絶対に止まらんぞ!」
「だったら、気絶させる!」
「やれるものならやってみろ! 舌を噛んででも絶対にそんなつならない結末にはしないぞ!」
……。
………。
…………。
【ユウキ】
クリスティーナという女の人と戦った。
多分、今まで出会ってきた人たちの中で1番強かったと思う。
最初、武器破壊を狙ったけど剣同士がキンッってなるところに瞬時に魔力を集中して、破壊を防いでたし。
剣での攻撃も僕がかわそうとする勝手についてくるから防ぐしかなかった。
クリスティーナは怖い人だけど、多分、悪い人では無いと思う。
そんな気がする。なんでかはわからないけど。
本気を出せと言われた。本気を出さないとコッコロを傷つけると。
僕が本気を出すと、クリスティーナが危ない。
初めて魔物と戦った時、本気で剣を振ったら森の一部が消し飛んで、地面が大きく抉れて以来、自分の力が怖いものだと知った。
もし武器を破壊されたとしても止まらないっていう。
……だったら気絶させるしかない。
中途半端な衝撃じゃ本当に舌を噛んで耐えそうだし……。
一発で意識を刈り取るしかない。……少しだけ本気を出すか。
けど、上手く加減できなかった時が怖いな。
……そうだ!
「っ!」
プリンセスナイトの強化の力をクリスティーナに最大出力で使う。
「……なんだ。力が内から無尽蔵に溢れてる。これは……坊やがやっているのか。……敵を強化するとはいったい何を考えている?」
「今からちょっとだけ本気を出す。それにクリスティーナが耐えられるように強化した」
「ほう。少しとはいえ本気を出すのか。ならばワタシも全身全霊でこの剣を振るおう。坊やの強化のおかげで人生最高の剣を振るえそうだ!」
クリスティーナの全身から魔力が溢れ出す。魔力のオーラは剣に集まっていく。
僕は自分の剣の柄を強く握りしめて……。息を長く吐いて……。
──自分の抑えている魔力を少しだけ解放する!
「……っ! ……なんという膨大な魔力だ。それで少しの本気か。素晴らしい。ここまで高ぶったのは陛下と初めてあった時以来だ。……いや、それ以上かもしれん! 坊やはワタシをどこまで楽しませれば気が済むんだ! 」
「……」
「つれないな。舞い上がっているのはワタシだけか。──ならばワタシが舞せてみせよう。この剣で! 『乱数聖域』!」
クリスティーナが間合いを詰め剣を振るう。
僕は何故か戦闘時になると相手の動きがスローモーションに見える。
そして、僕だけがその遅くなった時の中で普通に動ける。
なんだかズルをしているみたいな気分になるけど、この力のおかげで仲間を護ることができるならそれでいい。
遅くなった時の中を僕は動き、ギラギラとしているクリスティーナの頭に剣の腹を振り下ろす。
そして、時は動き出す。
ゴーンと音がなり……。
すれ違った形で僕の横を通り過ぎたクリスティーナはばたりと倒れた。
そのあと、サレンが来てこの場を収めてくれた。
コッコロからクリスティーナが倒れている事情を聞いて顔を真っ青にしたかと思うと僕の両肩を「あんたはここにはいなかった。いい?」とすごい怖い顔で言われたので頷いておいた」
翌日
サレンディア救護院
「やぁ坊や! クリスティーナお姉さんが遊びに来たぞ♪」
元気ピンピンのクリスティーナがやってきた。
で、なんかそれからたまにサレンディア救護院にクリスティーナが来るようになった。
サレンが頭を抱えていたけど……まぁいいか。
Qクリスティーナとユウキが戦っていた時、【自警団(カォン)】のみんなが手出ししなかったのはなんで?
Aユウキの強さを知っていたため。加勢すると攻撃の余波の衝撃波とかで吹っ飛ぶからね♪