ハドラーちゃんの強くてニューゲーム   作:モッチー7

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第39話

審判(ジャッジマン)とグルっていうのは……一番恐ろしい(トラップ)の1つだよねェ」

真実を知り過ぎた忌まわしき敵フレイザード2号をジャッジの自己犠牲呪文(メガンテ)に巻き込んだキルバーンは、意気揚々とジャッジの異次元空間から抜け出たキルバーン。

ただ、キルバーンにとって真実を知り過ぎた忌まわしい敵はもう1人いて、

「そろそろ……君にも消えて貰うよ……ハドラー君」

そして、今頃酣となっているであろうハドラーちゃん対ミストバーンにどうやって乱入してやろうかと思案するキルバーン。

「どの道今のハドラー君は、大魔王バーンの命を狙う裏切り者だ。ミストに恩を売って油断させるのにちょうど良い―――」

「やはりな」

背後から炎の音が聞こえたので振り向いたキルバーンが見た者は……

「何!?」

グランナードに酷似した炎の怪人であった。

「危ねぇ危ねぇ。氷と炎の割合の再調節がもう少し遅かったら、今頃自己犠牲呪文(メガンテ)の炎でドロドロに溶けて死んじまってたぜぇ」

フレイザード2号がジャッジの自己犠牲呪文(メガンテ)に耐え抜くと言う想定外を前に、キルバーンは軽く混乱していた。

「何故!?何故生きていられる!?ジャッジの自己犠牲呪文(メガンテ)を喰らって!」

そんなキルバーンの焦りを鼻で笑うフレイザード2号。

「調査不足だなぁ?俺が操れるのは氷だけじゃない炎もだぜ。でなければ……」

そう言いかけ、キルバーンのある事を思い出して言い直すフレイザード2号。

「おっとぉ。危ない危ない。お前さんの顔に炎を浴びせるのは……自殺行為……だったよなぁ?」

そう言うと再び氷の怪人へと変化するフレイザード2号。

「前の時間軸では誰も見抜けなかったキルバーンの顔の秘密!ここで暴けば俺の大金星よ!」

これで確信した。

フレイザード2号はキルバーンの事を知り過ぎている!フレイザード2号を生かして帰すのは危険過ぎると!

だが……

(こっ……この死神と呼ばれたボクが……今、初めて怖いっ!恐ろしい!全ての罠を出し尽くしたというのに!何故、こいつは……生きていられるんだ!)

フレイザード2号の過剰過ぎる生命力に完全に困惑するキルバーン。

フレイザード2号とて相当なダメージを負ったが、それを感じさせない猛攻によって形勢は瞬く間に逆転。命を懸けて戦う姿にキルバーンは精神的にも追い詰められる。

しかし……

「てっ!?……またかよ……」

遠くの安全地帯からこの戦いを観ていたピロロがやって来てしまい、ファントムレイザーを補充してしまったのだ。

「……酷いな。そういわず、受け取ってくれたまえよ……君にも大好評だった、この……ファントムレイザーを!」

()ちゃえ()ちゃえ」

だが、フレイザード2号は臆するどころかおもいっきり左腕を振って自身の不死身をアピールする。

「忘れたか!?禁呪法生命体はコアさえ無事なら死にはしない!」

「つまり……コアを失った禁呪法生命体は死ぬって事だろ?」

すると、キルバーンは何故か自分の左腕を斬り落とした。

「……やはり……そう来るか?」

「ほぉ……僕の最後の罠まで知っていたとはねぇ……でも、今の君はファントムレイザーに囲まれで動けない」

キルバーンの体内に流れる魔界のマグマを点火させ、大火球となったそれを標的に対して投射する、キルバーンの性質を利用したキルバーンの切り札『バーニングクリメイション』。

それに対し、フレイザード2号が使える呪文の中でこれに対抗できるのはたった1つ!

フレイザード2号もそれを十分理解しているのか、遂にフレイザード1号の様な炎と氷の怪人へと変形する。

「じゃあ……こっちもとっておきの大技で……お返ししないとな!」

「……極大消滅呪文(メドローア)か?だが、恐るるに足らず!この僕の事を知り過ぎた事が仇になった様だね?」

「けっ!仰々しい罠の後ろに隠れないとまともに戦えない臆病者が偉そうに!」

「許さんぞっ、侮辱は!僕は……あらゆる者の生と死を統轄出来る……死の神なんだあぁーーーーー!」

「こっちは極大消滅呪文(メドローア)が使えて、あっちは卑怯な臆病者で、これで負けたら……バカだぜぇぇぇぇッ!」

キルバーンが怒りと共にバーニングクリメイションを放ち……

 

フレイザード2号とキルバーンの死闘が酣となった頃、鬼岩城玉座の間ではクレオとホーモンとの因縁の対決が再開され様としていた。

だが、ホーモンは殺意万歳なのに対してクレオは少し残念そうであった。

「ホーモン……貴方はまだ……自分の内に秘められている希望を頑なに否定するの?」

「希望?違うなぁー。私を産み出した方法こそが禁忌」

「違う!貴女は生産性を口実にBLの素晴らしさを真っ向否定する愚者の目を覚まさせる存在……つまり!ホーモンは本来希望なの!」

「目を覚ますべきは貴様の方だ。あんな忌々しくて気色悪い方法で誕生させてくれと、誰が頼んだ!」

「世界よ!BL完全否定と言う致命的な愚行から世界を救う為に貴女は誕生したの!」

「だから私の実両親が両方とも実父だと?ふざけるな!」

ホーモンは最早語る言葉が無いとばかりに鎖付き鉄球をクレオに投げつけた。

「ホーモン!」

「もはや貴様は消えて良い!私と言う最大の禁忌を産む切っ掛けとなった大罪であるBL諸共な!」

そう言うと、ここかどこかなど構わず極大氷系呪文(マヒャデドス)を放ってミストバーンを困らせた。

「おい!この城が誰の物か解っているのか!?」

だが、自分の両親を両方とも実父に変えたBLへの怒りに完全に任せてしまったホーモンは、ミストバーンの忠告もお構いなしに今度は極大真空系呪文(バギムーチョ)を放った。

「おいーーーーー!」

それに引き換え、ミストバーン以上にホーモンの被害度外視の凶暴性に困惑し、回避も説得も中途半端になってしまったクレオ。

「ダメ!落ち着いて!せっかく復活出来たのに、またBL拒絶と、あっ!」

復活したのなら今度はBLを受け入れる人生を送ったらどうだと言いかけたクレオを見て、ホーモンは嘲笑うかの様に鼻で笑った。

「復活?これが?これのどこが?」

「ホーモン!?何を言って―――」

「ハドラーから聞かされたのではないのか?……黒の核晶(コア)の事を」

「黒の核晶(コア)!?」

ホーモンの言葉にバランは自分の耳を疑った。

復活したホーモンの体内に黒の核晶(コア)が移植されているかもしれないと言う恐ろしい可能性。しかも、当のホーモンはそれを絶望視するどころか誇らしげに語っている。それだけBLへの怒りが強く、BL絶滅と言う目標に対する信念が強いと言う意味でもあった。

「黒の核晶(コア)を移植されていると言う事は、大魔王バーンの意志によって何時ただの爆弾扱いされるか解らない事を意味するのだぞ?なのに何故、そこまで楽しそうな笑顔でいられる?」

そんなバランの質問に対し、ホーモンはあっけらかんと答えた。

「良いよそれで。私が死んだくらいでBLが完全消滅すると言うのなら、私は喜んで何度でも死んでやる!」

「ホーモン!」

クレオの悲痛な叫びを聴いたハドラーちゃんは、いきなりクレオをビンタした。

「いい加減にしろクレオ!貴様のBL崇拝はその程度か!?」

ハドラーちゃんの突然の叱責に目が点になるクレオ。

「……へ?」

だが、ハドラーちゃんの熱い叱責はクレオのきょとんなどお構いなしに続いた。

「今のお前の情けない姿をフレイザード2号が見たら、何と言うと思う?どう悲しむと思う?」

「フレイ……ザード……」

「そうだ!俺の知ってるフレイザード2号は、誰に何を言われ様と自分が『女好き女』である事を堂々と公言し続けたぞ?その後で誰にどう視られどう言われるか全く考えずにな」

が、そんなハドラーちゃんの叱咤激励を聞かされているクレオを攻撃するホーモンであったが、幸いアバンのアバンストラッシュが邪魔でクレオには届かなかった。

「邪魔だ!」

「こういう時こそ、戦士としての礼節を魅せる時だと思いますがね」

その間も、ハドラーちゃんの叱咤激励は続く。

「だが、今のお前はどうだ?ホーモンに視線ばかり気にしていつものBL称賛が影も形も無いではないか。そんな軽過ぎる信念や矜持如きがBLをしつこく語ったところで……逆にBLが迷惑するだけだろ」

クレオはここで漸く自分の間違いに気付いた。

だからこそ、クレオは自分の顔を殴った。

「……ありがとう……ハドラーちゃん。私は、まかりなりにも勇者と言う役目を背負わされた身だ。なのに、ちょっとBLを否定されたくらいで自分を見失うなんて、変だよね?」

「ああ。変だ。あちらの世界を救った勇者としてあるまじき行為だ」

こうして、漸く本来の自分を取り戻したクレオは、改めてホーモンと対立・説得する。

「行くよ、ホーモン!私が責任を持って、貴女と言う最大限の希望を産み出したBLの素晴らしさを、命賭けで教えてあげる!」

 

ハドラーちゃんの叱責によって正気を取り戻したクレオの様子を見て怒りが湧くホーモン。

「何がBLが誕生させた希望だ……BLさえなければ私と言う絶望は誕生しなかった!」

寧ろ、BLを憎み過ぎて自分を完全否定してしまったホーモンの方が暴走している様に視えた。

「……狂ってる……びーえるが何者か知らんが、そのびーえるさえいなくなれば良い筈なのに、何故奴は自分まで否定する?」

バランの軽い混乱など気にせず、クレオはホーモンの胸元に斬撃を浴びせようとした。

「なんだ!?この軽い斬撃は?……貴様、まさか!?」

「そのまさかだよ。ホーモン」

そう言うとクレオは再びホーモンの胸元に軽い斬撃を浴びせた。

「貴様ぁー!私から黒の核晶(コア)を奪う心算か!?」

その途端、バランの混乱はピークに達した。

「黒の核晶(コア)が貴様の身体に埋め込まれたがどう言う意味か本当に解っているのか!?アレは爆弾と呼ぶのすら生ぬるい悪夢の兵器!貴様の命どころか存在すら容易に奪い去るぞ!」

それに対し、ホーモンは激怒しながら答えた。

「それだけでBLを滅ぼせるなら、後悔は無い!」

「正気か!?」

バランは本気でBLが何者かを知りたくなった。

一見すると可憐な少女にしか見えないこのホーモンを、ここまで復讐の狂気に狂わせる……BLはいったいどれ程の悪行を重ねてきたのか……

「全ての男性が持つ男性への愛情よ」

クレオの回答がバランを更に混乱させる。

「愛?愛だと?」

「そう!愛よ!男が自然の摂理に従う様に男を愛する。それがBL―――」

クレオの回答がホーモンを更に激怒させた。

「この嘘吐きがあぁーーーーー!」

対するクレオは投げつけられた鎖付き鉄球を剣で跳ね返しながら宣言する。

「男が男を愛するのを妨害するのは自然の摂理に逆らう行為。だからホーモン、私は勇者として貴女を倒し、貴女を正し、そして貴女を救う……来いホーモン!」

怒りに任せ過ぎたホーモンの姿が少女から白いスカイドラゴンへと変わった。

「ふざけるなあぁーーーーー!男同士の性交によって産まれた子供など!この世に存在してはいけないんだあぁーーーーー!」

そんなホーモンの姿が気の毒で悲劇的に視えた。

ホーモンは何も解っていないのだ。男同士が行う性交がもたらす妊娠に秘められた貴重で広大な希望の尊さが。ホーモン自身が男同士の性交によって産まれた希望その者だと言うのに……

だから、クレオはホーモンとの決戦に勝つと決めた!ホーモンを救う為に!

「……」

クレオとホーモンの因縁の意味を最後まで理解出来なかったバランの肩を叩くハドラーちゃん。

「そんな事より、待たせてるぞ?お客さんを」

そう言いながら怒り狂いながら暴れ狂うホーモンに説教を垂れているミストバーンの方を向いた。

そんなハドラーちゃんを見て、前の時間軸の苦労を思い出してしまった未来ヒュンケルが苦悩の表情を浮かべた。

「お客さん……か……」

ミストバーンの強さと正体を知る未来ヒュンケルにとって、この戦いは地獄そのものだった。

だが、避けて通ってはいけない戦いでもある事を未来ヒュンケルは知っている。この時間軸の過去と未来を変える為にも。

「貴様ら……鬼岩城の中でこれだけの無礼を働いたのだ……生きて鬼岩城を出られると思うなよ!」

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