ハドラーちゃんの強くてニューゲーム   作:モッチー7

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第44話

ミストバーンとホーモンのやり取りを観ながら今後を思案していたキルバーンは、ふと何かを引っ張りながらやって来るガッルールを発見する。

「おや?」

「ここにアバンと竜の騎士(ドラゴンのきし)だけ?」

ガッルールにとってはあまり好都合な光景ではなかった。

「異元扉!フレイザード2号はどうした!?ヒュンケルのその顔は何だ!?ハドラー様はちゃんとバーンの許に辿り着けたのであろうな!?」

それを聴いたキルバーンがわざとらしく嘘を吐いた。

「死んだよ。特にフレイザードは僕が殺した」

ガッルールは信じられないって感じで訊き返す。

「馬鹿な!あのフレイザードがか!?」

キルバーンはガッルールの質問には答えなかった。

それより、ガッルールに引っ張られた何かに至極興味を示した。

「……喜べミスト。竜の騎士(ドラゴンのきし)に例のフードの中を見られる事態は、回避出来そうだ」

キルバーンは、黒の核晶(コア)起動による自爆を望むホーモンを無視・素通りしてガッルールが持って来た者に詰め寄る。

「起きたまえ。役立たず君」

ガッルールに引っ張られてここに来たガルヴァスは、キルバーンにビンタされて叩き起こされた。

「はっ!?……ここは?」

ガルヴァスの質問には答えず。ただ言いたい事を淡々と言い放つキルバーン。

「役立たず君、君の人生、最大にして最高のチャンスが来たよ」

そんなキルバーンの言葉に、何故か嫌な予感がするガルヴァス。

「……最大のチャンス……」

竜の騎士(ドラゴンのきし)を殺した男として歴史に名を刻めるって意味だよ!」

そう言いながらガルヴァスの胸元を斬り裂いたキルバーン。

すると……

「な!?」

「何だアレは!?」

「……そこに在ったのか……」

ミストバーンとホーモンすら、ガルヴァスの胸元に隠されていた物に驚きを隠せない。

「何だと!?」

「何故そこに!」

クレオは周囲の驚きの理由を知るべく密かに『鑑定』を行い……ガルヴァスの胸元に隠された物の正体を知って後悔した。

「……これが噂の!?」

ただ、ガッルールだけは予想通りだったのか他の者達よりは驚かなかった。

「……やはりか……この場にフレイザード2号かガンガディアがいてくれたら……」

そんな中、ガルヴァスの胸元に隠された物に最も驚き恐れていたのはこの男……

「……何で……何で私の体の中に……黒の核晶(コア)が……黒の核晶(コア)があぁーーーーー!」

 

自分の胸元に何時の間にか黒の核晶(コア)が移植されていると言う、禍々しくて忌々しい裏切られ事態に汗だくとなるガルヴァス。

「……嘘だ……嘘だ!地上界でこれを使えば、もう直ぐ大魔王バーン様の配下である―――」

ガルヴァスが何を言いたいのかを理解しつつも完全に無視するキルバーン。

「良いんだよ。地上界で黒の核晶(コア)を使用しても。大魔王バーンが許しているのだから」

キルバーンの更なるダメ押しの言葉に更に汗だくとなるガルヴァス。

対するキルバーンはそんな事などお構いなしにとんでもない事を言い放つ。

「じゃ、美麗かつ綺麗にドッカーンと竜の騎士(ドラゴンのきし)に破裂してもらおうかな?その……黒の核晶(コア)を使―――」

その途端、ガルヴァスが慌ててミストバーンに命乞いをする。

「私はまだお役に立てます!もう少しだけ、ご猶予を頂けるのであれば、必ずお役に―――」

だが、キルバーンがそれを否定する。

竜の騎士(ドラゴンのきし)が鬼岩城に此処まで近付いたのにかい?」

キルバーンはミストバーンをチラ見しながら更にダメ押しをガルヴァスに突き付ける。

「それに、本来ならミストのフードの中をバーン様の許可無く視るのは万死に値する。その万死を竜の騎士(ドラゴンのきし)が実行しようとした……君が鬼岩城の完成をわざと遅らせた事が招いた事だよ」

キルバーンに鬼岩城建築現場監督を閑職と侮っていた事を見抜かれたガルヴァスは慌てて弁明する。

「違います!違います!私は―――」

が、キルバーンはまたも無視した。

「違わないよ。僕達は今、究極の二択に迫られている。この鬼岩城から竜の騎士(ドラゴンのきし)を追い出す為に、ミストにバーン様に絶対に脱ぐなと言われているフードを脱いでもらうか、それとも、君がその黒の核晶(コア)を使って鬼岩城ごと竜の騎士(ドラゴンのきし)を爆破するか」

「やめろ!」

バランが慌ててキルバーンを止めようとするが、頸に何かが刺さったかの様な痛みが発生した為、バランはこれ以上前には出られなかった。

「やめときたまえ。ファントムレイザー。無色透明な刃を浮遊させる技だ。下手に動けば……これだよ」

「くっ!」

「さて……選択の時だ―――」

「猶予を……!貴方様に御猶予を分けて頂ければ、私は必ず、戦況に順応してみせます!より強力な豪魔軍師となり、大魔王バーン様の地上界支配に仇なす愚か者共を残らず駆逐いたします!」

「……ふっ」

キルバーンが笑った気がしたガルヴァスの表情が少し明るくなった。

「おぉー」

だが、

「もう遅い」

 

グダグダと見苦しい命乞いを続けるガルヴァスに飽きたキルバーンが、とうとう決断を下す。

「君が選択しないのであれば……僕が代わりに選択してあげるよ!」

キルバーンが放った火炎呪文(メラ)を見て蒼褪めるガルヴァス。

「……あれ?……外れちゃった。今度はちゃんと当てるからちょっと待っててね」

(駄目だ……おしまいだ……思考は読まれ、肯定しても否定しても殺される……戦って勝てる筈も無い……なら……逃げるしか!)

とキルバーンから全速力で逃亡を図るも、急に頸が痛くなるガルヴァス。

「うっ!?……まさか……」

「そう。そこにもファントムレイザーさ。そんな事も予想出来ないなんて、それでよく軍師を騙れるねぇー。呆れるよ」

「待て!」

ホーモンに声を掛けられ首を傾げるキルバーン。

「ん?君は何でまだ逃げていない?ガルヴァスの一世一代の渾身の花火に巻き込まれたいのかい?」

対するホーモンは逃げる気は無く、

「その前に、この私の黒の核晶(コア)を起動させろ」

「……ほう?」

そこで、キルバーンはホーモンの胸元を斬り裂くが、そこには……

「……無い……」

「……ふーん」

「無い無い無い無い無い!無あぁーーーーーいぃーーーーー!」

そう、ホーモンの体に黒の核晶(コア)は埋め込まれていなかったのだ。

「嫌だ……生きてホモ共の醜い勝利を見届けるくらいなら、死んだ方がましだ!」

ホーモンの怒号に口出しするアバン。

「それなんですが……その魔界とやらにホモと言う者はいるのですか?」

そんなアバンの指摘によって、漸く大魔王バーンに猜疑心を抱き始めるホーモン。

「この世界の魔界にホモがいるか否かだと?」

言われてみれば、大魔王バーンの最終目標が地上界を完全消滅させて魔界に日光を浴びせる事だとは聴いていた。が、魔界に同性愛者がいるかいないかについては、大魔王バーンは何も言わなかった。

「では何か……例え大魔王バーンが地上界を完全消滅させてもなお、忌々しくて醜いホモ共は日向の中を闊歩する……そう言いたいのか……」

2匹のオスの間に生まれたホーモンにとって、それは屈辱的な裏切り以外の何物でもなかった。

が、

「ま、どの道、ガルヴァスの黒の核晶(コア)を起動させ、竜の騎士(ドラゴンのきし)にミストに関する真実を視られる事態を未然に防ぐ。これは決定事項―――」

「待って!辞めて!」

「運が無かったな」

キルバーンの火炎呪文(メラゾーマ)がガルヴァスの黒の核晶(コア)に命中した。

 

突然背後に2人組が出現した事に気付いたハドラーちゃんが振り返ると、

「なあぁーーーーー!?」

そこには、ミストバーンとキルバーンがいた。

「ハドラー……バーン様はどうしたぁー!?」

「質問したいのはこっちの方だ!ガンガディアはどうした!?ガッルールはどうした!?フレイザード2号はどこだ!?」

ハドラーちゃんの質問に対し、答えたのはキルバーンだった。

「フレイザードなら、死んだよ。僕のバーニングクリメイションを食らって火達磨さ」

「馬鹿な!フレイザードは炎と氷の化身!火達磨になったくらいで死ぬ筈は―――」

「僕の血は魔界のマグマとほぼ同じでね、地上界にある様なあんな小さな焚火とは訳が違うのだよ」

ハドラーちゃんは悔しかった。

キルバーンの卑劣な炎が、またしてもハドラーの大切な物を奪おうとしており、それを阻止出来なかったからだ。

「おのれキルバーン……その頸、叩き斬ってくれる……」

対するキルバーンは、嘲笑う様に高笑いをする。

「ハハハハハハハ……あーははははは!」

「ちくしょおぉーーーーー!」

だが、キルバーンの口から意外な台詞が飛び出した。

「なぁーんちゃって!」

その時のキルバーンの声色に驚くミストバーン。

「待て!まさか貴様!その声は!?」

すると、キルバーンが再び笑い出す。

「……ふふふふふ。漸く気付いたかミストバーン」

キルバーンがミストバーンの事を『ミストバーン』と呼んだ事に驚くミストバーン。

「キルが私をその名で呼んだだと!?貴様、正体を表せ!」

ミストバーンに斬首されたキルバーンであったが、頸を失った筈のキルバーンがのうのうと喋り続けた。

「随分恩知らずな事をしてくれたねミストバーン。貴様の正体が竜の騎士(ドラゴンのきし)バランにバレる事態を未然に防いでやったと言うのに」

「頭部だけは本物だと!?……まさか……貴様は!」

「……無事だったのか……フレイザード2号!?」

そう。

今までキルバーンのふりをしていたのは、キルバーンを撃破して鬼岩城の玉座の間に戻ったフレイザード2号であった。

「バランの奴が危うくミストバーンのフードを脱がそうとしていたので、変身呪文(モシャス)でキルバーンに化けてミストバーンを説得した……と言う訳ですよ」

「ならば……キルバーンは!?」

「見ての通り……死んだよ。私があいつのバーニングクリメイションを食らって火達磨になったのを見て、油断して近付いた所を、私の体に刺さったままのファントムレイザーでポロリんちょ。ついでに邪魔なピロロもファントムレイザーで始末しておきましたよ」




フレイザード2号
「と言う訳で、キルバーンとピロロは今日でオールアップでございます」

と、こんな感じで厄介な難敵キルバーンとピロロには、ちょっと雑に退場して貰いました。
ま、ファントムレイザーを逆利用されて頸を斬り落とされるのは原作通りなので、キルバーンの運命だと思って諦めてください。
後、フレイザード2号がピロロを殺してキルバーンの頭部を大切に持ち歩いている理由については、原作を読んで察してくださいとだけ言っておきます。
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