ハドラーちゃんの強くてニューゲーム   作:モッチー7

8 / 52
アニメ版のハドラーの月命日が16日と決まった様なので(涙)……
その月命日にうぼのあん氏(https://www.pixiv.net/users/159931)の16年前に戻ってやり直すハドラー(https://www.pixiv.net/artworks/86959749)を参考に(パクった)、ハドラー様が魔法騎士レイアースの獅堂光の様な姿になるお話を作ってみました。

pixiv版→https://www.pixiv.net/novel/series/8799426


第8話

サババの再戦を終えたハドラーちゃんは、漸く意を決して破邪の洞窟の単独探索を開始する事にした。

「ガンガディア、バルトス、俺が戻って来るまでの間の軍の指揮は任せる」

「は」

「ただし」

「は?」

「キギロは温存しておけ。あ奴は前に出過ぎて自分の寿命を縮める所が有るからな」

そんなハドラーちゃんの言葉に困り果てるバルトス。

「あー……それなのですが……」

「ん?どうか致したか?」

「キギロ殿なら、既にデルムリン島に向かわれております」

それを聴いたハドラーちゃんが溜息を吐く。

「あの馬鹿……また功を焦ったか?」

「とは言え、あの島の大地は植物系魔物が増殖し易い土壌を有してます。モンスター訓練場として最適の場所と言えましょう」

それは良いのだが(その後、敵であるダイまで育ってしまったが)、ハドラー達に無断でギュータに攻め入り……ギュータがキギロの棺桶と化した。

(駄目か……キギロは……諦めるしかないのか?)

半ば諦めの溜息を吐くハドラーちゃん。

だが、ここで諦めたら2周目を始めた意味が無くなってしまう。

(それでも、救える方法が有るなら、少しでも縋り足掻きたい。アバンやアバンの使徒の様に)

「この中に瞬間移動呪文(ルーラ)を使える者はいるか?」

「私が出来ますが」

「なら、ブラスに釘を刺しておけ。あの馬鹿が先走り過ぎない様にな」

「は」

ガンガディアが早速デルムリン島に向かうが、

「キギロ殿なら、既にアバンと呼ばれる勇者の許に向かいましたが」

ブラスの証言を聞いて頭を抱えるガンガディアであった。

 

とは言え、ハドラーちゃんがまだまだ救いたい奴はまだいる。

その1人であるザムザの許に1通の手紙が届いた。

(俺宛て?親父じゃなくて?)

取り敢えず、ハドラーちゃんが送り込んだメドーサボールとさまようよろいの合成の指示通りにザボエラに内緒でハドラーちゃんからの手紙を読んだ。

「ザムザよ、ザボエラの下を離れて俺に仕える気は無いか?無論、お前が父親であるザボエラの事を想っての事だと言う事は知っている。だが、従順なだけが子供の愛ではない。子供が親を超えてこそ親は子供を作る甲斐があるものだ。親が子供から親に叛く牙を抜けば、その子供は他の獣の牙の餌食になるだけだ。故に、もう1度だけ訊く。ザムザよ、ザボエラに自分の優秀さを理解させる為、ザボエラの下を離れて俺に仕える気は無いか?」

ザムザはハドラーちゃんが送り込んだ使者に手紙を突き返した。

「俺は……ザボエラの子だ……親に逆らった子が……この後どうやって生き延びろと言うのだ……」

ザムザのその言葉は、一見するとハドラーちゃんの主張である「子は親を超えるのが仕事」と言う言い分を否定している様に見えるが、ザムザはあからさまに動揺していた……

 

ザムザからの返答をあえて聞かずに破邪の洞窟に向かうハドラーちゃん。

寧ろ、思いっきり時間をかけて悩んで欲しい題材でもある。

父親を超えるとはどう言う意味か?

父親を超えるにはどうしたら良いのか?

本当に父親を超える事が出来るのか?

そして、父親を超えた先に何が在るのか?

そう言ったモノを必死になって考えて考えて、その上でザムザにはザボエラを超える逸材になって欲しいのが、今のハドラーちゃんの願いでもある。

(ふっ……この俺が、今更アバンの真似事か……我ながら似合わんな)

 

瞬間移動呪文(ルーラ)でカールまでやって来たハドラーちゃんは、カール王国の騎士団に悟られない様に徒歩で破邪の洞窟に向かうのだが、そこで見慣れた顔と再会する。

「ん?」

(クロコダインではないか。何故こんな所に?)

よく視ると、クロコダインは大きなリュックを背負っていた。

(あー。なるほどね。自らを鍛え直す為に地上で旅をしていた訳か。そして、その冒険で得た知識を武器に獣王の称号を勝ち取った訳だな)

改めて成長の必要性を理解したハドラーちゃんに対し、クロコダインの方はバーンに仕える前だった事もあってか、なんの思い入れも無くそのままハドラーちゃんを素通りするのだが、その直後、ハドラーちゃんの脳裏にある者の最期の姿が浮かんだ。

「なに!?」

慌てて振り返るハドラーちゃんだったが、ハドラーちゃんになんの思い入れも無いクロコダインは、そのままスタスタと歩き去って行った。

(何故俺がザボエラの死に様を知っている!?奴は……少なくとも俺の目が届かない所で死んだ筈だ……なのに!?)

確かに1周目(ぜんかい)に関する記憶を全て覚えているハドラーちゃんだが、そんなハドラーちゃんでも1周目(ぜんかい)の事を全て知ってる訳ではない。特にハドラーの死後に起こった出来事は、文字通りハドラーちゃんのあずかり知らず。故に知る術が無い……筈なのだ。

なのに浮かぶ1周目(ぜんかい)のザボエラの死に様。

が、ハドラーちゃんは笑った。不敵に笑った。

「確かに不思議な事ではある。だが、好都合!ザボエラに性格改善を促す警告の様な幻覚を送り込みたいと思っていたのだ!」

 

その日の夜。

 

ザボエラは自分の死を予見するかの様な夢にうなされていた。

先ずはハドラーちゃんがザボエラの眼前に出現して、

「ザボエラよ。俺はお前の卑劣で信頼とは無縁な性格が前々から嫌だった。だが、この俺に次ぐ強大な魔力をただ腐らせるのは非常に勿体無い。そこでだ、このまま貴様の性格が改善されなければどうなるか……お前にハッキリと魅せてやろう。ありがたく思え」

すると、背景が急に移り変わり、気付けは何故かロロイの谷におり、そして何故か匍匐前進もままならない程疲れ果てていた。

(な、何故じゃ?なぜこの儂が、こんなに疲れ果てて魔力も尽きておる?)

そんなザボエラの前にいたのは、クロコダインだった。

(何……アレ……?)

「なっ!……何しに来たのだ?と言うか、貴様は何者だ!?」

「お前のしぶとさは十二分に承知だ」

ザボエラの瞼は全開となり、ザボエラの鼻から鼻水が垂れた。

(わ、儂を殺す気か!?)

困り果てたザボエラは、取り敢えずハッタリをかまして相手を驚かせる事にした。

「キヒヒッ!儂を相手に1人で何が出来る?無駄な―――」

が、クロコダインにはその様なハッタリは通用しない。

「それは無い!お前の性格なら、あれだけやられれば確実にひとまずどこか遠くへ逃げるはず?こんな所で這っていると言う事は、既に魔法力もアイテムも尽きているという何よりの証拠。つまり、ロン・ベルク殿の一撃でお前は全魔力を失い脱出が精一杯だったのだ!」

ザボエラはムカッときたが、何故か常に共にあった筈の魔力が、何故か一欠けらも無いのだ。

「今度こそ万策尽きた!」

(くっそぉー!何故だ?何故今の儂には何も無い!?なんとかするんじゃ!まだ手はあるはずっ!この儂がこんな危ないワニ助に殺される場面を、好き好んで生み出す筈が無い!)

「ザボエラ、最期の時だ……」

グレイトアックスを振り下ろす準備をするクロコダイン。だが、

(おー!そうじゃ!儂にはこれが有った!これなら……儂は必ず助かる!)

「待ってくれ!お前の言う通り、今の儂は何故か何も無い!だが、それで良いのか!?何の抵抗も出来ない者を平然と殺して何の誇りがある?それこそ、強者と戦う事を望む武人が嫌う『弱い者虐め』ではないのか?」

その言葉にクロコダインは迷った。

「……ザボエラ……」

今度はクロコダインが困り果て、振り下ろす心算だったグレイトアックスがピタッと止まった。

それを見たザボエラは失笑した。

(ええぞええぞ…このお人よしめがっ…!悩め悩めェ~いっ!どう言う訳か何故か魔力が消えて無くなっておる。だが、じゃがまだこの体内に流れる数百種もの毒素がある。こやつの意識を奪い意のままにする毒が今調合完了したところよ。わずかにかすっただけでもこっちのもの)

そして、クロコダインはグレイトアックスを下ろして握手を求めた。

「……解ったザボエラよ。さあ……」

この時、ザボエラは勝利を確信した。

(かかりおったぞこのバカめが!やっぱりお前は底なしの愚か者!ウドの大木!いや…ワシの人生の踏み台を作るための材木じゃぁ!)

そして、意を決して爪を突き立てるザボエラ。

「そりゃああっ!」

だが、クロコダインは握手する為に突き出した右手を引っ込め、再びグレイトアックスを持ち上げる。

(斧の柄がっ…真上に!?)

そして……グレイトアックスの柄がザボエラの両腕を踏み潰した。

「ぐぎゃああ~っ!」

ザボエラが必死にグレイトアックスの柄に踏み潰された両腕を引き抜こうとするが、クロコダインがダメ押しとばかりにグレイトアックスの柄を踏む。

「貴様ァッ!ワシに騙されたフリをー!」

「ザボエラよ、頭の悪い俺だが、騙され続けたおかげで1つ物を知った」

クロコダインの右手が不気味に光ったのを見て、ザボエラの瞼は全開となり、ザボエラの鼻から鼻水が垂れた。

「ちょっと待て!本気かお前!?やめろ。やめろ!」

「それは、この世には本当に煮ても焼いても喰えぬ奴がいる!……と言う事だ!」

「やめろぉーーーーー!」

容赦無く背中に闘気弾を叩き込まれるザボエラ。

その時の爆発音を聞きつけたのか、バダックがやって来た。

「クロコダイン!ついに倒したのかこの憎き妖怪ジジイを!あのゾンビの死体の中にこいつの姿がないからみんなで八方を探しとったんじゃが、いやー流石はお前さんじゃわい」

バダックが手放しでクロコダインを褒め称えるが、クロコダインの気分はすぐれない。

「じいさん……こいつもかつて六大軍団長が揃ったときには絶大な魔力で一目置かれた存在だったんだ」

クロコダインは思い出す。保身に走ってザボエラが提案した卑劣な手段を行ってしまった……武人にあるまじき黒歴史を。

「それが出世欲に目がくらみ他人の力ばかりを利用しているうちに、いつのまにかこんなダニのようなやつに成り果ててしまった」

そんな恥部がクロコダインにこんな言葉を言わせてしまう。

「恐ろしいものだ……欲とは……俺とて、一番手でダイたちと戦っていなかったらどう歪んでいたか解らん。こいつは正真正銘のクズだったが、それだけは哀れだ……」

バダックは……クロコダインの心情を十分理解した上でこう反論した。

「良い奴じゃなお前さんは。だがな、こいつとお前さんとは違う!ワシの誇るべき友人・獣王クロコダインは、たとえ敵のままであったとしても己を高める事に命を賭ける尊敬すべき敵であったろうと……ワシは思うよ!」

それを聴いて、何か救われた気がしたクロコダインであった。

 

「があぁーーーーー!?」

で、そこで目が覚めるザボエラ。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

(何じゃあの夢は?この儂が……この儂が戦場で死ぬ!?そんな馬鹿な……どこをどう道を踏み外せば……)

首を必死に横に振り、必死にザボエラの戦死を予見する夢を否定するザボエラ。

(いーーーや!そんな筈は無い!儂がこんなしくじりをする筈が無い!これは……何かの間違いじゃ!)

 

ザボエラがザボエラの戦死を予見するかの様な悪夢に苦しむ中、ハドラーちゃんがようやく破邪の洞窟の入り口に辿り着いた。

「ここだな?人間の神が人間共に与えた……飴と鞭は……」

躊躇無く破邪の洞窟に入るハドラーちゃん。

そして、「破邪の洞窟調査資料 途中経過」と呼ばれる書物を開く。

「確か……最初は初心者コースで、それなりの実力者なら5分で突破可能……」

そこへ、破邪の洞窟1階を護るモンスターの群れがやって来たが……

「は?す……スライムの……大群?」

無論、ハドラーちゃんの敵ではなく、地獄の鎖(ヘルズチェーン)一振りで終わった。

「……所詮はスタート地点って訳か……下の階へ行けば行くほど、守護するモンスターが強くなるらしいが……これは階数が2桁になるまではあくびが出そうだな?」

 

だが、破邪の洞窟の単独探索を行っているハドラーちゃんの敵は、破邪の洞窟を守護するモンスター群だけではない。

寧ろこちらの方が邪悪な悪意と言って良いだろう。

「ハドラーめは、本当にこの洞窟に入ったのだな?」

コウモリ男がガルヴァスに一礼する。

「そうか……では、ここに暗黒魔術を解き放つ」

これを聞いたコウモリ男が驚く。

「何故驚く?まさか、中に入ってハドラーを背後から攻撃するとでも?」

コウモリ男が怯え慌てながら一礼する。

「そうだ。私はハドラーとは違う。王は……どっしりと構えるのが通例よ」

コウモリ男を下がらせたガルヴァスは、2人の腹心を召喚する。

「デスカール!ブレーガン!」

「は」

「ははっ!」

そして、ガルヴァスが2人に指示を出す。

「私はここに暗黒魔術を解き放つ。つまり待ち伏せだ。お前達は洞窟の出入口からハドラーを待ち伏せせよ!」

「は」

だが、そこに女性の声が響く。

「お待ちください、ガルヴァス」

それを聴いて苦笑いするガルヴァス。

「お前まで来たか?メネロ」

「私もその待ち伏せに加えて頂きたい」

「やはりそう言う事だったか?女は怖いわ」

クスッと笑ったガルヴァス。

どの道、ハドラーちゃんを待ち伏せて殺すのだ。戦力は多いに越した事は無い。

「良かろう。好きなだけ粉々にするが良い」

「は!ありがたき御言葉!」

(ふふふ。これは面白い。これではハドラーの首級が切り傷だらけになってしまうが、ハドラーの頸を斬れれば、後はどうにでもなるか……命運尽きたぞ?ハドラー!)

 

ガンガディア

「ハドラー様、テレビ東京版の放送が終了してから、もうすく1ヶ月になります」

 

ハドラー【魔軍司令時代】

「もうそんな時間か!?時の流れは速いな」

 

ガンガディア

「その最終回と言えば、ポップと名乗る人間が『TBS版はアレが発生する前に放送を終了したんだから、テレビ東京版もアレが発生する前に放送を終了したって良いじゃん!』と駄々を捏ねていましたぞ」

 

ハドラー【魔軍司令時代】

「あー、アレな……アレは色々と台無しにしてくれるからな。本当、キルバーンは腹ただしい事しかしてくれんな」

 

「は!?」

ハドラーちゃんが慌てて飛び起きると、そこはまだ破邪の洞窟地下1階。

どうやら、破邪の洞窟地下1階の歯ごたえが無さ過ぎて……立ったまま寝てしまった様である。

「何をしてしまったんだ俺は!?ただ惰眠を貪る為だけにここに来たんじゃないんだぞ!」

そして、自分の不甲斐無さに怒るハドラーちゃん。

「どうやら、玉座に踏ん反りがえり過ぎて、また慢心してしまった様だな。丁度良い、ここで少し鍛え直しておくか」

が、さっき観た夢の内容が少しだけ気になった。

「ただ……夢の中の俺とガンガディアは、キルバーンの奴がまた何かをしでかしたかの様な事を言っていたな?そこだけは少し気になる……やはりあの時、無理矢理にでもあの仮面をもぎとった方が良かったのだろうか?」

とかなんとか言ってる間に、地下2階へと続く階段に到着した。

「おっと。危ない危ない。今は余計な邪念を抱く場合じゃなかったな。少し急ぐか」

気合いを入れ直したハドラーちゃんは、まだまだ破邪の洞窟の単独探索を続けるのであった。




ここに来て、ようやく「破邪の洞窟編」です。
が、今回はザボエラ親子に色々とちょっかいを出しているだけで、まだまだスタートラインに立っているとは言えない状況ですが。「1周目では侵略未遂者止まりの男」こと「豪魔軍師ガルヴァス」がようやく動き出します。こいつは破邪の洞窟に入らないぽいですが……(汗)。

あと、第10話くらいから本作オリジナルキャラを投入しようかと思っております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。