一応投稿前に確認はしているのですが案外わからないものだと思いました。
感想のほうもありがとうございます。
また感想あれば、送って頂けると嬉しいです。
それでは第三話もよろしくお願いします。
おなかをすかせた三玖さんを家に入れ晩御飯の準備を始める。
「そういえば、普通に誘っちゃったけど家で晩御飯食べなくていいの?」
「五月もフータローの家で食べてるし、大丈夫だよ。」
「なら良かった。ほんとに軽いものしか作れないけど、座ってて。すぐ出来るから。」
しばらくして俺は軽いオムライスを作った。
「召し上がれ。と言っても一人暮らしの楽な料理だけど。」
「全然大丈夫。むしろ急に来ちゃってごめん。」
「全然いいよ。」
言葉ではこういったものの、実際心配ではあった。同級生とはいえ、一人暮らしの男の家に軽々しく上げるべきではなかった。
しばらく無言で食べていると、静けさに耐えきれなくなったのか、三玖さんが話題を振ってくれる。
「カナデはなんで音楽を始めたの?」
「内緒。」
「言いたくないならいいけど…。」
三玖さんが少し悲しそうにした気がして、思わず驚いてしまった。
「いや、本当にくだらない話ってだけだから。そんなに高尚な理由じゃ無いんだ。」
本当にくだらない話なのだ。音楽で世界を救うだとか、誰かの悲しみを消すとかそんなものじゃない。ただ俺は未だに、初恋を引き摺っているだけの男だった。
「さて、晩御飯も食べたし明日も学校だ。流石に暗いし送るよ。」
「あ、ありがとう。」
夜の道を三玖さんと歩くと、なぜだか不思議と落ち着くような感覚があった。
「カナデはさ、なんで私たちが転校してきたかは知らないよね。」
「全然知らないね。」
「私たち姉妹は頭が悪くて、落第してきたんだ。」
「だから家庭教師を雇ったんだ。じゃあ頑張らないとね。」
「無理だよ。だって頑張っても無理だもん。」
「そっか。なら無理に頑張らなくてもいいんじゃない?」
「カナデは優しいね。」
三玖さんがまた少し悲しそうな顔を浮かべた。自分でもわかっている。きっと三玖さんはこんな優しい慰めの言葉が欲しかったわけじゃないんだろう。むしろ勉強しろと強要された方が本人にとってはよっぽどいい激励だったのかもしれない。
だけど俺は───
「優しさじゃなくてさ、別に勉強じゃなくてもいいんじゃない?」
「え?」
「俺って成績悪いんだよね。確かに落第する程じゃないけどさ、それこそいつも一緒にいる風太郎にしたら天と地ほど差があるよ。だけど俺は勉強頑張ろうって気はない。俺には音楽があるから。」
「けど、それは」
「うん。これは俺が音楽を理由にして勉強から逃げてるだけかもしれない。実際音楽で食べていこうとは思ってるんだけどね。これは俺の作った歌の歌詞だけど、人間なんかに本気になれた時点でそいつの世界は変わってる。そう思うんだ。」
三玖さんがキョトンとした顔をする。急に言われても困るだけだろう。
だから俺は伝わるように言葉を続けた。
「先生がよく言うような話だけどさ、勉強ってのは可能性を広げるための土台なんだ。頭が良ければこれができるあれができる。でもね、例えば俺の作る音楽の世界じゃ時に音楽の勉強なんでバカバカしい!!!って言われたりするんだよ。」
「そうなんだ。音楽ってとても難しいんだね。」
「そう、だから勉強じゃなくたって好きなものを極めたらいいよ。俺はそれが音楽だったってだけ。それはそれとして、勉強は出来た方がいいけどね?案外風太郎と相性が良くて頭も良くなるかもよ。」
「ふふっ、ありがとう。おかげでちょっとだけ、できるかもって思っちゃった。」
三玖さんが少し小走りで前に行く。そしてそのまま俺に振り返ってこう言った。
「カナデの言うこと、信じてみる。だからその好きな物が見つかるまでは、フータローの勉強、受けてみる。もしまた諦めそうになったらカナデの曲を聞かせて。」
「分かった。いつでも聞きに来てよ。」
「約束だよ?可能性を見せてくれたのはカナデだもん。」
「責任、とってよね。」
そう言っていつの間にかマンションに着いていたらしい──三玖さんは中に入っていった。
一方俺は最後の三玖さんの言葉に顔を赤くされたまま、しばらくの間動けないでいた。
今回も読んでいただきありがとうございます。
割とホントに思い付きで初めてしまったのでいきなり色々忙しかったりする時期が重なってるのが少し申し訳ないです。
5月に入ると安定して投稿できるような気がします。
今回は少し短かったですが、やっと原作からかなり脱線した話を書かせて頂きました。こちらでは、最初のテスト前に三玖は決意を新たにします。
奏が音楽を始めた理由や軽く触れた部分については後々触れる予定ですのでお楽しみください。(ご期待に添えるかは別として)
次回もよろしくお願いします。