村人A「俺ちょっと勇者になるわ。」
中年鍛冶職人「りょ、武器作ったよ。いってら〜。」
村人A「...ここ、どこ?」
装備を揃えた翌日、村人Aは出発した。
そこから、大体1時間後が現在である。
村人Aはというと...現在迷子である。
元居た場所は辺境の村、旅の商人が一月に来るかどうかぐらいの辺境。
もちろん大きな街道などあるはずもなく...。
さまよい歩くのが関の山であった。
だが決して、運からは見放されたわけではなかった。
???「誰か助けてくれ〜!」
いや、どうやら見放されていたようだ。
こちらに向かって、遠くから商人のような人物が、ウサギの魔物に追われながら走って来る。
村人A「はぁぁ、全く面白い旅になりそうだ...。」
少しボヤきながら、ショートソードと盾を構える。
〜数十分後〜
なんとか魔物を倒しきる。
村人A「...これで終了...かな?」ハァハァ
???「...。」
村人A「大丈夫ですか?」
???「あっ、はい大丈夫です。」
村人A「それなら良かった、ところで辺境騎士領までの道って知りませんか?」
???「辺境騎士領...なら案内しますよ?今向かっていたところなので。」
村人A「いえいえ、道を教えて貰えれば一人で行けますので。」
???「それじゃぁ、お礼も兼ねてということでは...?」
村人A「お礼を頂くために、あなたを助けたわけではないので。」
???「そこをなんとか...。」
村人A「...わかりました、よろしくおねがいします。」
???「それは良かった!」
少し安堵の表情を浮かべる。
???「そういえば、名乗りがまだでしたね。」
青年商人「私は青年商人、この通り流れの商人です。」
村人A「村人Aと言います、勇者はじめたんでよろしくおねがいします。」
右手を差し出す。
青年商人「これからも、末永くよろしくおねがいしますね。」
村人A「(ん?待てよ、いま「末永く」って言ったか?)」
村人A「あの〜、『末永く』というのはどうゆう...?」
青年商人「そのままの意味ですよ。『長い間よろしくおねがいします』ってことです。」
村人A「(完全にしてやられた...まぁ、道案内は居た方が良いだろうし商人は都合がいい)」
村人A「ハァァ...わかりました、どうぞ末永くよろしくおねがいします。」
青年商人「ええ、モチロンです。」
村人Aが差し出していた右手を握り、握手を交わす。
村人Aは『腐れ縁になりそうだ』と若干憂鬱に、青年商人は『面白い英雄譚が見れそうだ』と少し期待に胸踊らせていた。
〜その日の夕刻頃〜
青年商人「れ、勇者様はれあいとかあったんれすかぁ?」
青年商人は酔っていた。
『勇者へのお礼』という面目で、焚き火を囲みながら酒を飲んだり保存食を食べたりしたのだ。
青年商人は酒に弱いらしい、しかし酒を割と呑む。
したがって、ほろ酔い〜酩酊ぐらいになるのは早かった。
村人A「居ないよ、別にぃ。」
村人Aも、なんやかんやで青年商人と打ち解けていた。
最初は硬かった口調も、知り合いに話すかのように砕けたものになっていた。
しかし、村人Aは酒が呑めぬ。
青年商人に絡まれる、それがオチであった。
青年商人「そんら〜、モテたれしょ〜?」
村人A「いや、そんなことないよ、モテないモテない。」
青年商人「じゃ、ひゃけれものんれわすれまひょーよ!」
村人A「呑まん呑まん、それよりもう寝とけ、見張りは俺がやっとくから。」
青年商人「じゃ、おらひ〜♪」zZZ
村人A「全く、もう寝てらァ...ま、いっか。」
夜空を見上げる、そこにはいつでも満天の星空が見える。
だが今日だけは、まるで自分の門出を祝ってくれているかのように、星が一層輝いている気がした。