『先頭を切るのはやはりこのウマ娘、セイウンスカイ!』
『セイウンスカイがものすごいスタート!やはり得意の逃げに打って出た!!』
『シンボリルドルフ、ナリタブライアンあたりは3、4番手あたりでこれを見ていく感じ』
『グラスワンダーやエイシンフラッシュはやや後方』
『スタートはそれぞれ得意な位置を選んでいるようです!』
『果たしてここからどういった展開となりますか!』
『先頭セイウンスカイは今日も気ままに一人旅!』
『そこから3バ身ほど開けてシンボリルドルフら先頭集団』
『それを見るようにグラスワンダー』
『7番、8番がつづき後方にエイシンフラッシュ、他のウマも様子をうかがう』
『最後尾は12番………』
『………!?』
『あれ!?』
『ハルウララは!?ハルウララはどこだ!?』
『ハルウララの姿がない!いつも位置する中団から後方に彼女の姿がない!』
『バ群に隠れたか!?』
『いや、ここだ!!』
『ここにいましたハルウララ!!なんと!!』
『先頭を走るセイウンスカイ、その裏に隠れるように桜色の髪が靡いているっ!!!』
『なんと先頭!!逃げに打って出ましたっ!!』
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「ウッソでしょ……」
芝を踏みしめ、腕を小気味よく振りながら走るセイウンスカイ。
まだスタミナも十分のはずの彼女が、頬に一筋の冷や汗を垂らす。
「まさか、逃げで来るなんて思ってないじゃん…!」
隣を走るハルウララ。
こんな光景が有マで待っているなんて、想像すらしていなかった。
よく走っている。
よく、走っている。
適性が無いと言われていた芝のコースで、少なくとも私と互角。
いい速度で走れている。
ああ、けれど。
これはきっと、一瞬の煌きなのだろう。
「先頭の景色はね、そんなに甘いもんじゃないんだよ、ウララ…!!」
恐らくはバ群に呑まれるのを嫌っての作戦なのだろう。
だが、あまりにも短絡が過ぎる。
まずスタート直後に迫りくる登り坂。
ここをスタミナのロスを少なく走り抜ける必要がある。
もちろん、後ろのウマ娘たちを突き放す速度でだ。
それには力の入れ具合、速度の出し方、坂の上り方、そしてスタミナの消耗のコントロール。
繊細な技術が要求される。
「逃げる技術、ちゃんと磨いて持って来てからやり直すんだねっ!!」
セイウンスカイが、さらに加速する。
僅かに前を走るハルウララを抜き去り、二人旅から一人旅へシフトせんと、ひた奔る。
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「ふん…ずいぶんと面白い展開になったじゃないか」
先行集団を行くナリタブライアンは、目の前で起こる光景にわずかに喜色を見せた。
恐らくはセイウンスカイの一人逃げ。
それに惑わされぬように、己のペースをキープして終盤まで先行集団に。
そして最後に末脚で直線でぶっちぎる。
いつも通りの、いつもの展開を繰り広げれば、いつものように勝つのだと。
だが今回、先頭を走るセイウンスカイに、追いすがるように走る小さな姿。
ハルウララだ。
余り関わりは無いが、ダートウマにしては中々よく頑張って走っている。
もちろん、最後まであのペースがもつことはないだろう。
悲しいが、それが適性というものだ。
しかし、あれでわずかでもセイウンスカイの気を削いでくれれば。
敵が一人減り、自分は自分の周囲と後方のみ注意すればよくなる。
「だが、悪くない展開だ。……それに……」
それに、ハルウララが並んで一位をキープしている限りは………
オーバーペースになることは、ないだろう。
彼女の脚が、セイウンスカイと並び、まさか超えることなんて、絶対にないはずなのだから。
そう、『絶対』に。
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「…どうやら同じ判断のようだな、ブライアン…」
ナリタブライアンの左後方、ぴったりとマークする様にシンボリルドルフが走る。
その走り、周りの気を引き、皇帝の権威を見せつける圧倒的なプレッシャー。
ブライアンもまた、その気配を後方に感じ、注意しながら走っていた。
「逃げるセイウンスカイを捕えるタイミング…それが重要になるな」
そう、最終コーナーを抜けた後のセイウンスカイを捕えるタイミング。
そこでどのウマが抜け出すよりも先に、自分が抜け出す。
ブライアンと共に抜け出すことになるとすれば、それまでに3人はぶち抜いてみせる。
先行集団を共に行く4番と5番のウマ娘。
そして、前からタレてくるだろう、タレてこざるを得ないであろう、ハルウララ。
その3人を抜いた瞬間にラストスパート。
皇帝の神威を見せつけ、セイウンスカイとナリタブライアンを抜き、先頭へ。
……そんな光景をシミュレートして。
そして、それを阻みかねない可能性も詮索する。
「…気を付ける相手、どちらかと言えば先行集団……いや、後方か…!」
今回の有マで最大の障壁となるのは後方。
先行集団を睨み、プレッシャーをかけてくる、グラスワンダー達だろう。
皇帝のプレッシャーが、今、後方集団に向けて放たれた。
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「くっ…これは会長の圧、ですね…!あの人と、ブライアンさん……二人を、要マーク、ですね」
中団から前方を窺うグラスワンダーは、先頭を行くセイウンスカイとハルウララを一瞥し……そして、シンボリルドルフらを見た。
勝負は非情。
今回のレースでは、一人逃げと思われていたセイウンスカイが二人になったことで、スタミナが多少は削られるはず。
「ならば、逃げに躊躇いを持たせるよりも……先行の方々を……」
不退転の心で、意志を持ち走る。
気迫で睨みつける。
逃がさない、躊躇わせる、絶対に。
シンボリルドルフのプレッシャーに対して、返礼のように睨みを利かせる。
恐らくは最終直線で競り合うであろう、ナリタブライアンとシンボリルドルフに、負けないように。
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誰も。
レースを走っている誰も、気づくことはなかった。
レース全体のペースが、上がっているということを。
脚を溜めていると思っているその実、脚が削られているということを。
セイウンスカイが、今、ハルウララに苦戦しているという事実を。
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『なんということだ!まるでセイウンスカイとハルウララのマッチレース!』
『後方との差は徐々に開いています!5バ身!6バ身!いや7バ身はあるか!?』
『とんでもないペースです!しかしこのハイペースになっていることを他のウマたちは気づいているのか!?』
『セイウンスカイは!?ハルウララはこのペースで2500mを持ちこたえられるのか!?』
『えらいことになりました!!とんでもないレースになってまいりましたぁっ!!』
『さあ先頭の二人は既に先頭コーナーをカーブし終えた!!』
『先頭を走るのは、依然────!!』
『───ハルウララ!!!』
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「……ウッソでしょ……」
二度目のつぶやきを、セイウンスカイが零す。
コーナーを曲がり、それでも先頭はハルウララ。
後塵を拝す形になってしまっていた。
冗談じゃあない。
現実であってほしくない。
しかし信じられない事実が、自分の前を走っている。
ウララは、逃げの走法は慣れていないと踏んだ。
そう踏んだうえで、突き抜けてやろうと無理に速度を上げた。
だが、
だが、彼女は。
「ばっちり逃げ足持ってるじゃんっ!!走れてるじゃんちょっとぉ!!」
『先頭のプライド』を持ち、加速する私について来た。
『勢い任せ』に、坂を一息で登り切った。
スタミナの消費も大してしていないだろう。
───完璧な、逃げの走り。
どこでそんな技を覚えてきたのか。
「っ………冗談じゃないよ、ホント!!」
ハルウララに1バ身遅れて、セイウンスカイが走る。
これは、予想よりも早く……『二の矢』をつがえる必要があるかもしれない。
見誤った。
侮った。
絶対はないって、さっき言ったばかりなのに。
「仕上げて、きたなぁ!!ウララ……!!」
それでも、負けないために。
勝つために。
更にスピードを乗せて、セイウンスカイがハルウララを追う。
レースはさらに加速し、誰も気づかない異常なオーバーペースを生み出そうとしていた。
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(3年目 夏合宿)
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「よーっし!!!!ターボについてこーい!!!!」
「おー!!うっららー!!」
ツインターボとハルウララが、夏の砂浜を水着でひた走る。
合宿のトレーニングパートナーとして、ツインターボを選んだのは、トレーナーだ。
お互いに子供だからか、ウマも合い……楽しそうにトレーニングをしていた。
「……っはー!!砂はやっぱり走りにくいぞ!ターボ、芝の上走りたーい!」
「えー?そーかなー?砂もたのしいよー?ウララは芝もダートもどっちもはしってみせるもんね!」
「なにー!?ぐぬぬ、負けてられるかー!!もう一本だウララー!!次はターボが勝つもんね!」
「ウララがかつもん!!もっとスピードと、パワーをつけるんだからー!うっららー!!」
…………そうして、何度も何度も共に練習する中で。
誰にも知られぬように、秘密の相談をハルウララはツインターボに持ちかけていた。
夜、キャンプファイヤーが一望できる土手の上で、並んで座る二人。
「…はぁ?逃げるコツを教えてほしい?ターボに?」
「うん!!ターボちゃんって、逃げながら走るの、すっごいとくいでしょ!!おしえてほしいんだー!」
「…ほっほーう!!わかってるじゃないかウララ!!ふっふっふ、ししょーと呼べば教えてやらなくもないぞ!!」
「わかったー!ターボししょー!!おしえてくださーい!!」
わいわいきゃあきゃあ、と二人の小さいウマ娘が騒いでいる。
その微笑ましい光景に和むウマ娘はいれども、会話の内容まで聞く者はいなかった。
「…それにしてもウララ、なんで逃げの話聞きたいんだ?ウララはあれだろ、えーっと、シャーシ…」
「差・し!うんうん、ウララはたしかに、差しで走るほうがとくいかなーって。わかってるんだー」
「そうそれだ!差し!…うん?だったら逃げなんてしないだろ???」
なずぇ??と首を90度横に捻り、ふわりと青色のツインテールを靡かせるツインターボ。
その問いに、ひみつだからね、とひそひそ声でウララが応える。
「…えっとね、ダートなら差しでもかてるよ。けどね、芝の長距離だと、どうしてもほかの子にうもれちゃうなって、思って」
「ふんふん。ふん?芝の長距離?」
「うん。…ウララね、有マ記念で、逃げようっておもってるの。ないしょだよ?」
「有マで、逃げ!?……おおお、おおおおおおおお!!!!すっごーーーい!!!」
ひそひそ話はどこに行ったのか、ツインターボが大声を上げて両手を天高くつきだした。
わーわー、ひみつだよー!!と諫めるウララに、そだったそだった、とテンションを戻してから。
「……いいなーそれ!!そっか、ウララは有マ走るんだな!!ターボもやりたい!!ターボも有マで大逃げで走る!!」
「ふふーん、いいでしょー!あれー?でもでも、今年の有マに、ターボししょーはでないよね?」
小さく首をかしげるウララに、ツインターボがぐぬぬ、と表情を歪ませて。
それでも、夢は掲げるものだから。
「……今年じゃなくてもいつか走るもん!それで、走るときには大逃げでぶっちぎりで勝ってやるもん!!!」
「あははー、いいね!!それじゃ、そのときはウララときょうそう、だね!!」
にっこりとその答えにウララが笑い、つられてターボも笑顔を見せる。
ギザギザの歯がワの字を描き、びしっと小さな胸を張って。
「おー!!そん時はターボ、負けないぞー!!……だから今年は、ウララは負けるんじゃないぞ!!絶対だぞ!!!」
「うんっ!!やくそく!!ウララ、ぜったいにまけないよー!!」
がんばるぞー!!えいえいおー!!
そんな二人の、微笑ましくも、信念の通じ合ったガンバロー三唱が、夜の砂浜に響いたのだった。
!『先頭プライド』のコツを覚えた!
!『勢い任せ』のコツを覚えた!
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『さあ快調に飛ばす二人がホームストレッチへと入ってきた!』
『最終コーナーに向けて長い直線をひたすら走る!』
『少しずつ後方との差が詰まってきているぞ!』
『かっ飛ばすハルウララにセイウンスカイが食らいつくか?どこまでも逃げるのかハルウララ!』
『さあハルウララ、苦しくなってきたか!この展開はどうでしょうか』
『…少し、かかっているかもしれませんね』
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「しめた……!」
ハルウララが汗をぬぐい、そして更なる加速を果たそうとする。
しかしそれは滅びの一手。
焦りと疲れが生んだ、必要以上の暴走。
その気配を、彼女の左後方を行くセイウンスカイは見逃さない。
……必然の「掛かり」だろう。
適性のない芝、長距離を、無理して速度を上げる自分以上に速く走っているのだ。
加えて大舞台、掛からないほうがおかしい。
この瞬間を待ち、そして、この瞬間にこそ、セイウンスカイが先頭に返り咲くチャンスである。
この一瞬を待ち続けて、そして、来た。
「悪いねウララ、ここまでだよっ!!」
意識してセイウンスカイが上がる。
自分も必要以上にスタミナを削ってしまっている。
ただ、これは同条件。このレースを走る他のあらゆるウマ娘も同じように疲れているはずだ。
いや、ハイペースに気づいている自分のほうがまだマシなはず。
この長い直線でウララちゃんを抜いて、先頭に立ち。
そこで息を整えて、最終コーナーへ。
そこから二の矢でゴールまでひたすら突っ走る!!
ハルウララとの距離が、じわじわと縮まってきた。
ハルウララは苦しそうに、息を吐いていた。
息を吐いて。
……息を吐いて。
───────息を吐いていた。
「………?」
おかしい。
ウララちゃんの呼吸が、おかしい。
普通の呼吸でも、深呼吸…マックイーンがよくやる、息の入れ方でもない。
まさか、体調でも…と、セイウンスカイが隣に並ぶウララに目をやった、
瞬間。
ハルウララの、走りが。
『一息』で。
『好転』した。
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(2年目 9月)
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「ウオッカー!これでいいかなー?いくよー?せーの、ひっひっふー!ほっほっひっふー!」
「いや。それじゃオグリパイセンの呼吸っすよウララ先輩……」
ハルウララと、トレーニングに付き合っていたウオッカが練習を終えた後。
ウオッカの独特の呼吸法について、ウララがコーチングを受けていた。
……もちろん、トレーナーの指示によるものだ。
「違うんスよ、もっとこう、まずは肺の中の空気を全部吐き出すっつーか…」
「えー!?くうき、ぜんぶだしちゃうのー!?いきができなくなっちゃうよー!!」
「違くて!…んーと、疲れてる空気をまずは一旦全部吐くんっス。そんで、新しい元気な空気を一気に取り込むんですよ」
お互いに、何度も何度も、呼吸を繰り返しては指導する、そんな時間が続く。
ハルウララは、一息で一気にスタミナを回復させる呼吸法、そのコツを、中々つかめずにいた。
「うーん……むずかしいよー!!でも、これができるウオッカはすごいねー!」
「へへ、そっすか?まぁ、俺がいずれ長距離を走るときに使ってやろうって思ってる秘密兵器ッスからね!」
褒められてへへ、と鼻を掻くウオッカに、しかしハルウララはぐむむー、と悩みを深める。
このままでは、上手くコツを覚えられないかもしれない。
……そんな時だ。
『…つまりは、これだろ?ウオッカの言う呼吸法ってのは』
トレーナーが、タブレットでとある映像を開いて、二人に見せに来る。
その映像は、全国空手道選手権。
瓦の試し割りのシーンであった。
「お…おお!!これこれ、コレっすよぉ!!すっげぇなウララ先輩のトレーナーさん、見ただけで分かるんすね!こっからヒントを得たんです!」
「えー!なにこれ、かわらわりー?ウララもいっぱいわれるよー?」
『ウマ娘なんだからそりゃ割れるだろ。……ともかく、これだ』
二人に見せたのは、試し割りをするシーンではなく、むしろその前。
精神集中で行う、空手の型の呼吸の動作。
『息吹』と呼ばれる、すべての息を吐きつくしてから……一息で、呼吸を整える技だ。
「……わー、すっごい!!かっこいいねー!!」
「でしょ?俺もこれテレビで見て、かっけぇし、レースで使えるじゃん!って思って、それで取り入れたんすよ!」
わかったー!!とハルウララが元気にガッツポーズをとる。
ウオッカも楽しそうに、それじゃもっと練習しましょう!!と付き添ってあげて。
そんな光景を、微笑ましいものを見るように、トレーナーが見守っていた。
!『好転一息』のコツをつかんだ!
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「よしっ………!!」
有マ記念、その観客席。
先頭を走るハルウララが、自分が教えた通りに…いや、それ以上に完璧に、好転一息を使いこなしたのを、ウオッカは観客席から見届けた。
……ハルウララが、有マ記念を走る、ということを知ったのは、翌年の春。
最初は耳を疑った。
かわいい先輩とはいえ、適性はダート。距離は短距離、よくてマイル。
中距離以上の距離は大の苦手としているはずだった。
………俺みたいに。
俺以上に。
「けど……!!」
今、彼女は有マ記念の先頭を走っている。
恵まれぬ適性も、脚質も、すべてねじ伏せて、有マの最初の景色を眺めている。
……誰にも言っていない夢が、ウオッカにはあった。
それは、苦手とする長距離で…有マで、勝つこと。
気持ちはあった。
想いもあった。
しかしどこかで、勝つのは厳しいだろ、バカな夢見てんじゃねーよ、と冷静さを装う自分もいた。
だけど。
そんなものは、今日で全部吹っ飛んだ。
いつかは、俺も。
そして、今は。
「……いけぇぇーーーー!!!!ウララ先輩っ、いっけええええーーーーーーーーー!!!!」
今俺にできることは、愛くるしい先輩の勝利を願い、叫ぶこと。
渾身で応援し、そしてその先の……彼女の魅せる景色を、見届けること。
最終コーナーに差し掛かるハルウララへ、大粒の涙をこぼしながら、檄を飛ばすウォッカの姿があった。
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「なっ─────!!」
もう間もなく追い抜くといったところで。
ハルウララが、一気に息を整えて、さらに加速する。
抜かせそうだ、と思っていたセイウンスカイにとって、これは余りにも衝撃的な光景だった。
…たった一息。
息を吐き切った後の、たった一息でスタミナが回復した!?
「………嘘、だ……!!」
じわじわとハルウララとの距離が離れていく。
最終コーナーはもう目の前で。
この瞬間、セイウンスカイは己の領域の発動条件を失った。
そして、掛かりの死神が次の獲物をセイウンスカイに見定めた。
同時に、動く。
最終局面に向けて、レースが動く。
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『あぁーーっと!?先頭のデッドヒートに動きが出たぞ!?』
『最終コーナー直前!!ここで!ここでなんと!!』
『セイウンスカイが失速!!!』
『そして後続に捕まっていく!先頭集団から中団が一気に上がってくる!!』
『セイウンスカイ劇場の終焉だ!そして!!』
『そしてそれは、同時に!!』
『
『残る14人が一斉にラストスパートに入ったーーーっ!!!』
突破時の獲得スキル
好転一息
直線巧者
逃げ直線◎
先頭プライド
勢い任せ