想いを螺旋に天を指せ! 作:アンチスパイナル
俺はただ穴を掘るのが昔から好きだった。
「シモンくんはなんでおやまにとんねるをほるの?」
「んーなんとなく、かな?」
「へー」
小学校に上がる前は、友達のなのはちゃんと一緒によく公園に繰り出しては砂場でお山を作ってトンネルを掘って遊んでいたっけ。
そんなある日の事。なのはちゃんのお父さんが大怪我を負ってしまい、彼女は病院に通い詰めるようになる。そんな事情なんて知らない俺はいつものように公園に繰り出す。当然なのはちゃんはいないので結果的に一人で掘る事になるんだが、その時間は不思議と酷くつまらないと感じていたのは今でもよく覚えてる。だけど、それだからだろう。砂場の山では無く、本物の山を掘りたくなったのは。
片手に大人が使うようなシャベル、頭に黄色でおでこの部分に安全第一と書かれたサイズの合っていないヘルメット。家が山だった事も相まってそんなおかしな格好であっても誰にも止められなかった俺は山を登り、大きな木が見える場所にてその斜面を掘り出す。謎の義務感に駆られ、掘り出した俺だけど当然その当時の背丈や筋力じゃろくに掘れるものじゃなかった。だけども、俺はそんな状態であっても何かがあると無邪気な考えで掘り続け……それを掘り当てた。
それは真っ赤な何かが包まれた布。広げてみるとそれは旗だったみたいで真ん中には炎とガイコツの合わさったエンブレムが施されていて、そのガイコツの付ける黒い三角の組み合わされたサングラスはその当時から見てもカッコいいものだった。
だけどもその旗はあまり重要じゃない、重要なのはその旗に包まれた物。
それは小さな物だ。
形は三角形。先にかけて螺旋状に彫りの刻まれたソレは世に言うドリルその物。だけども子供の手であっても片手で持てるようなそれは発掘道具としての機能を果たしていない。一見するとまるでキーホルダーのような物だったが、何故か俺はそれを見た瞬間、違うと確信できていた。コレはもっと凄い物だと。そう思った俺は先程の布越しとは違い直接でそれへと触れた瞬間、頭に電流が走った。
まるで螺旋階段のようにグルグルと降りてくるのは俺の知らない誰かの、いや彼ら記憶。
地下で生まれ、伝説と化していた地上を目指したバカな男とその子分。
その二人から始まった無謀な旅に、行き着くは悲しき別れ。
それでも子分がバカな男の意志を継いぎ、どんな障壁を前にしようと正面から突破して進み続た結果掴み取った自由の証。
最愛の者を攫われ、結果に宇宙全体すら巻き込んだ殴り込みをやってのけて世界もついでに救ってしまった烏合の衆。
その名もグレン団。
馬鹿だけどカッコいい、男らしい集団の記憶が。
俺はその記憶を読み取った瞬間、憧れた。俺もこんな風にビックな、男らしいカッコイイ人間になりたいと。
そして……今の俺が生まれたのだった。
「オウオウなのは!初対面から平手打ちたぁー 穏やかじゃねぇーじゃねぇか!」
※※※
私、高町なのはには不思議なお友達がいます。
「よっ!なのは」
「あ、カミナくん!」
お友達のお名前は
「今日もなんだか難しい顔してんな。ホラ、スマイルだ。スマーイル!」
「にゃ"!?
「お前が変な顔してるからだ、ほらスマーイル!」
「にゃ"ーーーー」
前はこんな風にな子ではありませんでした。前は公園で砂遊びをするのが大好きな内気な子でしたが、小学校へ入学してこの子と会うと性格が全くの別人になっていて物凄くビックリしたのをよく覚えてます。
「何やってんのよあんたは!!」
「ブラウブロッ!」
「あぁカミナくーん、大丈夫ぅ?」
「放っておきなさいすずか、こんなバカの事なんか。それよりなのは、大丈夫?」
「だ、大丈夫だよアリサちゃん。だけど後ろから蹴り飛ばすのはやり過ぎなんじゃないかな?」
「そーだよアリサちゃん、カミナくんだって一応人間だよ。優しく扱わないと壊れちゃうよ」
「……すずか、毎度思うけど無意識でコイツを物扱いするな辞めなさいよ。流石の私でも引くわよ」
「にゃ、にゃはは…」
「?」
「……流れ落ちる水の如き強烈な回し蹴り、俺じゃなきゃ泣いてるね」
無茶苦茶でアリサちゃんに蹴り飛ばされてもおふざけを辞めないおかしな子ですけど、私の大切なお友達です。
「オウオウオウ! 出会い頭に蹴りを叩き込むたぁーいい度胸じゃねぇかバニングスッ!」
「アンタこそ、なのはに変な事するのを辞めなさいこのバカッ!」
「二人とも辞めなよー どうせアリサちゃんが勝つのは目に見えてるんだから無駄な争いはやめようよー」
「す、すずかちゃんの中ではカミナくんが負ける事が決まってるんだね……にゃははは」
でも、アリサちゃんと会う度に喧嘩をするのは辞めて欲しいかな、なーんて……無理ですよね、にゃははは。
※※※
千里の道も一歩からと言うが俺の場合、千里の道もドリルでぶち破れば問題ないと思う、うん。宿題にもそう書いておこう。
なのは達と一緒に下校中していた道中フェレットなるイタチをレスキューした後、帰宅した俺はパパッと学校から課せられた宿題をやっていた。
そんで、首に下げたコアドリルを回して遊びながら宿題を終わらさると時間は既に9時を回っていて。お袋から早く寝ろとラブコール。
お布団を履き、寝転がって瞼を閉じて眠りを待つけど何故か俺の目はギンギラギンに冴えていた。アレかな? 冷蔵庫にあった魔剤をジュースと間違って飲んだのが原因かな? なぁーんて考えてたら突然、頭の中で何かが響き渡る。
【ーーーー、ーーーー!!!】
内容はノイズが酷くて聞き取れなかったが、酷く焦っている様子なのは直ぐに分かった。だけど突然の念話たぁー 穏やかなじゃないな。
布団から飛び起きるとお気に入りのジャケット身につけ、レッツらGO。窓を開け放ち、俺はこの暗闇の夜空の下を駆け抜けるぜ!
「なんの成果も得られませんでしたぁぁぁ!」
2時間ほど駆け抜けた結果、念話の正体は掴めなかったぜ。
ちなみに次の日の学校には遅刻した。いやーやっぱりアレだな、睡眠って大事だな!