転生した
新暦56年(西暦1996年)6/9日
気がつくと、なんにも感じられない空間らしきものの中にいた
──怖い。自分という存在が定義できない。
なにか、自分がここから抜け出せる方法はないのか……そうだ、よく思い出せないが、確か自分は神様転生をしたはずだ。
ということは恐らく、転生方法
・5歳くらいで前世の記憶を思い出す
・赤ちゃんプレイを強要される
・まさかの受精卵
のうち、最後を体験しているのだろう。驚きである。よし、少し冷静になってきたし希望が見えてきたぞ。
神様は「この世界は通常の世界よりも鬱な世界」と言っていた気がする(というか他には何も思い出せない)し、特典も貰った覚えがあるのだが、思い出せない。
今どきの神様転生ではこんなことはないと思うのだが、もしや神様は高次元の存在でちゃんと認識できない云々だろうか。
つまり、これが鬱世界ということなのだろう。
こんな感じで辛いことばかり起こってしまうのならば、夜襲対策に前世の憧れのマルチタスクの練習をしようと思う。何かすごいマルチタスクの人だかアニメだかを見て、前世では憧れて練習していた気がするのだ。検索したらアニメの中の技術なんて現実のマルチタスクと違っていてすごい悲しんだ覚えがあるが。にしても何のアニメだったかが思い出せない……まぁ前世の名前が思い出せないよりましか。
何より、何かに集中していないとこの空間では発狂してしまいそうである。
しかし、マルチタスク以前に同時にやることそのものがない。悲しい。
なので、ナーロッパとかでよくあるなんでも答えてくるスキルさんを目指して、ただひたすらに自分で何か喋ったあと、スキルさんになりきって返答をするということを繰り返した。
(おうどん食べたい)
(品切れです)
(1+1は)
(田んぼの田です)
そしていつの間にか、目は見えないのだがある程度体の感覚を感じるようになっていた。
これに気づいた自分は、ひたすらにフラグを建てながら待っていたのだが……唐突にとても強い痛みが襲ってきたのである。
──そして、一瞬の気絶とともにこの世に生まれ落ちた。
「
(それは、あなたの思考が魂主体から脳主体に切り替わったからでしょう)
何故かとてつもない違和感とともに生まれたのだが、返答が返ってきた。理解もできないし眠いしよくわからないしで自分はそのまま意識を落とし……目が覚めた時には、違和感が無くなっていた。
目が覚めた。
周りの音は騒がしいことは分かるのだが、なんといっているのかわからない。兎にも角にも状況把握が大事だということで、謎のスキルさんにどんどん質問して言ったのだが、まとめると、
・生まれる時の負荷でスキルさんが補助人格として分離した。
・生まれた時に主人格(自分)が脳主体の思考に堕とされた。ので、頑張ってサルベージした。違和感はこれが原因だったと思われるとのこと。
・あと、サルベージの間1週間寝込んだ。
──最後のやつが重要過ぎてやばい。だからこんなにうるさいのか……。と言いたいのだが、言っている言葉が分からないのである。
これをスキルさん(面倒なのでもうskillからエルと呼ぼう)に聞いたところ、今気づいたとでも言うかのように反応し、なんと音が聞こえるようになった。目も徐々に見えるようになってきた。
どういうことなのかと問い詰めると、魂主体で生きる自分たちは細胞を直接制御するような感じらしい。ネイティブなエルさんはともかく、自分では厳しかったらしくOSを弄ったとのこと。
ただ、体は無茶があるらしく、前世と同じような感覚を取り戻すことはまだ不可能だった。強く記憶が残っていた痛覚は既に完璧との事。
あとは自分の違和感に合わせて徐々に調整していくらしい。
せっかくの1話なのに内容が薄かったのは許してください1回データトんだんです