新暦57年 3/21日
恐らく一週間ほど寝ていた自分が起きたことで騒ぎになっているのだろうと思われるのだが、とりあえず耳を澄ませてみることにする。というか、耳を澄ませないとほとんど理解できないのは違和感がすごいとしか言いようがない。
「すみません、聞こえますかー?」
「うーあー」
「聞こえているみたいですね。意味はないと思いますが、一応伝えておきます。両親が事故で死亡しました。なのであなたはどこかに養子に入る事になります。その人のことを親だと思ってくださいね」
「」
…………!?
りょ、両親が死ぬの早すぎやしないか? しかも丁度自分が目を覚ました時にだなんて。これは鬱世界というか何というか……本格的に呪われているのではとしか言いようがないな。もはや次の親も直ぐ死んでしまうのでは?
「この前はやてっていう人が両親を亡くしていましたが、財産管理をおじさんがやる以外はヘルパーさんに軽く手伝ってもらっていたくらいですし、大丈夫でしょう。家まで連れて行くので、遺産とかで頑張って生活してくださいね」
? ??
あ、頭おかしいんじゃねーのこの人!? ついていけん!
(この鬱世界では意外とよくあることだったりするんでしょう。はやてっていう人も似たような境遇のようですし。とにかく生活を安定させましょう)
お、おおおう。とりあえずもう抱っこして歩き始めたこの人にされるがままにするか……。
家についた後、鍵渡されて家の中のソファに放置されたのはもういいんだが、これ鍵閉めれなくね?
(ここに来るまでにベビー用品がありました。恐らく踏み台もあるでしょう)
そっか、それがあったか。とにかく急いで鍵を閉めなければ。
ガチャ
これでやっと落ち着ける……この世界ほんとどうにかしてるな。もう常識にとらわれてはいけないのですって感じだ。
とりあえず常識は全部捨てることにして、体に爪を立てよう。うむ、痛い。やっぱり正常な感覚がどこかにあるだけで安心できるな。安心したところで衣食住をそろえよう。赤ちゃん用品は……というか、細胞ごとに制御できるなら、一気にある程度まで成長できるのでは。
(栄養不足です。中身すっかすっかにしてもそもそも体が育ってないので無理です)
悲しい。今の目標はご飯食べるだな。とりま、家の中に残ってたPC(パスワードは冷蔵庫に貼ってあった)使って通販で買おう。あとは、冷蔵庫の中身片っ端から食べてしまおう。常識を捨てた自分にはわかる。栄養のため込みくらいはできると。
よし、冷蔵庫も空にしたことだし(味なしだったり触感がおかしかったりはつらかったが)、とにかく体を最低でも生後数か月並みにしないと首が座らん。エル頼んだ。
(了解です)
よしっ!これで歩ける。ってかはやてって子どうしてるんだろ。やっぱ車イs……どっから出てきた車イス。腕をつねってと、うん、ちゃんと痛い。自分は大丈夫だ。
最後は金だな。やっぱ不労所得のあこがれ株っしょ。ていうか(たぶん)子供は働けんし。とりあえず株関係の本も注文して、あとはひたすらにネットを漁って勉強しよう。
数日たったのだが、やっと食べ物とかが届いた。これは次回分はもっと多くしなければ。と、それよりも株の本だ。眠りもせずに勉強し続けた成果はすごいぞ。本に勝てるかな?
負けました。やはり本には勝てなかったよ。とりあえずエルさんの演算補助も利用してお金を増やそう。というかエルさんこの数日間何もしゃべらなかったけど、なぜなに?
(魂の中のデータベースのおかしなところを探っていました)
データベース……突っ込みたいけど無視しよう。おかしなところって?
(ノイズまじりの記録です。恐らくこれは神と相対したときの物かと。それっぽいデータもでてるので)
(問題はもう一つです。隔離されているうえに暗号化されているのです。神との記録を漁った結果、封印されている原作知識と思われます。これがあるだけでぐんとできることは広がります。なのでずっと解析をしていました)
お、おう。ていうか基本的に原作知識っていうのは封印されているものなのか。
(とりあえず神との対話のデータから取れた情報をお教えします)
(原作は魔法少女リリカルなのはで、この世界は鬱展開を引き起こすとでも言うべき運命「厄」があるそうで、このままだと原作主人公達があまりにひどい目にあうので、転生者を5人ほど用意し、その運命を分け与えたそうです)
(マスターの特典は「全体的な高スペック」、故に厄を多めに振り分けられたのだと思います)
(厄が尽きれば普通の人と同じなので頑張ってくれとのことです)
う、うーん。とりあえず自分はしばらくとても運が悪いとでも思っておけばいいわけだな。まぁまずは生活環境を整えてしまうか。
なんか画風変わってる気がする