<園子side>
「どうしたの三人とも?早くしないとアイス溶けちゃうよ」
スッズーがそう言う。あれから私達四人は金槌を落とした男性にお詫びとしてアイスを買って貰った。スッズーは美味しそうに食べていっているけど私達はとてもそんな気分にはなれなかった。もしかしたら友達が重症……当たり所が悪ければ死んでいたかもしれないのだ。それなのに被害にあったスッズーは「アイスを買ってもらえるなんてラッキー」と呑気に言っている。それが不思議で不気味で仕方なかった。多分、わっしーやミノさんも同じ気持ちだろう。
「……ねぇ、有坂く……」
わっしーが何かを言おうとしたとき、空間が制止する。
「これって……樹海化!?」
「もう!折角の休日が台無し!」
そうして瞬く間に世界は樹海へと姿を変えていった。
<side out>
涼翔達が勇者へと変身したときバーテックスは現れる。
「何……あのフォルムは、天秤?」
「飛んでいるだと?」
20メートルもの巨体で空中に浮かんでいるバーテックス……天秤座の名前を冠した【ライブラ・バーテックス】である。
「全く、どんなウイルスの中にいればあんなのが育つのかね?」
銀が二丁斧を構えて攻撃の体勢をとる。
「全く同感だわ」
そう言って涼翔も武術の構えをとる。
「銀、有坂くん。訓練通りにいくわよ」
「そうだった忘れてた」
「そうだね、鷲尾さんよろしく」
この二人、ある意味単純であり危なっかしい。
「そもそも、何処が顔なんだろう?」
園子は園子で敵のフォルムの観察をしている。
「向こう側へ戻りなさい!」
そう言って須美は矢を放つ。
(これで引き返してくれたらいいのだけど)
敵目掛けて放たれた矢であったが、敵の分銅のような部分に磁石のように吸い込まれてしまった。しかもその分銅ような部分は無傷であった。
「なっ!?……もう一度!」
もう一度矢を放つが結果はさっきと同じで吸い寄せられてしまう。
(そ、そんな……)
須美の矢は今回の敵に通用しないのである。それに対して須美はショックをうける。そんなことはお構い無しに敵は前進し続けている。
「ミノさん、スッズー、あの敵、体と体が繋がっている部分が細くて脆いかも!」
「接続部を狙ってね攻撃、了解!」
「なるほど接続部……」
そうして三人は攻撃を仕掛けようとする。するとバーテックスは、分銅を振り回すように大回転を始めた。その竜巻のような防御壁に三人は弾き飛ばされる。
「くっ、こいつ、近づけない……!」
さらに敵はその遠心力を利用して分銅部分に刺さっている須美の矢を須美方に射出していた。
「矢をそんな風に返すなんて!」
「環境利用闘法だと!?」
須美は素早く体をひねり、その矢をかわす。かわした矢はそのまま飛んでいき樹海を傷つけた。
「樹海が……!私の矢で……!」
樹海でのダメージは現実世界にも影響する。そのため長引かせるほど現実世界への被害も大きくなってしまう。
「こうなったら!」
すると涼翔は突然回転し始める。するとバーテックスのように緑色の竜巻が発生する。そうして竜巻どうしが衝突を始める。
「おぉ……ベイ○レード?」
竜巻同士の衝突により敵の進行は止まる。……しかし
「……無理……吐きそう」
涼翔の三半規管が持たず、そのまま弾き飛ばされた。
「有坂くん!」
「スズカ!」
「スッズー!」
急いで涼翔の救出に向かう須美と銀と園子。涼翔は三半規管の酔いによってぐったりしている。このままではバーテックスが
四国へ上陸してしまう。そんな時に園子が口を開く。
「ぴっかーんと閃いた。わっしー、ミノさん、スッズー、台風に目ってあるよね。この回転も周囲に強くても、頭上がお留守かもしれない!」
「なるほど頭上……どうやって行くの?」
「……スッズーって飛べないかな?」
「乃木さん……人は飛べません!」
「やってる場合か!!」
「そうよ!それに竜巻に飛び込んでいくようなものだから相当危ないわけで……」
「やってみせろよ、銀ティー!」
「何とでもなる筈だ!!」
「新型のバーテックスだと!?」
「ちょっと!三人とも!?」
須美が心配するなか○フティー構文をする三人。須美は本気で三人を心配する。
「大丈夫だよ。須美援護よろしく……いくぞスズカ!」
「了解!」
「銀、有坂くん、ちょっと待って……!」
須美の返答も聞かずに大きく跳躍する二人。
「「はぁぁぁあああああ!!!!!」」
二人して声を上げて竜巻の中に身を投じていく。
「ぎ、銀……あ、有坂くん……」
大きな音がして敵の動きが止まる。敵の頭上には斧が突き刺さっていた。風の刃で切り裂かれていた二人の体は血だらけだった。その様子に須美は戦いであることを忘れてしまっていた。
「今だ!!!」
園子が敵の中へ踏み込み突撃をする。その様子で我を取り戻した須美も敵への攻撃を始める。
「フフフ、止まっているのならば外すわけがない。喰らえ、友奈直伝勇者パンチー!」
涼翔は友奈から教えて貰ったパンチで敵を粉砕していく。友奈いわく、勇気がでるパンチだとかなんとか。こうして勇者達が攻撃を続ける。やがてバーテックスは進行をやめて、追い返されるように撤退していった。
<涼翔side>
戦いが終わった後、俺達四人はぐったりと横たわっていた。先程の攻撃により体力を使い果たしたのである。
「銀、有坂くん……傷は大丈夫?」
「何度目の質問だよ、大丈夫だって」
「そうそう、別に大したことないよ」
「そう……ごめんなさい。矢が通じなくて、結果、二人に突っ込ませてしまって」
「そんなの相性もあるし、気にするなって。それにアタシやスズカは武器的に突っ込むのが仕事だから」
「私、武器ないんだけどね」
「お口チャックだよ、スッズー」
「突っ込むのが仕事……か。もしかしたら、私達って、あまり仲良くならない方がいいのかな……」
鷲尾さんが突然そんなことを言う。
「え、ど、どうしたのわっしー」
「な、なんだよいきなり……」
「!?」
その発言に驚きを隠せない俺達三人
「だって……銀と有坂くんが竜巻の中に飛び込んでいったとき、心配で……心配で……動きが鈍くなっちゃたら……」
気がつけば鷲尾さんは涙を流していた。彼女は真面目で優しい。だからこそ、俺達のことを本当に心配していたのだろう。
「須美……」
「鷲尾さん……」
「あっ、あぁぁ、わっしー、な、泣かないで」
乃木さんが慰めようとするが鷲尾さんの涙は止まらない。今回の戦いで須美は色々とショックなことが多かったのだろう。真面目な彼女だからこそ抱え込んでしまうのだろう。
「私の矢がちゃんと通じていれば……うぅ」
乃木さんが鷲尾さんの手を握る。
「……須美」
「お前、どれだけアタシ達の事を信用してないんだよ、勇者システムも接近専用のタフなやつに仕上がってるんだから大丈夫だって、なぁスズカ」
「うん、心配だろうけどさ私達は全然大丈夫だから」
よしよしと銀が須美を撫でて、俺は鷲尾さんに微笑みかける。
「……まぁでも、時々練習に遅れてりゃ、そりゃ本番でも不安がられるか」
「時々どころ話じゃないけどね」
「スッズーが言える話でもないよ」
「……コホン、分かったよ須美。アタシ、家をでる時間をもっと早くするよ。それならトラブルにあっても間に合うだろうしさ」
「……銀」
「だからさ、もっと仲良くなろうよ。須美、アタシは敵の攻撃より、さっきの須美の言葉の方が傷ついたよ」
「うんうん、私もだよわっしー」
「銀……そのっち……」
「鷲尾さん……鷲尾さんは私のことが嫌い?」
「そんなことはないわ!」
「だったらさ、信用してほしいな。頼りないし迷惑ばっかかけるかもしれないけどさ、私達
「有坂くん……ごめん、ごめんね……」
銀は鷲尾さんが泣き止むまで強く抱き締めたのであった。
やがて鷲尾さんが泣き止んだ。
「……ありがとう、銀」
「気にするなって、さっきスズカが言ってたように友達だろ」
「!……うん!」
鷲尾さんの表情は晴れている。もう、心配しなくていいかな。
「それよりも、スッズー」
「ん、どうしたの乃木さん?」
「その
「それは私も思ったわ、」
どうやら乃木さんと鷲尾さんは自分の呼び方があまり気に入らないようだ。
「ん……それじゃあ『そのちゃん』と『須美ちゃん』でどうかな?」
「おぉ、いいね『そのちゃん』」
「うん、私もそれで構わないわ」
「だったら須美もスズカのことを別の言い方で呼ぶべきだよな」
「……それもそうね……『スズカくん』……これでいいかしら?」
「うん、いいよ。改めてよろしくね、須美ちゃん、そのちゃん、銀」
「「「うん(おう)」」」
こうし俺達の絆は深まったのであった。
「あ!!しまった!」
「どうしたの、スッズー?」
「あ、アイスが……」
「アイスかよ!!」
「ヘルメットも……」
「はぁ……ヘルメットはともかくアイスはもう無理でしょうね」
「そんなぁ……」
「というかアタシも腹減った……よし!スズカのヘルメットを取りに行ってから飯を食いに行こうぜ」
「何処に?」
「もちろん、イネスさ!」
「ふぁ~疲れた、スッズーおんぶして行って」
「こら、そのっち!」
「しょうがないなぁ」
そうして俺はそのちゃんをおんぶする。
「スズカくんも!」
「よし、早く行こうぜ!」
そうして銀が走っていく。
「スッズー全速力で」
「了解、では激しい揺れにご注意ください」
そうして俺もそのちゃんをおんぶしながら走る。
「速い!?……ってコラ、待ちなさい!」
そうして俺達のお役目はまだまだ続く。敵はまさしく星の数ほどいるのだから
はい、今回も最後まで見ていただいてありがとうございます。まさかのストーリーの進行度合いでいえば後から始めたこっちが前から投稿しているのより進んでいるという不思議。嘘、私の進行具合遅すぎっ!!というわけで以上です。また、次回お会いしましょう。