幻想楽園郷   作:凜の華

2 / 3
第一章 異形狩人 〜地霊殿〜

博麗 紫「──あの二人は無事異変と化した幻想郷へ向かったようね。思った以上に状況を受け入れた事は良好……と言って良いのかしら。」

 

紫は堂とフラ公を見送った後、居間へ戻りお茶を啜りながら零(こぼ)すのように不安を述べていた。当然の事ではある、獣の妖怪に食われる筈のないと思っていた協力者の小珠の死を未だに気にしていたからだ。そして何より……

 

紫「…あの子達を送った先は──」

 

第一章:出会い

 

堂「ぎゃぁぁあぁぁああ!!」

 

両手の拳を力いっぱい握り、体力の尽きぬ限り走り続ける…何故なら真後ろには牙を生やし大きな口を広げて此方へ突進してくる獣型の妖怪が迫っていたからだ。

 

堂「さ、最悪だ……来て早々フラ公の姿はねぇし、"妖怪"の野郎はウチの幻想郷から着いて来るし…!紫あの野郎……帰ったら絶てぇ泣かす…!!」

 

元気がある内に愚痴を出せるだけ出した…幻想郷についていきなり悪夢の様な出来事に苛まれたからというのもあり、凄く腹立たしかったからだろう。次第に走りすぎた疲労のためか足に力が入らず、茂みの木で躓いては転倒した。

 

妖怪「ギェァァアアァアア!!」

 

堂「っ……!やべ……動けねぇ……!」

 

何とか動こうとしても体が言う事を聞かない……。"小珠……救って貰った命なのにすまねぇ…!"…そう心で呟き、ぎゅっと目を瞑った時だった。

 

『 ザンッ……ッ!!』

 

妖怪「グギャッ……」

 

すぐ目の前で奇声を上げてた妖怪の声が一変する……恐る恐る目を開けると、直ぐに目を大きく見開いた。

勝ち目の無い…そう思ってた自分の背丈よりも大きな妖怪の身体はパックリ切り裂かれた傷跡と共に絶命していた。そして目の前には腰に大きな剣を担いだ長い桃色の髪を靡かせる少女の姿が…

 

少女「……怪我はないかー?と言うより何でそんな軽装で狩りしてるの?地雷?」

 

出会い座間にめちゃめちゃ言ってきやがる…振り返っては此方へ手を差し伸べる少女……服装はやたらとゴツイ防具を身にまとって居たが、俺はこの子を知っていた。

 

堂「お前……秦こころか…?」

 

こころ「は……?何で名前知ってるんだ?え…もしかしてストーカー……?」

 

表情こそは変わってないがあからさまに引いた様な態度で後退りするこころに俺は「違ぇよ!」とツッコミを入れる……まぁ知らない男からいきなり自分の名前を呼ばれれば不快な思いをするのも当然だ、軽く謝罪して俺はこころの案内で安全な所まで移動するのであった。

 

こころ「着いたぞ。」

 

こころが指を指すその先には元々間欠泉のあった場所だろう、あちこちから湯気の沸く温泉地帯な街並みが拡がっていた。中々栄えた所の様で、店を開いてる人は生き生きとしており、行き交う人は賑わっている…ウチの幻想郷とは大違いだ。

 

堂「すげぇ街並みだな……幻想郷とは思えねぇ…」

 

??「うんめー!!この砂糖饅頭もっと寄越せ!」

 

うん…?聞き覚えのある声がどこからとも無く聞こえてくる。食事処だろうか、声の先には人混みが出来ており、正直ソイツがろくな事をして居ない事は予想が着いたが、とりあえずその声の方へ足を運んでみた。

 

フラ公「どれもボリュームが違うじぇ!」

 

店員「あの……こんなに召し上がってくれるのは嬉しいのですがお代は大丈夫ですか…?」

 

フラ公「んぁ?あー…平気平気!私の連れが全額負担するから心配するな!」

 

堂「馬鹿かお前は!?」

 

食事処で偉そうに座りながらテーブルには山済みの皿……この光景と上記の発言を聞くや思わず人混みをかき分けてはフラ公の元まで走り、ゲンコツを落とした…

 

フラ公「いって…何するんじゃワレェ!」

 

堂「"何してるの?"はこっちのセリフだテメェ!はぐれたと思ったら何してるの!?え、本当に何てことしてくれてんのお前!」

 

せっかく軽い観光気分だったのに一気に焦る…それもその筈だ、贅沢な飯を食べたり宿を取る金なんて持ってるはずもなければそもそもこの世界に来たばっかで何の宛もない……俺とのやり取りに店員は不信そうに見てきやがる…オワタって奴か…

 

こころ「コレで足りる?」

 

絶体絶命の最中、硬貨の大量に入った袋を店員へ差し出し俺たちを救ったのはこころだった。

 

店員「あ、ありがとうございます……?」

 

大量の金銭を出された店員はポカン…としながらそれを受け取る。

 

堂「おいおい……良いのか?街まで案内して貰ったのにその上金なんて出して…」

 

こころ「大丈夫だ、お前達を助けたのはその分働いてもらいたかったからな。」

 

堂「うん、そうなる気はしてた。」

 

こころの言葉を聞いた俺は物凄いテンションが下がった声で上記を述べた。

 

フラ公「は!?なんで私がお前なんかの為に働かなきゃ行けないんだじぇ!」

 

堂「元あと言えばお前のせいだからな?」

 

冷静にツッコミを入れる俺に何も言えず頬を膨らませるフラ公、そりゃそうだ。

 

フラ公「しゃーない、手伝ってやんよ。」

 

堂「それで……何すればいいんだ?」

 

こころ「むっふっふ……よくぞ聞いてくれたな同士よ!」

 

誰が同士だ…協力するとわかった途端調子良さげにこころは言葉を続けた。

 

こころ「今からお前達には私が受けるクエストに参加してもらう!借金もその報酬金でチャラだ。」

 

かなりザックりとはしているが分かりやすい、俺は頷いてこころと共にクエストの貼り付けてあるというボードへ向かうのであった。

 

堂「……此処でクエスト申請するのか……」

 

着いたその場所は人盛りが出来ており、我よ我よとボードへクエストの張り紙を貼り付けていた…。

 

受付のお姉さん「はぁい♪こんにちは!まぁこころさん!いつも来て下さってありがとうございます…♪」

 

どうやら常連らしい、顔を見るなり微笑みかけては気軽に話しかけてくる受付けのお姉さんへこころは慣れた様子でクエスト書を要求していた。

 

こころ「今日は何狩ろっかなぁ…」

 

ウキウキとしたテンションでクエスト書に目を通す…俺も気になってソレを横から見てみると、違和感に気付く。

 

堂「……あれ、受けたランクのバランスが悪くないか…?」

 

クエスト書は1ランク事にページが変わって居るが、こころのそれは同じランクの物を数体狩った記録も有れば、2、3体だけの物もあった。本当に違和感でしかない。

 

こころ「あー…この中に記載されてる妖怪の中に次のランクに上がれる条件持ちが居るんだよ。やっぱり強い奴を狩りたいからね、ランクが上がれば次のに構わず移ってるんだ。」

 

堂「なるほど…」

 

合点が行った…そしてこのクエストのシステムも何となく理解した、色々と違和感だらけではあったが、どうやら当たりの妖怪を狩猟すると自動的にランクが上がるらしい。

 

フラ公「すっげ!このクエスト報酬に高級食事券付いてくるってよ!」

 

堂「お前はまだ懲りてないのかよ…」

 

呆れて物を言えない……然しギスギスしそうだった空気を察したのか、気を利かせるように俺とフラ公が話してる最中、こころはクエストを発注していた。

 

フラ公「お、気が利くじゃにェか!こころは分かってんな!」

 

堂「まずは"ありがとう"だろ?」

 

陽気にケラケラと笑うフラ公へ軽くチョップを入れながらツッコミを入れる…と言うよりは躾(しつけ)みたいな物だろうか?コイツ…本当にどんな教育を受けて来たんだ…?

 

こころ「気にしないでー。どうせこのクエストも受けようとしてたんだー…お代の分は働いてもらわないとなー…」

 

真顔で特に感情を感じられない様な抜けてる感じの話し方で上記を言うこころは俺達にクエスト発注書を手渡して来る。

そこに記載されていたクエストには、蜘蛛型異形妖怪の討伐。と記載されていた……初っ端から嫌な予感がするが、飯代の恩は返さないとな…

クエスト報酬にルンルンなフラ公の隣をとボトボト歩きながら俺達3人は受付場を後にする。

 

第一章:出会い END

 

第一章:乱入

 

温泉地帯の街の近くにある大穴から入った洞窟が目的地の様で、俺達は松明を片手に辺りを見渡しながら先へ進んで行く…。

 

堂「随分と湿っぽい洞窟だな…」

 

フラ公「くっせ…!誰か屁ぇこいたろ!?ゆるさにぇ!」

 

堂「いや、知らんし!ってかこんな響き渡る所で大声出したら妖怪に気づかれるだろ!?少し静かにしろ!」

 

フラ公「ならこの匂いどうにかしろよ!鼻がひん曲がりそうなんだじぇ!」

 

クエストに出てそうそう俺とフラ公は喧嘩になる…何となくこいつのテンションには慣れたものの、緊張感の居る場での狩りに慣れてる俺としては大声を出されると集中できなかったからか、ついムキになってしまっていた。

そんな俺達を諭(さと)すかの様にこころが口を開く。

 

こころ「これは硫黄だよ。丁度この先はさっきの街の真下に続いてるからね、温泉地帯なだけあって硫黄の匂いもあちらこちらから漏れてるんだよ。」

 

堂&フラ公「なーるほどぉ……」

 

こころの説明につい納得させられてしまった俺とフラ公は目からウロコでも出すかのように上記を呟きながら頷く。

 

こころ「……この先がヤツが巣を張ってる根宿だから、気張って行こー」

 

随分と気合いの抜けそうな音頭を取るが、俺もフラ公も何処と無く意識的に軽い探究心やゲーム感覚だった為に「おー!」っと返しながら足を進める…そしてそんな甘い感覚は直ぐに打ち砕かれるのだった。

 

足を進めて行く内に違和感に気付く。

 

堂「ん………なんか…足取り重くなってきてないか?」

 

フラ公「なんだぁ?もーへばっちまったのか?情けにぇ奴だじ……うぎゃっ!」

 

ケラケラと歩きづらそうな俺を嘲笑うフラ公が何かにつまづいて転けたその時、俺達は異常に気付く…。

 

こころ「……どうやら我々は、嵌められたらしい…。」

 

堂「……何だよこれ…蜘蛛の巣があちこちに……これは…罠…!?」

 

フラ公「んぎゃーーー!ふっざけんな!アイドルの私を縛り付けるとか趣味が悪すぎだじぇ!」

 

身体中に蜘蛛の糸が絡まったフラ公はキレながらもミノムシの様にうねうねと体を動かしている…正直笑いそうでもあったがそんな状況では無かった…何故なら、俺達の足元には大きな蜘蛛の巣が張り巡らされており、それに絡みついた足はまるで沼に突っ込んだかのように重くなっていたからだ。

 

堂「くっそ…考えて見りゃ、通常の蜘蛛は獲物を捕食する時に蜘蛛の巣を張り巡らされる習性があったな…罠に嵌るなんて情けねぇ!」

 

足を動かせばドンドン蜘蛛の巣は絡み付き、自由を奪われる。

 

こころ「待ってて、私が今ナイフで切るか……ら……っ!」

 

冷静に小型のナイフを取りだしたこころが足元の巣を切ろうとしたその時、口を開けて俺の方を見詰めている…嫌な予感しかない…だってすっごく後ろから視線感じるし……。

恐る恐る俺は背後を振り返ったのだった…。

 

蜘蛛型妖怪「シャァアァァアァァ!!」

 

フラ公「で……」

 

堂「出たーーーー!!」

 

俺とフラ公は顔を青ざめながら大声で奇声混じりに上記を叫ぶと、蜘蛛型の妖怪は俺達を仕留めようとせんばかりに牙を此方へ向ける…その先には毒々しい液体が垂れており、絶対これ打ち込まれて終わるやつだと察した俺は無謀と知って尚巣を払おうともがき動いた…。

 

こころ「伏せて!!」

 

堂「っ!!」

 

咄嗟に伏せたその時、巨大な"何か"が俺の頭上を通り過ぎて妖怪の頭部を掠る……。

ふと振り返れば、こころの手には大きな剣が振り抜かれており、直ぐにその剣を振り下ろした矢先、俺達にまとわりついてた蜘蛛の巣は糸くずの様に千切れて行った。

 

堂「た、助かったぜ!」

 

フラ公「ぷはぁ!やっと解放されたじぇ!」

 

こころ「油断してる暇ないよ、第二撃目に備えろ!」

 

こころが俺達へ指示を出した途端、妖怪は再び俺達へ蜘蛛糸を飛ばして来る。

妖怪の攻撃を散々避けて来た甲斐あって飛び上がる様にしてその攻撃を避ける…こころも大剣を盾のように添えてその攻撃を防御する…手練だな…そしてフラ公の方へ目をやれば……また、蜘蛛糸に絡まってのたうち回っていた…マジで大丈夫かよコイツ…。

 

こころ「堂はそのままあの妖怪を引き付けて!私がその隙にダメージを与えるから!」

 

相手からの攻撃の最中にも関わらず、的確な支持を受け俺は「任せろ!」と返す…足で払い飛ばそうとする打撃、蜘蛛糸による放射、八本の脚を活用した高速突進…辛うじてだが、寸前の所で何とか躱しながら妖怪の注意を引く…こころも隙を見ては剣で切り付け、ダメージを追わせて行った…これなら勝てる…そう確信づいたその時…

妖怪は危機を感じたのか周囲に蜘蛛糸を張り、その場に留まる…

 

こころ「こんなもの切り付けて───」

 

堂「………!待てっ!!」

 

糸を断ち切ろうとしたこころへ俺は静止の声を掛ける、ピタリと動きを止めたこころに「何?」とでも言わんばかりの視線を向けられる…視線が痛かったが、重症を負うよりはマシだ…。

散々罠を張ってた経験が役に立った…。糸から微かに臭う香り…良く見れば糸には粒状の毒の塊が絡まっており、少しでも傷付ければ毒が身体にかかって大事になる…手詰まり状態だ…。

オマケに、妖怪の野郎は張り巡らした糸の中心で眠り始める…回復行為と捉えるべきか……。どうしたものか…と考えていると、糸に絡まったフラ公がキレた様子で叫び出す…。

 

フラ公「んがぁぁぁ!!何度も何度も気持ち悪い糸に搦めやがって!!ゆるしゃねぇ!!」

 

急にフラ公の手にグニャリと軽くS字に曲がったステッキが現れ、そこから現れた炎で絡まった糸を焼き切る…。レーヴァテイン、フラ公の原点である存在、"フランドール・スカーレット"と言う吸血鬼が愛用する炎の刃を繰り出す道具だった。……アイツそんな武器隠し持ってたのかよ…。

出すタイミングの遅さに呆れながら、俺はある事を閃く。

 

堂「………っ!コレだ…!フラ公、さっき焼き払ったみたいにその炎をこの辺り一面の糸のどこかにぶつけてくれ!!」

 

フラ公「んぁ!?よくわかんにぇけど…よし来たまかしぇんしゃい!」

 

頭の上に?を浮かべながらも思いっきり糸に向かって先程のステッキから再び炎が吹き出すと、糸に点火……俺の目の前の糸を通り過ぎ、辺り一面の糸は火柱となる…。事の重大さを知った妖怪だが間に合わず、既に周囲には炎の糸が妖怪を囲い、やがて妖怪その者が火達磨と化した…。

狙い通りだ。多少魔力の籠った炎だ、簡単にも消せまい。激痛が走っている様子でのたうち回る妖怪はやがて動かなくなり、炎が止む頃には黒炭と化していた。

 

こころ「……これはもう……採取出来ないな…。」

 

堂「…まぁ良いだろ?生きてクエストを達成したんだ…はぁ、疲れたぜ…」

 

フラ公「スッキリしたじぇーー!いやー!やっぱり持つべき物は火力とパワーだな!」

 

草臥(くたびれ)れ、その場に尻餅を付きつつ、元気なフラ公を見て呆れた様に軽く笑う…こころも素材を採取出来ず少し残念そうだが、フラ公を見て「また狩猟すればいい事かな…」と呟き軽く口角が上がる…珍しい事もあるものだ。

そんなやり取りをして少し経った頃にこころが俺に手を差し伸べ、「帰るよ」と呟き、それを掴もうとした瞬間……。

 

『ドォォォオォォン』

 

急に"何か"が地面に衝突し、土煙が辺りの視界を奪う。

 

……この時俺は、この冒険が如何に危険なものなのかを改めて実感する事となった……。

 

堂「な、何だこれ……一体何が……」

 

少しずつ土煙が晴れてきて、激突した"何か"が姿を表してきた瞬間、目の前のこころは表情こそ分かりづらかったが、小刻みに震えていた。

 

こころ「……そんな……有り得ない……。」

 

フラ公「……堂。お前はどっかに身を控えとくんだじぇ…」

 

2人の空気がガラリと緊張に変わって居たのに気付いたのに時間は掛からなかった。

先程の衝突でできたクレーターの中には、黄金の毛を纏っている頭部から生えた赤い角が特徴的で、外の世界で言う所のゴリラに良く似た体格の歪な雰囲気を纏った幼獣が此方を睨み付けて居た──。

背丈は先程の蜘蛛型の妖怪程では無い…だが、対面して、人間の俺にも直ぐに分かった…違う……コイツは別次元の化け物なのだと…。

 

第一章:乱入 END

 

第二章:召集

 

幼獣「ゴォォオォォオォ!!」

 

土煙が晴れると同時に甲高い雄叫びを放つ幼獣、こころ、フラ公、俺の3人はそのヤバさを肌で感じていたのだろう、額や頬に冷や汗を浮かべており、1度でも攻撃を受ければその先に"死"が待ち受けている事を悟る…。

 

こころ「……撤退前提で体勢を…立て直すよ……"コレ"には勝てない…」

 

フラ公「へ、へん…なぁに怖気付いてんだじぇ…こんな奴私らの敵じゃ────ッ!」

 

堂「ッ……!フラ公!!」

 

フラ公が怖気付いた自分を誤魔化すような強がりを言っていた最中だった、大きめな声に反応したのだろう、先程までこちらを睨み付けていた幼獣の物ゴッツイ左拳がフラ公の顔面目掛けて飛び込んで来る……一瞬の出来事だった為に呼び掛けが遅れ、フラ公自身も何が起きているのか思考が停止しているようだった……これは…まずい!

 

『ガシャンッ!!』

 

直後の事、思わず目を下に背けてしまった俺は鈍い金属が割れる様な音を耳にする……ん?金属…?

音の違和感に直ぐに気づいた為、目線をすぐ様フラ公と幼獣の方へ向ければ、予想の付かなかった光景が広がって居た────。

 

こころ「………ッ。自分より遥かに脅威の生き物が品定めしてる時に大声なんて出しちゃダメでしょ……」

 

幼獣「…………ゴォオォォ……」

 

寸前の所でこころの大剣が幼獣の拳を受け止めており、それでも衝撃が逃がしきれなかった様でこころの大剣を添えてた両腕の鎧の隙間から血が滲み出しており、両足共に震えて居た──。

大剣自体も大きな亀裂や破損が目立っており、2撃目を喰らえば間違いなく大剣を突き破って来ることも予想出来た……満身創痍……。俺達の誰もがそう思った時だ。

 

狩人A「お、おい!大丈夫かーーー!」

 

狩人B「あ、アイツは!特定危険種の妖怪だ!!」

 

先程の地鳴らしを聞いて駆けつけたのだろう、狩人達が幼獣を囲む様に集まってくる。その瞬間、幼獣は俺達の想像を超える反応を見せたのだ。

 

幼獣「………チッ…」

 

堂「……なっ……!」

 

───舌打ち?獣が?喜怒哀楽など早々持ち合わせていないだろう、言語力所か通常の動物とも感情性は大差無い幼獣が…舌打ちを放ったのだ───。その時見せた表情は、まるで邪魔者を見るかのような視線で、周囲の狩人を睨み付ければ、しばらく睨み合いが続き、再び大きな地鳴らしと土煙が起こる……一瞬暗くなった視界から、瞼を開けて見ればもうそこに幼獣の姿は無かった。

 

狩人A「あ、危ない所だったな…」

 

狩人B「お前達、大丈夫か!!」

 

堂「あ、あぁ……俺とフラ公は大丈夫だが───。」

 

『ドサッ…』

 

フラ公「お、おい!どうしたんだじぇ!しっかりしろ!」

 

現状を話そうとした矢先、何かが地面に転がる音がしてはフラ公が大声をあげる、その方向を見ればこころが地面に倒れており、フラ公がそれを揺さぶって声を掛けていた。

 

狩人A「体力を使い切ったんだろうなぁ…直ぐに荷馬車を持ってこよう。」

 

狩人B「俺達はこの辺りの調査を続けなければならないから申し訳ないが、それでこの子と一緒に里へ戻ってくれ。」

 

堂「あ、あぁ…」

 

受け慣れない手厚い対応に少し戸惑いながらも狩人達が持ってきた荷馬車にせっせとフラ公はこころを載せる…コイツ意外と情が深いんだな…。

ともあれ、直ぐに治療してもらった方が良いだろう、俺とフラ公はその場を後に里へ戻るのであった───。

 

こころ「いや~参ったね、あんなのに乱入されたら逃げるしかないよね。」

 

それから数時間後の事だった、村へ戻り、小さな治療所で処置を受けたこころが目を覚まし、両手に包帯を巻いた状態ではあるが、命に別状なくボリューミーな食事を口にしながら気軽に俺達へ話を投げかけて来る。

 

フラ公「めっちゃ元気じゃん!?ちょっとは気を使って損したじぇ!」

 

堂「お前が倒れた時はどうなるかと思ったよ、こいつもこんなこと言ってるが1番アタフタしてたしな?」

 

フラ公「は、はぁ!?ウッセ!」

 

あの恐ろしい体験の後だ、誰も暫くはあの幼獣の事に着いて話すこと無く兎に角巫山戯ながらも笑い合う、無意識に此処で黙りしたらこの先精神が滅入ってしまうのだと誰もが感じていたからだろう。

ある程度話した折に、例の話題を振ったのはこころからだった。

 

こころ「───あの幼獣から見逃されたのは、奇跡だったと思うよ。」

 

フラ公「………。」

 

横暴だが力は確かなフラ公でも純粋な怪力で間違い無く敵わない相手だった。その事を自覚している為か、フラ公は悔しげに下唇を噛んで、ただ黙り込む。

 

堂「……舌打ちしたんだよ。」

 

こころ「───え?」

 

堂「あの幼獣、俺達の戦闘に横槍が入った時に確かに自分の意思で、舌打ちしたんだ……まるで、"元は知性があった"みたいに。」

 

フラ公「んん?何の話だよ…?私にもよく分かる様に話して欲しいんだじぇ!」

 

こころ「───あの妖怪達は───。」

 

こころが重たそうに口を開こうとしたその時だった。

 

アナウンス『緊急召集!緊急召集!今里に居られる狩人さん達は直ちに受付場へ集合してください!繰り返します!今里に───』

 

フラ公「な、なんだぁ!?」

 

堂「っ……何か、嫌な予感がするな……っておい!お前はまだ怪我人なんだからあまり動くなって!」

 

こころ「……関係ない。どんな状態でも、そこに狩場があるのなら私は行く───。それが、私が"此処に喚ばれた"理由だから。」

 

直ぐにベットから起き上がれば防具を纏って上記を口にするこころ…此処に喚ばれた…?あの妖怪達の真相……気がかりな点が沢山あるが、それはさておき、俺達3人は里の受付場付近へ向かった───。

 

堂「……何だよ…コレ……」

 

フラ公「正にキュッとしてドッカーンだじぇ!」

 

堂「いや巫山戯てる場合かよ…」

 

ボケるフラ公へ軽くチョップを入れながらも現状の異常さを目の当たりにする…辺の人はそれを見ながら口をポカーンとさせながら、ある人は逃げ惑い、ある狩人は里の人間を避難誘導していた…。

 

こころ「……まさか、この地帯の山が噴火するなんてな……」

 

目の前には、里が温泉地帯となっていた起源、主な狩場の象徴でもあった大きな山が噴火を起こして居たのだ。

 

受付のお姉さん「集まって下さり、ありがとうございます!これより、里長から直々にお話がありますので心して聞いてください!」

 

深々と頭を下げる受付のお姉さんは続いて里長が話があると言葉を続けた、受付のお姉さんがその場を引いた後、ガタイが良く、高身長の老人がその場に立ち、口を開く。

 

里長「皆、良くぞ集まってくれた……。知っての通り、これまでこの里や妖怪達を湿し、見守って来た大山が数刻前に大噴火を起こした…。」

 

狩人C「そ、そんな…これ迄あの山が噴火したって歴は無かったはずだぞ…」

 

狩人D「まるで世界の終わりみたいな気分だ…」

 

ヒソヒソと狩人達が不安になる中、更に絶望する様な報告が舞い込む。

 

里長の遣い「長!!たった今報告がありました!」

 

里長「ふむ……。」

 

里長は、遣いの者へ耳を貸し、少しして凛々しかった目付きが一気に丸くなる。

 

里長「き、"禁忌妖怪"じゃと!?」

 

この一言を聞いた瞬間一気にその場の狩人達のざわめきが一気に大きくなり、ある者は地べたに膝を付き、ある者は肩を震わせて泣いていた。

 

堂「禁忌…妖怪…?」

 

フラ公「何じゃそりゃ…?」

 

こころ「……この幻想郷が今の獣達に侵食されたばかりの時からずっとその地に居座り続けて居ると云われる古き妖怪の事だよ。発見例が極めて少ない…いいや、発見してもその狩人が生きて帰れる確率が極めて少なくて、『禁忌妖怪の現れた所、その大地は滅び去る』と言う伝承さえ残ってるらしい。」

 

いつも通り真顔…なのだが、その声には重みがあり、明らかに緊張を感じている様子だった。

 

里長「──たった今、火山の噴火口を記録していた狩人達が、見た事のない妖怪を発見したとの報告が入った。その直後、真っ赤な光が迫って来て───電波式の伝書は此処で止まっておる…これは間違いなく禁忌妖怪と判定を下さねばならぬな…。早急に、討伐依頼を出す!出発の刻限は今日の夕暮れじゃ!」

 

狩人達は黙り状態だ…無理もない、今は昼過ぎと言ったところか、あまりにも時間が無く、また余りにも内容がハードだったからだ。絶望の中、俺もこの件に関しては無理だろう…どうする…と考えていたが、その考えは直ぐに驚きに変わった。

 

フラ公「はいはーい!ここに居る3人で」

 

こころ「その依頼受けまーす」

 

2人が真っ先に手を挙げて里長へ名乗り出た…え、3人って言った?俺の意見とか聞かずに!?

 

里長「おぉ!行ってくれるか!」

 

フラ公「任せんしゃい!」

 

堂「お前ら…また無計画な……ってかこころはいいのかよ?その腕、本調子じゃないんだろ?あの大きな剣だってもうボロボロだし、まともに戦えないんじゃないのか?」

 

こころ「問題無いよ、武器の方も考えがあるし。」

 

フラ公「何だぁ?まさかとは思うけど、怯えてるのかぁ?」

 

堂「そ、そんなんじゃねぇし…」

 

嘘だ、地帯を壊滅させるほど危険な獣、そんなものを相手にするのに怖くないはずが無い。これ迄、1年ちょっと獣妖怪共を狩って来たからこそそのヤバさはこころの話で十分に伝わって来ていた…。だが、2人がやってやろうと言わんばかりに気合を入れてるんだ、俺が弱腰になっても始まらないだろう。

俺達は里長の依頼を受ける事になり、夕方迄夫々別でその準備に勤しんだ。

 

そして時が流れ、夕方になり、3人は狩場運送用の馬車で落ち合う。

 

こころ「みんなー、準備はいいかー?私は割と絶好調だぞー。」

 

嘘つけ、何らかの薬を使ったのだろう、こころは腕の包帯を外しており、殆ど傷は目立たなくなっていたが、所々に深い裂け目が見られた。

そこで、俺は気になったことを指摘する。

 

堂「……ん、こころ…武器はそれで良かったのか?」

 

こころ「うんー、元々私が喚び出された時はこの武器を使ってたんだー、今までは使い勝手が良かったから大剣にしてたけど、こっちの方が手に馴染むよー。」

 

こころの腰には、身の丈程の棒の先に小さな刃の着いた全体が青紫色の薙刀の様な武器が付いていた。

 

フラ公「ふっふーん!私も準備は万端だじぇ!」

 

堂「え、何が?」

 

フラ公「え、何が?じゃにぇーよ!良く見やがれ!私も防具着てるじゃろ!目ェ付いてんのか!!」

 

俺の一言に激怒するフラ公。…確かによく見れば、服装が受付のお姉さん達が着ている物と同じ様だ。え…それ防御力大丈夫なの?

 

フラ公「そーゆーお前さんこそ、何一つ変わってにぇじゃんか!」

 

そして続く様にビシッと俺の方へ指を指してくる。

 

堂「俺は俺で準備してきたんだよ、大体特訓してるわけでも、妖怪でも無い俺がそんな重そうなモン持って走れるわけないだろ…?」

 

的を射られたかの様に2人は「あ…」と言う反応をする。まぁ、実際そうなんだけど、少しは否定して欲しかった…。

 

俺達3人はお互いを見て頷けば、馬車へ乗り込み、里を後にするのであった。

 

第1章:召集 END

 

第1章:願い

 

3人の乗った馬車は前に狩りへ行った洞窟内へ入り幼獣と戦った所よりも奥地へと向かう…。

馬車には妖怪避けの肉食幼獣の糞が吊るされており、その匂いを嗅ぐなり辺の獣妖怪達は近寄ろうとしなかった…。

ってか臭い、何か少し血なまぐさい…一体この糞の主は日頃何食ってんだよ…

俺達3人は鼻を押さえながら目的の場所まで向かう。

 

遣いの者「着きました。ここから先は本当に危険ですのでどうぞお気をつけ下さい。ご武運を。」

 

ボソリと里長の遣いの者は「成仏してくださいね」と言い残してその場を去る。

誰が成仏なんてしてやるか。縁起でもない気持ちになりながらも目的地を視界に入れる。

 

堂「───ここって……。」

 

フラ公「おいおい……嘘だろ……この洞窟、元はあの性悪石ころの帰り道だったのかよ…」

 

うん?なんだその呼び名?もしかして古明地こいしの事か?無駄な所でフラ公とこいしが犬猿な事を知るが今はそれよりもっと強い衝撃が視界を奪う。

 

こころ「───そう、元はこの洞窟は旧地獄だった所、そしてこの先が間違いなく"禁忌妖怪"の居る狩場だ。」

 

違和感がもっと増して行く、何かを連想させ、その説が俺の中で大きくなって行った……なぜならその狩場へ通ずる物…俺たちが見てる先には、半壊した建物、されど俺もフラ公も良く知ってる建物…地霊殿が立ち塞がっていたからだ。

 

フラ公「お邪魔するじぇーー!」

 

堂「ばっかお前!妖怪が聞き付けてきたらどうするんだ!」

 

元気よく壊れた扉を蹴破るフラ公にゲンコツを落とす…。ほんと、無邪気というか破天荒と言うか…兎に角ハラハラする。

 

フラ公「おま、何回もアイドルの頭を小突くんじゃないじぇ!」

 

頭を抑えながらキレるフラ公、まぁ…確かに驚いた拍子にやった事とは言え少し反省はしておこう、でも許さん。

建物内は驚く程静かで、不気味なくらいだった。

 

こころ「1度夫々で分かれて建物内を散策しよう。何処かに奴へ通じる道がある筈だよ。」

 

フラ公「なんか出たら真っ先に私の所へ走って来いよー?お前さんは特にくそ雑魚ナメクジだからな!」

 

堂「うっせ…」

 

フラ公の小言を聞き流しては3人で分散して地霊殿内を散策することにしたなった…物静かだとは言え、何が潜んでるか分からない…要注意が必要だろう。

俺は慎重に、極力物音を立てない様に廊下を進み…やがて大きな扉の前へと辿り着く。

 

堂「……何だここ…」

 

恐る恐る扉を開くと、そこには広い部屋へと繋がっており、周囲には本棚、足元にはビリビリな状態の本が散乱していた…そのまま足を進め、机へと向かうと"置き手紙"が置かれていた。

 

『この紙を読んでくださってる方へ───。この手紙がこの部屋にあるという事は、私はもう今の姿を保って居ないのでしょう。肉体は人のそれとは掛け離れ、知性はまるで無い獣になっているに違いありません。事の始まりは──数ヶ月前、見知らぬ異邦人達が流行病の"予防"と言って得体の知れない注射を打った事から始まりました…。それからというもの、咳、頭痛等を訴える妖怪が出てきて、其れは爆発的に広まり…最後には人の姿でない者達がこの旧地獄を、幻想郷を呑み込み…今ではかつての幻想郷の面影すら無くなりました。──身勝手だとは思います、ですがもしも異形化した妖怪達から生き延び、此処へ辿り付いたのなら…どうかお願いします、"あの子"を救ってあげてください───。』

 

手紙は所々濡れたような形跡で汚れており、文章は辛うじて読めたが、出筆者の名前が読めなかった。

 

堂「何だよこれ───。」

 

手紙を読んでこれまでの奇妙な妖怪達の違和感に合点が行った……だが、それでまた謎も新たに増える事となる。

 

堂「──うん?」

 

手紙の近くには雑に重ねられた書物もあった…そこに記載されてたのは、"コダマ"に関しての書物……。それを手に取ろうとした時だ。

 

フラ公「な、なんじゃこりゃーーーー!?」

 

フラ公の大きな声が廊下を通じて聞こえて来た。まさか…妖怪か!?

慌ててその部屋を後にし、俺は声の聞こえた方へ走る。その先には、フラ公とこころが既に合流しており、鉄製の扉を開いて立ち竦んでいた。

 

堂「お、おい!どうしたんだ!急に大きな声なんて出して……なっ……」

 

たまげた事に、鉄製の扉の先には、土で囲われた空洞が奥へ続いていた。その先からとんでもない熱気も感じる。

 

こころ「……此処で間違い無い様だね。」

 

フラ公「ふっふーん!この私が見つけたんだじぇ?」

 

堂「お、おう……お手柄だったな…」

 

余りにも胸を張って鼻を伸ばすフラ公に正直素直に褒めたいって気持ちにはならなかったが、実際見つけたのはフラ公だ、此処はご機嫌取りも兼ねて褒めておこう。

そうすると更に軽くジャンプをしながらもっと鼻を上に向け、エッヘンと言わんばかりの態度を見せる…何こいつ。

 

それはそうと、俺達3人は空洞を進みながらお互い、見てきた物を話し合った。

 

フラ公「………っ…じゃあ、私らが今まで狩って来たヤツらって皆……」

 

堂「……だろうな…どこか変だと思ってたんだ。生息地と言い、妖怪達の特徴と言い…今思えば特徴と一致する連中ばかりだったよ。」

 

こころ「………。」

 

こころはそれを冷静に聞いていた。その事に付いて違和感は無かった。

 

堂「───知ってたんだろ?あの獣達が元々幻想郷の住民だったって事も。」

 

こころ「……そうだね、知ってたよ。だって私をここに喚んだのも、その幻想郷に住まう1人だったし…私が"最初に"狩った妖怪だもの。」

 

話を聞いてたフラ公は息を飲む…。これで凡その合点が行った…この幻想郷は、決して未知の世界では無く、狂わされた世界だったのだと。

道を進んでいる最中、フラ公が真っ先にある事に気付く。

 

フラ公「………お前ら、心した方がいいじぇ…濃い血の匂いがする…この先に"何か"が居るじぇ…」

 

堂&こころ「────ッ!」

 

フラ公の一言を聞くやすぐ臨戦態勢をとる。いつも無邪気なフラ公がいつにも増して険しい表情だ、そして吸血鬼が"濃い血の匂い"と言ったのだ。この先には間違いなく、何らかの惨状痕があるのだろう。

 

警戒しながら俺達は足を進めると、ある所で足が止まりそこで、俺は一瞬嘔吐しかける……。そこには、バラバラになったライオン、鷹等の大きな鳥、猫や犬の亡骸、そして血の池が広がっていたからだ。

間違い無く此処に"何か"居る……。立ち竦む暇もなく、血の池からブクブクと泡が立ち…中から桃色の鱗に身を包んだ胸部に目玉を持つ異形の妖怪が姿を現したのだ──。

 

フラ公「───さぁ……」

 

こころ「狩猟を始めようか───。」

 

第1章:願い END

 

第1章:解放

 

────今から数ヶ月前の記憶。堂では無い、一人の少女が、この地に来たばかりの記憶。

小さな器の様な殻から抜けた感覚がした、辺の白煙が弱まって、次第に陽射しが強く差し込む…

 

???『……やっと成功した…ここまで来るのに、たくさんの犠牲を払ったけど…やっと成功したんだね……ッ!ゲホッゲホッ……』

 

目の前で、弱々しくも嬉しげに物語る少女、どうしたのだろう、風邪でも引いているのだろうか?今にも倒れそうなくらい息を乱しながら咳き込んでいる。

 

???『ごめんね…ごめんね…呼び出したばかりなのに、私はもうここには居られなくなっちゃうの…。始まりはペットのお燐が…ゲホッ…咳き込み始めた所だったかな…私は家族の為に、家族を手に掛けた…でも、それだけじゃ止まらなかった…お姉ちゃんも、お空も…もう手遅れで…ゲホッゲホッ…でもやっと希望が生まれたの…!そう、貴女だよ。』

 

今一つ言ってる意味がわからない。この人は何を言っているのだろう、何でそんなに苦しそうなのに、私に話しかけてくるんだろう…。私は一言、『それより休んだ方が良いよ。』と声を掛けた。

 

???『………。うん、そうだね…私、ここまですっごく頑張ったもん、凄く、すごーく…頑張り物語だったもん…もう…休んでいいよね…。ゲホッゲホッゲホッ……休む前に、最初で最後のお願い……聞いて欲しいな…?ゲホッ…ゲホッゲホッ……』

 

徐々に咳が酷くなっている…もうこれ以上喋らない方が良いのでは無いだろうか…彼女の身を案じた私は肩をかそうとするも、それを振り払う…。

 

???『───お願い…私の大好きだった家族を、皆を……解放してあげて…頼んだ…よ……』

 

少女はゆっくりと目を閉じる…その場に倒れた、そんな少女を私はどうしていいのか分からなかった──。それから少しして、少女の身に変化が起こる…華奢で小さな少女の肉体は突然大きく肥大して、爬虫類の様な獣の姿となった。

私は戸惑った──どうすればいいのか分からなかった…そんな時、少女の言葉が脳内で繰り替えされる…….。

『…私の大好きだった家族を解放してあげて…』

 

私「嗚呼──そういう事なのね。」

 

妖怪と化した少女は私に襲いかかって来る。私は躊躇せず少女の方へ飛び上がり、右手に握り締めていた薙刀を眉間に突き刺した…。

 

私「……主人のお願い…ちゃんと聞き受けるよ…皆が解放されるまで、狩って狩って狩り尽くすから──安らかに眠ってね。」

 

絶命していく少女は私の方を見て、何処か笑いかけてる様に見えた、それから目を閉じた少女が動く事はもう無かった──。

 

────時は戻る。

 

フラ公「くっそ……此奴何で攻撃が当たらねぇんだじぇ!」

 

レーヴァテインから出る炎を刀状にして何度も斬り掛かるも全く攻撃が当たらず、フラ公は激怒した犬のようにギャンギャン叫びながら走り回っていた──。

 

こころ「此奴の胸にある目の問題だね…アレは人の心を読む目だったはずだよー…」

 

フラ公「くぁーー!!石ころもムカつくけどこの3つめ玉妖怪も腹立つじぇー!あれ……そう言えば私のバカ主人は何処に……」

 

堂「おー…頑張ってるか?」

 

フラ公「おんま……なーにサボってるんだじぇ!!」

 

堂「人聞きが悪いな…俺が"マトモ"に戦える筈ないだろ?」

 

フラ公「それもそうだけどさ!せめて頑張る意思くらい見せよう!?」

 

何だか無性に突っかかって気やがるな…まぁそれはいいとして、俺はこころとフラ公にある事を支持する。

 

堂「2人共、ここから少し引き返した所で斬れそうな物が有れば斬れ!ソレが何でもいい!兎に角斬れ!」

 

フラ公「んぁぁ?意味が良く分からないじぇ…」

 

こころ「ガッテン承知ーー!」

 

フラ公「え、今ので分かったの!?」

 

俺の指示にこころは首を縦に降り、元来た道へ引き返す…フラ公もそれに同行…妖怪は俺に目もくれず走り去っていく。

──それで良い、俺は指示を出した時も『縄が有る』としか念じてなかった…奴はその"縄"を斬られる事を阻止しに行くだろう…それが狙いなのだ。

 

2人は走っている最中、両サイドに天井と地面、両方に刺さった木の枝に括ってある縄を見付ける。

 

こころ「アレだなー!」

 

フラ公「へッ!簡単な依頼だじぇ!」

 

意味深な形で設置してある縄を斬ろうとする2人へ追い掛けてきた妖怪が飛び掛かろうとする……その瞬間の事だ。

飛び掛かろとする際、重心を後ろ足へ掛けた事から脆くなっていた地面がバラバラ…と崩れ落ち、妖怪は穴の中へ真っ逆さまに落ちていく…

 

フラ公「なっ……どういう事だじぇ!?」

 

こころ「……あ、この縄フェイクだ。」

 

縄を試しにちょん切るが何も起きない事からこころは直ぐに現状を理解する。

 

フラ公「あんにゃろ~…私らを囮に使いやがったなぁ……!」

 

堂「……勝てたんだからそんな怒んなよ…」

 

遅れて俺がこの場に到着する。落とし穴の中に竹槍を突き立てており、妖怪はそれに見事にハマって身体のあちこちが貫通していた…既に瀕死の妖怪…ソイツは此方を見ており、俺は一瞬驚いた表情をすれば直ぐに口を開く。

 

堂「……俺に出来るかは分からねぇ…でも最前は尽くすよ。」

 

そして、持って来ていた小型ナイフを妖怪の眉間へ投げ付け…妖怪は完全に息を途絶えて行った…。

 

こころ「……まだ本丸でも無いのに疲れたー…」

 

フラ公「な、なんちゅーハードさだじぇ…」

 

堂「………。」

 

フラ公「…おい、なーにボーッとしてるんだじぇ?さっきの独り言と言い…お前がシリアス気取ってもカッコよくないぞ!」

 

堂「いや、気取ってねぇよ!」

 

少し考え事をしていた最中のフラ公の一言で何か、色々注意が散乱する。

 

こころ「…何かあったの?」

 

堂「………俺らがどうしても勝たなきゃ行けない理由が増えたって感じかな。」

 

フラ公「何じゃそりゃ!?」

 

こころ「それじゃ、早く片付けないとねー…」

 

フラ公「え、私置いてけぼり!?待ってよ…おぉーい!!」

 

空気から外れたフラ公を置いてさらに奥の方へ進む…厳密には追っ掛けて来たからどうでもいい話だが、それよりさっきの妖怪を倒す直前に聞こえた声が脳裏から離れなかった…。

『……お空をどうか、救ってあげてください…』

何処か悲しげで、最後の希望にでもすがろうとするかの様なその声、その言葉が忘れられず、俺達3人はさっきの地点から更に奥地へ向かった…。

 

暫く進んだ所で立ち止まる。目の前には歪な形に溶け掛けてる鉄製の扉があり、この時点で相当な熱気を感じていた……。

 

堂「───いよいよ本番だな。」

 

こころ「準備はいいねー?」

 

フラ公「あたぼーよ!」

 

最後にフラ公が元気よく返事をした所で、3人同時にドアを蹴破る。

────その中に居た者は、これ迄の獣妖怪達とは比べ物にならない程大きな背丈、全長は大体600~700m程だろうか?三本の脚に全身黒い羽毛で包まれており、胸には赤い太陽の様なマークの入った翼竜が立ち塞がっていた──。

 

翼竜「ギュェエェエェェエェェエェェェェ!!」

 

凄まじい熱気と共に大きな咆哮を浴びれば吹き飛びそうな勢いで、それでも尚、こころとフラ公は武器を構えた……。

 

3人「────さぁ、狩りを始めようか!」

 

すぐ様翼竜は上空へ飛び上がると翼の隙間から熱された赤い刃物の様なものを飛ばす…。

 

堂「あっぶな!?ってこれ……一つ一つが羽なのかよ…」

 

地面に突き刺さった刃物を良く見れば、それは赤くなるまで熱された羽の形をしており、それらが一つ一つ硬くて熱いという事を思い知らされる……。

 

フラ公「くっそぅ……私の魔力を込めた炎も全然効かないじぇ……」

 

堂「…あの翼竜は元々、霊烏路 空(れいうじ うつほ)って八咫烏(やたがらす)だったからな…確かどっかの神様が気まぐれで核融合の力授けちゃったとかであの炎には多分神的な力があるんじゃないか?」

 

こころ「神性かぁ……それなら、魔力とかどんなに込めてもダメージを与えるの難しそうだよねー…」

 

フラ公「はぁ!?どーするんだよ!詰みじゃにぇか!!」

 

堂「まぁ待て、どんな奴にも弱点は絶対ある。」

 

───なんて言ってる暇は無さそうだ、翼竜は次々と刃の様な羽を飛ばして此方を撹乱させて来る…なんて厄介極まりないんだ…。

 

こころ「空に居れば優勢だなんて思うなよー…」

 

翼竜の方へ一直線に走るこころ、薙刀を振り回したかと思えば、刃とは逆の方を地面へ叩き付け、宙へ飛び上がる…そして、6発程、翼竜の翼の部分へ切りつけては着地……。何その新技!?

 

フラ公「アレを見ろ!」

 

それだけでは無かった…。斬られた部位は翼の付け根と端の方…付け根は肉質が柔らかく、先端の方の羽を散らしてはバランスが取れず地面へ崩れ落ちる…。

 

堂「───ッ!畳み掛けるぞ!」

 

こころ&フラ公「おーーーっ!」

 

3人で総攻撃……に移ろうとした矢先、起き上がった翼竜の様子が何か変だ───。

 

こころ「───ッ!マズイ!皆、アレに近寄るな!ヤバいのが来るぞ!」

 

何かを感じとったのだろうこころの言葉を聞けば咄嗟に俺達は左右へ飛び退く……その瞬間…胸の赤い模様が強く光を放ち、身体中から猛烈な熱気を放ったかと思えば、開いたクチバシから直線上に光線ビームの様な物を吐き出した───。

 

『ズドーーーンッ!!!』

 

光線の周辺はその熱と突風で地面が抉れ、その部分は高熱でドロドロに溶けていた…。

 

フラ公「うひゃぁ…あんなの喰らったら一溜りも無いじぇ…」

 

こころ「……あれを撃たせないようにしないと……」

 

堂「……いいや、このままあの技を乱用させたい…」

 

フラ公「はぁ!?とち狂ったのか!?」

 

俺の一言にフラ公は猛反発、別にとち狂った訳では無い…あの光線を放った直後、翼竜の胸の模様が黒くなり、気化熱の様な湯気が登りながら少しよろめく姿を見逃さなかったからだ。

…自分でもここまで膨大なエネルギー消費だとは思わなかったのだろう…。つまりコイツは…加減を知らな過ぎる───戦い慣れしてないという事だ。

 

堂「こころ、何でもいいからアイツが焦る様な一撃を何発も繰り出してくれ!フラ公はありったけの炎でアイツの気を撹乱させてくれ!!」

 

即座に思いついた方法……俺の読みが外れて無ければこの勝負、勝てる───!

2人は頷きこころはあちこちに移動しながら攻撃、肉質が柔らかい部分を確かめ、そしてその部位を集中的に攻撃する…対してフラ公は翼竜を挑発する様に態と大きな炎の剣を作り出し、何度も視界に入る所からソレを振り回す……。

 

翼竜『ギュェエェェェエェェエェェエェェエェェエェェエェェ──!?!?』

 

其れらを喰らえば、遂には混乱がピークを達したのだろう、翼竜は再び大きな咆哮と共に凄まじい灼熱を纏い、クチバシに"先程以上の熱源エネルギー"を溜め込み始める。

 

堂「───お前の負けだ、空──。」

 

次の瞬間、胸の光が内側から漏れだし…そして辺り一面の視界が真っ白になる……。

 

こころ「これは……ッ!」

 

フラ公「な、なんだじぇ……眩しくて見えにぇ……!」

 

2人の言葉を最後に、大きな音と共にその場は大爆発を引き起こすのだった……。

 

────随分昔の、恐らく俺らが旅を始めるよりもずっと前の出来事だろう、俺では無い、誰かの記憶。

 

△『○○○様!開けてください!○○○様ぁ!!』

 

鉄製の扉を必死に叩いて"誰か"を呼ぶ少女の姿があった──。

 

○○○『ッ……ゲホッゲホッ……もう……時間が…無いわ…私も貴女も……もう間に合わない……で、でも……△…貴女だけは、人の血の味を覚えないで…誰も喰らってはダメよ……そうすれば、きっと…きっと貴女だけでもこの呪縛から解放される…ゲホッ…筈だから…』

 

△『何言ってるか分かりませんよ!皆で逃げましょう!○○○様!ここを開けてください!!』

 

○○○『───いつも言ってる事だけど、でも…何度でも言いたいわ……△……お燐…貴女達ペットや、こいし達と過ごした…ゲホッゲホッ……あの何気無い毎日が…私は幸せでした……。ゲホッゲホッゲホッ……私はもう、十分にこれ迄幸せを貰ったわ……ゲホッ……だから、次は貴女に……幸せになって欲しい…ゲホッゲホッ……』

 

△『○○○様ぁ!嫌だよ!何処にも行かないでよ!!』

 

○○○『……ずっと、私は貴女を守るわ…この扉の向こうで…ゲホッ……ゲホッゲホッゲホッ……ゲホッ……』

 

△『○○○様…?○○○様!?……いや、いやぁぁぁぁあぁぁぁ!!』

 

記憶は此処で終わる。

────少しして目を開く、そこは真っ白で、何も無い空間だった。

 

堂「此処は───。」

 

辺りをキョロキョロと見渡す…俺は死んでしまったのだろうか…。

 

?「うにゅ……お兄さん、だよね?空を自由にしてくれたのって!」

 

すぐ近くで元気な声が聞こえた──。

その方向を見ると、緑のリボンで括った黒髪のポニーテール、大きな黒い翼のスタイルの良い少女が此方に声を掛けて居た。

 

堂「お前……今…」

 

空「そーだよー!おにーさんがさっき解放してくれた霊烏路 空だよー!」

 

凄く喜作げにビシィッと敬礼をしながら俺にそう伝えてくる少女。

 

堂「……何だ、本当に解放されたんだな…お前さんは…」

 

空「空だけじゃないよ!この幻想郷の皆解放されるんだよ!」

 

堂「……どういう事だ?」

 

空「えぇっとねー……うにゅ?どういう事だっけ?」

 

…知識としてあったとおり、本当に鳥頭らしい…何やら重要情報を握っていた様だが、忘れた…と言わんばかりに腕を組んで首を傾げる…。

少し睨み付けて居ると、ポンっと掌に手を置いて、『あー!思い出した!』と呟いてくる。

 

空「さとり様が言ってたの!この幻想郷は起こった事件の"さいげんたい"だから、空みたいな"異例"が災害を起こせば他の凶暴化した妖怪達の解放の鍵になるんだって!それを解決すれば自動的に此処は正常化されちゃうんだよ!」

 

堂「……成程……。」

 

思えば、俺達が来た時は既に事件後の幻想郷だったのだ…其れを解決するには事件の"発端"では無く大きな"鍵"を握る者をどうにかする事だったのだろう…。異変に見立てた事件、異例の異変。そもそもこんな事を企てた連中は何を考えて居たのだろう…?まだ謎が多いが、1つの山は越えた様だ。

話が終わると空の体が徐々に崩れ始める。

 

空「あ……時間だね…」

 

堂「……行くのか…。」

 

空「うんっ…もう時間みたい!ここでの縁はきっと形になってまた紡がれる…そんな気がするよ!だからまた会おう!」

 

これから消える者の仕草とは思えないほど元気に大きく手を振り、笑顔で身体が崩れて行く…。なんだろう、少し物寂しい気持ちもするが、それでも俺は前を見なきゃ行けないのだろう。少しずつ瞼が重くなっていくのを感じる…そして視界が真っ暗になった瞬間、俺は目が覚める──。

 

堂「────はっ!!此処は……さっきの火山か…?」

 

辺りに熱気や溶岩等の跡形は無く、灰や瓦礫の中から這い出た俺は、変わり果てた周囲を見渡すと直ぐに気になる事を口にする。

 

堂「フラ公!こころ!……まさか…生き残ったのは…」

 

ハラハラしながら瓦礫を掻き分け様としたその時。

 

フラ公「勝手に殺すんじゃないじぇ!!」

 

こころ「ぷはぁ……危うく炭焼になる所だったなー…」

 

瓦礫の中からフラ公が足を突き出し、灰の中からムクリとこころが姿を現す。よ、良かった…2人とも無事だったのか…。

その後、俺とこころはフラ公の足を引っ張って瓦礫から引きずり出す。

 

フラ公「くっそ~…アイドルの私には重労な出来事ばかりだじぇ…」

 

堂「いや、そもそもお前アイドルじゃ……」

 

フラ公「アァん?」

 

堂「なーんでーもなーい」

 

こころ「……本当に終わったんだな…」

 

俺達のやり取りを見てこころは軽い口取りで上記を述べる…戦いは終わり、この幻想郷での異変は終局を迎えたのだろう。

少しするとどこからとも無く声が聞こえてくる。

 

紫『堂?聞こえるかしらー?』

 

堂「お、紫か?異変は終わったぜ。」

 

フラ公「あんの腐れBBA今頃なんの用じゃい!!」

 

いや、何キレてんだよお前は…

フラ公の反応はさておき、連絡を寄越した事に着いての大凡の予想が付いていた為に冷静に言葉を返す。

 

堂「異変は解決した、ならもうお迎えって事だろ?」

 

紫『察しが良くて助かるわー♪解決しちゃった異変は元あった姿の修正化が始まるから、そこにい続ける異邦人は存在事消滅する恐れがあるのよー…だから帰ってらっしゃいな?』

 

言葉の後に俺たちの目の前に空間の歪みが出来、隙間が現れる。

 

堂「……帰宅みたいだな…こころはこれからどうする?良ければ俺達に付いてこないか?」

 

これまで共に戦った仲だ、戦力としても凄く頼り甲斐がある。俺はこころに仲間にならないか、と誘うもこころは少し隙間の方を見ては口を開く。

 

こころ「折角だけど私はまだこの幻想郷で狩って無い妖怪を狩らなきゃ行けないからなー…また機会があれば宜しくお願いするよ。」

 

いつもみたいに真顔で上記を答えるこころ、何らかの脱出法でも有るのだろう。俺は『分かった、成る可く早く出た方がいいぞ?』と一言添えて隙間の前へ立つ。

 

フラ公「楽しかったじぇ!また機会が有れば楽しい狩猟でもしよや!」

 

堂「本当にありがとな、また会おう」

 

こころ「……うん!」

 

最後に3人でお互いの拳を軽くぶつけて、この場を後に俺とフラ公は隙間へ飛び込んだ───。

隙間が閉じるその一瞬、こころから何処か寂しげな雰囲気を感じた───。

 

こころ「───それじゃあ行こっかな。」

 

隙間が閉じた後、こころはその場を後にする。

全てが終わった後、里へ帰ったこころは里長を始めとした里の皆に賛美される…その会話の中に、"堂"と"フラ公"の名前は無かった───。

もう時期修正化される幻想郷、皆の中からこころの記憶も無くなるのだろう…。それでも少女は決めていた───此処が終わりを迎えるその時まで、妖怪達を"解放し続ける"と。

周囲から狭まる修正化の壁が迫って来る中、少女は全体が黒く、歪な黒い鱗を羽織った妖怪を前に刃を向ける。

 

こころ「────さぁ、狩りを始めようか──。」

 

第1章:解放 END

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。