隣のクラスメイトが世界を斬る剣とか使い出してマジでやばいんですけどっ!   作:レストB

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13 クラスのみんなが異世界召喚に巻き込まれてしまいましたっ!

 おはようございますっ! 何だか久しぶりな気がしますけど、気のせいですか?

 私アキハは今日もばっちり元気ですよ! 皆勤継続中です。

 通学路を一緒に歩く隣のユウ君は……あらら。朝からグロッキーみたいですね。

 

「ユウ君、元気ないね。風邪でも引いた?」

「いや……ちょっと、大きな問題があって。何とか解決したからいいんだけど」

「それってもしかして、世界の危機的なやつ?」

「世界の危機的なやつ」

「きみって背景事情知らないと、とんだ妄想中二病くんだよね」

「う。否定できない……」

 

 うんうん。でも私がちゃんと理解してあげてるからいいのだぞ。

 そのままの君で育つがよい。

 

「今日くらい休んでもよかったんじゃないの? エリちゃんもいるよ」

 

 こういうときのためのエリちゃんじゃないんですかね。

 

「そうしてもいいかなって思ったけど、占いが」

「え、意外。きみって占いとか信じるタイプだったんだ」

「何でもってわけじゃないんだけど。その人の占いはとてもよく当たるんだ」

 

 ほうほう。凄腕さんなんですね。きみみたいな特別な力だったりするのかな。

 

「なるほどね。で、占いによると?」

「今日は無理でも一緒に登校すべし。片時も離れてはいけませんって」

「それって、こ、恋人みたいだね……」

「へ、変なこと言わないでくれよ……」

 

 思いっきり顔を赤らめたユウ君。

 私も言ってて恥ずかしかったですが、そんなきみの顔を見たらちょっと笑っちゃいました。

 それでも眠気が勝ったのか、「ふぁーあ」と大きなあくびをしてしまうユウ君。

 歩きながらうつらうつらしてます。いよいよぶっ倒れないかお姉さんは心配です。

 

「本格的にやばめっぽいね」

「そうだな。最悪授業中寝ることにするよ」

「あー。悪いんだー。いけないんだー」

「そこは優しく見逃して頂けると」

「しょうがないなあ。菓子一つだぜ」

 

 貸しだけにな☆

 

「帰りにチョコ買ってあげる」

「わーい。許しちゃう。一緒に半分こして食べようね」

「はいはい」

 

 お代官様、見て見ぬふりは気持ちがいいですな。えへへ。

 

 

 ***

 

 

 案の定、ユウ君は教室に着くや否やぐっすりと眠り落ちてしまいました。

 授業中になってもそのまま。厳しい先生に注意されても、謝るとすぐにうとうとしてしまうほどです。

 危ないときはたまに小声で呼びかけてみても、頬をつんつんしてみたりもしたんですけど。

 まったく反応がないのだから、こりゃ相当なものですね。

 これ、ユウ君健気にも平気そうに振舞っていたけど。本当にやばかったやつなのでは……?

 いつもどこか強者の余裕を見せていたユウ君ですが、今日ばかりはマジで子どもみたいに寝ています。

 ……よく見たら寝顔も可愛いね。

 ついいたずらしたくなっちゃいますけど。今日はお菓子で買収されてしまったので、また今度にしてあげましょう。

 アキハちゃんは約束を守る女なのです。

 

 さて、懸念されていた事件は――3限の途中に起きてしまいました。

 

 古典の授業中。赤羽先生という若い女の先生が古文を教えてくれていました。

 

 ん、今ちらっと足元が光ったような……?

 

 と思ったら、あれよあれよと円形の謎幾何学模様が教室の床に浮かんできまして。

 みんなざわざわしています。

 すると、カッと強烈な光が立ち上りまして。

 

 わああああぁぁああーーーーーーーー! ド派手な召喚エフェクトっぽいやつだぁぁ~~~~~!

 

 あ、引っ張られる。

 

 これ、私はもうよく知っていました。異世界に送られるあの妙な浮遊感覚です。

 なんで何度も経験してるんですかね。

 

「危ない!」

 

 さすがです。ぐっすりしていても、私の危機にはぱっと起き上がったユウ君。

 大胆にも、みんなの前で私をがばっと抱え上げてくれました。

 

「ちょっ!」

 

 びっくりしましたが、一瞬のことなのでみんなこっち見てないようです。

 私をしかと抱き寄せて、左手に煌々と輝くは例の青剣。

 世界を斬る剣でした。

 そいつを空間へ向けて、びしっと振り抜くユウ君。

 召喚エフェクトとバチバチしています。戦っています。

 そして、打ち勝ったのはユウ君でした。

 連れていかれそうな感覚がさっぱりと消えて。

 こうして、おそらく異世界召喚の主役であった私は、今回もきみに助けられましたとさ。

 

 めでたしめてたし、とはいかなかったんだよね。これが。

 

 ……誰もいなくなってしまいました。

 

 見事お姫様抱っこされた私と、ユウ君「だけを」残して。

 

「…………あー。あのさ」

「…………うん」

「まず、私を助けてくれてありがとね」

「……うん」

「……やっちまったって顔してる?」

「……うん。してる」

 

 うんうん。そうだよね。いつもだったら召喚陣丸ごとすぱーって斬っちゃうものね。

 根っこの原因の方の対処して、誰も向こうへ行かせないもんね。

 どうも本当に調子が悪かったのか、ただ私を助けるのに必死で。そこまで頭が回らなかったみたいです。

 それはそれで、私のことに一生懸命なのは嬉しいんですけど。

 がっくりとうなだれるユウ君。とても見ていられません。

 そこに、騒がしいあの子の声が。

 

「ねえ! なんかさっきすごい音したんだけ、ど……!?」

 

 やたら神々しい召喚陣と、誰もいない教室を見渡して、ぎょっと目を見開いたエリちゃん。

 次の瞬間には叫んでいました。

 

「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!? なんじゃこりゃあーーーーー!?」

 

 私がちゃんとここにいるのを見つけて一瞬ほっとした顔を見せますが、すぐにむきになってユウ君へ詰め寄ります。

 

「ユウ、貴様というものがありながらぁ! 強いくせに、強いくせにぃ~~~! あれだけ私にはちゃんとしろって言ったのにぃ~~~~!」

 

 何だかスパルタ修行の恨み節まで籠っているような気がしますが、気のせいでしょう。たぶん。

 

「うぁうぁぅ」

 

 憐れユウ君、首振り人形みたいになっています。

 エリちゃん。正論ですが。

 やめたげて! ユウ君のライフはもうゼロなのよっ!

 ここは不詳アキハちゃんが助け舟を出さないと!

 

「あのねエリちゃんっ! ユウ君は今日具合が悪くてねっ!」

「え?」

「うぅ……」

 

 いよいよダメになってしまったユウ君は、力を抜いたエリちゃんにぐったりもたれかかって、本格的に気絶してしまったのでした。

 

「これ……私が悪いのかしら?」

「うん」

「正直すまんかった」

 

 クラス転移編、始まっちゃったみたいです。

 どうしよ。みんなのこともすごく心配だけど。

 ユウ君、とりあえず保健室いこっか?

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