やっと……やっと、ここまで来ました……
曇らせタグを追加しようか悩みましたが、後の展開(再会した時)を考えて保留にしました。
え?褪せ人様はどうなるって?
……まぁ、良い奴だったよ
それではどうぞ
階段側である小さな無数の魔法陣からは、百体を上回る骸骨の魔物“トラウムソルジャー”が溢れ、しかも一メートルほどの魔法陣はその数を減らすことなく、未だに骸骨を呼び出し続けている。
“トラウムソルジャー”は空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様にギョロギョロと辺りを見回している。
しかし、反対側の通路側から出現した魔物は誰の目から見てもヤバイと思わせる物だった。
体長十メートル級の四足に瞳は赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らしながら、頭部の兜から生えた角から炎を放っている魔物〝ベヒモス〟は、大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げ……ようとした
「グルァァァ「ふん!」ギャアァアア!?」
「浩介!」
(さーて……やろうじゃないか)
何を隠そう俺が、咆哮を上げようとしたベヒーモs……間違えたベヒモスの顔面目掛けて両手に持った2つの『失地騎士の大剣』を叩きこんで咆哮キャンセルをしたからだ
……卑怯とは言うまいな()
「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」
「待って下さい、メルドさん! 僕達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 僕達も……何より遠藤が!!」
「……オレグさん任せた」
「……」コクッ
後ろの“トラウムソルジャー”はオレグさんが何とかしてくれるだろう……いや何か既に一部蹴散らされてるんだけどね?!
「あ……貴方は一体……」
メルド団長がオレグさんが何者かを訪ねたので俺が代わりに答えた。
「メルド団長!その人は味方です!その人と一緒に行動してください!!」
「……分かった!だが、遠藤は!?」
「……大丈夫です!少し相手したらそっち行きますんで!!」
“トラウムソルジャー”を巧みな剣術でバッサバッサと蹴散らしていくオルグさんを一瞥して大丈夫と判断した俺はベヒモスに意識を向けた
「グルルルル……!」
「怒り心頭……って言った感じか?……ボスとして出るなら【暴獣、ベヒモス】と言った所か?」
俺はメルド団長に宛てた手紙を『スローイングダガー』に括り付けてメルド団長の足元目掛けて投擲した
「グルァァァァァァァァァ!!!!」
「……行くぞッ!!」
俺は2本の『失地騎士の大剣』を胸の前で交差するように構え、切り開くようにしてベヒモスに向かって行った。
◆◆◆
「す……凄い……!!」
「遠藤もそうだが……遠藤と同じような装備をしたこの騎士は一体……?!」
メルド達は上階への階段を目指して撤退しようとしていた。しかし彼らの意識は、遠藤浩介と彼が呼び出したと思われる騎士に向いていた。
襲い来る無数のトラウムソルジャーに果敢に立ち向かい、その嵐のような剣技で持っていともたやすくトラウムソルジャーを葬るその姿は正に英雄と呼ぶにふさわしき存在だろうとメルドを含めた戦闘のベテランたる騎士たちさえもその剣技に思わず舌を巻いた
また、たった1人でベヒモスを相手取っている遠藤にも注目が集まっていた。
確かにステータスプレートに書かれていたステータスはクラスの中では一番だったが、いかにステータスが高かろうと彼は争いを経験したことが無い子供の筈だ。
しかし、ベヒモスの攻撃を難なく回避してはそのすれ違いざまにお返しと言わんばかりに連撃を叩き込むその姿からは歴戦の勇士であることを彷彿とさせた。
……彼らは知る由もない。
遠藤たちの活躍にあっけにとられていたクラスメイトも、トラウムソルジャーを殲滅しているオレグの後に着いていく事にした。その際オレグが討ち漏らしたトラウムソルジャーをクラスメイトは確実に倒していった。
「うわぁ!?」
「危ない!!」
クラスメイトの1人がトラウムソルジャーの凶刃を喰らいかけた時
ガキン!
「……」
「あ、ありがとうございます……」
其処に割り込んだオレグが片方の剣で受け止め、即座にもう片方の剣で斬り返してトラウムソルジャーを処理した。そして再びトラウムソルジャーの群れに1人で突っ込み、蹴散らしていった
「かっ……かっけぇ……!俺も……あんな風になりてぇ……!」
……余談だがこの名も無きクラスメイトは後に憧れたオレグの姿を真似して二刀流を習得しようと必死に鍛錬をしたとか
「活路は開いた!皆階段へ向かえ!!」
「待って下さい! まだ、遠藤君が!!」
撤退を促すメルド団長に香織が猛抗議した。
「遠藤の作戦だ! あの騎士がソルジャーどもを突破して安全地帯を作ったら魔法で一斉攻撃を開始する! もちろん遠藤がある程度離脱してからだ! 魔法で足止めしている間に遠藤が帰還したら、上階に撤退だ!」
「なら私も残ります!」
「ダメだ! 撤退しながら、香織には他のクラスメイトの治療をしてもらわなきゃならん!」
「でも!」
メルドは遠藤から投げられた手紙付きのスローイングダガーに書かれていた内容を思い出し、命令を出した。
香織の視線の先には今なお1人でベヒモスに立ち向かい、メルド達にヘイトが向かないようにひたすら攻撃を続けている遠藤の姿があった。
そしてその様子を感じ取ったのか遠藤がベヒモスの攻撃を『猟犬のステップ』で回避しながら大声で叫ぶ
「俺なら大丈夫!!香織たちは撤退の準備を!!メルド団長!!お願いします!!」
「……わかった!」
トラウムソルジャーは依然増加を続けていた。既にその数は百体はいるだろう。階段側へと続く橋を埋め尽くしている。
しかし、オレグの存在と何より遠藤の戦っている姿を見て自分たちのやるべきことを理解したクラスメイトは清水の掛け声も相まって比較的冷静に剣だけでなく魔法も使ってトラウムソルジャーを処理していったのだった。
光輝や雫、清水なども持てる力を使って活路を開こうとしていた
そして、遂に階段への道が開ける。
「皆! 続け! 階段前を確保する!」
光輝が掛け声と同時に生徒たち全員が走り出す。ある程度回復した龍太郎と雫がそれに続き、バターを切り取るようにトラウムソルジャーの包囲網を切り裂いていく。オレグは後方に回りクラスメイトの後ろを守った
そうして、遂に全員が包囲網を突破した。背後で再び橋との通路が肉壁ならぬ骨壁により閉じようとするが、そうはさせないと光輝が魔法を放ち蹴散らす。
その行動にクラスメイトが訝しそうな表情をする。それもそうだろう。目の前に階段があるのだ。さっさと安全地帯に行きたいと思うのは当然である。
「皆、待って!遠藤君を助けなきゃ!遠藤君がまだたった1人で戦っているの!」
香織のその声を聴いて全員の意識が今なお1人でベヒモスを足止めしている遠藤へと向いた。
クラスメイトは、それを見るや否や遠藤を助けなければ!と意見が合致した。
……1名を除いては
檜山大介。彼は自分の仕出かした事とはいえ、本気で恐怖を感じていた檜山は、他のクラスメイトと違い、直ぐにでもこの場から逃げ出したかった。
しかし、ふと脳裏にあの日の情景が浮かび上がる。
それは、迷宮に入る前日、ホルアドの町で宿泊していたときのこと。
緊張のせいか中々寝付けずにいた檜山は、トイレついでに外の風を浴びに行った。涼やかな風に気持ちが落ち着いたのを感じ部屋に戻ろうとしたのだが、その途中、ネグリジェ姿の香織を見かけたのだ。
初めて見る香織の姿に思わず物陰に隠れて息を詰めていると、香織は檜山に気がつかずに通り過ぎて行った。
気になって後を追うと、香織は、とある部屋の前で立ち止まりノックをした。その扉から出てきたのは……遠藤浩介だった。
檜山は頭が真っ白になった。檜山は香織に好意を持っている。檜山は香織に片思いをしていたのだ。
……原作であればここで『南雲ハジメ』に対して憎悪を向けていただろうが、今回の場合は違った
檜山の知る遠藤浩介は、限りなく完璧に近い、自分に持ってない物を全部持っている存在という認識だった。
ここで遠藤が香織と付き合っていたのなら檜山は間違いなく諦めがついていたし、納得していただろう。※なおそうなった場合は血で血を洗う大惨事か遠藤共有化監禁ルートになっていた模様
しかし、当の本人の周りには香織に負けず劣らずの美少女達を侍らせるだけでなく、クラスメイトだけでなく学校中の人物からの信頼を勝ち取っていたのだった。
……ここで檜山に湧いたモノこそ『嫉妬』と『狂気』だった。
自分に持ってない物を持っているだけに飽き足らず、香織の必死のアピール(実際は相当えぐいアピール)を受け流しているにも関わらず、周りの女性陣に現を抜かす(本当に抜かしていたらやばい)『暴君』に檜山は思えた。
……捕捉をするが、檜山がそう思っているだけで実際は、ちゃんと全員に隔てなく平等(たまに折檻をされるが)に接しており、現を抜かしている訳ではない。てかしてたらマジでやばいことになってた
そしてこのトータスに召喚されて力を持った檜山はこう思った
『あの『暴君』を殺せば、香織が俺の物に……』
どう考えても頭が可笑しくなったような考えだが、異世界に召喚されたプレッシャーと訓練時に遠藤に返り討ちにされた苛立ちからこうした狂気の考えに至ったのだ
ただでさえ溜まっていた不満は、すでに憎悪にまで膨れ上がっていた。香織が(一瞬だけ)見蕩れていたグランツ鉱石を手に入れようとしたのも、その気持ちが焦りとなってあらわれたからだろう。
その時のことを思い出した檜山は、たった一人でベヒモスを抑える遠藤を見て、今も祈るように遠藤を案じる香織を視界に捉え……
ほの暗い笑みを浮かべた。
しかし、それに気づけた人物はいなかった
(……愚かな)
――ただ1人、月の魔女を除いて
◆◆◆
「グオォォォォォォ!!」
「意外にしぶといもんだな……」
俺があまり有効打を与えられていないのか、割としぶといベヒモスの攻撃を『猟犬のステップ』で回避しながら時間を稼いでいた
(まだか……? いや、準備は出来たようだな……)
ちらりと後ろを見ると多くのクラスメイトがそれぞれの魔法を行使しようとしていた。
目の前のベヒモスは正直瀕死の一歩手前だが……やりすぎたか?
(……さて、始めるか)
次の瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法が殺到した。
夜空を流れる流星の如く、色とりどりの魔法がベヒモスを打ち据える。ダメージはやはり無いようだが、しっかりと足止めになっている。
俺はそれを確認するとクラスメイトの方に向かって行った。
……そしてこちらに向かってくるある物を視界に入れると俺は檜山の方を兜越しに見た
(案の定、やりやがったな)
無数に飛び交う魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。やったのは当然檜山だ。その表情は下卑た物でとても見ていられるものでは無かった
幾らでも回避する術はあるが、俺はそれを敢えて何もせずに受けた
「グッ……!割と威力あるのなこれ……」
衝撃で仰け反った俺を待っていたのは最後の悪あがきと言わんばかりにひたすらに暴れまくるベヒモスだった。既に壊れかけの橋でそんな重量の持ち主が暴れたらどうなるのか。答えは明白だった
「グウァアアア!?」
当然崩れるに決まっている
(チッ……なまじ橋の中心付近で戦ってたからどうあがいても向こうにはいけねぇか……ごめんな、皆)
俺は心の中でクラスメイト(檜山を除く)と雫、香織、はじめ、光輝、恵理、そして清水に謝った。……最もこの心の声は誰にも届かないがな
一番近くにいたはじめちゃんがメルド団長と清水に押さえつけられながら叫んでいた。……清水も悲痛な表情を浮かべながら感情を押し殺して必死にはじめちゃんを押さえていた。
他にも俺の耳は、はじめちゃん以外の悲痛な叫びを捕らえていた
「いやぁアアアアアアア!!!!」
「待て!!遠藤を追うな!!」
「離して!!浩介が、浩介がぁああああああああ!!」
……はじめちゃんの悲痛な叫びを聞ききながら俺は奈落に落下していった。
さーて、どう落とし前をつけさせてくれようか?
俺は届くはずのない本気の殺意を檜山に向けながら落下の衝撃に備えた
(……あれ?待てよ?これ普通に死ぬんじゃね?)
原作とは違ってかなりの重量がある『失地騎士』一式を身に纏い、尚且つ
Q.フロムゲー主人公が高所から落下したらどうなります?
A.死にます(無慈悲)
「(あーハイハイ成程。詰まる所即死k)(断末魔)」
次の瞬間俺の意識は暗闇に沈んだ。
YOU DIED
何となく最後のシーンでエルデンリングのチュートリアルを思い出した投稿者でした
褪せ人様が落下した後のはじめちゃん達が悲惨なこと(誇張無し)になるのはは言うまでもありません
ラニ「……阿鼻叫喚とは正にこのことだな……」
これが次回の惨状を見たラニ様の反応です。既に嫌な予感がしてますが、何とかしてくれるでしょう(投げやり)
オリジナル侵入者(出るのはだいぶ後又は予定)を出しても良いですか?
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良いですよ
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うーん
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ここにラニ様の「神殿」を建てよう