深淵卿……?いいえエルデの王です   作:gnovel

25 / 34
閲覧ありがとうございます!

感想、評価、誤字報告ありがとうございます!

タイトルから既にオチてますが、まぁその通りです


親公認だよ!良かったね!褪せ人様!

一行は、階段に差し掛かった。俺を先頭に順調に登っていく。暫く飲まず食わずだったハウリア族にゆでエビやら干し肉やらレーズンをあげて体力を回復させたお蔭か、ずいぶん顔色が良くなった。

 

そして、遂に階段を上りきり、俺たちはライセン大峡谷からの脱出を果たそうとしていた。

 

登りきった崖の上、そこには……

 

「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~こりゃあ、いい土産ができそうだ」

 

三十人の帝国兵がたむろしていた。周りには大型の馬車数台と、野営跡が残っている。全員がカーキ色の軍服らしき衣服を纏っており、剣や槍、盾を携えていた。だが俺を見るなり連中は驚いた表情をして話しかけてきた。

 

「おい、あんた。どこの所属だ?そんな大層な甲冑を身に着けて……まぁ、いい。ほら、後ろの奴らを渡してくれねぇか?」

 

にやにやと笑いながら口々にハウリア族を品定めしているその視線をうっとおしく思った俺はどうやってこいつらを調理してやろうかと考えていた。

 

 

……その時だった。

 

ゾクッ

 

「この感覚は……まさか!?」

「浩介?どうしたの?」

「浩介さん……?」

 

体中を駆け巡ったこの感覚……狭間の地で散々味わった不快としか言えない感覚を覚え、すぐさま弓を外し、白く輝く特徴的な刀である『名刀月隠』を構える。

 

……そしてその時は来た

 

【【糞喰い】に侵入されました!】

 

『……漸く見つけたぞ』

「グァアアアアアアア!!」

「な、何だ貴sギャアアアアアアアアアア!!」

 

「よりにもよって……お前か!『糞喰い』!!」

 

侵入者特有の赤い霊体の姿で俺に向かいながら兵士を殺している存在は、狭間の地において【忌まわしき糞喰い】と呼ばれていた呪いの存在。全身に赤黒く錆と腫瘍に覆われた甲冑を纏いながらその手に人間の背骨のような禍々しい大剣『ミエロスの剣』で帝国兵を斬り刻んでいた。

 

それから帝国兵の抵抗も虚しくものの数分足らずで帝国兵は全滅して、その死体には『苗床の呪い』が発生していた。

 

その光景を目の当たりにしたユエ達は『糞喰い』の異様さに各々の反応を見せるが、共通しているのは『恐れ』であった。

 

「な……何、あれ……」

「ヒイッ!!い……嫌、来ないで……怖い怖い怖い怖い!」

「ユエ!シアを連れて下がれ!!こいつは俺が殺る!!」

 

『お前を殺してやる……後ろの奴らも残らず殺して、殺して、殺して穢してやる』

 

ユエは『糞喰い』から発せられるその異常なまでの殺意と憎悪に顔を顰めていた。シアや他のハウリア族達は亜人としての本能か、目の前の存在の危険さにいち早く気づくも『糞喰い』から発せられる膨大なまでの負の感情に圧倒されて腰を抜かしているようだった。シアに関しては咄嗟にユエに指示を飛ばし、下がらせた。ユエも事の重大さに気づき、咄嗟にシアを抱えて後方のハウリア族の方に向かった。

 

そして帝国兵の血と肉で汚れた剣を振り払う様子も無くそのまま近づいてくる『糞喰い』を前に俺は月影を鞘に収め、迎え撃つ準備をしていた。

 

『お前を穢し、そして、全てが呪われた世界を!!』

「『束の間の月影』!」

 

ミエロスの剣が振り下ろされると同時に俺も月隠を居合抜刀し、刀身から放たれる青い刃状の光こと『束の間の月影』を解き放った。

 

 

◆◆◆

 

三人称side

 

 

互いに一撃を見合ったところで浩介が糞喰いを蹴りつけ、遠くへ弾き飛ばした。

 

『グゥ……グッ……グゥオアアアアアアアアア!!』

 

糞喰いは仰け反りながら体に悍ましいオーラを貯め、それを解き放った。『王家の忌み水子』である。

 

無数に飛んでくる複数の呪霊の塊が浩介を追尾する。

 

「厄介な……!」

 

それを見るや否や浩介は刀を収めたまま走り出した。追尾を振り切るために糞喰いを中心として半円を描きながら迫りくる呪霊を回避していった。

 

やがて浩介はある程度の距離が離れた所で糞喰いの下へ駆け出した。糞喰いはミエロスの剣を構え、迫りくる浩介に向けて乱雑に振り下ろした。浩介は月影を鞘に収めたまま近づいた。

 

『オォオオオオオオ!!』

「――シッ!」

 

ガキィン!

 

縦に振り下ろされた月影とミエロスの剣がつばぜり合いになった。

 

僅かに浩介の力が押していたその時、糞喰いはミエロスの剣の本領を発揮した。

 

ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!

「チィッ!」

 

辺りに悍ましい叫び声と共に悍ましい何かが糞喰いの身体から飛び出した。

 

『ミエロスの絶叫』をまともに受けた浩介は全身が衰弱するような感覚に襲われた。そして浩介を縦に両断するべく迫りくる刃を間一髪左に跳び、回避した。

 

『死ね、死ね、死ね』

「それしか言えんのか?」

 

怨嗟の声をあげながら凡そ剣技と言えないような剣の振り方をする糞喰いに軽口を叩いた浩介だったが、次々と振るわれる刃を紙一重で躱していった。

 

そして魔術が使えることを確認した浩介は『ルーサットの輝石杖』を構え、魔術を行使した。

 

「『滅びの流星』」

『グゥ……! お、オォオオオオオオ!!』

「――なッ!? ならば!」

 

杖から放たれた十二の暗い流星は確かに糞喰いに直撃した。しかし当の本人は意に帰さない様子でひたすら浩介との距離を詰めてきた。まるで狂戦士のようだった。

 

思わず驚く浩介だが、すでに次の魔術の詠唱を開始していた。

雄たけびを上げながら迫ってくる糞喰いに向けて杖を、眼前にまるで武器のように掲げ……冷たい魔力を纏った魔力の大剣を形作った。そして、

 

「『アデューラの月の剣』!」

『アァアアアアアアア!!』

 

左下に向けて斬り払うと同時に、杖から冷気の刃が放たれた。

 

糞喰いは避けるそぶりも見せず、ひたすら前へ、前へ、突き進んでいた。そして直撃した。

 

糞喰いの鎧はひしゃげ、左腕が切り落とされていた。その断面は凍り付いており、決して安くないダメージを負っていたのにも関わらずミエロスの剣を右手の力と足の加速の力だけで右からの袈裟斬りを行った。

 

『死ね! 死ね! 死ねぇええええ!!』

「――ッ! 『束の間の……

 

浩介は杖を投げ捨て咄嗟に鞘に手を添えた。糞喰いは相変わらず醜くく恐ろしい怨念を放ちながら浩介を殺そうとしていた。

 

ミエロスの剣が浩介の身体に振り下ろされるその刹那――浩介は目にもとまらぬ早業で月影に魔力を込め、抜刀した。

 

……月影』!!」

 

冷気を纏った光の刃が糞喰いの右脇から直接右腕と頭部を切り離した。月影の刃と浩介の甲冑には糞喰いの血と肉片がこびりつき、やがて勢いを殺しきれなかった胴体は浩介の後方に前のめりに倒れた。やや遅れてミエロスの剣を握ったままの右腕と頭部が近くに落ちた。

 

『……いずれ……お前を殺してやる』

「来ないで貰えるとありがたいんだがな」

 

最後の言葉を残した糞喰いの身体は、赤い光に包まれ、その場から消え失せた。

浩介は月影を鞘に収め、一つため息をついた。

 

「全く……厄介だな」

 

辺りには糞喰いに穢され『苗床の呪い』に冒された三十もの帝国兵の死骸だけが残った。

 

 

◆◆◆

 

 

まさか糞喰いが来るとは思わなかったが、なんとか撃破できた……

 

一先ず鎧にこびりついた肉片やら血を石鹸で洗い流していると

 

「「浩介/浩介さん!!」

「えっ? ちょっ……ウォアアアア!?」

 

ユエとシアが飛びついてきた。しかし俺は足元の石鹸で滑り、転んでしまった。ユエとシアは、転んだ状態の俺にひたすら抱き着いてきた。

 

「良かった……! 本当に生きてて良かった……!」

「浩介さん……! 心配したんですよ……本当に……怖くて、死んじゃうかもって……!」

 

不安そうな表情と泣きそうな声をしている二人の頭を撫でながら、二人の安否を確認した。

 

そして視界の端にハウリア族が見えたのでそちらも無事だったことを悟った。一先ず二人を抱き返しながら起き上がる……起き上がれない!

 

「……あのー?」

 

一先ず一旦慣れるようにユエ達に話しかけるが……一向に離れん!

 

「……このままでいい」

「え?」

「……私も」

「え」

 

助け舟を出してくれんと言わんばかりにとカム達に視線を向ける。だが……

 

「浩介殿、娘を頼みますぞ。それと私が言うのもなんですが、見ていて冷や冷やさせられましたぞ……あのような戦い方は……」

「ゑ」

 

俺は味方がいないことを悟った。だが、戦い方についていつもあんな感じだと答えると……驚愕の視線と共にますます俺の拘束が強くなった。まるで蛇のようだな!(現実逃避)

 

「浩介さんは自分を大切にしなさすぎです」

「自分を犠牲に皆を守れるならそれでいいじゃないか」

 

何時もの事、何時もの事と答えると、ユエとシアが視線を合わせた。

 

「……ユエさん」

「……ん」

 

「ふ……二人とも……?」

 

俺を見上げるようにして二人の視線が俺に向けられる。その眼はハイライトが消失しており、少し恐ろしさを感じさせられた。

 

「……その体に分からせる」

「ヱ?」

「……私達がどれほど心配させられたかを、そして私たちがどれほど浩介さんを必要としているか」

「Eh?」

 

そうして俺の鎧と冑を引きはがそうとしてくる二人。咄嗟に二人の手を掴むが……力強ッ!? 

 

ヘルプミー!ハウリア族!!

 

「……ゴホン。シア、今は樹海に行こう。ここにいてもまた帝国兵が来るかもしれん」

「か……カムさん……!」

 

「その後なら浩介さんを好きにしてもいいからな」

「What?」

「……仕方ありませんね。ではユエさん、また後で()()しましょう」

「……ん」

 

「おぉ……(ラニ様)よ……なぜ私にこのような試練をお与えになるのですか……(絶望)」

 

できる事ならすぐに円卓に行って暖炉の傍で横になりたいと思った。……これはもう逃げられないなと感じました。




褪せ人様「他人の命は絶対守るけど、自分はどうせ復活できるし自分の命は投げ捨ててええやろ!他の人が助かるならそれでおけ!!」

ヤンデレs「は?」

関係ないですが、不死身の存在が何時ものように死にかけて、本人は軽く流しているつもりでも周りがそうは行かないというシチュエーションが好きですねぇ!

褪せ人様に限らず他の主人公も二つ返事で連帯保証人になってくれる感じがしてなりません

オリジナル侵入者(出るのはだいぶ後又は予定)を出しても良いですか?

  • 良いですよ
  • うーん
  • ここにラニ様の「神殿」を建てよう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。