深淵卿……?いいえエルデの王です   作:gnovel

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開幕発狂!全部褪せ人のせい!

ねぇ?どうして?なんで私以外に既に女がいるの?浩介?ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ?

これって裏切りですヨネ?まさか既に伴侶がいるだなんて聞いてませんヨ?説明してくださいよねぇ、ねぇ!!

 

「」

「……お前、相当厄介な奴らに好かれたもんだな……てっきり、既に話していたかと思っていた……済まん」

「「「ガクガクガクガク」」」

 

 

数分前……

 

「久しぶりだな……ブライヴ」

「フン、そっちこそ相も変わらずといった所か、褪せ人。いや、ラニの伴侶か……今は」

「まぁ、そうだn「はぁ?」アッ」

 

BLOOD LOSS(血が出た!)

 

この直後ユエは俺の首元に牙を立て、かぶりついた。かなり強めに噛んだらしく首の一部が削れ、そこから血がまるで噴水のように飛び出した。

 

薄れゆく意識の中、俺は聖杯瓶を飲みながらひたすら回復し続けた。

 

「おい!? 大丈夫なのか!?」

「あ……あぁ、うん大丈夫……ちょっと血を失い過ぎただけだから……」

「凡そ人間が出していい血液の量ではないぞ!?」

 

「フーッ! フーッ!!」

 

ユエは興奮しながらあふれ出る俺の血液をがぶ飲みしていた。そろそろ聖杯瓶が尽きるから次は神水瓶の出番か……と思いつつ呼吸を整える。

 

ブライヴは王家のグレートソードを構えながらユエを斬るべきかそうでないべきかを視線で問い合わせるが、俺はそれを手で制止した。

 

「何で……ッ!? 私の他に伴侶がいるの!? 浮気? 浮気なの!?」

「何を言っているんだこいつは……!?」

「うーん……これに関しては俺の自業自得カナー……アッそろそろ不味いことに……悪いけどブライヴ。俺をあっちまで運んでくれる?」

「……分かった……クソ……血の匂いで鼻が駄目になる……!!」

「フーッ! フーッ!」

 

ブライヴがユエごと俺を難なく担ぎ上げ、シアたちが待つ場所に向かってくれた。本当に済まない……

濃い血の匂いに顔を顰めながらも運んでくれるブライヴには感謝しかなかった。

 

 

暫くして長老たちが待つ地点に着いた時亜人族は驚愕していた。

 

「こ……これはブライヴ殿!? ウッ!? なんですかこの血の匂いは!?」

「えっ!? ユエさん!? 何してるんですか!!」

「……浮気者に鉄槌を下してた」

「は? 浮気者……? どういうことですか?」

 

ユエがシアに近寄ってさっきの話をしている。ブライヴはやらかしたかという表情で俺に憐みの視線を向けてくる。

そしてユエに、俺のことを話されたシアはというと……

 

「へぇ……?」

「シ……シア?」

 

目がカッと見開かれ、辺りにいた亜人族はブライヴ以外怯え切った。

……本来はどちらかと言えば被食者の立場な筈のウサギが、ヒエラルキーの上位に立っているとか考えたくもないですなはっはっはっ(現実逃避)

 

 

――そして冒頭に戻る

 

 

ユエとシアのあまりの変貌ぶりにハウリア族のみならず他の亜人族がまるで生まれたての小鹿のように隅で震えていた。ブライヴは申し訳なさそうに項垂れていた。

 

尚俺は吸血姫とウサギ(の皮を被った何か)に眼前から迫られていた。ユエもシアの目にはハイライトは入っておらず、目をカッと開けながら俺に迫っていた。

この状況を例えると……世界一怖い三者面談。これに尽きる

 

 

だけどこのままにするのは流石に他の亜人族が可哀想になってきたので、勇気を出して二人の説得を試みた。

 

 

「……あの、一先ずフェアベルゲンに行きません……? 後で(できる限りで)なんでもするんで……」

 

「「忘れないで」」

「……褪せ人……お前……」

 

ユエとシアは息を合わせ食い気味に俺の提案に答えた。だけどそれを見ていたブライヴは顔に手をあてて居た堪れないといった表情で俺を憐れんでいた。

 

物理的にも性的にも食われかねないこの殺伐とした空気の中、俺たちは足腰が震えているアルフレリックを他の亜人族が支えながら虎の亜人ギルの先導で進み始めた。

 

「誰だよ……ハウリア族が弱いだなんて言ったのは……」

「いいえ、シアが例外なだけですハイ」

 

一人の亜人族の嘆きともとれる呟きを即座に否定するカムであった。

 

 

◆◆◆

 

 

濃霧の中を虎の亜人ギルの先導で進む。

 

行き先はフェアベルゲンだ。ハウリア族、そしてアルフレリックを中心に周囲を亜人達で固めて既に一時間ほど歩いている。ブライヴは最後尾にいて周囲の警戒をしていた。

尚その間俺はユエとシアに万力のごとき力で腕を締め付けられながら歩いていた。

 

「……あれウサギじゃなくて蛇なんじゃ……」

「おい馬鹿止めろ……俺だってまだ死にたくねぇんだよ……」

 

……こそこそと聞こえる会話を無視しながら歩いていると、俺たちは霧が晴れた場所に出た。

そしてふと霧の周りをよく見れば、道の端に誘導灯のように青い光を放つ拳大の結晶が地面に半分埋められている。そこを境界線に霧の侵入を防いでいるようだ。

 

「あれは、フェアドレン水晶というものだ。あれの周囲には、何故か霧や魔物が寄り付かない。フェアベルゲンも近辺の集落も、この水晶で囲んでいる。まぁ、魔物の方は〝比較的〟という程度だが」

 

だが、とアルフレリックが付け足した

 

「ブライヴ殿がたまに寄り付いてくる魔物や帝国兵を蹴散らしてくれるお蔭で最近はその心配もあまりないんだがな」

「マジかブライヴ」

「……とはいえ、やっていることはいつもと変わらんがな……後は精々訓練をつけてやったりが主だな」

「それでも俺たちはあんたに感謝している。でかすぎる借りだが、いつか返そうと思う」

 

まさかブライヴがここまで亜人族に慕われているとは思わず、驚愕する俺だった。

 

「そういえば……お前はどこでブライヴ殿と知り合ったんだ? どうにも初対面には思えないんだが……」

 

「うーん……まぁ、ここではない遠くの場所で知り合ったな」

「……そんなところだ」

「ここではない場所か……なぁ、そこは一体どんな場所だったんだ? ブライヴ殿のような亜人も他にいたのか?」

 

ギルが俺に狭間の地のことを尋ねてきた。それに対して俺は正直に答えた。

 

「まぁ、ブライヴのような亜人は割と珍しい方だったな。他の亜人は皆正気を失ってて、俺や現地の人々に襲い掛かっていたな」

「……成程、理性があるだけまだこっちの方がマシか……」

「……理性があるのが、幸せとは言い難いんだがな」

 

ブライヴがどこか消極的な感じで呟いた。恐らく自分が辿った最後について考えを巡らせているんだろう。

 

 

――理性があることが果たして救いなのか、俺はイレーナ(殺された娘)エドガー(その父)の事が頭をよぎった。

 

「……あれはブライヴが悪いわけではないさ」

「お前が許しても、俺自身が気にするものだ」

「難儀だな」

「……それが俺だからな」

 

 

そうこうしている内に、眼前に巨大な門が見えてきた。太い樹と樹が絡み合ってアーチを作っており、其処に木製の十メートルはある両開きの扉が鎮座していた。天然の樹で作られた防壁は高さが最低でも三十メートルはありそうだ。亜人の〝国〟というに相応しい威容を感じる。

 

ギルが門番と思しき亜人に合図を送ると、ゴゴゴと重そうな音を立てて門が僅かに開いた。周囲の樹の上から、ハジメ達に視線が突き刺さっているのがわかる。人間が招かれているという事実に動揺を隠せないようだ。アルフレリックがいなければ、ギルがいても一悶着あったかもしれない。おそらく、その辺りも予測して長老自ら出てきたのだろう。

 

門をくぐると、そこは別世界だった。直径数十メートル級の巨大な樹が乱立しており、その樹の中に住居があるようで、ランプの明かりが樹の幹に空いた窓と思しき場所から溢れている。人が優に数十人規模で渡れるであろう極太の樹の枝が絡み合い空中回廊を形成している。樹の蔓と重なり、滑車を利用したエレベーターのような物や樹と樹の間を縫う様に設置された木製の巨大な空中水路まであるようだ。樹の高さはどれも二十階くらいありそうである。

 

「ふふ、どうやら我らの故郷、フェアベルゲンを気に入ってくれたようだな」

 

俺はその景色に見とれていたらしく、ギルが得意げな表情で俺に話しかけた。周りのハウリア族や亜人も得意げな表情をしていた。

 

「……すまん、普通に見とれていた。あぁ……綺麗だ……」

「ん……綺麗」

 

狭間の地の地下深くにある【永遠の都】の夜空も綺麗だったが、こっちもまた自然の調和という良さがあり、俺は思わず冑を取り、感嘆のため息をついた。

 

「あぁ……綺麗な空気……自然との調和……素晴らしい……」

「こ、浩介殿?」「浩介さん……?」

 

――星の外にいた時はずっと満天の星空だった。それも悪くなかったが、こうした自然あふれる物を見ると、どこか感傷深くなってしまう、人の営みと自然が相反することなく調和がとれているこの光景に俺は息を漏らした。

 

「狭間の地でも、こんな景色は見られなかった……」

「浩介……完全にトリップしてる……」

「戻ってこい褪せ人」

 

そういってブライヴが俺の頭を軽く叩いた。

 

「……少し、感傷的になりすぎてた」

「い、いえ、私たちの故郷を気に入ってくれてなによりです……」

 

俺の反応が予想外だったのか、シアを含めた亜人族が若干の戸惑いを見せつつ嬉しそうな表情を浮かべていた。

そして俺たちは好奇と忌避、あるいは困惑と憎悪といった様々な視線を向けられながら、アルフレリックが用意した場所に向かった。

 

 

(浩介のあの表情……初めて見た……少し、ドキッとさせられた……食べたい(意味深)

(浩介さんのあの顔は……本当に見惚れていた表情だった……綺麗だったなぁ……今すぐひん剥いて襲いたい

 

なんだ……通常の二倍の寒気が……!?

 

 

◆◆◆

 

 

――???にて

 

 

「……足りぬ」

 

どこか寂れたような印象を受けさせる城内にて、それはいた。

 

「……まだ、足りぬ」

 

城内の一室――そこは薄暗くも立派な構造をしており、明かりさえあれば荘厳な雰囲気漂う一室になっただろう

 

 

――だが、その景観をぶち壊すように数多くの死体が並べられてあった。

 

「これでは、あの褪せ人に勝てぬ……! もっと……もっと強き力を……!」

 

死体の山に共通しているのは、どれも腕や足と言った部位が無いことだ。そしてその行き先を示すかのように地面を這う血はその醜い巨躯に向かっていた。

その死体は主に魔人族であったり、大柄な魔獣等であり、それらはこの城『ストームヴィル城』に攻め入った際に敗北した連中であった。

 

「今一度得たこの命を以て……あの褪せ人を、父祖を打ち倒したあの褪せ人を……!」

 

そういって異形の男……【接ぎ木のゴドリック】は魔人族の腕を()()()

 

ゴドリックのその姿は狭間の地にいた時よりもさらに巨大になり、接がれた腕や足は歪ながらも機能しており、それぞれの手には武具が握られていた。

更に、嘗て竜を接いでいた部位には相も変わらず竜が接がれていたが、その竜にはトータスの魔物の腕が接がれており、かぎ爪のような悍ましい何かが作られていた。

 

更に背中からはまるで蜘蛛の足のように無数の腕が伸びており、それらも剣や斧、槍果てはバリスタ等を持ち合わせていた。

 

 

――歪な千手観音

 

こう表現するのにこれほど相応しい光景はないであろう

 

「待っておれい……今度はそうは行かんぞ……!」

 

 

――貪欲に力を求める老醜なる接ぎ木の王は、褪せ人を打ち倒すだけの力を蓄えていた。……最も、それが実を結ぶとは誰も言ってないのである




王になってから見ていた景色……満天の星空、のみ!

褪せ人「自然……いいなぁ……(遠い目)」
ブライヴ「……」(何となく察している)

良い光景を目の当たりにして大分ナイーブになっていた褪せ人様。普段のギャップにやられてとある二名がアップを始めました。ダレダロウナー

UA100,000行ったらまた番外編を出したいと思います

オリジナル侵入者(出るのはだいぶ後又は予定)を出しても良いですか?

  • 良いですよ
  • うーん
  • ここにラニ様の「神殿」を建てよう
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