雲一つない青空の下。街は活気で溢れ返り、ここオラリオは普段とは少し違う喧騒を見せていた。
《
人も神も思い思いに祭りを楽しんでいる中、とある二階建ての建物、その二階部分のテラス席で、不穏な空気に包まれながら相対する二柱の女神、そして二人の人物がいた──
「──はぁ。今度は何処のファミリアの子ぉを狙っとんねん。どうせまたしょうもない事考えてんねやろ?」
短髪で細目が特徴的な女神のその言葉に、水色がかったグレーの長髪を靡かせる、美しい女神の後ろに控えていた大柄な男──《猛者》の二つ名を世界に轟かせる、冒険者としては世界で唯一の《Lv.7》、オッタルが身体をピクリと動かし反応する。その刃物のような眼光は短髪細目の女神──ロキを捉えていた。
そんなオッタルの様子に、ロキの背後に控えていた美しい絹糸の様な金髪の少女──アイズも反応する。ピリピリと一触即発の空気となるが、ロキと美しい女神──フレイヤが二人共同じタイミングで片手をあげ、そんな二人を制止した。
「ふふ……強くはない、というよりもとても弱いわ。でも……凄く綺麗。あんなに透き通った色、初めて見たの。触れたら簡単に壊れてしまいそうな、でもその輝きを目にしたら触れずにはいられなくなってしまう、そんな子よ」
「ふーん。相変わらず何ゆーとるんかわからんわ」
何かを思い出した様になりながらうっとりとしているフレイヤに対し、ロキは大きく溜息を吐きながら肩を竦めた。アイズもかの美の女神が何を言っているのかわからないのか、きょとんとした表情を隠さずに表していた。
「それと……もう一人。そのあまりにも禍々しい闇、まるで死をそのまま具現化した様な
「はぁ?いや全然わからへんし。なんや《
どこか官能的な想像をしている様にも見えるフレイヤ。そんな彼女に対し、ロキは若干引きながらも困惑した表情をしていた。
同じ様にアイズも若干引いており、フレイヤの背後に控えているオッタルですら──表情でいえば変わりはないものの、しかしどこか苦労が滲み出る様な雰囲気を纏っていたのだった。
「
天井を見上げながら、どこか愛おしそうにしているフレイヤ。その様子はもはや微笑みというよりも恍惚とした表情であり、ロキとアイズはかなり引いていた。
そんな自身の主の様子に、オッタルが強く目を瞑り若干顔を下げていた時。話の途中でフレイヤが「ごめんなさい」と急いだ様子で退出し、残されたロキはぽかんと口を開きながら呆然となり、アイズは小さく欠伸をするのだった。
「──アイズ達来ないなー。何してんだろ?」
《闘技場》を支える巨大な柱の基礎部分、その高めの段差に登り、周囲を見渡しながら呟くアマゾネスの女性──ティオナ。彼女の「アイズ」という言葉に、段差の下できょろきょろと見回していたエルフの少女──レフィーヤが身体をピクリと震わせ反応する。その表情はどこか暗いものだった。
「ここで待ち合わせ、って言っといたんだけどね。ロキがあちこち連れ回してるのかしら」
もう一人のアマゾネスの女性──ティオネ。ティオナの双子の姉である彼女も、レフィーヤの隣で呆れた様子をしながら周囲をちらちらと見ていた。
今日──《
しかし横からロキがアイズの身柄を拘束してしまい──ロキ曰く、何か大事な用らしいのだが──ならばその用事が終わったら一緒に回ろう、という話になり、三人が待っているこの場所、《闘技場》で落ち合おうという事になったのだ。
《闘技場》では既に、《
「すみません、ティオネさん、ティオナさん。私が我儘言って……」
「何言ってんのレフィーヤ!あたしだってアイズと一緒がいいもん。だから気にしない気にしない!」
「そうよ。というか、元はと言えばロキが悪いんだし。そんな事でいちいち気落ちしてたら育たないわよ。どっかの誰かさんみたいに、ね」
落ち込んでいる様子のレフィーヤに、二人は思い思いの言葉を口にした。しかしティオネに関してはニヤニヤしながら双子の妹のティオナに視線を送っており──その突然の
そんな中レフィーヤは二人の慰めを受け、若干元気を取り戻した様だったが──しかし、未だに落ち込んでいる様子が拭えていなかった。
レフィーヤが考えていたのはアイズの事。彼女が一人でダンジョンに潜った事、その事が頭を巡っていたのである。
そもそもロキがアイズの身柄を拘束したのもその事が理由なのだが、しかしレフィーヤはそれによりアイズと祭りを一から一緒に回れなくなってしまった事が理由なのではなく──もちろんその事も多少はあるが──その事を全く知らなかった、という事で落ち込んでいるのだ。
アイズはレフィーヤの憧れである。そして、ずっとその背を追いかけ続けてきた。もはや憧れというよりも崇拝の様な感情を彼女に抱いているのだ。
そしてこの前の遠征。あの日何も出来なかった自分が腹立たしく、そして悔しかった。もう二度とこんな思いをするものか、と心に決めたのだ。
そしていつかアイズの役に立てる様に……と考えていたレフィーヤだったのだが、そこにきてアイズが一人でダンジョンに潜ったという事をロキから知らされたのである。その事を暴露されたアイズは若干バツが悪そうにしていた。
そんな様子のアイズを見たレフィーヤは、何故何も言ってくれなかったのだろう、自分はそんなに頼りないのだろうか、ティオネやティオナはその事を聞かされていたのだろうか、と負の連鎖に陥ってしまったのである。
傍から見れば考え過ぎなのだろうが、しかし彼女もいっぱいいっぱいなのだ。そしてあの遠征時に何も出来なかったという負い目もある。故に仕方のない事なのかもしれない。
その様な事もあり、レフィーヤは落ち込んだ様子となっているのだった。
「──ん?あれなんだろ。何してんのかな」
「……《ガネーシャ・ファミリア》、ですね。何かあったんでしょうか」
ティオナが目を細めながら呈した疑問に、レフィーヤが彼女の視線の先を見つめて答える。その先には武装した《ガネーシャ・ファミリア》の団員が、どこか張り詰めた様な雰囲気で移動していたのだった。
その不穏な雰囲気を感じ取った三人は、何か問題かもしれないという事、そしてもしかしたらそこにアイズもいるかもしれないという僅かな期待を胸に、その一行の後を追いかけるのだった。
「──ロキ?何してんのこんな所で」
「ん?おお、ティオネ。それにティオナとレフィーヤもか。いい所に来てくれたわ」
レフィーヤの一行が辿り着いたその場所には、《ギルド》の職員と何やら深刻そうに話し込んでいるロキの姿があったのだった。
そうしてロキに声をかけられた三人が彼女の元に近付くと、どうやら《
「アイズたんもほれ、そこにおる」
ロキが指を指した空──その一際高さのある《闘技場》のモニュメントに三人が視線を移すと、そこには足場がほぼないであろうモニュメントの上で立っているアイズの姿があった。
錦糸の様な金色の髪を靡かせ、そのまま目にも止まらぬ速さで、まるで空を翔けるかのように移動していくアイズ。ロキから「討ち漏らしを頼むわ」と頼まれた三人も建物の屋根に跳び移り──レフィーヤは二人の様にはいかなかった様だが──状況を確認する。しかし討ち漏らしも何も、凄まじい勢いでアイズは逃亡したモンスター達を討伐していたのだった。
「うーん。あたし達の出番はなさそうだねー。さっすがアイズ」
「そうねぇ。なんだか餌を目の前にして、お預けを食らってる気分だわ」
「わかるー。それそれ、そんな感じ」
八面六臂の活躍を見せるアイズの勇姿を見ながら、ニコニコとしているティオナと少々つまらなそうな様子のティオネ。レフィーヤは屋根に上がるのに結構苦労したのか、少々息切れをしていた。
「武器も、ないのに……よくそんな事言えます、ね……」
そう口にした所でレフィーヤは気付く。そもそもそのぐらいの力量差があるのだ、と。そもそも彼女達は、
自分と彼女達──アイズ達とは一体どれぐらいの差があるのだろう、とレフィーヤがまた落ち込んだ、その時だった。
「ちょっ!?何よアレ!?」
ティオネの動揺した様な叫びに反応し、レフィーヤが彼女の視線の先へと目を向けると、そこには──
「あたしあんなの知らないよ!?また新種!?《ガネーシャ・ファミリア》ってあんなのも
叫びながらも、その《
このままでは住民に被害が出てしまう、としたレフィーヤ達の一行は、そのままの勢いで臨戦態勢に入る。レフィーヤに魔法での後方支援を命じたティオネとティオナは武器こそ無いものの、《Lv.5》の力を以てすれば紙を破るかの如く、容易くその胴体を貫けると考えていたのだが──
「かったぁ!?」
「何よコレ!頭おかしいんじゃないの!?」
その凄まじい暴力の一撃──しかも《Lv.5》の二人による渾身の一撃である。本来であれば胴体を貫くどころか地面を深く抉っていた筈のその一撃は、蛇の様なモンスターの胴体を貫くどころか全くの無傷だったのである。それどころか、その一撃を見舞った二人の拳が赤く腫れていたのだった。
ティオネとティオナはまさかの事態に困惑し、ズキズキと鈍い痛みが奔る手を庇い、全く効いていない様子の蛇の様なモンスターに視線を送る。そして、ここでようやく気付いたのだった。
このモンスターは、
「レフィーヤ!今すぐ逃げなさいっ!!」
双子の妹よりも一歩早く、ティオネが大声で叫ぶ。しかし既に、遅かった。
ティオネが言葉を終わらせる前に地上から突如として出現した、更にもう一体の蛇の様なモンスター。それに気付いたティオナがレフィーヤの元へと駆け出す。そしてそのモンスターは
その時レフィーヤは、魔法の詠唱の途中であった。あくまで速度重視の短文詠唱の魔法であり、威力は控えめながらも彼女のスキルや魔力の高さにより、短文詠唱の魔法とは思えない程の威力を誇るもの。
その魔法で二人を援護しようとしていたレフィーヤ。しかし狙いを定めていた蛇の様なモンスターとは別の個体が突如出現し、その詠唱が終わるよりも更に速く、自身に向かってきていた。
レフィーヤは、まるでスローモーションの様な感覚に陥っていた。視界が鮮明となっており、目に映る全てのものがはっきりと見えていた。
自分に向かってくるモンスター。口を大きく開けながら何かを叫んでいるティオネ。そして自分に向かってくるモンスターの少し後ろで、悲痛な表情をしながら自分の元へと駆けているティオナ。
もしこの時、レフィーヤに
レフィーヤには
「ぐふぁ……!?」
その勢いのまま、凄まじい突撃をレフィーヤの腹部、その脇腹へと与えるモンスター。そのまま勢いよく吹き飛ばされたレフィーヤは近くの建物の壁に衝突し、そのまま地面を転がっていった。
「ごふっ……がはっ……」
目が虚ろとなり、口から大量の血を吐き出すレフィーヤ。痙攣しながら血を吐き出すその姿は、痛々しいなんてものではなかった。
「「レフィーヤ!!」」
大切な仲間が瀕死に陥っている状態を見たティオネは、急いでその元へと駆けつけようとする。しかしもう一体の蛇の様なモンスターがそれを許さない。
ティオナはレフィーヤに重傷を負わせたモンスターを無視して、喋る事も出来ずに血を吐き続ける彼女に近付こうとしたのだが──更にもう一体の蛇の様なモンスターが地面から出現。ティオナもまた、レフィーヤに近付く事が許されなかったのだった。
「蛇だか花だか知らないけどね……そこを!どけっ!!」
目を見開きながら額に青筋を浮かべ、凄まじい勢いの拳打をモンスターへと浴びせるティオネ。
本来であれば──《
「あ"……あ"ぁ……」
ティオネとティオナがその新種のモンスターに動きを止められている中、レフィーヤは口から血を零しながら後退りしていた。その表情には怯えの色が表れている。先程の突撃を受けた脇腹は痛々しく陥没しており、明らかに臓器を損傷していた。
そんな彼女に、ゆっくりと近付いてくる新種のモンスター。このモンスターもティオネに襲いかかっている個体と同様に、花開く様に変態し、その醜悪な口をレフィーヤへと向ける。
レフィーヤは、確かに恐怖の色に染まっていた。私はこんな所で死んでしまうのか、と。こんなわけのわからない化け物に食われ、短い生涯を終えてしまうのかと。
まだまだやりたい事があった。祭りを皆で楽しみたかった。本当なら今日は皆で笑顔になれる筈だった。こんな事になるなんて思ってもみなかった。
そうして彼女は気付く。あぁ、そうだ。いつもそうだ。そう、いつもいつもそうなんだ。私はいつも足手まといなんだ、と。
いつも私は足を引っ張ってばかりで、何の役にも立ちはしない。
いつもいつも、私は
レフィーヤが静かに目を瞑る。それは何かを覚悟してのものなのか、それとも何かを悟ってのものだったのか。
ただその表情はどこか、悔しそうなものだった。
「「レフィーヤぁぁ!!!」」
ティオネとティオナの絶叫が響く。二人の表情は、絶望の色に染まっていた。
そして花の様に変態したモンスターが、そのおぞましい大きな口をレフィーヤへと近付けた、その時──
『歪曲した在り方のもの共よ、晩鐘は汝の名を指し示した』
大きく目を見開かせ、呆然とした表情をするティオネとティオナ。そして彼女らだけではなく、新種のモンスター達も
『その命、天命の元に剥奪せん』
まるで闇が人を象ったかの様な存在──否、その姿を見たティオネとティオナは、
全身から吹き出すかの様な死の気配。触れたもの全てを死に誘うかの様な空気。その姿は、半ば伝説の様な存在となっている
『悪戯に弄ばれしもの共よ……安らぎを悦ぶがよい』
全身が凍りつく様な悪寒をひしひしと感じるレフィーヤがゆっくりと目を開けると、そこには──禍々しく刺々しく、所々に髑髏をあしらった鎧の騎士が、自身を食い殺さんとしていたモンスターと自分の目の前に立ちはだかっていたのだった。
その後ろ姿からは恐怖しか感じ取れない。全身から黒いオーラの様なものを放ち、装飾された髑髏の目の部分からも、青いオーラの様なものが出ている。そして──華美な装飾のない抜き身の大剣を、両手で地面に突き刺していた。
『我は死を運ぶもの、死を呼ぶもの、死を告げるもの』
地面に突き刺していたその大剣──何故か恐怖で竦んで動けなくなる程に恐ろしく感じるその大剣を、片手で軽々と引き抜いた大柄な体躯の髑髏の騎士。身長が2Mを優に超えるその体躯を、一切の無駄な動作なく動かし、ゆっくりとレフィーヤを攻撃したモンスターに近付いていく。
その様子を見ているレフィーヤはもちろん、ティオネ、ティオナ、そしてモンスターまでもが逃げるでも攻撃するでもなく、ただただ震えていた。
『我は汝の死である……首を出せ』
そう告げた髑髏の騎士は、ゆっくりと大剣を真横に振るう。その直後、
そのわけのわからない光景に、ただただ見つめる事しか出来ないレフィーヤ達。髑髏の騎士はそんな彼女達の視線を気にする事なく、残りのモンスター達にも近付いていく。
ゆっくりと歩きながら、そのままティオナの元にいたモンスターの横で大剣を振るう。しかしその一閃はモンスターにかするでもなく空を斬るのみ。しかし先程と同様にその直後、
その光景を間近で見ていたティオナは、全身の力が抜けたかの様に座り込んでしまった。
そんなティオナの様子も無視し、最後の一体となったモンスターの元へゆっくりと近付く髑髏の騎士。ティオネは今行われている事態、そしてそのあまりにも禍々し過ぎる髑髏の仮面に怯えてしまっていた。
そんな様子のティオネを無視し、恐怖よりも生き延びる事が勝ったのか、その場から逃亡しようとする新種のモンスター。しかし、まだそのモンスターとだいぶ離れていた髑髏の騎士がその場で大剣を真横に振るうと、その直後、またも
「あっ……あ……」
その様子を見てしまったティオナは、座り込んだまま立つ事も出来ず、恐怖のあまり歯をガチガチと震わせていた。
姉であるティオネはティオナ程ではないが、しかし双子の妹と同様に力が抜けた様に座り込み、その身体を小刻みに震わせていた。
そしてレフィーヤは──痛みも忘れ、ただただ髑髏の騎士に見入ってしまっていた。
当初は恐怖しかなかった。いや、今でも恐怖はある。それどころかあるなんてものではない、今も怖くて仕方がない。
しかしレフィーヤは、そんな髑髏の騎士をどこか美しいと思った。
何故なのかは本人にもわからないが、その在り方がどこか、かけがえのなく尊いもののように思えたのだ。
故に彼女は、何か美しいものを見るように髑髏の騎士を見つめていたのだった。
「あっ……待っ、て……」
恐怖で竦み震える事しか出来なかったティオネだったが、ゆっくりと歩き出した髑髏の騎士の背中に力無く声を投げかける。その歩の進む先は、真っ直ぐとレフィーヤの元へと向かっていたのだ。
確かにこのものはモンスターからレフィーヤを
その声にも気に留めず、ゆっくりとレフィーヤに近付く髑髏の騎士。ティオナは恐怖で動けないのか、ただただ震えるばかりだった。
ティオネも上手く動けないのか、しかし這うようにして身体を引きずりながら髑髏の騎士を追いかける。だがその差が縮まる事はなかった。
そうして地面に倒れながら自身を見つめるレフィーヤの元へと辿り着いた髑髏の騎士。その右手には大剣が携えられていた。
そしてゆっくりとその右手を上げ、大剣を──地面に刺したのだった。
『魔の道を進まんとするものよ。晩鐘は汝の名を指し示してはおらん』
静かにレフィーヤの元へと座り込んだ髑髏の騎士は、自身の刺々しい鎧で彼女が傷つかない様に、そっと優しく彼女を抱き抱える。そんな髑髏の騎士の様子に、ティオネとティオナは困惑した表情を向ける。ティオネに至っては這うのを辞めてしまうほどに困惑していた。
レフィーヤも少々困惑した様子だったが、しかし傷つかない様に自身を優しく扱うその髑髏の騎士に、彼女は全く警戒していなかったのである。
『飲め、そして暫し眠れ。そうしてまた、極めんとする道を往けばよい』
『先の異形のものの気配はない。急ぎこのものを連れて休む事だ』
そのままレフィーヤを抱き抱えながら──所謂お姫様抱っこの状態で、ティオネとティオナの元へと近付いた髑髏の騎士。二人は未だに困惑しているのか、ティオネは地面に這いつくばりながら、ティオナは座り込んだまま、髑髏の騎士を凝視していた。
そうして髑髏の騎士はゆっくりとレフィーヤを地面に下ろすと、三人に背を向け、そして二人の目の前から
口をあんぐりとしながら、髑髏の騎士が先程まで確かにそこにいた場所を見つめるティオネとティオナ。そんな二人はいつの間にか、もう震えてはいなかったのだった。
「──ティオネ!ティオナ!レフィーヤ!?」
髑髏の騎士が忽然と姿を消したそのすぐ後、アイズが空を駆けながらレフィーヤ達の元へとやってきた。その表情には焦りの色が浮かんでいた。
ボロボロとなって倒れているレフィーヤに気付いたアイズはすぐ様彼女に駆け寄るが、しかし大事には至っていない事を確認し、安堵の溜息を吐く。
そしてティオネとティオナの様子を見たアイズは、不思議そうな表情を浮かべるのだった。
「……どうしたの、二人共?」
アイズの言葉が聞こえていないかの様に呆然としているティオネとティオナ。そんな二人の様子に、アイズはまたしても不思議そうに頭を少し傾げるのだった。
そうしてる内に「おーい!大丈夫やったかー!」と声をあげながらロキも小走りをしながら合流し、ようやくティオネとティオナは我に返ったのだった。
「──本当に、いたんだ」
「ん?どしたんティオナ。なんやあったんか?」
レフィーヤの状態に驚いたロキと、彼女に付いてきていた《ギルド》の職員であるエイナ。二人はレフィーヤの無事を確認して安堵し、彼女を診てもらおうと《ディアンケヒト・ファミリア》へと、その場にいる全員で赴こうとした時。ティオナがどこか目を輝かせた様に口を開いた。
「髑髏の騎士……本当に、いたんだ。いたんだよ!」
ワクワクした様に目を輝かせるティオナに、アイズは不思議そうな表情を向ける。ティオネは「本当にいたのね……」と空を見つめており、エイナは「嘘……」と驚きの表情を隠さず、ロキは「髑髏の騎士って……
そうして皆が騒ぎ始めていた時、レフィーヤは安らいだ顔をしたまま、静かな寝息を立てていたのだった。
作者です。
第十五話。遂に来ました怪物祭!レフィーヤちゃんが大活躍……はしてませんでしたね。ボロボロでした。
そして久々に登場した例のあの人。いわゆるじぃじ。大活躍はじぃじでしたね。書きながら想像したら痺れちゃいました。
そんなこんなで不思議な縁を結んだレフィーヤちゃん。これから頑張って頂きたいです。頑張れエロフ!間違えた、エルフ!
というわけで今回はこの辺で。また次回お会いしましょう!