第1話 内藤隼人と伝説の少年ハリー
1991年9月1日、イギリス・スコットランド……。
いよいよ今日からホグワーツ魔法魔術学校で俺の魔法使いへの道が開かれる。
ホグワーツとは年少の魔女や魔法使いが魔法についての理論や実技を学ぶための7年制かつ、全寮制の教育機関。
進級や卒業についての制度は曖昧ではあるが、成績不良や素行不良が目に余る場合は退学もあり得ると聞いている。
実はホグワーツ以外にも世界各地に魔法魔術学校は存在しているが、俺がこの学校に入ったのには理由があった。
「あっ、痛っ!?」
俺はホグワーツに向かうまでの間に曲がり角で二人組みで歩いていたそのうち一人の少年とぶつかる。
わざとではない。
だが、ぶつかった少年が倒れてしまったので俺は手を差し出す。
「すまない 大丈夫か?」
俺が手を差し出すと倒れた少年が手を握り、起き上がるとそのまま握手する形になった。
「うん、大丈夫 こっちこそ話しに夢中で余所見してたから……えっと僕はハリー・ポッター 君は?」
かつて闇の帝王として君臨し魔法界を恐怖のどん底に落とし入れ、「例のあの人」「名前を言ってはいけないあの人」と恐れられたヴォルデモートの襲撃から生き残った者……。
額にある稲妻のようか傷痕を見るに間違いない。
コイツがハリー・ポッターか。
俺がホグワーツに入学した理由はコイツにある。
「ハヤト・ナイトウだ」
「ヨロシク、ハヤト」
俺は日本人で名前を漢字で書くと内藤隼人。
マグルの父と魔女である母の間に生まれた、謂わば魔法界では混血児。
魔法使いを純血以外認めず、我々を毛嫌いする者たちからは「穢れた血」と呼ばれることもあり、分かりやすく言えばマグルの世界でもハーフとして生まれた者が差別されたりすることあるだろう。
それと原理は一緒で特に純血を重視する魔法使いはプライドが高く、古臭くて頭が硬い連中はその傾向が強い。
気分が悪くなるのでそんなクズ共の話しは一旦置いて、何故俺がホグワーツに入ったのかという話しに戻るとしよう。
俺は一昨年、俺はある目的の為に家族でイギリスにやってきた。
それはハリー・ポッターを守る事……。
母曰く例のあの人は生きていてハリー・ポッターを狙い続ける、しかしハリー・ポッターはヴォルデモートを倒す予言の子なのだそうだ……。
だからハリー・ポッターが成長するまでは近くから見守り、時には守ってほしいと言う事らしい……。
子供が子供の守り役では不足だと聞こえてきそうだが、そんじゃそこらの同い年の奴らと一緒にされては困る。
俺には母から教わった内藤家にだけ伝わる攻防一体の魔法があるからだ。
その魔法とは杖を剣状の武器に変える事ができ、特に闇の魔術や生物に対して効力を発揮する。
そう、死の概念がなく、吸魂鬼と呼ばれ恐れられるディメンターでさえもこの魔法剣にかかれば消滅させられる程の威力を持つ。
そんな強力な魔法だからこそ、母にはここぞと言う場面以外では使用を控えるようにとここに来る前に釘を刺されている。
まぁ、そんな物騒な魔法使わない事に越したことはないのだがな……。
「僕はロン・ウィーズリー」
「おう……これからよろしくな ハリー、ロン、自己紹介はいいんだが置いてかれるぞ」
ホグワーツに向かっていた集団からはぐれてしまって、迷子になったのならそれは非常にダサい。
「ホントだ! 二人とも急ごう!」
ハリーと俺は集団に戻るべく慌てて、走り出す。
遅れてロンが動き出すが待っている暇などない。
「待っ、待ってよ!」
入学式に遅刻なんてしたら悪目立ちして、色んな奴らに目をつけられてしまうだろう。
そうなってしまえば今後のホグワーツ生活に支障が出る。
もしかしたら時には仕方なく規則を破らないとならない場面が来る可能性があるかもしれない。
そんな時、目をつけられている奴とそうでない奴とでは周りの見る目が違ってくる。
やる時はやる、メリハリはつけなければならないのだ。
「二人とも遅いわよ! 何してたの!?……ってあなた誰?」
そう大声を出してるのは、瞳の色は茶色、髪は茶色く量の多い縮れ毛の少女。
ちなみに女の子の前歯は大きい。
前歯が出ている女は情が深いと父が言っていた……。
この女……よく見ると悪くない!。
化粧して髪を整えるだけでかなり化けそうだ。
「な、何よ……」
「ハヤト!ハヤトってば!……」
「ん?……」
「彼女、怖がってるよ!」
俺はハリーに肩を揺すられ、ハッと現実に戻された。
どうやら悪い癖が出てしまったようだ。
ダイヤの原石があるとどうしても、まじまじと観察してしまう。
「あっ……すいません あまりに美しかったものだからつい……ハヤト・ナイトウと言います」
「……ハーマイオニー・グレンジャーよ……」
ハーマイオニーは俺が握手しようと差し出した手に全く反応せず、気味が悪そうにこちらを見ながら、ハリーの背後に隠れる。
まさか嫌われてしまったか!?。
だとすれば一生の不覚!。
「もぉ二人共、速いよ……置いて行くなんて酷いじゃないか……」
ようやくロンが追いついてきたようだ。
ゼェゼェと息を切らしながら、俺とハリーの肩に手を置きながら息を整えている。
「あぁごめんよロン、慌ててたからさ」
「まぁほらあれだ……結局、間に合ったことだし終わりよければ全て良しってな!」
何とか間に合ったし俗に言う結果オーライってやつだ。
俺たちが新入生の集団に戻ると、目の前にはホグワーツの入口と人影が見えてくる。
「緊張してきた……」
「だ、大丈夫だよハリー……」
ハーマイオニーは落ち着いているみたいだがハリーとロンの足は震えていた。
二人共、恥ずかしがり屋なのか?。
まぁ緊張を少しでも和らげてやるか。
「二人共、落ち着け 死ぬわけじゃないだろ」
「そりゃそうだけど……ハヤトは緊張しないのかい?」
ハリーがそう聞いてきたが、入学式程度て緊張とは?。
別に命のやり取りをするわけでもないのに大袈裟な……。
「全くしないな……」
「なんか君、大人びてるよなぁ……」
まぁロンの言葉は褒め言葉として受け取っておこう。
そんな会話をしていると、どうやら俺はたちは知らない間に集団の先頭になっていた。
そのままホグワーツへと入場すると長い階段が俺たちを待っており、その階段を上がりきると入学式が行われる大広間の入口前に今度は黒系の鍔の広い三角帽子を被った魔女マクゴナガル先生が待ち構えていた。
「ようこそホグワーツへ さて、これからこのドアを潜り、上級生たちと合流しますが、その前にまず皆さんがどの寮に入るか組分けをします」
寮は4つ。
勇気、大胆さ、気力、騎士道的精神を重視するグリフィンドール。
知性、知識、智恵を重視するレイブンクロー。
勤勉、献身、忍耐、忠義、公平性を重視するハッフルパフ。
野心、狡猾さ、機智を重視するスリザリン。
選ばれた寮がグリフィンドールならば勇猛果敢な騎士道を忘れなければ最良の仲間と成功を収められるだろう。
レイブンクローならばその吸収する意欲さえあれば、機知学びの友人を必ず得て飛躍するだろう。
ハッフルパフならば正しく忠実で忍耐強く真実で苦労を苦労と思わない、その意気があれば素晴らしい親友を得て、活躍の道は開けるだろう。
スリザリンならばどんな手段を使っても目的遂げる狡猾さを身につけて最高の友と暗闇ですら支配できるだろう。
……と誰かが言っていたような気がする。
「あぁ……ごめんなさい……」
マクゴナガル先生が色々と説明をしてくれている時にポッチャリ気味の少年が蛙を保護した……。
全く……優しいのはいいが、今やるなよ……。
少しは空気読めと言いたくなる。
「本当なんだ 汽車で聞いた話し ハリー・ポッターがホグワーツに来たって」
ハリー・ポッターと言う名前を聞いて、騒つく周囲の学生たち
金髪の割と顔の整った少年が何やら話し始めたが、話し方でもう分かる。
あぁ、コイツはいけ好かない奴だと……。
「僕の名はマルフォイ ドラコ・マルフォイ」
その名を聞いて、いや名前と言うより喋り方や態度か。
ロンがクスっとマルフォイをバカにしたような笑いをしたので俺はロンだけに聞こえるように「やめとけ……」と制止したが、時既に遅し。
マルフォイの耳にその笑い声は届いてしまっていた。
「僕の名がおかしいか?」
入学式前にくだらない喧嘩は避けるべきだ。
確かにマルフォイは気に食わんが今のは人の名前を笑ったロンにも非がある。
「魔法族にも家柄のいいのと、そうでないのがいるんだ 付き合う友達は選んだ方がいいよ 僕が教えてあげよう」
何なんだコイツ……。
上から目線で偉そうに……。
こういう奴がマグル差別者になるのだろう。
いつか俺がお灸を添えてやるかな。
「……いいよ、友達なら自分で選べる」
マルフォイに対して非常に秀逸な返事だと思う。
これにはさすがの俺もニヤリとしてしまった。
マルフォイは俺たちを睨んでいるが、丁度良いタイミングでマクゴナガル先生がマルフォイの肩を叩く。
「準備できました 来なさい」
大広間の入口が開くと、俺たちはマクゴナガル先生に続いて、大広間へと入場する。
美味しそうな食べ物の匂いが鼻の中にフワ〜と消えていき、上を見上げると宙に舞う蝋燭と綺麗な夜空に見立てた天井……。
そして美しい上級生の女子たち……。
さすがの俺も高揚感を感じてしまい、顔にそれが出ないように無表情を貫く。
「では儀式を行う前にダンブルドア校長からお言葉があります」
暗黒の森は立ち入り禁止、右側の三階の廊下は近づくな。
理由は恐ろしい苦しみと死が待っているかららしいがそんな場所を学校に作るなと言ってやりたい。
それだけ言い終えると、再び、ダンブルドアは椅子に腰掛ける。
何と非常にスピーディーな挨拶だろうか。
一分も経たずに挨拶終了とは……。
「名前を呼ばれた者から前に出るように 組分け帽子が寮を決めてくれます」
組分け帽子とはまさしく組分けする為に存在する帽子。
被るとその者の思考などを読み取る力を持つ。
何でも寮の創始者たちの思考が反映されているらしい……。
「まずはハーマイオニー・グレンジャー」
「どうしよう……大丈夫 リラックス……」
反応を見るに意外と彼女なりに緊張はしていたようだ。
年相応の可愛いところもあるじゃないか。
「変な子だよな アイツって」
ロンの言葉にハリーが頷くが、俺はそれを否定する。
「お前らには分からんか ハーマイオニーはいい女だ」
「冗談だろ? まさか君あんなのがタイプなの?」
「世の中に可愛さを一つも持ってない女性など存在しないのだよ すぐ俺が言ってることを分かる日が来る」
「ホント君、年齢いくつなんだよ……」
そしてハーマイオニーはグリフィンドールに決まると大きな拍手が沸き起こる。
続いてマルフォイが呼ばれて即決でスリザリン。
この時、俺とハリーはベタっとした黒髪に血色の悪そうな全身黒服の教師と同時に目が合った。
「痛っ!……」
「うがっ!?……」
そしてハリーは額を俺は偏頭痛が起き、頭を押さえる。
「二人共、どうかした!?」
「別に!……何でもないよ……」
「あぁ……何でもない……」
そうは言ったが、何だったんだ今の頭痛は……。
本当に一瞬だったが、痛みの中に懐かしさも含まれていた……。
あの黒服の先生に会ったことないはずなんだが……。
「ロナルド・ウィーズリー」
今度はロンが呼ばれて、秒でグリフィンドールに決定。
選別がスピーディーな為、テキトーに見えるがまぁここまでは妥当。
ハーマイオニーはレイブンクローも有り得ると思っていたが、想定内ではある。
ハリーはハーマイオニーやロンと比べると寮を選ぶのに割と時間がかかったが「スリザリンは嫌だ」と連呼したからかグリフィンドールに決まった。
そして「ハリーを取ったぞ!」「ハリーを取ったぞ!」とグリフィンドールの寮生たちはかなり盛り上がっている。
「ハヤト・ナイトウ」
いよいよ俺の番だ……。
正直、本来なら寮などどこでもよい。
どこで学ぼうが成功できるかどうかは自分次第でしかないからだ。
しかしハリーがグリフィンドール。
つまりグリフィンドールに入寮しなければ、彼を守りにくくはなる。
ハリーを守る為、グリフィンドールに組分けられることを願うしかない。
「お前のような奴は珍しいな 何があっても友を守りたいと言う気持ちしかないようだ……その勇敢さ……グリフィンドール!!」
思っていたより、あっさり決まったか。
これで他の寮に入れられそうなら、組分け帽子を脅さなければならないところだった。
「ハンサムボーイゲット!」「ハンサムボーイゲット!」……と双子の上級生がガッツポーズすると俺は盛大な拍手でハリー、ロン、ハーマイオニーが座るグリフィンドール寮生が陣取るテーブルに迎えられる。
あぁちなみにさっきの蛙保護したネビル・ロングボトムって子もグリフィンドールらしい……。
組分け帽子よ……。
やっつけ仕事になってきてはいないか……。
ネビルはグリフィンドールは采配間違えてる気がしなくもないが。
まぁ俺にとっては別にどうでもいい事だがな。
ここから俺はハリー、ロン、ハーマイオニーやグリフィンドールの仲間たちと共に冒険を経験し様々な困難を乗り越えていく……、
今の俺たちはまだ分かっていなかったのだ……。
本当の自分を……。