シンボリルドルフと壊れたトレーナー   作:宮秋

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ルドルフと究極の2択

世の中には究極の2択というものがある、選びやすい簡単なものや、選びにくいもの、屁理屈を並べ突破案を出したり、絶対的にこちらと言い張ったりすることもある。

ルドルフなら簡単に答えを出してくれるだろうが、今回は持論を持ち込みたいと思う。

まあ、ルドルフは探すまでもなく生徒会室に居るのだが……

 

 

「大きな帆を立てて、貴方の手を引いて、荒れ狂う波に揉まれ、今すぐ〜、風に〜なり〜たい〜♪」ガチャ

 

「やあ、トレーナー君、今回はちょっと古めの曲を持ってきたようだね」

 

「ちなみに俺はただ好きな曲を持ってきているだけだからな、稀にコンセプトに合ったものを持ってきたりもする」

 

 

俺も色々考えているんだぜとドヤ顔をしておく そしてルドルフの隣に座り、本題に入った。

 

 

「なあ知ってるか?話が上手な人ってことは『聞き上手』の事を指すんだぜ?」

 

「そんな事を言って結局は君が話したいだけだろう?」

 

「そうだよ!!でもルドルフは聞いてくれるんでしょ?」

 

「違いない」

 

「さっすがールドルフ太っ腹!」

 

「君が言うと他意があるようにしか思えないのだが……」

 

「じゃあデ…あだだだ!!冗談ですルドルフさんアイアンクローしないで!?」

 

 

ルドルフの耳としっぽを見る限り完全に怒っていらっしゃる これは早めに手を打つべきだと思い素直に頭を下げることにした。こういうところだよ……だからモテねえんだよとか言わない! あとなんとなく最近ルドルフと仲良くなってるしね。ルドルフは腕を組んでいる、これは機嫌がいい時によくする癖だ、そのせいか、最近距離が近くて困るこの前は手を繋いでいたからな……手を繋ぐなんて小学生以来してないが…………話が脱線してしまった、本題に戻ろう。

 

 

「ルドルフは究極の2択ってのを知ってるか?」

 

「ふむ、『どちらかしか選ぶことができない状態』『どちらにも決めきれない状況のこと』かな?」

 

 

流石である。完璧な回答ありがとうございやす そして俺は今回それに乗っかることにした

 

 

「実は俺もそれを考えていた、そこで今回のテーマにピッタリだとおもうものを模範解答込みで紹介しようと思う」

 

「なるほど……私には答えがわからない、それをヒント付きで提示しようと言うのだね?」

 

「『カレー味のうんこ』か『うんこ味のカレー』かってやつがあってだな」

 

「生徒会室でする話ではないな」

 

 

いかんなこれでは本題に辿りつけんぞ! 俺は一旦落ち着くために紅茶を飲むことにする……ふう落ち着いたところで本題に入ろう。

 

 

「ルドルフはもし片方しかない食べ物を食べなければ死んでしまうという状況になった時どっちを食べる?ちなみにどちらも選べなかった場合は両方食べるっていう選択肢もあるけどそれは無しだぜ」

 

 

するとルドルフは目を閉じ少しの間考える仕草をする ルドルフにしてはとても珍しいことだと思ったが構わず俺は口を挟む。

 

 

「ちなみに模範解答は『カレー味のうんこをケツで食う』が正解だ」

 

 

ブフーッ!!ゴホッゴホ!っとルドルフが咳き込む まあ普通に考えたらうんち食べたくないもんな……分かるぞ。俺はそう言いながらルドルフが持ってきていたタオルを渡す。

 

 

「大丈夫か?ほれタオルやるからこれで拭けよ」

 

「ああ……すま……ない、ちなみに解説を頼む」

 

「そのままだろ」

 

「本当にそれで良いのかい?君はもう少し考えてくれても良いのではないかな?私が聞きたいのはそうではなくてもっと具体的なことなんだ、参考程度になる程度で構わない、君ならどちらの選択をするんだ?」

 

 

俺はルドルフの問いを聞き答える前にまず模範解答の説明をする事にした

 

 

「まあ選ばないと死ぬってのは栄養失調的に死なないと仮定した時だけどな、一応医療としては腸内環境を整える方法として存在するからね」

 

「へぇそうなのか……」

 

 

感心するようにうなずくルドルフだが多分わかっているとは思う。というかさっき自分で説明しろと言ったじゃないか、何が知りたかったんだよ全く…… そんな事を考えつつも俺は話を戻す

 

 

「じゃあ純粋にふたつを選んで食べるとしよう、俺だったら……『うんこ味のカレー』かな」

 

「ほう?」

 

 

ルドルフの目の色が変わる、興味を持ったようだ

 

 

「なんというかほら、『カレー味うんこ』は細菌的に無理があるじゃん?だとすると『うんこ味のカレー』のうんこの味という部分に賭けた方がまだ良くないか?」

 

 

俺はそう言うが正直どうだろうか 俺が思うにカレーはスパイスから作っており味はカレー粉で調整される。つまりカレー自体の美味しさというのは調味料に依存している部分が大きいはずだ。カレーを作る過程で香辛料を入れるため味の濃さは変わるだろう。しかし香辛料は体に毒だと言われている、そしてカレーに使ったカレーの素、ルーなども当然のように体に害を及ぼすものばかり、そんな物を大量に混ぜたらどうなると思う?そう味が薄まるんだよ、だからカレー本来の味は消え去り別の物に変わってしまう。

 

 

「うーん確かにそうだが……それなら『カレー味のうんこ』でも結果は変わらなんじゃないかい?」

 

 

ルドルフも納得しているようで首を傾げている そりゃそうだよな、結果は何も変わらないしな 俺はルドルフの言葉に対しこう切り返す。

 

 

「まあスプーン1杯程度なら何とかなるかもしれない、朝起きた時の口内はそれ相応の菌が繁殖しているともいわれている。だが量によっては話は別らしい、いくら胃液で殺菌できるとしてもあくまで1パーセントは残る、この場合腐り具合、細菌の量によっては死ぬ、そんな拷問で殺せる話を聞いた」

 

「君にしてはまともな意見を出したね」

 

「どういう意味だよ!俺いつもちゃんとしてるだろ!?」

 

 

俺は抗議する。しかしルドルフの態度を見る限り聞く気はなさそうだ

 

 

「ふっ君らしくもない冗談を言うからだ」

 

 

はぁ……と深い溜息がでる もう本題なんて頭の中から完全に消えてしまった、なら別の問題を出そう。

 

 

「じゃあルドルフはトロッコ問題を知っているか?」

 

 

ルドルフは一瞬キョトンとしたが、直ぐに顔色を変える 流石に知ってるか。

 

 

「知っている……だがその話は……私は……」

 

 

その言葉の先を俺は知っていた。俺は彼女の手を握る ビクッと反応するも彼女は握り返してくれた。

 

 

「安心しろ俺は模範解答を出すと言った、まあ例題を出すとしよう『5人殺す』か『レールを切り替えて1人を殺す』かだがこれにも模範解答がある、ルドルフには分かるか?」

 

「わからない……」

 

 

まあその反応が普通だろう、ルドルフにはこの問題の模範解答を教えていないからな。模範解答を出さない俺に対して怒るのは当然の事だ

 

 

「ルドルフの答えでいいから教えてくれないか?」

 

 

俺の言葉を聞くと少し黙った後、答えを言ってくれた。

 

 

「君は優しいから……きっと私には言わない答えだ、君はどちらか一方に決めきれない時、君だったらどんな状況でどちらを取るのか分からないんだ」

 

 

ああ、そうか 俺はこの時やっと気づいた。彼女がこんな事を言った理由は自分の為だと言うことをルドルフは今の状況ではどちらも選びきれないと判断したのだろう。なら俺の模範解答は決まっている 俺は少しの間目を閉じる、そして開くと同時にルドルフの瞳を見て、はっきりと告げる

 

 

「俺の答えは『レールをタイミングよく切り替えて脱線させる』だ、前輪が渡った後に後輪をもう一方に飛ばせばトロッコはさすがに止まる、かなりの賭けになるがな」

 

「なっ……!」

 

 

予想していなかった回答が出たのか驚愕の表情を見せる

 

 

「そ……そんな事は可能……なの……か?」

 

 

まあ疑問にも思うよな だがこれが正解なんだ。俺はこの考えに至るまでに3つほど条件を付けている、1つ目がタイミング、2つ目が乗員が居ないこと、3つ目に最終的な損害だ。まず最初に言っておこう。この方法だと6人の命は助かるがトロッコは確実に死ぬ。

もし乗客や運転士がいたらどうなるんだろうな?まあ多分助かんないんじゃねえかな?

次に事故が起きる可能性についてだが、これについてはある程度把握出来てる、これは実際に実験をしたからな 結論としては2つの線路の間で転がっていった、それすら避けられない可能性があるが、それすら避けられないならいっそ死ねってこった。

 

 

「まあ実際そんな事出来る訳無いし無理だけどな、でも俺はそれで良いと思ってる」

 

 

ルドルフが驚いた様子のまま口を開く

 

 

「なぜ……そんな無茶なこと言えるんだ?そんな事が出来るわけ……」

 

「正直俺はこの状況になったら迷わず身内を選ぶよ、両方にいたら詰みだが、それすら何とかしたい時の知識として持っとけ」

 

「……わかった」

 

 

ルドルフは納得していない様だったが無理やり納得させた 正直この話は終わりにして次の問題に行く。

 

 

「今度は『5億年ボタン』問題だ、100万円貰えるが5億年間送られ記憶は失うってやつ、ルドルフならどうする?」

 

「……私は押すと思うけど」

 

 

やっぱりそういう思考だよな、俺だってそうすると思うわ。

 

 

「これにはちょっとした哲学の話があるんだけど聞くかい?」

 

 

ルドルフに聞くが返事はない 俺は続ける事にする。

 

 

「体感時間の問題があるんだけど、簡単に言うと年齢xとその瞬間の体感時間yは1/Xとして反比例するんだ、それを積分すれば体感時間の比率が計算出来るようになる」

 

 

俺は説明を続ける。

 

 

「積分するとlogxになってそれぞれに5億20と20を入れて割ると6位になる、まあなんて言うか5億年ボタンを押してもせいぜい体感時間は20歳までの体感時間の6倍っていったところだな」

 

「じゃあ……ボタンを押すと?」

 

 

俺はその問いに対し答える

 

 

「ちなみに刑務所にとあるルールがあってだな、懲罰房に90日以上入れては行けないというルールだ、ちなみに俺は30日も持たなかった、そういう部分を考えれば流石に押したく無くなるかもな」

 

 

俺は冗談交じりで笑いながらルドルフを見る。ルドルフも笑っていた、だがどこか悲しそうに見える

 

 

「私は……押さないな」

 

 

その答えを聞き安心する、まあそれが正解なんだよ。

5億円欲しい奴なんていくらでもいる、だけど自分が歳を取らなくなって一生閉じ込められるなんて普通は絶対嫌だよ。だからこそ押さないという答えが出てよかった

 

 

「ちなみに俺の模範解答は『ルドルフを騙して押させる』だ」

 

 

天国じゃなくても、楽園じゃなくても、あなたに会えた幸せ感じて、風になりたい♪

 

 

 

今回の敗因:風のように速く走っても、キレたルドルフには勝てない。

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