トレーナーやウマ娘御用達のトレセン学園の購買、購買にしてはかなり大規模なもので小規模のスーパー並の広さで商品が豊富である。
「んー……どれにしようかなぁ……うーん……これもいいしこっちもなぁ……でもやっぱりこれにしておこうかな?」
俺は今購買にいるんだがかなり広いなぁ……と感心しながら悩んでいたら隣から声をかけてくる人物がいた。
「やはりトレーナー君か、何を探しているんだい?」
「いや、ルドルフに何味のロイヤルビタージュースを飲ませようかなって……お!グレープフルーツ味ってのがある!」
「もしかして昨日の事を根に持っているのかい!?」
そう言うと少し悲しそうな顔をしながらこちらを見つめるルドルフ、俺がロイヤルビタージュースグレープフルーツ味を手に取り、そのまま買い物かごに放り込むのを見ると慌てて謝ってきた。
「すまなかった!!出来心だったんだ!だからそのロイヤルビタージュースを飲ませないでくれ!!」
「いやー、ルドルフが俺の血を飲んだじゃん?腹壊してないかなーって」
「大丈夫だ!別に腹は壊してないぞ!?会長の腸は超快調ということだ!」
「ショコラトル味も追加っと……」
「すまない会長命令だ頼む!辞めてくれ!」
はあはあと肩で息をして必死に訴えかけてきたルドルフはさっきまでの威厳など全く感じさせないほどの形相で迫ってきている、よっぽど苦手なんだろうな……この飲み物。発売当初は命の危険を感じ、全て買い占めてトレーナーの分の在庫を消すという荒業をするルドルフが発生したため、それ以降一人の購入制限が掛けられている、ちなみに罰としてルドルフが全部飲んだ。
「仕方ないな、これは俺が飲むよ」
「本当か!?良かった……」
ほっとした様子を見せるがまたすぐ真剣な表情に戻る、忙しい奴だよなほんと。
「お、割り箸あるやんけ、って事はもしかして……」
俺は大量の割り箸をカゴに突っ込み、文房具コーナーへと向かう。
「確かここらへんに輪ゴムが……あった!」
「急に脈絡が無いものを買ってどうしたんだい?」
「は?割り箸と輪ゴムがあったらやることはひとつだろ!?」
「え、そんな当たり前みたいに言われても私分からないのだが」
「あとはハサミも買わないとな、あと糸も……流石トレセンの購買、ハサミも色んな種類あるやん!」
俺は迷わず硬いものを切る用途のハサミを選んだ。糸は赤を選び、ついでに食べ物も買っていく。
その後レジにて会計を済ませる。
俺は大量の荷物が入ったレジ袋を手に持ちながら生徒会室まで歩くことにした。
「Take the chance!こわーれーて!感じーた!この思い手にして!君の方へー♪」
生徒会室に着いて買ってきたものを広げると、やはり何がしたいのか分からないと言いたげなルドルフがこちらを見てくる。
「なに、ちょっとした工作さ、割り箸鉄砲だよ」
「それにしては割り箸が多くないか?」
「かなり時間をかけるんだ、これくらい普通だよ」
「一体どんな工作をするんだ?」
「まあ見とけ」
俺はまず割り箸を配置した後に輪ゴムを巻き付けていく。方法としては一度端の方に時計回りに適当に巻きつけた後、持つ場所を変えずに、指を反時計回りに回しながら徐々にずらして目的の場所に巻いていく。
「かなり手馴れているな」
「よく作ってたからね、一応数時間は掛かるから生徒会室の仕事でもしてたら?」
「ああそうさせてもらうよ、たまには君にも手伝ってもらいたいのだがね……」
「俺がやっても足手まといにしかならないから……」
「時間あたりの仕事量は君の方が上なのだがね……」
そう言いつつもルドルフはそのまま仕事を始めたので作業を続ける事にする、数時間経ち、ようやく完成する頃にはルドルフは仕事を終わらせていた。
「これで完成っ!m200 interventionだ!スケールは少し小さいがな!」
「……」
出来上がったものを見た瞬間ルドルフは言葉を失っている。俺は完成したものがちゃんとしているか確かめるために手に取ったが、やはり問題なく動くようで一安心だった。マガジンもレバーも問題なく動く。
「試しに撃ってみるか」
輪ゴムを装填するのも一苦労であり、新品の輪ゴムは一度伸ばしてから使う。発射機構は2つあるので2発装填しルドルフの方向の天井に向かって2発撃つと、輪ゴムは天井跳ね返り、速さを失ってルドルフの両耳に引っかかってしまう。俺は少し間の抜けた顔をしているルドルフに思わず吹いてしまった。
「ぶはっ!!」
「トレーナー君……」
「わ、悪いつい……」
ルドルフは静かに立ち上がり俺の目の前に立ちこちらを見下ろしてきた、完全にキレているようだが、見下ろした際に両耳から落ちた輪ゴムを見て再び笑いを堪え切れなくなってしまう。それを見るや否やルドルフは再び怒り始め、ついに堪忍袋の緒が切れた。
今回の敗因:割り箸鉄砲m200、制作時間3時間、享年3分