放課後生徒会室、いくら早く就業が終わると言ってもルドルフの労力を侮ってはいけない。
今回ばかりはルドルフに異常がある訳では無いのだが…
「最高の見方が映ってるでしょ、それは命の証♪」ガチャ
「やあトレーナー…君?」
「どうしたの?」
「風邪かい?」
「……」
ルドルフの洞察力どうなってんの…
今回はタイトル通り風邪をひいているのは俺の方だ。
昨日は雨の中傘をささずに帰ったせいか今朝から頭が痛い。
熱も測ったら微熱だったしそこまで酷くないけどね。
「いやぁ、ちょっと風邪引いちゃって……」
「大丈夫なのかい?今日は休んだ方が良かったんじゃないのか?」
「心配してくれてありがとうなルドルフ。でもそんな大層なものじゃないから気にしないでくれ」
「念の為保健室に行ってみてはどうだろうか」
「えー」
「ほら、私も少し風邪気味でな」
「うつしちゃったか?」
「まさか、この距離でうつるはずないだろう」
「なんだそりゃ」
「建前と言うやつだよトレーナー君」
「んで本音は?」
「つべこべ言わず一緒に来いという訳だ」
「はいはい分かったよ」
ルドルフに手を引かれながら俺は保健室に足を運ぶ事になった。
ガララララ
「失礼します」
「あらこんにちは2人とも」
「おはようございます先生」
「すみません、ちょっと体調崩してしまって」「まあ大変!体温計持って来るわね!」
そう言うと先生は急いで体温計を取りに行った。
そして数分後…… ピピッピピッ
「38度7分です」
「やっぱり結構高いじゃない!今日はお休みするしかないわね」
「そうですね、普通に今は仕事したくないです」
「それじゃあ私は職員会議だから行くわね。何かあったら連絡ちょうだい」
「分かりました」
ガララ
「全く君は頑固者だな」
「いやだってさ、折角ルドルフ頑張ってるんだぜ?それに俺の体1つでトレーニングの質が変わるなら安いもんさ」
「その考えはとても素晴らしいと思うが、自分の体を大事にしてもらいたいものだ」
「心配してくれてありがとなルドルフ」ナデナデ
「むぅ……」
頭を撫でると尻尾が揺れた。可愛い奴め。
「ではトレーナー君、今日はここでゆっくり休むといい。私も暇なので君を看ていてあげよう」
「いいのか?」
「ああ勿論だとも」
「そっか、なんか悪いな」
「気にする事はないさ。私がやりたくてやってる事だからね」
「ありがとよ」
その後、俺は保健室で大人しく寝ていた。
なのになんでルドルフも一緒に寝ているんだ?
「うーん……これは一体どういう状況なんだ……?」
目が覚めると目の前にはシンボリルドルフの顔があった。
そして何故か俺は彼女の腕の中にいた。
うん、何が何だか分からないな。
とりあえず離れようと思い身体を動かそうとするも体が動かない。
ルドルフはウマ娘なので体温が38度程にもなるので俺が風邪をひいてようやくトントンくらいだ、すごく暖かい、やばい堕ちそう…
こんなにルドルフが献身的だったなんてな…いつもは頼れる生徒会長だけどこういう一面もあるんだなぁ……………………
そして再び眠りについた。
次に目を開けた時、そこにはまたもや顔があり、やはり彼女は俺を抱き枕のように抱いていた。
もうこれ完全にアウトじゃん。
仕方ないのでもう一度眠ろうとした時、ふと時計を見ると午後6時を過ぎている事に気づいた。やっべぇ……
「ルドルフ起きろ」
「んん……」モゾモゾ
「おい、ルドルフ」
「まだ早いじゃないかトレーナー君」ギュッ
「あのな、今から帰る準備しないと門限に間に合わないぞ」
「そんな事気にする必要はないだろう?」スリスリ
「そういう訳にもいかないんだよ」
「私の事は気にしないでくれたまえ、君と一緒に居られるだけで満足なんだから」
「でもなぁ」
「ほら、もっとくっついて良いんだぞ?」スリスリッ
「くすぐったいな」
「むぅ、トレーナー君、そこは『可愛くない』と言うところだぞ?」
「はいはい」
「はいは一回」
「はーい」
「よし、それでいい」
「ルドルフって結構甘えん坊だよな」
「君にしか見せない姿だよ」
「そっか」
「そうだとも」
「ところでさ」
「どうしたんだいトレーナー君?」
「いつまで抱き着いているつもりなんだ?」
「嫌かい?」
「いや、全然」
「それは良かった。安心してくれたまえ、君が眠るまではこのままで居るからね」
「おう、頼むわ」
「任せてくれ」
結局この後、俺は保健室の先生が戻って来るまでずっとルドルフに抱きしめられていた。
ちなみにルドルフは寮長に連絡して外泊届けを出していたらしい。
「本当にありがとうなルドルフ」
「礼を言うのはこちらの方だよトレーナー君」
「いやいやそんな……」
「君のお陰で私はまた強くなれそうな気がするよ」
「それなら嬉しいんだけどな」
「ではトレーナー君、そろそろお別れの時間だ」
「ああ、気を付けて帰れよ」
「分かってるさ、おやすみトレーナー君」チュッ
「へ?」
「フフッ……ではまた明日」
そう言ってルドルフは帰って行った。
俺はしばらくその場に立ち尽くしていた。
「今のキスか?え?え??」
今回の敗因︰保健室を出る際に先生に見られていたこと