シンボリルドルフと壊れたトレーナー   作:宮秋

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ルドルフと2回目の釣り

午後のトレーニングを終わらせ、食堂で飯を食い、寮部屋に戻って風呂にも入ったところでインターホンが鳴った。

 

 

「はいはーいどちら様?」

 

「やあ、トレーナー君」

 

 

扉の外にはルドルフがいた、少し揶揄ってやるか。

 

 

「チェンジで!」

 

「は?」

 

ガッ!

 

 

一言言ってドアを閉めようとしたところ間に手を滑り込ませて止められる、そのルドルフの顔は笑顔で額に青筋を浮かべていた。

 

 

「なぁトレーナー君、私もアポ無しで来た訳だ、だがね?いくらなんでも今のは失礼じゃないかな?それに私は君の担当ウマ娘だぞ?ほら入ってもいいだろう?」

 

「……お好きにどうぞ」

 

 

俺はもう諦めた、こいつはこういう奴だと知っているからな。

そして部屋に入ってきたルドルフはソファに座って足を組むとこちらを見て口を開いた。

 

 

「それで?何か言うことがあるんじゃないかい?」

 

「えっと…………すみませんでした……」

 

 

俺は頭を下げて謝ることにした、まあでも実際いきなりあんなこと言われたら誰でも怒るよな……。

 

 

「もしかして本当に風〇ウマ娘を注文していたのかい?それなら私の方こそすまなかった、そういう店があるのは知っていたのだが、まさか君がそんなものに頼るとは思っていなかったんだ、許してくれないか?」

 

 

……なんかすごい勘違いされてない? 俺別に頼んでないし、というかそもそも頼んでいないし。

 

 

「挙句の果てに私に対してそんな事を言うとは、それほど私に魅力を感じないのかい?これでも胸はある方だとは思っているのだが……」

 

「ちょっと待ってくれルドルフ!とりあえず落ち着こう!落ち着いてくれ!!」

 

 

俺は必死にルドルフを宥める、このままじゃまた暴走してしまう!!

 

 

「すまない取り乱したようだ、それで?君は何を言おうとしたんだい?」

 

「〇俗ウマ娘なんて頼んでません!確かに最近疲れていると思ってましたけど!流石にそこまで堕ちちゃいませんよ!」

 

「ふむ、そうなのか、それは良かった」

 

 

ふう……なんとか誤解を解くことが出来たみたいだ、危うく社会的に死ぬところだったぜ。

 

 

「では何故私の誘いを断ったのだ?理由を聞いても良いかな?」

 

「えぇ……今言わないとダメですか?まだ仕事残ってるんですけど……」

 

「そうだな、私がここに来た理由は2つある、1つ目は単純に顔を見たかったからだ、それともう1つ、明日はオフだ、ここまで言えば分かるだろう?」

 

「そういえばオフの日に一緒に釣りに行く約束とかしてたね」

 

 

俺はつい先日、休みの日に暇だったのでルドルフと一緒に釣りをする約束をしていたのを思い出した。

 

 

「ああ、そうだとも、だから今日は君の部屋に泊まるつもりで来たんだ、明日の朝は早いからな」

 

「はい!?ちょっまってください!!あなた何言ってんすか!?」

 

「いいじゃないか、それにこれは前々から決めていたことなんだ、君の部屋の合鍵は既に君から貰っている、さあ観念するといい」

 

「はは〜ん、さては俺、合鍵渡す相手間違えたな?」

 

「間違ってなどいないさ、君は私の大切なパートナーであり友人でもある、だからこそこうして部屋に入る許可を出したのだよ」

 

「そりゃどーも……てかマジで来る気なんですね……」

 

「当たり前ではないか、私はこの学園の生徒会長にして生徒を導く存在、そして君の一番の理解者なのだぞ?当然の事じゃないか」

 

「さいですか……はぁ……分かりましたよ、仕方がないから泊めてあげますよ……」

 

「ふふっ、感謝しよう」

 

 

一番の理解者かは納得し兼ねるが、こうなったらもう受け入れるしかない、俺は渋々とルドルフを受け入れることにした。そして夜も深まりそろそろ寝ようかという時間になった頃、俺はベッドに入って横になっていたのだが……。

 

 

「……どうしてお前までいるんだよ」

 

 

何故か隣にはルドルフがいた、しかも抱き枕のように腕を回されている、正直言ってめっちゃ恥ずかしい。

 

 

「良いではないか、いつもの事だろう?それに君だって嫌ではないはずだ、ほら、私に触れてみてくれ、体温を感じるだろう?」

 

「…………うん、感じる、すげえ温かい」

 

 

俺は諦めてそのまま眠りにつく事にした、ルドルフも満足しているのかとても嬉しそうな顔をしていた。

 

 

 

翌朝、朝と呼ぶよりかはまだ真夜中だが、深い眠気の中、ルドルフに動きがあった。トイレかとは思ったがどうやらそうではないようだ。どうしたんだろうと思いながら眠っていると、急にルドルフが俺のズボンに手を掛けてきた。

 

 

「待て待て待て!何をするつもりだ?」

 

「なんだ起きていたのか、なあに、トレーナー君を着替えさせようと思ってね、起きたのなら早速釣りに行く準備をしたまえ」

 

 

ルドルフは少し残念そうな顔をしながらそんな事を言った。いやまあ服ぐらいなら別にいいんだけど……でもわざわざ俺が眠っている間に着替えさせなくても良くない?てっきり夢の中で起こされたのだと勘違いしていたところである。

 

俺は言われた通り服を着替え、外に出て行った。外はまだ暗く、トレセン学園の人通りは全くない。ていうかめっちゃ眠い、まだいつもの睡眠時間の半分しか寝ていない、ルドルフは俺とは違ってよく眠れたようだ。まあ、車を運転するのはルドルフなので眠いと言われても困るが寝ればいいだけなので別に問題は無い。

 

 

「なあ、なんでこんな夜中に行くの?」

 

「トレーナー君は知らないのか、実はそろそろ満潮で釣れにくく、釣り場に着く頃には、潮が引いていき釣れるようになる、他にもマズメ時といって日の出や日没1時間前後は釣れやすいというのもあるぞ」

 

「なーるほど、勉強になりますわ〜」

 

 

そんな会話をしながらトレセンの駐車場に停めてあるルドルフの車に乗り込む、釣具は既に積み込んであるようだ。

 

 

「釣りに行く時の醍醐味つったらあれだよね!」

 

「外食のことかい?それなら既に決まっている、近くの蕎麦屋で食事をするよ」

 

「今回はルドルフが誘ってきたんだからルドルフ持ちだぞ?」

 

「もちろんだ、私のお財布から出させて貰うよ」

 

 

2人で車に揺られつつ食事に向かう、車内ではあまりにも眠かったため目を閉じていた。ちなみにルドルフの運転は初心者にしてはとても上手で揺れが少なく、とても心地が良いが安心して寝れるかと言うとそういう訳ではない。

 

 

「んう……おちおち寝てられない……」

 

「別に寝てくれてもかまわないのだが、せっかくこうして一緒にドライブをしているのだ、もっと私と話してくれたっていいんじゃないかい?」

 

「もしかしてちょいちょい車線を逸脱しそうになってアラート鳴らしてるのはわざとなの?」

 

「さあ?どうだろうね?」

 

 

俺はため息混じりに言う。全く油断も隙もない、俺は気を引き締めて蕎麦屋へと向かっていった。しばらくすると目的の蕎麦屋に着いたようでルドルフの車が止まった。

 

 

「さあ、着いたぞトレーナー君、降りてついて来てくれ」

 

 

俺は車から降りる、店の扉を開けると店主の元気な声が出迎えてくれる。

 

 

「らっしゃっせー!!」

 

 

店に入ると、美味しい香りと共に食欲を刺激する光景が広がっていた。そこには様々なメニューが用意されており、どれも魅力的であった。

 

 

「今は3時だからまだ朝定食は頼めないか……」

 

 

「昼に来るといいさ、その時に頼もう」

 

俺は券売機へ向かう、この蕎麦屋は24時間営業で夜中は空いており、席についてすぐ食べる事が出来るようだ。

 

 

「俺はあまり腹減ってないしネギ多めのぶっかけ盛りそばでいいかな、前回の二の舞に鳴らないようにね」

 

「ふむ、ならば私も同じものを頼むよ」

 

 

前回は天かすをそばつゆにかけ過ぎで、そばつゆが使い物にならなくなってしまったので、いっその事全部かけてしまえばいいのではと考えた。そして数分後に運ばれてきた料理は本当に質素であったが味はまあまあで量は満足できるものだった。

 

 

「ふう……満足……ちょっと食いすぎちまったかも」

 

「それは良かった、さあ向かおうか」

 

 

ルドルフの言葉を不思議に思いながらも俺はルドルフに続いて車へと向かう。その時俺はルドルフの口元を見て驚いた。まさかの口の周りが少し汚れていた。あの綺麗な顔立ちなのに……俺は少し残念だと思いつつも指摘する事はなかった。

俺はその後車に乗り込み再び釣り場に向けて出発する。

 

 

「正直ぶっかけそばってあまり美味しくないな……」

 

「そうかい?トレーナー君だってあれほど美味しそうに食べてたではないか」

 

「なんか味が落ちた感じがするんだよ、あのそばって麺つゆが付いてない所の方が味の強弱があっていいと思うんだよね」

 

 

ルドルフと適当な雑談をしながら目的地へと向かっていく。

 

「こころRING RING RING、今日だけは、走るのはおやすみーして、緩くRING RING RING、今日くらいのんびりと走ろう♪」

 

「ふふっ、結局走っているではないか。」

 

「実際に走るのと車で走るのとは訳が違うだろう?」

 

「なるほど、そういう事か!」

 

 

俺は気を取り直し歌を続ける。

 

 

「いつだって女の子は賢い!明日も最強さ〜♪」

 

「シコいだと?全く、トレーナー君の性欲は底なしだな......」

 

「問題発言しないで貰えます!?」

 

「なんか文句ある〜♪」

 

「名曲を汚さないでください」

 

 

ルドルフのノリはたまにこんな感じになるので気にせずにスルーするのが一番なのだが放置すると稀に大変なことになるので注意が必要だ。この前なんて、ルドルフから貰ったプレゼント(ぬいぐるみ)に対して『これがルドルフの私に対する想いなのか?』とか言ったら、トレーナー室に等身大の人形が置かれた事もあったからね、いやマジで狂気しか感じない。ちなみに俺は特にそういう趣味は無いが普通に気持ち悪いと思いました。

 

そして数時間走り続け釣り場にたどり着いた。まだ日の出までだいぶあるためかあたりは薄暗く人影は無かった。しかしルドルフが釣り竿を持って釣りの準備をしていたので釣りはするらしい。ちなみにまた大きな魚が釣れても困るので今回はサビキを使う、撒き餌のようなコマセと疑似餌で釣るやつ。

 

 

「ルドルフ、俺、朝早く起きすぎてまだ全然眠たいからちょっとだけ寝させてね」

 

「ああ分かった、私がしっかり見ているから安心して眠るといいさ」

 

 

ルドルフの声が遠くなっていく。そして俺はゆっくりと目を閉じた、しばらくして目が覚めると隣に誰かがいる感覚を覚えた、その人物を確認するために横目を向ける。

 

そこには俺の横にもたれかかるようにしてルドルフがいた。どうも疲れてそのまま眠っているようで俺は起こすべきか悩んだがそのままにしておくことにした。俺は寝ぼけ眼のまま、釣竿を眺める、1時間ほど待ってもなかなか釣れないので、また裏技を使おうかと画策する。

 

あの運気を上げる錠剤を使うかどうか、だがそこまでする必要があるのか?そこまでして魚が食いたいかと言われてもそうは思わない。だがルドルフが喜ぶ顔が見れるのなら喜んで使おうではないか。

貴重な錠剤を財布から取り出し、飲み込む。

 

 

ゴクッ

 

 

ルドルフの日本ダービー優勝レイからでも作れるのかなと考えながら薬の効果が出るまで待つ。ちなみにあの錠剤、天文学的確率を引き出せるので天文学の薬と呼んでいる、もしかして俺ネーミングセンス壊滅してんのかな?

 

 

「ん……うっかり寝てしまったようだね」

 

「おはよう、ルドルフ」

 

 

俺が声を掛けるとルドルフがビクンッと身体を動かす、まるで怯えている小動物のように、一体どんな夢を見てたんですかねえ…… ルドルフは俺と自分の状況を確認してからこちらを見る。俺と目が合うと顔を赤面させ、視線を逸らした。その様子に若干興奮してしまう。

 

 

「すまない、トレーナー君が横に居たのを忘れていたよ」

 

「いや、いいんだけど……その……なんというか」

 

「なんだい?」

 

 

俺はルドルフの目を見て言う。

 

 

「蕎麦屋の時から言い忘れてたんだけどルドルフの口元汚れたままなんだよね」

 

 

その言葉を聞いた瞬間にルドルフの顔色は見るみる赤くなっていった、そして口元を隠したかと思うとおずおずとした動作をしながらポケットに手を伸ばし、ティッシュを取り出し、口に拭った。

 

 

「これでいいだろうか……」

 

「バッチリ!可愛い顔がさらに可愛く見えるぜ!」

 

 

俺は親指を立ててそう言ったが内心少し後悔していた、もっと早く言ってればこんなことにはならなかったのではないかと思った。だけど今更もう遅いのだ、それに俺が変なことを言うよりはマシだろうと思う。

 

それから2人で釣りを始めたが、やはり魚の食いつきが悪い、ルドルフなんかあまりに釣れなさすぎてワカメを何度も釣ってた。

 

 

「その釣ったワカメ食えば?」

 

「何を言っているんだトレーナー君、食べるわけないだろう……あっまた何か釣れたね」

 

 

今度はゴミを釣っていた。

 

 

「その釣ったゴミ食えば?」

 

「だから何度言えば分かるんだ、とりあえず釣ったものを私に食べさせようとするのをやめないか?」

 

「さて、そろそろ釣れるかな?」

 

「話を聞いていないようだね」

 

 

ルドルフをちょいちょい煽りながら、そろそろ薬が効いてくる頃だろうと思い、竿の先を見ると、当たっているように見えた、実際にリールを巻くと魚を釣り上げていた。

 

 

「お、釣れてるぞルドルフ!」

 

「おお、ようやくか……待ちくたびれて寝てしまいそうになったよ……」

 

「かなり重いな、どうなっているんだ?とりあえず網用意して!」

 

「了解だ」

 

 

力任せにリールを巻くと魚の唇が取れてしまう可能性があるので慎重に巻いていく。すると徐々に重さが増していくのを感じる。これはデカいかも!俺はテンションが最高潮に達する!そしてとうとう引き上げることができた!その姿を確認すると、それは俺達を満足させるのには十分だった。なぜならその獲物の数は六匹、全ての針にかかっていたのだ。これのどこが天文学的確率かと言われると餌の籠と言われるコマセに餌が入っていなかったのだ、補充するの忘れてた。ちなみに今回の俺達の食料になる予定のやつは、アジである、食卓でよく出るタイプのやつ。

 

その後俺達はその場で塩焼きにして食べてみた。味はまあ、美味しかったがそこまで感動するほどのものではなかったのでルドルフに全部譲ることにした。ちなみにルドルフは大喜びで、とても良い笑顔を見せてたので俺としても嬉しかったです。あとめっちゃ写真を撮られたけど、それルドルフ専用SNSに乗せるのだけはやめてほしかった。

 

俺達が釣りをしている間にも人は増えていき、日も登ってきた。

 

 

「結構釣れたし帰ろうか、朝ご飯の準備とかしないとだしうっ……!?」

 

「どうかしたのかい?」

 

「ちょっとトイレ行ってくる!」

 

 

まさか腹を壊すとはね、さっき食った魚が原因かと言われるとそうでも無さそうだ、もしかしてさっきの薬の副作用かな?

いやでも今までこういう事無かったから違うのか?まあ気にしても仕方ないし早く戻ってこよう。

 

 

「ルドルフ先に車に行っててくれ」

 

「わかった、あまり急がなくても大丈夫だぞ?」

 

 

俺は早足でトイレに走り込みドアを閉める。内容は下痢でした。便座に座りこみ考える。なんで急に…… そういえばあの薬の副作用は運気を使い切ると発生するものだが運気が切れたタイミングがおかしい、もしかしたら腹を壊したのは関係なくて別の悪運が降りかかってくるのかもしれない、用心しなくては。

ルドルフの車に戻るとルドルフが俺を待っていた。

 

 

「遅いじゃないか、何かあったんじゃないだろうかと思ったよ、体調が悪いなら遠慮なく言うといい」

 

「いやまあ、体調が悪いのはいつもの事だからな、まだ眠いし、体も冷やしちゃったしでボロボロだよ」

 

 

はははと笑いながら話すが正直しんどい、俺の体は限界に近いのだろう。だが、ルドルフの前で弱音を吐けるはずもなくなんとか誤魔化すしかない。とりあえず車のシートに横になると自然回復を待って、家に着く頃には完全に治るようにした。そして車を発車させて、トレセン学園に帰ることにした。俺はふと窓を見る。空には大きな雲ができていて、そこから少し風が出てきているようで涼しく感じる。このまま何も起こらなければ良いのだが。

 

 

「今回は普通の魚が連れてよかったね」

 

「ああ、あのイルカを釣った時は大惨事になったからな」

 

 

実は前回釣りをした時はイルカが釣れたのは良かったものの、それを提供したトレセン学園の食堂では『グッときてchu』のヒントが蔓延した、せっかくなので採用した。

 

 

「ん?なんで三車線なのに右側が空いてて左側が渋滞しているんだ?」

 

「あれは罠だトレーナー君、あの車線を進むと右に曲がるしかなくなってしまう」

 

「粉バナナ……」

 

 

『これは罠だ』と『こんな馬鹿な』が混ざり合ってよく分からない発音をしてしまう。

 

 

「腹♪」

 

「ひゃっ!?」

 

渋滞に引っかかり暇な俺は、何もしていないルドルフのお腹にちょっかいをかけると変な声で反応してくれた。

 

 

「トレーナー君何をするか……」

 

「うーん、この一週間ですっかり脂肪が落ちているね」

 

「トレーナー君が私の太りやすい体質を誹謗中傷したのは忘れていないからね?」

 

「あれはごめんて……」

 

 

わずか1週間でここまで痩せるとは思わなかった、ルドルフは太りやすいと言うよりもよく食べ、よく痩せるタイプなのだが、その分運動もたくさんしていて代謝も良かったため、太らない体になっていたのだ、それが2週間前に食べて動かなかったのが仇になったのを煽ったのが運の尽きだったのだ。

 

 

「なあルドルフ……」

 

「どうしたんだい?」

 

「寮に戻ったら一緒に寝ない?疲れたわ……」

 

「全くトレーナー君は欲しがりだな……そんな所も好きではあるが……」

 

「なんかものすごく温まりたい気分なんだ、外で結構体も冷やしちゃったしな」

 

「それは寒気というやつじゃないかい?」

 

 

俺は自分の体を擦る。

確かに体が震えてきたような気がする、風邪だろうか、それにしては体の調子が良くなさすぎる、ただの疲れじゃない。明らかに異常だ……。そう思ってから30分ほどで寮に到着した、車を止めるなりすぐに外に出て寮に戻る、せっかくなので水銀温度計で体温を測ってみると37.5になっていた。

 

 

「まあまあの熱だな、風邪かコロナか……風邪は今年既にひいたからコロナかもな……」

 

「もしかしたら昨日打ったワクチンの副作用ではないか?」

 

「確かに熱と寒気と腕の痛みだけで、他のコロナの症状は出ていない……」

 

 

まさかワクチンに負けたというのか、まあ、3回目だしそんな事もあるか。ちなみにウマ娘の体はコロナウイルスを死滅させてしまうので、ワクチンを打たないし、媒介もしないので感染対策もしない。もう種族が違うのかな?

今回の悪運がワクチンに負けるだけで済んで良かったと思い、緊張の糸が切れたところで意識を失いそうになりフラフラになる。

 

 

「トレーナー君、肩を貸すよ」

 

「済まない、助かるよ」

 

 

なんとか倒れないようにして、自室のベッドまで移動し、布団を被り横になるべく横になった途端、俺は深い眠りについてしまった。

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