僕は主人公になりたい ――最強の歯車・只野義人――   作:下等妙人

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第二章 密林の悪魔 8

 彼女は白髪ツインテ少女の肩をバシバシと叩きながら、

 

「レイチェルよぉー、機密事項をこうもナチュラルに喋っちまうのはオメーぐらいなもんだぜ!」

 

 愉快極まりないといった調子で、笑声を上げ続ける。

 続いて、向かい側に座る別の少女が口を開いた。

 

「申し訳ないね、ブラックナイト。“ボク”等には言っていいことと悪いことが細かく設定されてるんだ。だから、あまり質問をしないでくれると助かる」

 

 栗色のショートヘアとボーイッシュな顔を持つ彼女は、そう言った後申し訳なさそうに苦笑した。

 それから。

 

「とりあえず、皆彼に自己紹介をしようか。ボクはソフィア・ローズ。陸軍特殊部隊アイアンブラッド所属。階級は少尉だ」

 

 立ち上がり、名乗ってきた。

 

 義人は濁った瞳を鋭くさせながら、彼女を見つめる。

 背丈は一六五かそこから。見た目は他の者と同様、麗しい。中性的な美形である。

 

「……よろしく。ところで、君は今、アイアンブラッドに所属してるって言ったね? もしかして、ここに居るメンバー全員がそうなの?」

 

 それに対し、別の者が返答を寄越した。

 

「バッチリ正解だぜ! しかも全員少尉だかんな。上下関係とか気にしなくてマジ助かるわー。あ、すっげぇ今更だけど、あたしはナンシー・ディアスってんだ。よろしくな、英雄サマ!」

 

 立ち上がり、人懐っこい笑みを見せて来るナンシー。

 

 背丈は一七〇前後。長い黒髪をポニーテール状に纏めており、強気そうな釣り目が印象的。

 こちらもまた美形である。が、アイアンブラッド所属であれば、外見はもはや関係ない。

 

 米軍には、カラーズのみで構成される特殊部隊が、陸海空それぞれに存在する。

 

 陸はアイアンブラッド。

 海はディープブルー。

 空はホークアイ。

 

 それぞれ、人としてもカラーズとしても怪物じみた戦闘能力を持つとされるが、部隊員のプロフィールは秘匿されており、詳細を知る者は少数である。

 

 だが――そうかといって、こんな美少女達がメンバーというのは、やはり違和を感じざるを得なかった。

 

 しかしながら、いつまでも疑念を抱いていたってしょうがない。

 とりあえず、現状を受け入れ先に進もう。

 

 義人がそう決めたのと同時に。

 

「あ、あのう。自己紹介、してもいいですかぁ?」

 

 隣に座る少女が、そう尋ねて来た。

 

「お願いできるかな」

「は、はい。わ、わたしはイリア・フィフスマンといいます。よ、よろしくお願いしま――きゃっ!?」

 

 立ち上がろうとした拍子にバランスを崩したのか、彼女は義人の方へ倒れかかってくる。

 このままいけば、その豊満な胸に顔をうずめることとなろう。

 

 しかし。

 

『ラッキースケベなど、あなたには似合いません』

 

 相棒の一声。その直後、闇色の壁が少年の眼前に出現し、彼とイリアの接触を防いだ。

 それにより、相手方は壁に顔をぶつけ、

 

「あぅぅぅ……痛いですぅ……」

「えっと、大丈夫?」

 

 ブラウン色のタレ目に涙を滲ませる彼女に、義人は声をかけた。

 そうしつつ、イリアを隅々まで観察する。

 

 目立つ点は、やはり胸と髪の色。

 なんと、彼女の髪は桃色である。臆病、といった印象を与える口調に反して、実のところ大胆な性根をしているのだろうか。

 

『単なるキチガイです。そうに決まっています。こういうデカ乳野郎はどいつもこいつも栄養が頭に行き渡っていないのです。だからこいつもあのクソッタレビッチと同じで頭のおかしな人間に違いありません』

 ――サラっと白柳さんをディスるのやめてくれないかなぁ? このキチガイクイーン。

 

 相棒に毒を吐きながらも、義人は冷静に分析を行う。

 

 イリア・フィフスマン。背丈は一五八といったところだろうか。メンバーの中では小さい部類に入る。

 髪は前述の通り桃色で、髪型はサイドテール。

 体つきは服の上からでもわかるほどの巨乳という以外、さほど目立つ部分はない。

 そうした二点に加え、幼さが目立つ可愛らしい顔立ちを持つ。

 

 まるでキモオタを釣るために作った萌えキャラだ。なんというか、妙にわざとらしい。

 

『こいつ絶対腹黒ですよ。現実にふぇっ? とか、あぅぅぅ、とか言う奴など居ません。よって、こいつの言動は全てが罠。そして――この場に居る全員が、現在絶賛お芝居中、ですね。おそらく、こいつらはあなたにあてがわれたハニートラップか何かでしょう』

 

 イヴの発言には、一定の説得力があった。

 常識的に考えれば、彼女の意見に辿り着くだろう。

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